35歳の壁を越えるエンジニアのキャリア戦略：マネジメントとスペシャリストの選択
お疲れ様です！IT業界で働くアライグマです！
「マネージャーになるべきか、それともスペシャリストを極めるべきか」
35歳前後のエンジニアなら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
先日、私のチームに30代後半のシニアエンジニアが転職してきました。
前職ではマネジメントを任されていたものの、「やっぱり自分は手を動かしていたい」とスペシャリストに戻る選択をしたそうです。
一方で、同じ時期に私の同僚は「このままコードを書き続けても天井が見えた」とマネジメントに転向しました。
この2人の話を聞いて感じたのは、「35歳の壁」は年齢の問題ではなく、キャリア選択の問題だということです。
結論を先にお伝えすると、マネジメントとスペシャリストのどちらが正解かは、あなたの「何で評価されたいか」で決まります。
この記事では、35歳前後のエンジニアが直面するキャリア選択について、判断基準と具体的な戦略をお伝えします。
35歳の壁の正体：年齢ではなく「市場価値の転換点」
ケーススタディ：35歳で転職を決意したAさんの場合
まずは具体的なケースから見ていきましょう。
- 状況（Before）：Aさん（35歳・SIer勤務10年目）はJavaを中心としたバックエンド開発一筋。年収は650万円で、同期の中では高い方。しかし、社内の昇進レースではマネジメント志向の同僚に先を越され、技術者としての将来に不安を感じていた。転職サイトに登録しても、スカウトは減少傾向で「自分の市場価値が下がっているのでは」と焦りを感じていた。
- 行動（Action）：転職エージェントで市場価値を診断。その結果、「Java10年」は武器になるものの、クラウドやモダンな開発手法の経験不足が指摘された。そこでAさんは、1年間でAWS認定資格を3つ取得し、副業でクラウド移行の案件を経験。LinkedInとGitHubを整備し、その実績をアピールして転職活動を再開した。
- 結果（After）：Web系企業のシニアエンジニアとして年収750万円でオファー獲得。技術力を評価されるポジションで、マネジメントは任意選択。入社1年後にはテックリードに昇格し、年収830万円に。転職活動期間は3ヶ月、内定は2社から獲得。
このケースが示しているのは、「35歳の壁」は技術のアップデートで乗り越えられるということです。
30代後半で伸び悩むエンジニアの多くは、「経験年数」に頼りすぎて「スキルセットの更新」を怠っているケースが多いのです。
市場価値は年齢ではなく「スキル×実績×可視性」で決まります。35歳を過ぎても、この3つを磨き続ければキャリアの天井はありません。中堅エンジニアが「いない」と言われる理由でも詳しく解説しています（参考：転職と副業のかけ算）。
マネジメントを選ぶべき人の3つの特徴
「人を通じて成果を出す」ことにやりがいを感じるか
マネジメントに向いているエンジニアには、共通する特徴があります。
自己診断の参考にしてください。
- チームの成果を自分の成果と感じられる：自分がコードを書かなくても、チームがリリースに成功すると達成感がある。「自分が作った」という感覚より「チームで作った」という感覚が嬉しい人。
- 人の成長に関与することが楽しい：メンバーの1on1や育成計画を立てることが苦にならない。後輩が成長する姿を見ることに喜びを感じる人。
- 調整・交渉が得意：ステークホルダーとの調整や、対立する意見の落としどころを見つけることに抵抗がない。「板挟み」の状況でもストレスを感じにくい人。
逆に、「自分で手を動かさないと気持ち悪い」「会議が多いと消耗する」「他人の仕事の進捗を管理するのが面倒」というタイプは、マネジメントに転向するとストレスが溜まりやすいです。
私のプロジェクトでも、技術力の高いエンジニアがマネージャーになった結果、「コードレビューしかやりたくない」と言い出して半年で降格したケースがありました。これはマネジメントが嫌いなのではなく、向いていないことを選んでしまった結果です。
上流工程への移行を考えているなら、早めに準備を始めることをおすすめします。開発リーダーからプロダクトマネージャーへのキャリアチェンジガイドも参考になります。マネジメントスキルを体系的に学びたい方には、チーム・ジャーニーのようなチームビルディングの書籍がおすすめです。
スペシャリストを選ぶべき人の3つの特徴
「技術で問題を解決する」ことに喜びを感じるか
一方、スペシャリストに向いているエンジニアの特徴は以下の通りです。
こちらも自己診断の参考にしてください。
- 技術的な課題を解くことが楽しい：パフォーマンスチューニングやアーキテクチャ設計に没頭できる。難しい技術課題ほどワクワクする人。
- 特定領域で「第一人者」を目指したい：AI/ML、セキュリティ、データベース、インフラなど、深掘りしたい領域が明確にある人。広く浅くより狭く深くが好きな人。
- アウトプット（登壇・OSS・執筆）に積極的：自分の知見を外部に発信することで評価を得たい。技術ブログや登壇、OSS活動を楽しめる人。
スペシャリストとして市場価値を維持するには、「希少性」と「可視性」の掛け算が重要です。
例えば、「Kubernetes運用ができる」だけでは汎用的すぎますが、「Kubernetesのコスト最適化に特化している」「金融業界でのKubernetes導入実績がある」と絞り込むことで希少性が生まれます。
また、GitHubの活動やテックブログ、登壇実績などで「可視性」を高めることで、スカウトが来やすくなります。技術力を言語化する方法を学びたい方には、フリーランスの教科書が役立ちます。スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアになる方法では、プロフィールの書き方と返信テクニックを詳しく解説しています。
「両取り」というキャリア選択：テックリード・アーキテクト
