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生成AIでエントリーシートが均質化する時代の転職活動:面接で差がつく準備チェックリスト

API,インフラ,スマートフォン,バックエンド,転職

お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

結論から言うと、生成AIでエントリーシートが均質化する時代だからこそ、面接での「対話力」と「具体的なエピソード」が決定的な差別化要因になります。

「ChatGPTで書いたESって、バレるのかな」「みんな同じような内容になってるんじゃないか」——そんな不安を感じていませんか?実際、ロート製薬が2027年新卒採用からエントリーシートによる書類選考を廃止すると発表しました。理由は「生成AIの普及で応募書類の内容が均質化している」から。この流れは中途採用にも波及しつつあります。

本記事では、生成AI時代の転職活動において、面接で差をつけるための準備チェックリストを、私自身の採用面接官としての経験を交えて解説します。

生成AI時代の転職市場で何が変わっているのか

まず、生成AIが転職活動にもたらしている変化を正確に理解しておきましょう。表面的な「AIでES書いてもいいのか」という議論ではなく、採用側の視点から見た本質的な変化を押さえることが重要です。

書類選考の「足切り」機能が弱まっている

従来、エントリーシートや職務経歴書は「明らかにミスマッチな候補者を除外する」という足切り機能を担っていました。しかし、生成AIを使えば誰でも「それなりに整った文章」が書けるようになり、書類だけでは候補者の実力や適性を判断しにくくなっています。

その結果、採用側は面接でより深く掘り下げる方向にシフトしています。「書類に書いてあることを、どこまで自分の言葉で説明できるか」「具体的な状況を聞いたときに、どれだけ詳細に答えられるか」——こうした点が、以前よりも重視されるようになっています。仮説思考で紹介されている「仮説を立てて検証する」思考法は、面接での深掘り質問に対応する上でも役立ちます。

「言語化能力」の定義が変わった

かつては「きれいな文章が書ける」ことが言語化能力の証明でした。しかし、生成AIがその役割を代替できるようになった今、求められるのは「対話の中でリアルタイムに言語化できる能力」です。

面接官として私が見ているのは、「想定外の質問に対して、どう思考を組み立てて答えるか」というプロセスです。完璧な回答よりも、「少し考えさせてください」と言ってから論理的に整理して答える姿勢の方が、実務能力の高さを感じます。

面接対策の基本については、ITエンジニアの面接で技術力と人柄を両立させるアピール戦略も参考にしてください。

ビジネスミーティングで議論するプロフェッショナル

ケーススタディ:生成AI頼りで面接に失敗したエンジニアの事例

私が面接官として担当した中で、典型的な失敗パターンを紹介します。

状況(Before)

Aさん(28歳・バックエンドエンジニア歴4年)は、SIerから自社サービス企業への転職を希望していました。職務経歴書は非常によくまとまっており、「マイクロサービス化プロジェクトでAPI設計を担当し、レスポンスタイムを40%改善」といった具体的な成果が記載されていました。

Aさんの職務経歴書には、技術スタックとしてJava、Spring Boot、PostgreSQL、Dockerが記載されており、AWSでのインフラ構築経験もアピールされていました。書類だけを見れば、即戦力として期待できる候補者に見えました。

行動(面接での対話)

面接で「API設計でどのような判断をしたか」を掘り下げたところ、Aさんの回答は曖昧になりました。「RESTfulな設計を心がけました」「チームで議論して決めました」といった一般論に終始し、「なぜその設計を選んだのか」「他の選択肢と比較してどう判断したのか」という質問には答えられませんでした。

さらに「レスポンスタイム40%改善の具体的な施策は?」と聞くと、「キャッシュを導入しました」という回答でしたが、「どのレイヤーにキャッシュを入れたのか」「キャッシュの有効期限はどう決めたのか」「キャッシュヒット率はどのくらいだったのか」といった追加質問には答えられませんでした。

後から聞いたところ、職務経歴書はChatGPTで「成果が伝わるように書き直して」と依頼して作成したとのこと。エッセンシャル思考で強調されている「本質的な問いに向き合う」姿勢が欠けていたのです。

結果(After)

残念ながら、Aさんは不採用となりました。書類上の「成果」と、面接での「説明力」のギャップが大きすぎたためです。採用チームの評価は「書類は立派だが、本当に自分でやったのか疑問が残る」というものでした。

ハマりポイント:なぜこのパターンに陥るのか

Aさんのケースは珍しくありません。生成AIを使って職務経歴書を「盛る」こと自体は問題ではありませんが、盛った内容を自分の言葉で説明できなければ、面接で必ずボロが出ます。特に技術面接では、「なぜ」「どうやって」「他の選択肢は」という深掘り質問が必ず飛んできます。

このケースから学べるのは、生成AIで書類を整えても、面接で語れなければ逆効果になるということです。転職活動でよくある失敗パターンについては、ITエンジニアの転職失敗パターンと回避策も参考にしてください。

