
転職で年収アップを実現するエンジニアのスキル棚卸しと交渉術
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
先日、私のチームで一緒に働いていた5年目のバックエンドエンジニアが転職し、年収が150万円アップしたという報告を受けました。彼は特別な資格を持っていたわけでも、華々しい経歴があったわけでもありません。ただ、自分のスキルを正しく棚卸しし、市場価値を把握したうえで交渉に臨んだのです。
「転職すれば年収が上がるらしいけど、自分の市場価値がわからない」
「面接で希望年収を聞かれたとき、どう答えればいいのかわからない」
「今の会社で昇給を待つより、転職したほうが早いのかな…」
こうした悩みを抱えているエンジニアは少なくありません。実際、私がPjMとして採用面接に関わる中で、スキルの棚卸しと年収交渉の準備が不十分なまま転職活動をしている人を数多く見てきました。
この記事では、転職で年収アップを実現するためのスキル棚卸しの具体的な方法と、面接・オファー面談での交渉術を解説します。私自身の採用側としての経験と、年収アップに成功した元同僚たちの事例をもとに、再現性のある戦略をお伝えします。
年収アップを実現するための前提整理
転職で年収アップを目指す前に、まずなぜ年収が上がるのかというメカニズムを理解しておく必要があります。闇雲に転職活動を始めても、期待した結果は得られません。
転職で年収が上がる3つのパターン
エンジニアの転職で年収が上がるケースは、大きく以下の3パターンに分類できます。
- 市場価値と現年収のギャップ解消:現職の給与テーブルが市場相場より低い場合、転職によってギャップが解消される
- 役割・責任範囲の拡大:リーダーやマネージャーなど、より上位のポジションに就くことで年収が上がる
- 需要の高いスキルへのシフト:市場で求められているスキルを持っていることで、プレミアムが付く
私のチームから転職した先ほどのエンジニアは、1つ目のパターンでした。彼はKubernetesとTerraformを使ったインフラ構築の経験があり、これは市場で非常に需要が高いスキルです。しかし、前職ではその価値が給与に反映されていませんでした。
年収アップが難しいケース
一方で、転職しても年収が上がりにくいケースもあります。
- 汎用的なスキルのみ:どの会社でも使える基本スキルだけでは差別化が難しい
- 経験年数と実力のミスマッチ:年数は長いが、実際のスキルレベルが伴っていない
- 市場相場をすでに超えている:現職の年収が市場相場より高い場合、転職で下がることもある
年収交渉の前に、まず自分がどのパターンに該当するのかを客観的に把握することが重要です。転職エージェントを活用すると、市場相場との比較がしやすくなります。たとえば年収交渉で損しないエンジニアの給与アップ戦略:市場相場の調べ方と効果的な交渉術では、市場相場の調べ方を詳しく解説しています。
年収交渉の基本を学ぶなら、転職と副業のかけ算のような書籍で体系的に理解しておくと、面接での受け答えに自信が持てるようになります。

スキル棚卸しの具体的な方法
年収アップを実現するためには、自分のスキルを正確に把握し、言語化できる状態にしておく必要があります。面接で「何ができますか?」と聞かれたとき、具体的に答えられなければ、適正な評価を受けることはできません。
ケーススタディ:5年目バックエンドエンジニアのスキル棚卸し
先ほど紹介した年収150万円アップを実現したエンジニアの事例を詳しく見てみましょう。
Before(棚卸し前の自己認識)
- 「JavaとPythonが書ける」
- 「AWSを使ったことがある」
- 「チームで開発した経験がある」
Action(棚卸しで行ったこと)
- 過去3年間のプロジェクトを時系列で書き出し
- 各プロジェクトで使った技術と担当範囲を具体化
- 数値で表せる成果(パフォーマンス改善率、コスト削減額など)を洗い出し
- 他のメンバーにはできなかった自分だけの貢献を特定
After(棚卸し後の自己認識)
- 「Kubernetes + Terraformでマイクロサービス基盤を構築し、デプロイ時間を1時間から5分に短縮」
- 「AWS EKSへの移行プロジェクトでインフラ設計を担当し、月額インフラコストを30%削減」
- 「5人チームのテックリードとして、コードレビュー体制を整備しバグ発生率を40%低減」
この棚卸しによって、彼は「Javaが書けるエンジニア」から「クラウドネイティブ環境でコスト最適化とデリバリー高速化を実現できるエンジニア」へと、自己PRの解像度を大幅に上げることができました。
スキル棚卸しの4ステップフレームワーク
私がPjMとして採用に関わる中で、評価されやすいスキルの伝え方には共通点があることに気づきました。以下の4ステップで棚卸しを行うと、面接で伝わりやすい形に整理できます。
- Step 1:技術スタックの列挙:使用経験のある言語・フレームワーク・ツールをすべて書き出す
- Step 2:経験レベルの分類:「実務で主担当」「サポートで使用」「学習のみ」に分ける
- Step 3:成果の数値化:各技術を使って達成した成果を数値で表現する
- Step 4:希少性の特定:市場で需要が高く、かつ自分が強みを持てる領域を特定する
スキルの棚卸しを効率的に進めるなら、エンジニアが転職面接で技術力と人柄を両方アピールする実践テクニックも参考になります。面接官が何を見ているかを知ることで、棚卸しの精度が上がります。
キャリアの棚卸しを体系的に学ぶには、エッセンシャル思考のような書籍が役立ちます。自分の強みを言語化するフレームワークが紹介されています。