マネジメントとスペシャリストの中間領域
実は、マネジメントかスペシャリストかの二択ではなく、両方の要素を持つポジションも存在します。
これらのポジションは、技術力を活かしながらも影響力を広げたい人に向いています。
- テックリード：技術的な意思決定を担いつつ、小規模チーム（3〜5人程度）のマネジメントも行う。コードも書く。マネジメント比率は30〜50%程度。
- アーキテクト：システム全体の設計方針を決め、複数チームに技術的な影響力を持つ。マネジメントは別の人が担当。コードは書くこともあれば書かないこともある。
- Staff Engineer / Principal Engineer：外資系企業でよく見られるハイレベルのIC（Individual Contributor）。マネジメントなしで高年収が実現可能。技術選定やアーキテクチャ判断に責任を持つ。
私のプロジェクトでアーキテクトとして参画しているメンバーは、マネジメントには一切関わらず、技術選定とコアモジュールの実装に集中しています。年収は1,200万円超で、会議は週に2〜3時間程度。「マネージャーにならないと年収が上がらない」というのは、日本の大企業特有の思い込みかもしれません。
複数領域を横断できる人材は選択肢が広がります。フルスタックエンジニアとは何ができる人なのかでも触れています。アーキテクチャ設計を体系的に学びたい方には、ソフトウェアアーキテクチャの基礎がおすすめです。
以下のグラフは、35歳エンジニアがそれぞれのキャリアパスを選んだ場合の年収レンジの目安をまとめたものです。
35歳からのキャリア戦略：具体的なアクションプラン
3ヶ月でやること
最初の3ヶ月は「現状把握」と「方向性の決定」に集中します。
- 現在のスキルセットを棚卸しし、市場価値を把握する（転職エージェントの無料診断を活用）
- マネジメント志向かスペシャリスト志向かを自己分析する（上記の特徴リストで確認）
- 目指す方向に必要なスキルギャップを特定する
- 同年代で活躍しているエンジニアのキャリアパスをリサーチする
6ヶ月でやること
次の6ヶ月は「スキルの補完」と「可視性の向上」に取り組みます。
- スキルギャップを埋める学習を開始する（資格取得、サイドプロジェクト、副業など）
- 社内で目指すポジションの仕事に少しずつ関与する（マネジメントなら1on1代行、スペシャリストなら技術選定への参加など）
- LinkedInやGitHub、テックブログで可視性を高める
- 業界のカンファレンスやミートアップに参加して人脈を広げる
1年でやること
1年後には「キャリアを動かす」フェーズに入ります。
- 社内昇進か転職かを判断する（市場価値と社内評価を比較）
- 転職する場合は、複数の転職エージェントを併用して選択肢を確保する
- オファー交渉で年収アップを実現する
- 入社後の90日計画を立て、早期の成果創出を目指す
フリーランスとして独立を検討する場合は、フリーランスと正社員を行き来する振り子キャリア戦略も参考になります。キャリアの選択肢を広げたい方は、エッセンシャル思考で本質的な優先順位の考え方を学ぶのもおすすめです。
おすすめエージェント・キャリアサービス
35歳前後のエンジニアがキャリアを動かす際に活用できるサービスを紹介します。
フッターで紹介している共通リンクに加え、読者の悩みに合わせて選んでみてください。
年収アップ・ハイクラス転職を目指す方
年収800万円以上を目指すなら、ハイクラス特化のエージェントが効果的です。
ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo（テックゴー）】は、実務経験2年以上のエンジニアを対象に、年収アップやITコンサル・メガベンチャーへの転職を支援してくれます。模擬面接は回数制限なく受けられるため、面接が苦手な方にもおすすめです。
海外リモート・裁量の大きいポジションを目指す方
テックリードやDevOps、CTO候補など、裁量の大きいポジションを探すなら、自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】が選択肢になります。海外リモート勤務を含む多様な働き方を提案してくれるため、ライフスタイル重視の方にも向いています。
フリーランスとして独立を検討している方
正社員を続けるか独立するか迷っている方は、まずフリーランス案件の相場感を把握しておくと判断しやすくなります。
ITフリーランスエンジニアの案件探しなら【techadapt】は、首都圏で高単価・直請け案件に強いエージェントで、税理士報酬負担制度もあるため、フリーランス初心者でも安心です。
キャリア選択は人生の大きな決断です。中堅エンジニアの停滞脱出90日プランも併せてご覧ください。書籍での学習も効果的なので、ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣で習慣化の技術を学ぶのもおすすめです。
まとめ
35歳の壁は、年齢の問題ではなくキャリア選択の問題です。
今回のポイントを整理します。
- 「35歳の壁」の正体は、技術アップデートの怠りによる市場価値の低下。
- マネジメントに向くのは「人を通じて成果を出す」ことにやりがいを感じる人。
- スペシャリストに向くのは「技術で問題を解決する」ことに喜びを感じる人。
- テックリード・アーキテクトなど「両取り」のポジションも存在する。
- 3ヶ月・6ヶ月・1年のロードマップで着実にキャリアを構築する。
マネジメントかスペシャリストかに正解はありません。
大切なのは、「自分が何で評価されたいか」を明確にし、その方向で市場価値を高め続けることです。
まずは今日、転職エージェントの無料診断で自分の市場価値を把握することから始めてみてください。
その一歩が、35歳の壁を越えるキャリアの第一歩になります。
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