お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「ずっと実装ばかりやっていて、要件定義や設計に関われない」「上流工程に入りたいけど、どうスキルを身につければいいか分からない」――こうした悩みを持つエンジニアは少なくありません。
筆者もかつて、実装専門のエンジニアとして働いていた時期がありました。コードを書くのは楽しかったものの、「なぜこの仕様なのか」「この設計で本当に良いのか」という疑問を持ちながらも、上流の決定に関われないもどかしさを感じていました。
本記事では、実装中心のエンジニアが上流工程(要件定義・基本設計・アーキテクチャ設計)にシフトするための具体的なスキル習得法とキャリア戦略を解説します。
なぜ今「上流シフト」が重要なのか
AIやローコード・ノーコードツールの普及により、「単純な実装」の価値は相対的に下がりつつあります。一方で、要件を整理し、適切なアーキテクチャを設計し、ステークホルダーと合意形成を行う「上流工程」のスキルは、今後も人間にしかできない領域として価値が高まっています。
上流工程とは何か
上流工程とは、ソフトウェア開発の最初のフェーズを指します。具体的には以下の工程が含まれます。企業によっては「上流」と「下流」を明確に分離しているケースもあれば、アジャイル開発のように一人のエンジニアが両方を担当するケースもあります。
- 要件定義:ビジネス要件をシステム要件に落とし込む
- 基本設計(外部設計):画面設計、API設計、データベース設計など
- アーキテクチャ設計:システム全体の構造、技術選定、非機能要件の設計
- プロジェクト計画:スコープ定義、WBS作成、リスク管理
これらの工程では、技術力だけでなく、ビジネス理解・コミュニケーション能力・抽象化思考が求められます。キャリアを広げるには技術以外のスキルも重要であり、エンジニアからエンジニアリングマネージャーへ転身するための実践ロードマップも参考にしてください。
IT女子 アラ美上流シフトに必要な3つのスキル領域
上流工程で活躍するためには、技術力に加えて以下の3つのスキル領域を強化する必要があります。


ビジネス翻訳力
ビジネス側の要望を技術的な要件に「翻訳」する能力です。これは単なるヒアリング能力ではなく、「本当に解決すべき課題は何か」を見極める力を含みます。
- ステークホルダーの発言の背景にある真の課題を読み取る
- 技術的制約をビジネス側が理解できる言葉で説明する
- 実現可能な代替案を提示し、合意形成を図る
抽象化・モデリング思考
複雑なシステムをシンプルなモデルで表現する能力です。ER図、クラス図、シーケンス図などのUML、あるいはC4モデルなどを使いこなせることが求められます。
- 業務フローをBPMN(Business Process Model and Notation)で可視化
- データ構造をER図で設計
- システム間の連携をシーケンス図で表現
技術俯瞰力
個別の技術だけでなく、システム全体を俯瞰して最適な技術選定ができる力です。各技術のトレードオフを理解し、プロジェクトの要件に応じた判断ができることが重要です。AIエージェント時代にエンジニアが生き残るためのキャリア再設計でも解説した通り、俯瞰的な視点を持つことは今後ますます重要になります。



ケーススタディ:実装エンジニアから設計リードへ
状況(Before)
Aさん(30歳・Webエンジニア歴5年)は、SIerで受託開発の実装を担当していました。Java/Springでのバックエンド実装がメインで、詳細設計書に従ってコードを書く日々。年収は480万円で、同年代と比較しても悪くはありませんでしたが、モヤモヤを抱えていました。
- 担当範囲:詳細設計〜実装〜単体テストのみ
- 年収:480万円(残業代込み)
- 上流への関与:ほぼゼロ(仕様変更の通知を受けるだけ)
- 不満:「なぜこの仕様なのか」を知らないまま実装することへのストレス
行動(Action)
Aさんは以下の3つのアクションを1年間かけて実行しました。
- 現職での巻き込み:「この仕様の背景を知りたい」と上流担当者に積極的に質問。計用語「なぜなぜ5回」の姿勢で仕様の根拠を探り、議事録作成やドキュメント整備を買って出て上流ミーティングへの同席機会を獲得(期間:約6ヶ月)
- 自己学習:IPAの「システムアーキテクト試験」の教材で要件定義・設計の体系的知識を習得。平日夜1時間・休日4時間を学習に充て、3ヶ月かけて合格。合計学習時間は約150時間
- 転職活動:上流から一気通貫で携われる自社開発企業をターゲットに、20社に応募。ポートフォリオには「自分で要件定義から設計・実装まで行ったタスク管理アプリ」を追加し、設計書も公開
結果(After)
転職活動3ヶ月、面接6社を経て、自社開発のBtoB SaaS企業に内定。
- 年収:480万円 → 580万円(+100万円)
- 担当範囲:要件定義〜設計〜実装〜運用まで一気通貫
- チーム構成:5名のスクラムチームで、設計リードを担当
- 転職活動期間:3ヶ月(現職と並行)
在職中の転職活動については在職中に転職活動を進めるエンジニアの時間捱出術も参考にしてください。Aさんもこの記事を参考に、現職のパフォーマンスを落とさずに転職活動を進めたそうです。上流工程へののシフトは1年がかりでしたが、計画的に取り組んだことで着実に結果を出しました。



上流シフトを実現するための具体的ステップ
ケーススタディを踏まえ、上流シフトを実現するための具体的なステップを整理します。
現職でできること
上流への関与機会は、待っていても来ません。自分から取りに行く姿勢が重要です。
- 仕様の背景を質問する習慣:「この仕様の目的は何ですか?」「ユーザーはどんな場面で使いますか?」
- ドキュメント作成を買って出る:議事録、仕様書、設計ドキュメントの整備は上流との接点を増やす絶好の機会
- レビューに積極的に参加:設計レビューや要件レビューに参加できる機会があれば、積極的に手を挙げる
自己学習で身につけるべきこと
- 資格取得:システムアーキテクト、プロジェクトマネージャー、AWS認定ソリューションアーキテクトなど
- 書籍:「ソフトウェアアーキテクチャの基礎」「ドメイン駆動設計」「リファクタリング」
- 個人プロジェクト:要件定義から設計・実装・運用まで一人で完結させた経験は強力なアピール材料
上司との対話で「上流に関わりたい」という意思を伝えることも重要です。1on1ミーティングを活用してキャリアを前進させる記事も参考にしてください。
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まとめ
実装中心のエンジニアが上流工程にシフトするためには、技術力に加えて「ビジネス翻訳力」「抽象化思考」「技術俯瞰力」を身につける必要があります。本記事のポイントを振り返ります。
- 上流シフトの価値:AIの普及で「単純な実装」の価値は低下。上流スキルは今後も希少価値が高い
- 必要なスキル:ビジネス翻訳力、抽象化・モデリング思考、技術俯瞰力
- 現職でできること:仕様の背景を質問、ドキュメント作成、レビュー参加
- 自己学習:資格取得、書籍学習、個人プロジェクト
- 転職:上流から一気通貫で携われる環境への転職も有効な選択肢
上流工程への道は一朝一夕には開けませんが、日々の積み重ねが確実にキャリアを変えていきます。まずは明日から、「この仕様の背景は何ですか?」と一言質問することから始めてみてください。














