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結論から言うと、オンプレミス環境で培ったスキルはクラウドネイティブ環境でも十分に活きます。
ただし「Linuxは分かるから大丈夫」という思い込みは危険です。Kubernetesやマネージドサービスを前提とした設計思想は、従来のオンプレ運用とは根本的に異なるためです。
多くのプロジェクトで、オンプレ出身のベテランエンジニアが「手元にサーバーがない」という感覚に戸惑う場面が見られます。
本記事では、オンプレエンジニアがクラウドネイティブ環境へ移行するための具体的なスキルギャップと、その解消戦略を整理します。
オンプレとクラウドネイティブの前提の違い
オンプレミス環境とクラウドネイティブ環境では、根本的な設計思想が異なります。
オンプレミスの前提
オンプレ環境では「サーバーは壊れにくい」「リソースは固定」「変更には手順書が必要」という前提で運用します。障害が起きたらSSHでログインして原因を調査し、手動で復旧するのが一般的です。
クラウドネイティブの前提
一方、クラウドネイティブでは「インスタンスはいつでも壊れる」「リソースは動的に増減する」「変更はコードで管理する」という前提です。障害が起きたらPodを再起動すればいい、という発想に切り替える必要があります。
この「壊れることを前提とした設計」への発想転換が、多くのオンプレエンジニアにとって最初のハードルになります。
関連記事として、レガシー環境からの脱出:エンジニアが市場価値を高めるための『技術転向』キャリア戦略も参考になります。
IT女子 アラ美具体的なスキルギャップと優先順位
オンプレエンジニアがクラウドネイティブへ移行する際、特に意識すべきスキルギャップを整理します。


優先度1:IaCツール(Terraform / CloudFormation)
クラウドでは「手順書」ではなく「コード」でインフラを管理します。TerraformやCloudFormationを使ったインフラ構成管理は、最初に習得すべきスキルです。
オンプレで「設計書を書いて手動で構築」していた作業が、「.tfファイルを書いてapplyする」に置き換わります。
優先度2:コンテナ技術(Docker / Kubernetes)
「VMを立ててミドルウェアをインストール」という発想から、「コンテナイメージをビルドしてデプロイ」への転換が必要です。
Kubernetesは最初は複雑に感じますが、Pod・Deployment・Serviceという3つの概念を押さえれば、基本的な運用は可能になります。
優先度3:マネージドサービスの使い分け
自前でMySQLを構築するのではなく、RDSやCloud SQLを使うのがクラウドの基本です。「どこまで自分で管理するか」の線引きを理解することが重要です。
スキル選定の考え方については、エンジニアの市場価値を高める技術スキル選定術で詳しく解説しています。



