お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「コードを書くのは好きだが、マネジメント業務には興味がない……」
「でも、このまま現場に居続けて給料は上がるのだろうか?」
そんな不安を抱える30代・40代のエンジニアが増えています。これまで、エンジニアのキャリアパスは「管理職(マネージャー)」か「スペシャリスト(という名の放置)」の二択しかありませんでした。しかし、近年シリコンバレーを中心に、第三の選択肢として『Staff+』が注目されています。
今回は、管理職を拒否しながらも市場価値を高め続けるための、具体的かつ戦略的なロードマップを解説します。
「管理職コース」と「Staff+コース」の決定的な違い
まず、誤解してはいけないのが、「Staff+」は決して「人嫌いのための逃げ道」ではないということです。
組織図で見る立ち位置の違い
「Staff+」とは、Staff Engineer(スタッフエンジニア)やPrincipal Engineer(プリンシパルエンジニア)の総称です。両者の違いを明確に理解する必要があります。30代エンジニアのキャリアの分かれ道でも触れたように、選択肢は多様化しています。
- エンジニアリングマネージャー (EM): 「人(People)」と「組織」の課題解決が主務。採用、評価、メンタリング、予算管理を行う。
- Staff+ (Staff/Principal Engineer): 「技術(Tech)」と「事業」の課題解決が主務。アーキテクチャ設計、技術選定、技術的な意思決定による組織課題の解決を行う。
つまり、Staff+も「組織」には関わりますが、アプローチが「人事評価」ではなく「技術的リーダーシップ」である点が異なります。
年収の天井が消える理由
従来の日本企業では、役職(課長・部長)に就かなければ給与テーブルの上限にぶつかっていました。しかし、Staff+という役割が定義されている企業(メガベンチャーや外資系)では、「事業へのインパクト」で評価されるため、部長級以上の報酬を得ることも珍しくありません。
IT女子 アラ美Staff+になるための3つの生存戦略
以下のグラフは、一般的な管理職トラックとStaff+トラックの年収推移モデルを比較したものです。エンジニアの市場価値を高めるポートフォリオ戦略でも解説した通り、希少性が高いためです。


では、どうすればこのポジションに到達できるのでしょうか。一般的に、以下の3つの戦略が有効とされています。
コードを書くのではなく書かせる仕組みを作る
自分が100行のコードを書くのではなく、チーム全員が1行で書けるような「共通ライブラリ」や「開発基盤」を作ることに注力します。これを「レバレッジを効かせる」と言います。
例えば、CI/CDパイプラインを整備してデプロイ時間を短縮したり、リントツールを導入してコードレビューの時間を削減したりすることが該当します。個人の生産性ではなくチーム全体の生産性を上げることが求められます。自分一人が速いだけでは、組織への影響力は限定的だからです。
ビジネス言語への翻訳能力を磨く
経営層にとって、リファクタリングは「コスト」に見えます。これを「将来の開発速度を30%向上させ、新機能リリースを2週間早めるための投資」として説明できるかどうかが、Staff+への分かれ道です。
技術的負債の返済をビジネス上のメリットとして翻訳し、予算や工数を獲得する交渉力が不可欠です。「バグが減る」ではなく「ユーザー離脱率が下がり、売上が維持できる」と語る能力が求められます。
越境力を持つ
自分のチームだけでなく、隣のチーム、あるいは営業やマーケティング部門の課題にも首を突っ込み、技術で解決します。守備範囲を広げることで、社内での影響力(Influence)は飛躍的に高まります。「それは自分の担当ではない」と言わないことが重要です。



Staff+に求められる意外なスキルセット
Staff+を目指す上で、コーディングスキル以外に習得すべき重要なスキルがあります。これらは一見地味ですが、組織を動かす上での強力な武器になります。
ドキュメンテーション能力
Staff+の影響力は「ドキュメント」を通じて広がります。口頭での説明は、その場にいる数人にしか伝わりませんが、優れたDesign Doc(設計書)やADR(Architecture Decision Records)は何百人ものエンジニアの指針になります。
「なぜこのアーキテクチャを選んだのか」「なぜこのライブラリを採用しなかったのか」という意思決定のプロセスを言語化し、非同期で他のメンバーに伝える能力は、リモートワーク時代において最強のスキルです。コーディングから上流へのシフト戦略でも解説している通り、言葉で人を動かす力が不可欠です。
メンタリングとスポンサーシップ
自分が活躍するだけでなく、若手エンジニアを引き上げ、活躍の場を作ってあげる(スポンサーシップ)ことが求められます。「あの人に聞けば解決する」という頼られる存在になることで、組織内での信頼貯金を積み上げることができます。あなたの知識をコピーし、あなたが不在でも回る組織を作ることが、結果としてあなたの評価を高めます。



