受託開発から自社サービス企業への転職ロードマップ:事業会社エンジニアとして活躍するためのスキル転換戦略

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お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

「受託開発でスキルは積んできたけど、自社サービス企業に転職したい」「事業会社のエンジニアとして、プロダクトに深く関わる働き方をしてみたい」という悩みを持つエンジニアは多いのではないでしょうか。

私自身、PjMとして受託開発と自社サービス開発の両方を経験してきましたが、求められるスキルセットや評価軸がかなり異なることを実感しています。受託開発で培った技術力は確かに武器になりますが、それだけでは自社サービス企業の選考で評価されにくいケースも少なくありません。

本記事では、受託開発から自社サービス企業への転職を成功させるためのスキル転換戦略と具体的なロードマップを、実際の転職成功事例を交えながら整理していきます。

受託開発と自社サービス企業の違いを理解する

まずは、受託開発と自社サービス企業の働き方の違いを整理しておきます。この違いを正しく理解しておかないと、転職活動で的外れなアピールをしてしまったり、入社後にギャップを感じてしまうリスクがあります。

ケーススタディ:佐藤さん(仮名)の転職失敗と成功

私のチームにいた佐藤さん(32歳・受託開発歴7年)の事例を紹介します。

状況(Before)
佐藤さんはSIerで7年間、金融系システムの受託開発を担当していました。Java/Spring Bootを中心に、要件定義から運用保守まで一通り経験し、年収は580万円。「もっとプロダクトに愛着を持てる仕事がしたい」と、自社サービス企業への転職を決意しました。

行動(Action)
最初の転職活動では、「大規模システムの設計経験」「チームリーダー経験」をアピールしましたが、書類選考の通過率は20%程度。面接でも「うちのプロダクトにどう貢献できるか」という質問にうまく答えられず、不採用が続きました。

そこで私のアドバイスを受け、以下の3点を修正しました。

  1. 個人プロジェクトとしてSaaSアプリを1つ開発し、GitHubに公開
  2. 職務経歴書を「技術スタック」から「課題解決ストーリー」中心に書き換え
  3. 志望企業のプロダクトを実際に使い込み、改善提案を面接で伝える

結果(After)
修正後の転職活動では、書類選考通過率が60%に向上。最終的に、BtoB SaaS企業から年収620万円のオファーを獲得しました。

ハマりポイント
最初の失敗は「受託開発の実績をそのまま伝えれば評価される」という思い込みでした。自社サービス企業が求めているのは、「プロダクト視点で課題を発見し、自走して改善できるエンジニア」であり、単なる技術力のアピールでは響かないことを学びました。

転職活動の進め方については、エンジニアが転職面接で技術力と人柄を両方アピールする実践テクニックも参考にしてください。

受託開発と自社サービス企業の違いを理解するには、ある思考法の書籍達人プログラマーが示唆に富んでいます。

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受託開発と自社サービス企業の働き方比較

ここでは、受託開発と自社サービス企業の働き方を5つの観点で比較します。

下のグラフは、私がPjMとして両方の現場を経験した中で感じた、各観点のスコアを可視化したものです。

技術選定の自由度

受託開発では、クライアントの既存システムや社内標準に合わせた技術選定が求められることが多く、「本当はこの技術を使いたいけど、クライアントの都合で使えない」というケースが頻発します。一方、自社サービス企業では、プロダクトの成長に最適な技術を自分たちで選べる裁量があります。

プロダクトへの愛着

受託開発では、納品したら次の案件に移るため、プロダクトに長期的に関わることが難しい構造です。自社サービス企業では、同じプロダクトを何年も育てていくため、「自分が作ったものが成長していく」という実感を得やすくなります。

年収水準

年収水準は一概に比較できませんが、受託開発(特にSIer)は年功序列的な給与体系が残っている企業も多く、若手のうちは自社サービス企業のほうが高くなるケースがあります。ただし、大手SIerの管理職クラスになると逆転することもあります。

キャリア設計の考え方については、ミドル層エンジニアが転職で年収ダウンを回避する市場価値の伝え方も参考になります。

自社サービス企業で求められるスキルセットを理解するには、ある設計思想の書籍ソフトウェアアーキテクチャの基礎が参考になります。

受託開発と自社サービス企業の働き方比較

自社サービス企業への転職を成功させる3つのステップ

ここからは、受託開発から自社サービス企業への転職を成功させるための具体的なステップを整理します。

ステップ1:プロダクト開発経験を作る(1〜3ヶ月)

受託開発の経験だけでは、「プロダクト視点」が伝わりにくいのが現実です。そこで、個人プロジェクトとして小規模なWebアプリやSaaSを1つ開発し、GitHubに公開することをおすすめします。

ポイントは以下の3点です。

  • ユーザー課題から逆算して設計する:技術デモではなく、「誰のどんな課題を解決するか」を明確にする
  • 継続的に改善する:リリースして終わりではなく、フィードバックを受けて改善した履歴を残す
  • 技術選定の理由を言語化する:「なぜこの技術を選んだか」を説明できるようにする

