
ミドルエンジニアの『年収頭打ち』突破戦略:便利屋を卒業して市場価値を高める3つの選択肢
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
結論から言うと、ミドルエンジニアの「年収頭打ち」を突破する唯一の方法は、「便利屋」というポジションを意図的に捨てることです。
どれだけ技術力が高くても、「何でも屋」として扱われている限り、市場価値は頭打ちになります。
「技術力には自信があるのに、なぜか給料が上がらない」
「雑用ばかり任されて、コアな開発に関われない」
こうした悩みを持つエンジニアの方は多いのではないでしょうか。
多くの現場を見てきたPjMの視点から言えば、これは個人の能力不足ではなく、「キャリアのポジショニング」における構造的なミスが原因です。
私が担当したプロジェクトでも、非常に優秀なのに「便利屋」扱いされて疲弊しているエンジニアを何人も見てきました。
本記事では、ミドルエンジニアが陥りやすい「便利屋の罠」を解き明かし、そこから脱出して市場価値を高めるための3つの具体的なルートを解説します。
【実録】なぜミドルエンジニアの年収は停滞するのか?
まずは、実際にあった「年収頭打ち」の事例を見てみましょう。
技術力はあるのに評価されないエンジニアの典型的なパターンです。
ケーススタディ:何でもできる「便利屋」Aさんの場合
- 状況(Before)
- 年齢:34歳
- 年収:550万円(中堅SES企業勤務)
- スキル:Java, PHP, AWS, Docker, Infra… と幅広く経験
- 課題:現場では重宝されるが、障害対応や新人フォローなどの雑務に追われ、特定領域の深いスキルがつかない。「何でもできる」がゆえに、「何を任せても安く済む人」として扱われていた。
朝は9時に出社し、アラート対応から始まり、昼はコードレビュー、午後は顧客との定例MTG、夕方は新人のバグ修正のフォロー。自分のタスクに取り掛かるのは19時過ぎ……という毎日を送っていました。
- 行動(Action)
- 「ジェネラリスト」としてのキャリアに限界を感じ、自分の強みを「インフラ自動化(IaC)」に一点集中させることを決意。
- 職務経歴書から「PHPでの小規模改修」などの細かい実績を削除し、「Terraformによる基盤構築」「CI/CDパイプライン最適化」の実績を強調して書き換えた。
- その経歴書を持って、インフラ特化の高単価案件を探す営業活動を開始した。
- 結果(After)
- わずか1ヶ月で、月単価90万円(年商換算1080万円)のSRE案件を獲得。
- 業務内容は以前と大きく変わらない(AWS構築など)が、「便利屋」ではなく「インフラの専門家」として参画したことで、単価は約2倍になった。
チーム内での立ち位置も変わり、「インフラ周りの相談役」としてリスペクトを受けつつ、定時で上がって技術書の執筆をする余裕も生まれました。
この事例からわかるのは、「できること」を全てアピールするのが正解ではないということです。むしろ、焦点を絞ることで市場価値は跳ね上がります。キャリア設計については、以下の書籍も参考になります(インフラエンジニアの教科書)。
3年未満の転職は本当に不利なのか:短期離職のリスクと戦略的キャリア設計

「便利屋」が陥る3つの罠と構造的限界
なぜ、「便利屋(ジェネラリスト)」のままでは年収が上がらないのでしょうか。
そこには、日本のIT業界特有の構造的な限界があります。
評価軸が分散してしまう(加点のジレンマ)
「フロントもバックエンドもインフラもやる」というのは、チームにとっては非常にありがたい存在です。
しかし、年収を決める査定(または単価交渉)の場では、「突出したスキルがない」と判断されがちです。
すべてのパラメータが「70点」の総合職タイプよりも、一つだけ「95点」のものを持つ専門職タイプの方が、替えが効かない人材として高く買われます。プロフェッショナルとしての立ち振る舞いは、この本(達人プログラマー)が非常に参考になります。
代替可能と思われる(専門性が低く見える)
器用貧乏は、悲しいことに「誰とでも替えが効く」と思われがちです。
「JavaもPHPも書けます」という人は、「Javaのスペシャリスト」を探しているプロジェクトからは敬遠され、「PHPのスペシャリスト」を探しているプロジェクトからも敬遠されます。
結果として、「言語は何でもいいから、とりあえず手伝ってほしい」という、単価の低い案件にアサインされ続けることになります。
搾取されやすい(断れない)
これが最も深刻な問題ですが、「何でも屋」は断る理由を持ちにくいポジションです。
「インフラ担当だからアプリの修正はできません」と言えるスペシャリストと違い、「君ならできるでしょ?」とタスクを積まれ続け、稼働時間だけが増えていきます。
SES契約から直接契約へ移行するエンジニアの交渉術:中間マージンを削減して手取りを増やす実践ガイド