市場価値の把握と年収レンジの設定
スキルの棚卸しができたら、次は自分の市場価値を客観的に把握する必要があります。希望年収を聞かれたときに、根拠のない数字を言ってしまうと、低すぎて損をするか、高すぎて選考から外れるかのどちらかになります。
転職による年収アップ率の実態
以下のグラフは、私がPjMとして関わった採用データと、転職エージェントから聞いた情報をもとにした、経験年数別の年収アップ率の目安です。このグラフから読み取れるポイントは以下の通りです。
- 5-7年目が最も年収アップしやすい:一人で設計から実装までできるようになり、かつ若手の育成経験も積み始める時期
- 3年未満は伸びしろ重視:即戦力としての評価より、ポテンシャル採用になりやすい
- 10年以上は専門性が鍵:汎用スキルだけでは差別化が難しく、特定領域の深い専門性が求められる
市場価値を把握する3つの方法
自分の市場価値を把握するには、以下の3つの方法を組み合わせるのが効果的です。
- 転職サイトの年収診断:スキルや経験を入力すると、想定年収レンジが表示される
- スカウト型サービスの提示年収:企業からのスカウトに記載された年収レンジを参考にする
- 転職エージェントへの相談:市場動向に詳しいエージェントから客観的な評価をもらう
私の経験上、複数のソースから情報を集めて平均を取るのが最も精度が高くなります。1つのサービスだけに頼ると、そのサービス特有のバイアスがかかることがあります。
市場価値の把握には、転職ドラフトを活用したエンジニア転職戦略:スカウト型サービスで年収アップを実現する方法で紹介しているスカウト型サービスが便利です。企業側から提示される年収を見ることで、自分の市場価値を客観的に把握できます。
市場価値を高めるための技術選定については、仮説思考で詳しく解説されています。仮説を立てて検証するスキルは、キャリア設計にも応用できます。

面接・オファー面談での交渉術
スキルの棚卸しと市場価値の把握ができたら、いよいよ実際の交渉です。多くのエンジニアが苦手意識を持つ部分ですが、事前準備と伝え方のコツを押さえれば、決して難しくありません。
希望年収を聞かれたときの答え方
面接で「希望年収はいくらですか?」と聞かれたとき、以下の3つのポイントを意識して答えましょう。
- レンジで答える:「600万円から700万円を希望しています」のように幅を持たせる
- 根拠を添える:「現職の年収が550万円で、市場相場を調べたところ、私のスキルセットであれば600万円以上が妥当と考えています」
- 柔軟性を示す:「ただし、御社の評価制度や成長機会によっては、柔軟に検討させていただきます」
私がPjMとして面接に同席した際、根拠なく高い年収を要求する候補者は印象が悪くなりがちでした。逆に、市場相場を調べたうえで根拠を示せる候補者は、「しっかり準備してきている」という好印象につながります。
オファー面談での交渉テクニック
内定後のオファー面談は、年収交渉の最後のチャンスです。ここで適切に交渉できるかどうかで、入社後の年収が数十万円変わることもあります。
- 他社オファーを活用する:複数社から内定をもらっている場合、「他社からは○○万円の提示をいただいています」と伝える
- 入社後の貢献を具体的に示す:「入社後3ヶ月で○○を実現し、御社の△△に貢献できると考えています」
- 年収以外の条件も交渉材料にする:リモートワーク、フレックス、副業可否なども含めて総合的に交渉する
私の元同僚で、オファー面談で年収を50万円上げることに成功した人がいます。彼は他社からのオファー金額を正直に伝え、「御社で働きたい気持ちは強いが、家族もいるので年収も重要な判断材料になる」と伝えました。結果、企業側が年収を上乗せして再提示してくれたのです。
交渉に自信がない場合は、40代エンジニアの転職成功戦略:経験を武器に変えるキャリア設計で紹介している、経験を武器にした交渉術も参考になります。
交渉術を体系的に学ぶなら、ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣がおすすめです。習慣化の技術は、転職活動の継続的な準備にも役立ちます。