ケーススタディ:スペシャリスト志向からの脱皮
実際に支援したDさん(38歳)の事例を紹介します。彼は「管理職打診」を断り続け、社内での居場所を失いかけていました。面接での実績アピールにおいても、この転換点は重要な意味を持ちました。
状況(Before)
- 年齢: 38歳。
- 職場: メガベンチャーの開発部門。
- 役割: シニアバックエンドエンジニア。
- 年収: 850万円。
- 課題: 「マネージャーにならないなら昇給はない」と言われモチベーション低下。
- 悩み: 生涯コードを書いていたいが、年収は上げたいというジレンマ。
行動(Action)
Dさんは「個人の成果」から「チームへの影響力」へとKPIを切り替えました。
- アーキテクチャ刷新の主導: 老朽化した認証基盤のリプレイスを提案し、自らPoC(概念実証)を実装した上で予算を獲得した。
- ドキュメント文化の醸成: 暗黙知になっていた仕様をドキュメント化し、オンボーディング(新人教育)のコストを大幅に削減した。
- 他部署連携: CSチームと連携し、問い合わせ調査を自動化するツールをPythonで開発した。
結果(After)
- ポジション: 「Principal Engineer」という新設ポストに任命。
- 年収: 1150万円へ昇給(+300万円)。
- 変化: マネジメント業務は免除され、技術課題の解決に100%コミットできる環境を手に入れた。



Staff+求人の見つけ方と市場価値トレンド
Staff+はまだ新しい職種であり、すべての会社にこのポジションがあるわけではありません。適切な環境を選ぶためのポイントを解説します。
企業のテック成熟度を見極める
「CTO室」や「技術基盤チーム」がある企業、あるいは求人票に「Staff Engineer」「Principal Engineer」というタイトルが明記されている企業を選びましょう。単なる「リードエンジニア」募集の場合、実態はプレイングマネージャー(課長代理)であることも多いので注意が必要です。
また、年収レンジも重要です。Staff+を募集する企業は、技術への投資意欲が高いため、最低でも年収1000万円以上、外資系なら2000万円以上が相場となります。海外リモートワーク戦略も視野に入れると、その上限はさらに上がります。
エージェントの使い分け
一般的な転職サイトでは、Staff+のような専門職の求人は出てきません。ハイクラス向けの非公開求人を扱うエージェントか、エンジニアのキャリアパスに詳しい専門エージェントを活用する必要があります。
さらなる年収アップやキャリアアップを目指すなら、ハイクラス向けの求人に特化した以下のサービスがおすすめです。
| 比較項目 | TechGo | レバテックダイレクト | ビズリーチ |
|---|---|---|---|
| 年収レンジ | 800万〜1,500万円ハイクラス特化 | 600万〜1,000万円IT専門スカウト | 700万〜2,000万円全業界・管理職含む |
| 技術スタック | モダン環境中心 | Web系に強い | 企業によりバラバラ |
| リモート率 | フルリモート前提多数 | 条件検索可能 | 原則出社も多い |
| おすすめ度 | 技術で稼ぐならここ | A受身で探すなら | Bマネジメント層向け |
| 公式サイト | 無料登録する | - | - |



まとめ
「管理職になりたくない」というのは、決して逃げではありません。むしろ、技術の力で組織を牽引する「Staff+」という道は、管理職以上に挑戦的で、かつ高い報酬が得られる魅力的なキャリアです。
重要なのは、以下の3点です。
- 視座を上げる: 「自分のコード」から「チームの生産性」へ視点をシフトする。
- ビジネスに寄り添う: 技術的負債の解消なども、すべてビジネス価値に換算して提案する。
- 環境を選ぶ: Staff+というキャリアパスが存在し、適切に評価される企業(テックカンパニー)に身を置く。
もし今の会社に「管理職以外のキャリアパス」がないのであれば、外の世界に目を向けてみてください。あなたの技術力と経験を、「マネジメント」ではなく「技術的リーダーシップ」として高く評価してくれる会社は必ずあります。