年収の壁を突破する3つの「再設計」ルート
では、具体的にどう動けばいいのでしょうか。
ミドルエンジニアが市場価値を高めるためのルートは、大きく分けて3つあります(ソフトウェアアーキテクチャの基礎)。
スペシャリストへの転身(一点突破)
Aさんの事例のように、自分のスキルセットの中から「最も市場価値が高いもの」を選び、それ以外の業務を捨てる戦略です。
特にSRE、セキュリティ、データエンジニアリングなどの領域は、依然として人材不足が続いています。
自分の強みを見直すには、ハイクラス向けのスカウトサービスに登録し、どのようなキーワードでオファーが来るかをテストしてみるのが早道です。
PM/マネジメントへのシフト(テックリード超え)
技術力を武器にしつつ、「人・モノ・金」を動かすポジションへシフトするルートです。
単なる「開発リーダー」ではなく、「プロダクトの成長に責任を持つPM」や「組織課題を解決するEM」を目指します。
ここではコードを書く速さよりも、意思決定の質が問われます。技術的な背景があるPMは非常に重宝されるため、年収レンジも一気に上がります。
高単価フリーランスとして商流を変える
会社員としての評価制度に限界を感じるなら、商流を変えてフリーランスになるのも一つの手です。
大手企業の直案件や、二次請け以上の案件を狙うことで、中抜きを減らし、年収を一気に上げることができます。
特に最近は、ごく一部のリモート・海外案件で非常に高い単価が出るケースも増えています。
以下のコードは、スペシャリストとして転身する際の職務経歴書(スキルシート)の強調ポイントをJSONライクに整理したものです。
{
"profile": {
"title": "Cloud Infrastructure Specialist",
"bad_example": "Web Application Engineer (PHP/Java/AWS)",
"good_example": "SRE / Platform Engineer (AWS/Terraform/Kubernetes)"
},
"skills": {
"emphasize": [
"TerraformによるIaC化率100%達成",
"コンテナ運用によるコスト20%削減"
],
"omit": [
"社内PCキッティング",
"簡単なHTML/CSS修正",
"新人研修のメンター対応"
]
}
}
開発リーダーからプロダクトマネージャーへキャリアチェンジするための実践ガイド

今すぐ始める市場価値診断とアクションプラン
動くべき方向性が決まったら、まずは現在の自分の市場価値を客観的に把握しましょう。
闇雲に転職活動を始める前に、以下の2ステップを踏むことを強くお勧めします(ドメイン駆動設計)。
職務経歴書の「棚卸し」と「書き換え」
今までやってきたことをただ羅列するのではなく、「次のポジション」に合わせた実績だけを抽出してください。
「幅広くなんでもやりました」ではなく、「この領域でこれだけの成果を出しました」と言い切れる形に整形します。
例えば、運用業務がメインだったとしても、「運用コストを月●万円削減した」「障害発生率を●%下げた」といった数値成果に変換することで、PMやSREとしてのポテンシャルを示すことができます。
専門エージェントへの壁打ち
自分の市場価値がどれくらいか、独りよがりな判断ではなく、プロの意見を聞くことが重要です。
特に30代前後のミドルクラスであれば、社内SEや自社開発への転職支援に強いエージェントに相談することで、意外な選択肢が見えてくることもあります。
「今の自分の経歴で、年収●●万円は狙えますか?」とストレートに聞いてみるだけで、現在の立ち位置がクリアになります。
スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアになる方法:プロフィール最適化と返信テクニック

おすすめエージェント・サービス
最後に、本記事で紹介したサービスをまとめておきます。
自分のキャリアパスに合わせて、最適なサービスを選んでみてください。
ハイクラス転職を目指すなら
年収800万以上を狙うなら必須です。ハイクラス案件に特化しており、自分の市場価値を正しく評価してくれます(ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】)。
高単価フリーランス・副業なら
首都圏で高単価フリーランス案件を探すならここ。エージェントのサポートが手厚く、初めてのフリーランスでも安心です(ITフリーランスエンジニアの案件探しなら【techadapt】)。
リモート・海外案件に強いエージェント。英語力を活かしたい方や、場所にとらわれない働き方をしたい方におすすめです(自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】)。

まとめ
ミドルエンジニアの年収頭打ちは、能力の問題ではなく、戦略の問題です。
「便利屋」を卒業し、自分のタグを付け替えるだけで、見える景色は変わります。
- 今の会社で「何でも屋」になっていないか見直す
- スペシャリスト、PM、フリーランスのどの山を登るか決める
- 職務経歴書を「次のポジション」向けに書き換える
動き出すなら、一日でも早い方が有利です。まずは情報収集から始めてみてください。
本記事は、キャリア設計の一助となれば幸いです。
変化の激しい業界ですが、賢く立ち回って生き残っていきましょう!