ケーススタディ:オンプレ10年のインフラエンジニアがクラウドへ転向した事例
状況(Before)
田中さん(36歳・仮名)は、SIerでオンプレミスのインフラ構築・運用を10年担当していました。
- 得意分野:Linux(RHEL/CentOSで10年の経験)、VMware vSphereによる仮想化基盤構築、Oracle DBの運用管理、L2/L3レベルのネットワーク設計
- 課題:クラウド案件が増える中、AWS経験ゼロで社内公募に落選。「このままでは市場価値が下がる」という危機感を感じていた
- 年収:550万円(10年目としては頭打ち感があり、同世代のクラウドエンジニアに比べて100万円以上低いと認識)
行動(Action)
田中さんは1年間で以下のステップを踏み、スキルギャップを埋めていきました。
- AWS認定ソリューションアーキテクト(SAA)を3ヶ月で取得:Udemyの講座と公式模擬試験を活用し、平日1時間・休日3時間のペースで学習。合計100時間で合格ラインに到達
- 個人AWSアカウントでTerraformを使ったVPC構築を練習:無料枠を活用し、VPC・サブネット・セキュリティグループ・EC2を一括構築するスクリプトを作成
- 社内のクラウド移行プロジェクトに「学習目的」で手を挙げて参画:オンプレのVMware環境をEC2へ移行するプロジェクトで、移行計画のドキュメント作成を担当
- EKS(マネージドKubernetes)の検証環境を担当:eksctlを使ったクラスタ構築から、DeploymentとServiceの設定、Ingressによる外部公開までを一人で構築
結果(After)
- 1年後:クラウドインフラ専門のチームへ異動が決定。異動前の3ヶ月間はOJTとしてサポート業務を担当し、計画通りの移行を完了
- 年収変化:550万円 → 680万円(24%アップ、130万円増)。クラウドスキルを評価され、グレードが2段階昇格した結果
- 現在の業務:AWS・GCPのマルチクラウド案件のテックリードとして、5名のチームを率いてIaC設計・CI/CDパイプライン構築を担当。月間のデプロイ頻度は従来の4倍に向上
ハマりポイント
田中さんが特につまずいたのは「サーバーレスの考え方」だったそうです。オンプレでは「サーバーを立てて設定する」のが当たり前でしたが、LambdaやFargateでは「サーバーを意識しない」という発想転換が必要でした。最初はEC2ばかり使っていましたが、先輩から「それはオンプレの発想だよ」と指摘されてから、マネージドサービスの活用を意識するようになったとのことです。
田中さんは「オンプレ時代のLinux・ネットワーク知識がベースにあったから、AWSの理解が早かった」と振り返っています。特にネットワーク設計の経験がVPC構築で役に立ち、セキュリティグループやルーティングテーブルの設計はオンプレの知識がそのまま活きたそうです。
上流工程へのシフトについては、コーディングメインから上流工程へシフトしたいエンジニアのためのスキルアップ戦略も参考になります。



スキルギャップ解消のアクションプラン
オンプレエンジニアがクラウドネイティブへ移行するための具体的なステップを整理します。
Step 1:まずは個人アカウントで触ってみる(1〜2週間)
AWSやGCPの無料枠を使って、EC2インスタンスを立てる、S3にファイルをアップロードする、といった基本操作を試します。AWSの無料枠は12ヶ月間有効で、t2.microインスタンスを月750時間まで利用できます。この間に基本的なコンソール操作とCLIでのリソース作成に慣れておくと良いでしょう。
Step 2:IaCで環境を構築してみる(2〜4週間)
Terraformを使って、VPC・サブネット・EC2を一括で構築するスクリプトを書いてみます。これにより「コードでインフラを管理する」感覚が身につきます。Terraformの公式チュートリアル(AWS編)は約2時間で完了できる内容なので、まずはそちらから始めるのが僙道です。
Step 3:コンテナ化を体験する(2〜4週間)
Docker Composeを使って、Nginx + アプリ + DBの3層環境をローカルで動かしてみます。その後、ECSやEKSにデプロイしてみます。Docker Desktopのインストールから始めて、まずはローカル環境でコンテナの動作を理解し、その後クラウド上のコンテナサービスにデプロイする流れで進めます。
Step 4:資格で知識を体系化(1〜3ヶ月)
AWS認定ソリューションアーキテクト(SAA)やGoogle Cloud Professional Cloud Architectなどの資格を取得し、知識の抜け漏れを埋めます。
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まとめ
オンプレエンジニアがクラウドネイティブ環境へ移行するためのポイントを整理します。
- オンプレで培ったLinux・ネットワーク・ストレージの知識はクラウドでも活きる
- 「壊れることを前提とした設計」への発想転換が最初のハードル
- 優先順位は IaC → コンテナ → マネージドサービスの順
- 資格取得で体系的な知識を入れ、実務で手を動かすのが効率的
クラウドへの移行は「ゼロからのやり直し」ではなく、「既存スキルの上にレイヤーを重ねる」イメージです。
オンプレで10年かけて培った知識は、クラウドでも必ず武器になります。