オフィスでコーヒーを飲みながら握手するプロフェッショナル

面接で差がつく準備:エピソードの「深掘り耐性」を高める

では、どうすれば面接で差をつけられるのか。ポイントは、自分のエピソードに対する「深掘り耐性」を事前に高めておくことです。

STAR法を「3階層」で準備する

面接対策でよく使われるSTAR法(Situation・Task・Action・Result)ですが、生成AI時代はこれを「3階層」で準備することをお勧めします。

  • 第1階層(表面):職務経歴書に書く内容。1〜2文で成果を要約
  • 第2階層(詳細):「具体的にどうやったか」を5分程度で説明できるレベル
  • 第3階層(判断根拠):「なぜその方法を選んだか」「他の選択肢は何があったか」「失敗したらどうするつもりだったか」まで答えられるレベル

生成AIは第1階層の文章を整えるのは得意ですが、第3階層の「判断根拠」は本人にしか語れません。面接官が深掘りするのは、まさにこの第3階層です。FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣で紹介されている「データに基づいて判断する」習慣は、この第3階層を強化する上でも有効です。

「失敗エピソード」を武器にする

意外かもしれませんが、面接で最も差がつくのは「失敗エピソード」の語り方です。生成AIに「失敗経験を書いて」と頼んでも、当たり障りのない内容しか出てきません。しかし、本当に経験した失敗は、詳細を聞けば聞くほど具体的になります。

私が面接で好印象を持つのは、「あのとき、こういう判断ミスをして、結果的にこうなった。今なら、こう対処する」と具体的に語れる候補者です。失敗を隠すのではなく、そこから何を学んだかを語れることが、実務能力の証明になります。

複数の選考を並行して進める際の戦略については、転職活動で複数内定を獲得するITエンジニアの並行応募戦略で詳しく解説しています。

STAR法の3階層準備

面接準備チェックリスト:生成AI時代の差別化ポイント

ここまでの内容を踏まえ、面接準備のチェックリストを整理します。転職活動を始める前に、以下の項目を確認してください。

書類準備フェーズ

書類準備の段階で最も重要なのは、「書いた内容を自分で説明できるか」を常に意識することです。生成AIに任せきりにせず、出力された文章を自分の言葉で言い換えられるかを確認してください。

  • □ 職務経歴書の各成果について、「なぜその方法を選んだか」を自分の言葉で説明できる
  • □ 生成AIで整えた文章を、そのまま使わず自分の言葉に書き直している
  • □ 数字(〇%改善、〇人のチームなど)の根拠を説明できる
  • □ 技術スタックについて、「なぜその技術を選んだか」「他の選択肢と比較してどうだったか」を説明できる
  • □ プロジェクトの規模(チーム人数、期間、予算など)を具体的に把握している

エピソード準備フェーズ

エピソード準備では、「表面的な成果」だけでなく「判断の根拠」まで掘り下げることが重要です。面接官は「何をしたか」よりも「なぜそうしたか」「どう考えたか」を知りたがっています。

  • □ 主要なエピソード3〜5個について、STAR法の3階層まで準備している
  • □ 各エピソードについて「他の選択肢は何があったか」を答えられる
  • □ 失敗エピソードを1〜2個、具体的に語れる状態にしている
  • □ 「なぜ転職したいのか」を、建前ではなく本音ベースで言語化している
  • □ 各エピソードについて「もう一度やるなら何を変えるか」を考えている
  • □ チームでの役割と、自分個人の貢献を明確に区別できる

模擬面接フェーズ

模擬面接は、できれば転職経験のある同僚や友人に協力してもらうのがベストです。一人で練習する場合は、スマートフォンで録画して自分の話し方を客観的に確認することをお勧めします。

  • □ 想定質問に対して、声に出して回答する練習をしている
  • □ 「少し考えさせてください」と言ってから回答する練習をしている
  • □ 想定外の質問に対して、思考プロセスを言語化しながら答える練習をしている
  • □ 回答が長くなりすぎていないか(1回答2分以内を目安)を確認している
  • □ 「質問の意図がわからない場合は確認する」練習をしている

これらの準備を通じて、ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣で紹介されている「小さな習慣の積み重ね」を実践することで、面接本番でも自然に対話できるようになります。特に、毎日10分でも「自分のエピソードを声に出して説明する」習慣をつけると、面接本番での言葉の出やすさが大きく変わります。

職務経歴書の書き方については、職務経歴書の書き方:ITエンジニアの転職戦略も参考にしてください。

木製テーブルを囲んでチームワークするプロフェッショナル

まとめ

生成AIでエントリーシートが均質化する時代、転職活動の勝負所は「面接での対話力」に移っています。

本記事のポイントを振り返ります。

  • 書類選考の足切り機能が弱まり、面接での深掘りが重視されるようになっている
  • 生成AIで書類を整えても、面接で語れなければ逆効果になる
  • STAR法を「3階層」で準備し、判断根拠まで語れる状態にしておく
  • 失敗エピソードを具体的に語れることが、実務能力の証明になる

完璧な回答を暗記する必要はありません。大切なのは、自分の経験を自分の言葉で語れること。まずは、職務経歴書に書いた成果1つについて、「なぜその方法を選んだか」を声に出して説明してみてください。そこから始めれば、面接本番でも自然に対話できるようになります。

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