ステップ2:職務経歴書を「課題解決ストーリー」に書き換える(1〜2週間)

受託開発の職務経歴書は、「担当フェーズ」「使用技術」「チーム規模」といった情報が中心になりがちです。しかし、自社サービス企業が知りたいのは、「どんな課題に対して、どう考え、どう行動し、どんな結果を出したか」というストーリーです。

具体的には、以下のフォーマットで書き換えます。

  • 課題:プロジェクトで直面した技術的・組織的な課題
  • 行動:自分がどう考え、どんな打ち手を取ったか
  • 結果:定量的な成果(パフォーマンス改善率、工数削減など)

ステップ3:志望企業のプロダクトを使い込む(2〜4週間)

面接で「なぜうちの会社なのか」と聞かれたとき、「自社サービス企業で働きたいから」では弱すぎます。志望企業のプロダクトを実際に使い込み、「ここが良い」「ここを改善したい」という具体的な意見を持っておくことが重要です。

職務経歴書の書き方については、職務経歴書で差をつけるITエンジニアの転職準備も参考にしてください。

転職活動の進め方を体系的に学ぶには、ある実践書リファクタリング(第2版)が参考になります。

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転職活動の進め方と注意点

ここでは、実際の転職活動を進める際の注意点を整理します。

転職エージェントの使い分け

受託開発から自社サービス企業への転職では、「自社サービス企業に強いエージェント」を選ぶことが重要です。SIer案件が中心のエージェントでは、自社サービス企業の求人が少なく、ミスマッチが起きやすくなります。

面接で聞かれやすい質問と回答例

自社サービス企業の面接では、以下のような質問がよく出ます。

  • 「なぜ受託開発から自社サービスに移りたいのか」:プロダクトへの愛着、長期的な改善への関わり、技術選定の裁量などを具体的に伝える
  • 「うちのプロダクトをどう思うか」:実際に使った感想と、改善提案を1〜2点用意しておく
  • 「受託開発で培ったスキルをどう活かせるか」:要件定義力、クライアント折衝力、品質管理の視点などを「プロダクト開発にどう転用できるか」で説明する

年収交渉のポイント

受託開発から自社サービス企業への転職では、年収が下がるケースもあります。ただし、「入社時の年収」だけでなく「昇給スピード」「ストックオプション」「リモートワーク可否」なども含めて総合的に判断することが重要です。

年収交渉については、転職で年収アップを実現するエンジニアのスキル棚卸しと交渉術も参考になります。

転職活動を効率的に進めるには、ある思考法の書籍Python自動化の書籍が参考になります。

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おすすめエージェント・サービス

受託開発から自社サービス企業への転職では、自社サービス企業に強いエージェントを活用することで、書類選考の通過率や面接対策の質が大きく変わります。

自社サービス企業への転職に強いエージェント

自社サービス企業への転職を目指すなら、ITエンジニアのための転職エージェント【TechClipsエージェント】がおすすめです。ITエンジニア専門のエージェントで、自社サービス企業の求人が豊富に揃っています。年収500万円以上の求人が中心で、キャリアアップを目指すエンジニアに向いています。

フリーランス経由で自社サービス企業を目指す選択肢

いきなり正社員転職ではなく、まずはフリーランスとして自社サービス企業の開発に参画し、その後正社員登用を目指すルートもあります。この場合、フリーランスエンジニアに安心保障と豊富な案件紹介を【Midworks】設立から四半世紀!フリーランスエンジニアの独立をサポート【PE−BANK】を活用すると、自社サービス企業の案件を紹介してもらいやすくなります。

複数エージェントの使い分け

転職エージェントは1社に絞らず、2〜3社を並行して使うのが基本です。それぞれのエージェントが持っている求人が異なるため、選択肢を広げることで、より自分に合った企業に出会える確率が高まります。

エージェントの使い分けについては、ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準も参考にしてください。

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まとめ

ここまで、受託開発から自社サービス企業への転職を成功させるためのロードマップを整理してきました。

・受託開発と自社サービス企業では、求められるスキルセットや評価軸が異なる
・転職成功のカギは「プロダクト視点」を持っていることを証明すること
・個人プロジェクトの開発、職務経歴書の書き換え、志望企業のプロダクト研究が3つの柱
・自社サービス企業に強いエージェントを活用することで、選考通過率が上がる

受託開発で培った技術力は、自社サービス企業でも十分に活かせます。大事なのは、その技術力を「プロダクト視点」で再解釈し、伝え方を変えることです。まずは小さな個人プロジェクトから始めて、自社サービス企業への転職を実現していきましょう。

転職活動は短期戦ではなく、数ヶ月単位の準備期間を見込んで計画的に進めることで、結果的に年収アップや働き方の改善につながります。焦らずに、一歩ずつ進めていきましょう。

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