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結論から言うと、JAXAが公開したMCPサーバーを使えば、複雑なAPI仕様を覚えなくても「雨量のデータを見せて」と頼むだけで衛星データが手に入ります。
これまで衛星データの利用には専門的なクエリ構築が必要でしたが、Anthropic社のModel Context Protocol (MCP) に対応したことで、Claude Desktopから自然言語で検索・取得が可能になりました。
この記事では、JAXA公式MCPサーバー「Earth-Observation」の導入手順から、実際に衛星データを取得して解析するまでの流れを、実例を交えて解説します。
JAXA公式MCPサーバー「Earth-Observation」とは?
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、地球観測衛星のデータを検索・取得できる「JAXA Earth API」を提供しています。今回登場した「Earth-Observation」は、このAPIをMCP (Model Context Protocol) 経由で利用できるようにした公式のサーバー実装です。
詳しくは、Claude Codeを拡張する「Antigravity Awesome Skills」入門も合わせてご覧ください。
何ができるのか?
これまでは、curlコマンドやPythonのrequestsを使って、クエリパラメータ(経度・緯度・時間範囲など)を厳密に指定する必要がありました。特に地理空間情報のフォーマット(GeoJSONなど)や、衛星ごとの観測バンド(波長)の知識が必須であり、Webエンジニアにとっては参入障壁が高い領域でした。
しかし、MCPサーバーとして導入することで、Claudeに対して以下のような自然言語の指示が通るようになります。
1. 「2024年の東京の降水量を検索して」
2. 「この地点の植生指数(NDVI)を取得して」
3. 「取得したデータをCSVで保存して」
対応している衛星データ
このMCPサーバー経由でアクセスできる主なデータセットには、以下のようなものがあります。
- GPM(全球降水観測計画):雨や雪の分布を観測する衛星データ。農業や防災に活用されます。
- GCOM-W(しずく):水循環変動観測衛星。海面水温や土壌水分量を測定します。
- GCOM-C(しきさい):気候変動観測衛星。雲、エアロゾル、海色、植生などを観測します。
- ALOS-2(だいち2号):陸域観測技術衛星。災害時の状況把握や森林監視に使われます。
これら膨大なデータを、SQLのような構造化クエリを書くことなく、チャットベースで引き出せる点が最大の革命です。
IT女子 アラ美環境構築:Claude Desktopとuvでセットアップ
JAXA公式MCPサーバーはPythonパッケージとして公開されており、uv(Rust製の高速なPythonパッケージマネージャー)を使うと非常に簡単に導入できます。
uvのインストール
まだuvをインストールしていない場合は、以下のコマンドでセットアップします。pipよりも圧倒的に高速で、依存関係の解決もスムーズです。
# macOS / Linux
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
# Windows (PowerShell)
powershell -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"
Claude Desktopの設定
次に、Claude Desktopアプリの設定ファイル(claude_desktop_config.json)を編集します。OSごとのファイルの場所は以下の通りです。
- macOS:
~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json - Windows:
%APPDATA%\\Claude\\claude_desktop_config.json
このファイルを開き(存在しない場合は作成し)、以下のJSON設定を追加してください。
{
"mcpServers": {
"earth-observation": {
"command": "uvx",
"args": [
"jaxa-earth-observation-mcp"
]
}
}
}
この設定では、uvxコマンドを使ってjaxa-earth-observation-mcpパッケージを一時的にダウンロード・実行し、Claude Desktopと接続させています。APIキーの登録や複雑な認証フローは一切不要です。これは、JAXAが提供するデータの多くがオープンデータとして公開されているため実現できる手軽さです。
参考:WindowsでRust開発環境を構築するの記事も参考にしてください。



