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年収が下がっても転職すべきか:給与以外の価値で判断するエンジニアのキャリア選択フレームワーク

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お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

「年収が下がるけど、この会社に転職したい」「給与は減るけど、働き方を変えたい」——そんな悩みを抱えていませんか?転職市場では「年収アップ」が成功の指標とされがちですが、実際のキャリア選択はそれほど単純ではありません。私自身、PjMとしてチームメンバーのキャリア相談を受ける中で、「年収だけで判断して後悔した」という声を何度も聞いてきました。

この記事では、年収ダウン転職を検討しているエンジニアに向けて、給与以外の価値で判断するためのフレームワークを紹介します。

「年収アップ=成功」という思い込みを疑う

転職を考えるとき、多くのエンジニアは「年収アップ」を最優先の指標として捉えがちです。転職エージェントの成功事例も「年収〇〇万円アップ!」という数字が前面に出ることが多く、年収が下がる転職は「失敗」や「妥協」と見なされる風潮があります。

しかし、キャリアの価値は年収だけで測れるものではありません。たとえば、以下のような状況を考えてみてください。

年収ダウンでも得られる価値の例

  • 年収は50万円下がるが、残業がほぼゼロになり、家族との時間が増える
  • 年収は100万円下がるが、最新技術を扱うチームに入れて市場価値が上がる
  • 年収は80万円下がるが、フルリモートで地方移住が実現できる

これらのケースでは、短期的な年収ダウンが中長期的なリターンにつながる可能性があります。重要なのは、「年収」という単一指標ではなく、複数の価値軸で総合的に判断することです。エッセンシャル思考を読むと、こうした本質的な問いの立て方が体系的に学べます。

転職における意思決定フレームワークについては、転職活動で複数内定を獲得するITエンジニアの並行応募戦略でも詳しく解説しています。

Focused young man reviewing paperwork at his desk, showcasing a business setting with a laptop indoors.

キャリア価値を5軸で評価するフレームワーク

年収ダウン転職を判断するとき、私は以下の5つの価値軸で総合評価することをおすすめしています。私自身、PjMとしてプロジェクトメンバーの1on1でキャリア相談を受けるとき、このフレームワークを使って一緒に整理することがあります。

5つの価値軸の詳細

経済的価値(年収・福利厚生)

単純な年収だけでなく、退職金制度、住宅手当、確定拠出年金のマッチング拠出なども含めた「総報酬」で比較します。年収が下がっても、福利厚生が充実していれば実質的な差は縮まることがあります。

時間的価値(労働時間・通勤時間)

残業時間、休日出勤の頻度、通勤時間を金銭換算してみましょう。たとえば、残業が月40時間減れば、時給2,000円換算で月8万円、年間96万円の価値があります。

成長的価値(スキル・経験)

新しい技術スタック、上流工程への関与、マネジメント経験など、市場価値を高める機会があるかどうか。3年後の転職市場での評価を想像してみてください。

関係的価値(人間関係・チーム)

尊敬できる上司やメンター、切磋琢磨できる同僚の存在は、日々の満足度と成長速度に大きく影響します。

自律的価値(裁量・働き方)

リモートワークの可否、フレックスタイム、副業許可など、自分の人生をコントロールできる度合いです。

この5軸それぞれに1〜5点のスコアをつけ、現職と転職先を比較することで、感情に流されない判断ができます。仮説思考で紹介されている仮説検証のアプローチを応用すると、より精度の高い意思決定が可能になります。

キャリアの停滞を感じている方は、中堅エンジニアがキャリア停滞を抜け出す90日設計も参考にしてください。

Team collaboration in modern office setting

ケーススタディ:年収100万円ダウンでも転職を選んだエンジニアの判断

実際に5軸フレームワークを使って転職を判断したケースを紹介します。

状況(Before)

Aさん(35歳・バックエンドエンジニア)は、大手SIerで年収750万円。しかし、月平均60時間の残業、片道1時間半の通勤、レガシーシステムの保守運用が中心で、新しい技術に触れる機会がほとんどありませんでした。「このままでは市場価値が下がる一方だ」という危機感を抱えていました。

転職先のオファー

スタートアップ企業から年収650万円のオファー。ただし、フルリモート勤務、残業月10時間以下、Kubernetes/Go言語を使ったマイクロサービス開発、テックリード候補としての採用という条件でした。

行動プロセス(Action)

Aさんは5軸フレームワークを導入し、以下の手順で意思決定を行いました。

  • Googleスプレッドシートに5軸フレームワークのテンプレートを作成し、採用した
  • 現職と転職先それぞれについて、各軸に1〜5点のスコアを入力
  • 妻と一緒にスコアを見ながら、1週間かけて議論したところ、明確な差が見えてきた
  • 「時間的価値」と「成長的価値」の差が大きいことを確認し、変更した結果、判断軸が明確になった
  • 年収ダウンを受け入れる決断を下し、オファーを承諾

