
フリーランスエンジニアが単価交渉で失敗しないための準備と実践テクニック
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
単価交渉は「準備8割・本番2割」で決まります。
適切な準備なしに交渉の場に臨んでも、相手のペースに巻き込まれて「まあ、今回はこれでいいか」と妥協してしまうのがオチです。
「フリーランスになったけど、単価交渉ってどうやればいいの?」
「今の単価が適正なのか分からない」
「交渉したいけど、案件を切られるのが怖い」
こんな悩みを抱えているフリーランスエンジニアは多いのではないでしょうか。
私自身、フリーランスとして活動していた時期に何度も単価交渉を経験しました。
最初は「言い値で受けるしかない」と思い込んでいましたが、準備の仕方と交渉のタイミングを学んでからは、継続案件で月単価を15万円アップさせることができました。
本記事では、単価交渉で失敗しないための準備フレームワークと、実際の交渉で使える実践テクニックを具体的に解説します。
単価交渉の前提を整理する
単価交渉を成功させるには、まず「交渉とは何か」という前提を正しく理解する必要があります。
多くのフリーランスエンジニアが陥りがちな誤解を解きながら、交渉の本質を整理していきましょう。
単価交渉は「お願い」ではなく「提案」
単価交渉と聞くと「お金をもっとください」とお願いするイメージを持つ人がいます。
しかし、これは大きな誤解です。
単価交渉の本質は、自分が提供する価値と対価のバランスを調整する提案です。
クライアントにとっても、優秀なエンジニアに継続して働いてもらうことは大きなメリットがあります。
つまり、適正な単価で契約を継続することは、双方にとってWin-Winの関係を築くための行為なのです。
この前提を理解していないと、交渉の場で必要以上に萎縮してしまい、本来得られるはずの単価を逃してしまいます。
市場価値を知らないと交渉できない
「自分の単価が適正かどうか分からない」という状態では、そもそも交渉のスタートラインに立てません。
市場価値を把握するためには、以下の情報を定期的にチェックする習慣が必要です。
- フリーランス向け案件サイトでの同スキル帯の単価相場
- エージェント経由で得られる案件情報と単価レンジ
- 同業のフリーランス仲間との情報交換
- 転職市場での同ポジションの年収レンジ
私の場合、四半期に一度は複数のエージェントと面談して、最新の市場動向をヒアリングするようにしていました。
これにより、自分のスキルセットがどの程度の単価で評価されるのかを常に把握できていたので、交渉の際に根拠を持って話すことができました。
市場価値の把握については、ミドル層エンジニアが転職で年収ダウンを回避する市場価値の伝え方でも詳しく解説しています。
フリーランスとして独立する際の基礎知識はフリーランスの教科書が体系的にまとめているので、これから独立を考えている方は一読をおすすめします。

単価交渉の準備フレームワーク
単価交渉を成功させるための準備を、4つのステップで体系化したフレームワークを紹介します。
このフレームワークに沿って準備を進めれば、交渉の場で自信を持って話すことができます。
ステップ1:自分の提供価値を棚卸しする
まず、現在の案件で自分がどのような価値を提供しているかを具体的に書き出します。
単に「開発をしている」ではなく、以下のような観点で深掘りしてください。
- 技術的な貢献:導入した技術、改善したアーキテクチャ、解決した技術課題
- プロジェクトへの貢献:納期短縮、品質向上、コスト削減の実績
- チームへの貢献:若手の育成、ナレッジ共有、レビュー品質の向上
- ビジネスへの貢献:売上に直結する機能開発、ユーザー満足度向上
これらを数値化できるものは必ず数値化します。
「レスポンスタイムを40%改善した」「リリースサイクルを2週間から1週間に短縮した」など、具体的な成果として示せると交渉力が格段に上がります。
ステップ2:市場相場と自分の位置を確認する
次に、自分のスキルセットと経験年数に対する市場相場を調査します。
フリーランス向け案件サイトやエージェント経由で得られる情報をもとに、同スキル帯の単価レンジを把握しましょう。
たとえば、クラウドインフラやセキュリティ、AI/ML領域は需要が高く、同じ経験年数でも単価が高くなる傾向があります。
自分の現在の単価が市場相場と比べてどの位置にあるかを把握することで、交渉の余地がどの程度あるかが見えてきます。
ステップ3:交渉の目標と最低ラインを設定する
交渉に臨む前に、以下の3つの数字を明確にしておきます。
- 理想単価:最も望ましい単価(市場相場の上位レンジ)
- 目標単価:現実的に達成したい単価(市場相場の中央値〜やや上)
- 最低ライン:これ以下なら案件を降りることも検討する単価
この3つを事前に決めておくことで、交渉の場で感情的にならず、冷静に判断できます。
特に最低ラインを決めておくことは重要で、これがないと「まあいいか」とズルズル妥協してしまいがちです。
交渉における目標設定の考え方は仮説思考が参考になります。
ゴールから逆算して準備を組み立てる思考法は、単価交渉にも直接応用できます。
フリーランスエンジニアが案件を選ぶ側に回るための3ステップ戦略では、案件選びの主導権を握るための考え方を解説しているので、あわせて参考にしてください。