【ケーススタディ】実際に衛星データを検索してみた
ここでは、実際に農業支援アプリの開発プロジェクトで、このMCPサーバーを使ってデータを取得した事例を紹介します。
農業支援アプリ開発者Bさんの事例
状況 (Before)
Bさんは個人の趣味プロジェクトとして、家庭菜園向けの「最適水やり通知アプリ」を開発していました。そのために過去3年間の正確な降水量と土壌水分量のデータが必要でしたが、JAXAの「G-Portal」や「JAXA Earth API」の仕様書は英語で50ページ以上あり、専門用語(Swath, Granule, Sceneなど)の理解に苦戦していました。
これまでは、Pythonのスクリプトを書いてAPIを叩いていましたが、パラメータ指定のミスで「400 Bad Request」が頻発し、まともなデータを1件取得するのにも週末の半日(約4時間〜5時間)を費やしていました。モチベーションも下がり、プロジェクトは頓挫寸前でした。
行動 (Action)
Claude DesktopにJAXA MCPサーバーを導入し、以下のプロンプトを投げました。
「2024年8月の北海道札幌市の降水量と土壌水分量のデータを検索して。取得したデータは時系列でプロットできるようにJSON形式でまとめて。」
さらに、返ってきたデータに対して「この期間の平均値と、平年値との差分も計算して」と追加で解析を依頼しました。
結果 (After)
わずか1回の指示と1回の修正(約3分)で、目的としていた期間の正確なデータ構造が返ってきました。APIの難解なパラメータ仕様を調べる時間は完全にゼロになり、データ取得にかかる工数は5時間から3分へと、約99%削減されました。
取得したJSONデータはそのままアプリのフロントエンドのモックアップに使用でき、週末の残りの時間はUIの実装に充てることができました。
工数削減効果の可視化
今回のケーススタディにおける「データ取得完了までの工数(時間)」を、従来のAPI利用時とMCP利用時で比較したグラフがこちらです。


特に「学習コスト(仕様理解)」と「実装工数」が劇的に下がっていることがわかります。これまではドメイン知識がないとスタート地点に立つことすら難しかった分野ですが、MCPというインターフェースを経由することで、エンジニアであれば誰でも即座にデータ活用を始められるようになりました。
参考:コーディングメインから上流工程へシフトしたいエンジニアのためのスキルアップ戦略も読むと、よりキャリアの解像度が上がります。



エンジニアが知っておくべき最新技術トレンド
今回のJAXA MCPサーバーの事例からもわかるように、「AIエージェント」や「MCP」といった技術は、開発の現場を根本から変えつつあります。
これからのエンジニアには、単にコードを書く力だけでなく、AIという強力な相棒を使いこなし、既存のAPIやデータを効率的に繋ぎ合わせる「オーケストレーション能力」が求められます。
特に以下の3つのスキルセットは、今後市場価値が急上昇すると予想されます。
- MCPサーバーの実装・活用:自社のデータをAIから使いやすくする技術
- AIエージェントの設計:自律的にタスクをこなすワークフローの構築
- ドメイン知識×AIの掛け合わせ:特定の業界知識をプロンプトエンジニアリングに落とし込む力
これらのスキルを体系的に学びたい方は、以下のサービスの活用も検討してみてください。
参考:技術トレンドについていけないと感じるミドルエンジニアのキャリア再設計のヒントも紹介しています。
本記事で解説したようなAI技術を、基礎から体系的に身につけたい方は、以下のスクールも検討してみてください。
| 比較項目 | DMM 生成AI CAMP | Aidemy Premium |
|---|---|---|
| 目的・ゴール | ビジネス活用・効率化非エンジニア向け | エンジニア転身・E資格Python/AI開発 |
| 難易度 | プロンプト作成中心 | コード記述あり |
| 補助金・給付金 | リスキリング補助金対象 | 教育訓練給付金対象 |
| おすすめ度 | 今の仕事に活かすなら | AIエンジニアになるなら |
| 公式サイト | 詳細を見る | − |



まとめ
JAXA公式MCPサーバー「Earth-Observation」は、衛星データの民主化を加速させる強力なツールです。最後にポイントを振り返ります。
- APIキー不要で、
uvxコマンドと設定ファイルだけで数分で導入可能。 - 自然言語でクエリを投げられるため、難解な仕様書の熟読が不要になる。
- データ取得までの工数が99%削減され、本来の解析やアプリ開発に集中できる。
- MCPのような最新技術をキャッチアップすることは、エンジニアの市場価値向上に直結する。
「宇宙データなんて自分には関係ない」と思っていたエンジニアこそ、ぜひ一度Claude Desktopで話しかけてみてください。「東京の気温の変化教えて」と聞くだけで、宇宙からの視点が手に入ります。その手軽さに、きっと驚くはずです。