おすすめエージェント・サービス
年収アップを目指す転職では、自分に合った転職エージェントを選ぶことも重要です。エージェントによって得意な年収帯や職種が異なるため、複数のサービスを併用するのが効果的です。
年収アップを狙うエンジニアにおすすめのサービス
私がPjMとして採用に関わる中で、年収交渉に強いエージェントから紹介された候補者は、適正な年収レンジを把握していることが多いと感じます。以下のサービスは、年収アップを目指すエンジニアに特におすすめです。
ハイクラス転職を目指すなら、ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】が年収アップ実績が豊富です。実務経験2年以上のエンジニアを対象に、年収アップを狙える正社員ポジションやITコンサル・メガベンチャーなどの高収入求人を多数扱っています。模擬面接も回数制限なく実施してもらえるため、交渉に自信がない方でも安心です。
スカウト型で市場価値を把握したいなら、IT・Webのスカウト転職サービスなら【レバテックダイレクト】がおすすめです。プロフィールとスキルを登録しておくと、企業側から書類選考免除のスカウトが届き、マッチ度スコアを見ながら効率よく応募先を絞り込めます。提示される年収レンジを見ることで、自分の市場価値を客観的に把握できます。
年収だけでなく働き方も重視するなら、IT・Web転職サービスなら【レバテックキャリア】が幅広い選択肢を提案してくれます。開発言語やフレームワーク、開発工程などエンジニア視点の詳細な条件で求人を紹介し、年収アップや働き方改善を目指したキャリアチェンジをサポートしてくれます。
エージェントを活用した年収交渉のコツ
転職エージェントを活用する際は、以下のポイントを意識すると年収交渉がスムーズになります。
- 希望年収は正直に伝える:エージェントは企業との交渉を代行してくれるため、希望を正確に伝えることが重要
- 複数エージェントを併用する:エージェントによって持っている求人が異なるため、選択肢を広げられる
- 市場相場の情報をもらう:エージェントは市場動向に詳しいため、自分の市場価値について客観的な意見をもらえる
転職エージェントの選び方については、マネジメントからICに戻るキャリア戦略:技術職回帰で市場価値を高める判断基準でも詳しく解説しています。

まとめ
転職で年収アップを実現するためには、スキルの棚卸し、市場価値の把握、交渉術の習得という3つのステップが重要です。
この記事で紹介したポイントを整理すると、以下の通りです。
- スキル棚卸しは具体性が命:「Javaが書ける」ではなく「Kubernetesでデプロイ時間を1時間から5分に短縮」のように数値で表現する
- 市場価値は複数ソースで確認:転職サイト、スカウト型サービス、エージェントを組み合わせて客観的に把握する
- 交渉は根拠を示して行う:希望年収を伝える際は、市場相場や自分のスキルセットを根拠として添える
- エージェントを戦略的に活用:年収交渉に強いエージェントを選び、複数併用で選択肢を広げる
私のチームから転職した元同僚のように、正しい準備をすれば年収150万円アップも現実的な目標です。まずは今日から、自分のスキルを棚卸しすることから始めてみてください。
転職活動は短期決戦ではなく、中長期的なキャリア設計の一環として捉えることが大切です。焦らず、しっかり準備を整えてから動き出しましょう。