5軸評価の結果

価値軸 現職(SIer) 転職先(スタートアップ)
経済的価値 4点(750万円) 3点(650万円)
時間的価値 1点(残業60h/通勤3h) 5点(残業10h/通勤0h)
成長的価値 2点(レガシー保守) 5点(最新技術/リード候補)
関係的価値 3点(普通) 4点(技術志向のチーム)
自律的価値 2点(出社必須) 5点(フルリモート/副業可)
合計 12点 22点

結果(After)

Aさんは年収100万円のダウンを受け入れて転職を決断。結果として、通勤時間がゼロになったことで1日3時間の可処分時間が生まれ、副業で月10万円の収入を得られるようになりました。また、2年後にはテックリードに昇格し、年収も800万円まで回復しています。

このように、短期的な年収ダウンが中長期的なリターンにつながるケースは珍しくありません。ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣で紹介されている「1%の改善を積み重ねる」という考え方は、キャリア設計にも応用できます。

SIerからの転職を検討している方は、SIerからWeb系エンジニアへのキャリアチェンジガイドも参考にしてください。

5軸フレームワークによる転職先比較

年収ダウン転職を判断する3ステップ

5軸フレームワークを実際に使うための具体的なステップを紹介します。

ステップ1:現職のスコアを正直につける(所要時間:30分)

まず、現在の職場を5軸で評価します。このとき重要なのは、「慣れ」や「惰性」を排除して客観的に評価することです。以下の質問に答えながらスコアをつけてみてください。

  • 経済的価値:総報酬(年収+福利厚生)に満足しているか?
  • 時間的価値:残業・通勤を含めた拘束時間は適切か?
  • 成長的価値:3年後の市場価値は上がっているか?
  • 関係的価値:尊敬できる人、学べる人がいるか?
  • 自律的価値:働き方を自分でコントロールできているか?

ステップ2:転職先のスコアを「期待値」と「リスク」で分ける(所要時間:1時間)

転職先の評価は、面接や口コミ情報をもとに行います。ただし、入社前の情報には限界があるため、「期待値(ベストケース)」と「リスク(ワーストケース)」の両方を想定しておくことが重要です。

たとえば、「フルリモート可」と言われていても、実際には週1出社が求められるケースもあります。FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣で紹介されているように、データに基づいた冷静な判断が必要です。

ステップ3:「回復可能性」を確認する(所要時間:30分)

最後に、「もし転職が失敗だったとき、どれくらいで回復できるか」を考えます。年収ダウンが一時的なものなのか、長期的に続くのかは、業界・職種・年齢によって異なります。

  • 30代前半:市場価値が高く、再転職も比較的容易
  • 30代後半〜40代:専門性やマネジメント経験が問われる
  • 40代以降:ポジションが限られるため、慎重な判断が必要

転職失敗のパターンについては、ITエンジニアの転職失敗パターンと回避策で詳しく解説しています。

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おすすめエージェント・サービス

年収ダウン転職を検討する場合、エージェント選びも重要なポイントです。「年収アップ」を前面に押し出すエージェントだけでなく、働き方やキャリアパスを重視するエージェントを併用することで、より多角的な選択肢を得られます。

働き方重視で転職したい場合

ワークライフバランスや裁量を重視するなら、社内SE・情シスポジションに特化した社内SEを目指す方必見!IT・Webエンジニアの転職なら【社内SE転職ナビ】がおすすめです。社内SEは開発会社と比べて残業が少なく、腰を据えて働ける環境が多いのが特徴です。年収は下がっても、長期的なキャリア安定性を重視する方に向いています。

成長環境を重視して転職したい場合

最新技術や上流工程に関わりたいなら、ITエンジニアのための転職エージェント【TechClipsエージェント】を検討してみてください。SIerやSESから自社開発企業へのキャリアチェンジに強く、現役エンジニアがキャリアカウンセリングを担当してくれます。年収だけでなく、技術的な成長機会を重視したマッチングが期待できます。

ハイクラス転職で年収回復を狙う場合

一時的に年収が下がっても、2〜3年後に大幅な年収アップを狙うなら、ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】のようなハイクラス転職エージェントを活用する方法もあります。実務経験2年以上のエンジニアを対象に、ITコンサルやメガベンチャーなど高収入ポジションを紹介してくれます。

エージェントの使い分けについては、ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準も参考にしてください。

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まとめ

年収が下がっても転職すべきかどうかは、「年収」という単一指標ではなく、5つの価値軸(経済的・時間的・成長的・関係的・自律的)で総合的に判断することが重要です。

この記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 年収ダウン転職は「失敗」ではなく、戦略的な選択肢の一つ
  • 5軸フレームワークでスコアリングすることで、感情に流されない判断ができる
  • 短期的な年収ダウンが中長期的なリターン(スキルアップ、副業収入、昇格など)につながるケースは多い
  • 「回復可能性」を事前に確認しておくことで、リスクを最小化できる

転職は人生の大きな決断です。年収という数字だけに囚われず、自分にとっての「本当の価値」を見極めて、後悔のない選択をしてください。

まずは今日、現職の5軸スコアをつけてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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