単価交渉の実践テクニック
準備が整ったら、いよいよ実際の交渉です。
ここでは、私が実際に使って効果があったテクニックを紹介します。
交渉のタイミングを見極める
単価交渉には「適切なタイミング」があります。
以下のようなタイミングは交渉が成功しやすい傾向があります。
- 契約更新の1〜2ヶ月前:クライアントも継続の判断をするタイミング
- 大きな成果を出した直後:貢献が記憶に新しいうちに交渉
- プロジェクトの重要なフェーズに入る前:離脱されると困る状況
- 市場の需給が逼迫しているとき:エンジニア不足が顕著な時期
逆に、プロジェクトが炎上している最中や、クライアントの業績が悪化しているときは避けた方が無難です。
交渉はあくまで「双方にとって良い関係を続けるため」という前提を忘れないようにしましょう。
ケーススタディ:継続案件で月単価15万円アップを実現した交渉
私が実際に経験した単価交渉の事例を紹介します。
【状況】
あるSaaS企業のバックエンド開発案件に参画して1年が経過。
当初の月単価は70万円で、契約更新のタイミングが近づいていました。
この1年間で、レガシーなAPIをリファクタリングしてレスポンスタイムを60%改善し、CI/CDパイプラインの整備でデプロイ頻度を週1回から毎日に向上させていました。
【行動】
まず、1年間の成果を数値化したドキュメントを作成しました。
次に、複数のエージェントに相談して、同スキル帯の市場相場が80〜90万円であることを確認。
契約更新の1ヶ月前に、プロジェクトマネージャーとの1on1の場で「今後も継続して貢献したいが、市場相場を踏まえて単価の見直しをお願いしたい」と切り出しました。
【結果】
最終的に月単価85万円で合意。
クライアント側も「この人に抜けられると困る」という認識があったようで、比較的スムーズに交渉が進みました。
【ハマりポイント】
最初は「いきなり15万円アップは厳しいかも」と弱気になりかけましたが、事前に準備した成果ドキュメントがあったおかげで、根拠を持って話すことができました。
準備の重要性を実感した経験です。
交渉における本質的な考え方はエッセンシャル思考が参考になります。
「本当に重要なことに集中する」という思考法は、交渉で何を優先すべきかを判断する際に役立ちます。
SES契約から直接契約へ移行するエンジニアの交渉術では、契約形態の変更を伴う交渉について解説しているので、参考にしてください。
以下のグラフは経験年数別の平均単価の目安です。
使用技術や専門領域によって変動しますが、自分のポジションを客観的に把握する参考にしてください。

交渉後のフォローと継続的な単価アップ
単価交渉は一度成功したら終わりではありません。
継続的に単価を上げていくためには、交渉後のフォローと日常的な行動が重要です。
交渉結果を記録して次に活かす
交渉が終わったら、以下の内容を記録しておきましょう。
- 交渉前の単価と交渉後の単価
- 交渉で使った根拠(成果、市場相場など)
- クライアントの反応と、合意に至った決め手
- 次回の交渉に向けた改善点
この記録は、次の案件や次回の契約更新時に必ず役立ちます。
私は案件ごとにNotionでドキュメントを作成し、交渉の履歴を蓄積しています。
日常的に「交渉材料」を積み上げる
単価交渉の成否は、日常の仕事ぶりで8割決まります。
以下のような行動を意識的に行い、次の交渉に向けた材料を積み上げていきましょう。
- 成果を可視化する:改善した数値、解決した課題を記録
- スキルを拡張する:新しい技術領域への挑戦、資格取得
- 信頼関係を構築する:コミュニケーション、納期遵守、品質維持
- 市場動向をウォッチする:定期的なエージェント面談、情報収集
フリーランスとして活動する上での法律知識はフリーランスの法律で体系的に学べます。
契約や交渉に関する法的な基礎知識を持っておくと、いざというときに自分を守ることができます。
30代エンジニアが年収800万円を突破するためのキャリア設計と転職戦略では、フリーランスに限らず年収アップのための戦略を解説しています。

おすすめエージェント・サービス
単価交渉を有利に進めるためには、複数のエージェントを活用して市場情報を得ることが重要です。
ここでは、読者の状況に応じたエージェントの選び方を整理します。
高単価案件を狙うならエンド直案件に強いエージェント
単価アップを目指すなら、中間マージンが少ないエンド直案件を多く扱っているエージェントを選ぶことが重要です。
首都圏でハイスキル案件を探すならITフリーランスエンジニアの案件探しなら【techadapt】がエンド直案件を多く扱っており、中間マージンを抑えた高単価案件にアクセスできます。
月単価80万円以上の案件も豊富で、スキルに見合った単価を実現しやすい環境が整っています。
案件を比較検討したいなら横断検索サービス
複数のエージェントの案件を比較検討したい場合は国内最大級のフリーランスエンジニア向け案件検索サイト【フリーランスボード】が便利です。
国内最大級のフリーランスエンジニア向け案件検索サイトで、複数エージェントの案件を横断的に検索できるため、市場相場の把握にも役立ちます。
福利厚生や保障を重視するなら
単価だけでなく、福利厚生や保障も重視したい方にはフリーランスエンジニアに安心保障と豊富な案件紹介を【Midworks】がおすすめです。
正社員並みの保障を提供しており、フリーランスでありながら安定した働き方を実現できます。
ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準では、エージェントの選び方について詳しく解説しています。

まとめ
フリーランスエンジニアの単価交渉は、準備8割・本番2割で決まります。
本記事で紹介した準備フレームワークを実践すれば、交渉の場で自信を持って話すことができます。
- 単価交渉は「お願い」ではなく「価値と対価のバランス調整」
- 市場相場を把握し、自分の位置を客観的に理解する
- 提供価値を数値化し、交渉の根拠を準備する
- 理想・目標・最低ラインの3つの数字を事前に決める
- 交渉のタイミングを見極め、双方にとってWin-Winの提案をする
単価交渉は一度きりではなく、継続的に行うものです。
日常の仕事で成果を積み上げ、定期的に市場動向をチェックしながら、着実に単価アップを実現していきましょう。
最初の一歩として、まずは自分の提供価値を棚卸しすることから始めてみてください。







