お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
結論から言うと、行使価格や成長率が不明確な場合、基本給(ベースサラリー)の維持を最優先すべきです。
「今は年収が下がりますが、上場すれば数千万円になりますよ」
そんな甘い言葉と共に提示される、スタートアップからのオファー。提示額が現職より200万円低いとき、あなたならどう判断しますか?
「夢があるから」と飛び込むのも一つですが、エンジニアなら「期待値」を計算して冷静に判断したいところです。
今回は、そんな「SO(ストックオプション)付きオファー」の適正価値を見極めるための計算式と、リスクを最小化するキャリア戦略について解説します。
状況:600万円+SO vs 800万円の現金
これは実際にあるエンジニア(Aさん・32歳・サーバーサイド)が直面した選択です。
- 現職: 大手Web企業、年収800万円(安定、残業少なめ)
- オファー: シリーズBのスタートアップ、年収600万円 + SO 0.1%(上場時想定時価総額 300億円)
採用担当者は「上場すれば3,000万円になりますよ!今の差額なんてすぐに取り返せます」と熱弁していました。しかし、Aさんは「本当にそう上手くいくのか?」と不安を感じていました。適正な評価を得るためのITフリーランスの単価交渉術と適正価格の算出などの知識があれば、より冷静に対処できたかもしれません。
IT女子 アラ美行動:期待値シミュレーションによる冷徹な計算
そこで、感情論を排して「5年後の資産総額」をシミュレーションすることにしました。
考慮すべき変数は以下の通りです。
- ベース給与の差損: 年間200万円 × 5年 = ▲1,000万円(確実な損失)
- SOの期待リターン: 3,000万円 × 上場確率(20%と仮定) = 600万円
- 希薄化リスク: 今後の資金調達で持ち分が薄まる可能性(考慮せず提示されることが多い)
算出した結果
単純計算でも、確実なマイナス1,000万円に対して、不確実なプラス600万円という期待値になりました。
さらに、日本のスタートアップのIPOまでの平均年数は長期化傾向にあり、「5年で上場」という前提自体が楽観的すぎることも分かりました。
特に、シリーズBのようなミドル・レイターステージでは、すでにバリュエーション(企業価値評価)が高騰しているケースが少なくありません。ここからの「Upside(上振れ)」がどれだけ残されているかを冷静に見積もる必要があります。例えば、時価総額300億円から1,000億円を目指す難易度と、3億円から10億円を目指す難易度は質が異なります。自身の市場価値を客観的に把握する際は、エンジニアの市場価値セルフ診断フレームワークも役立ちます。



ケーススタディ結果:オファー辞退と「現金主義」への転換
Aさんは最終的にそのオファーを辞退し、別のメガベンチャーから提示された「年収850万円(SOなし)」のオファーを受諾しました。
現在、そのスタートアップは上場延期を発表し、組織改編で揺れているそうです。もしあそこで転職していたら、年収減と激務のダブルパンチで疲弊していたかもしれません。
Aさんは「確実に手に入る現金を原資に、自分でS&P500を買う方がよっぽど計算できる」と笑っていました。
キャリアの選択において「撤退戦」を想定しておくことは非常に重要です。もしSOに賭けて失敗した場合、30代中盤で年収を下げた履歴だけが残ることになります。そうなった時に、再び市場価値を戻せる自信があるかどうかも、判断の分かれ目となります。万が一の際は、退職交渉で揉めないための円満退社マニュアルを参考に、スマートな引き際を意識しましょう。



算出フレームワーク:資産推移の可視化
ここで、実際に作成したシミュレーションをグラフ化してみましょう。
「現職維持(現金のみ)」と「転職失敗(SO価値ゼロ)」「転職成功(SO上場)」の3パターンで、5年間の累積資産価値を比較しました。


グラフを見ると一目瞭然ですが、転職成功(青線)の場合のみ、4年目以降に爆発的なリターンが得られます。
しかし、もし上場できなかった場合(赤線)、現職維持(グレー線)との差は開き続ける一方です。この「赤線の期間」を数年間、心の平穏を保って耐えられるかどうかが、SO転職の踏み絵となります。
ブラック・ショールズなんていらない
難解なオプション価格算定モデルを使わなくても、以下の簡易式で十分判断できます。
$$ \text{SOの魅力度} = (\text{想定キャピタルゲイン} \times \text{上場確率}) – (\text{年収ダウン額} \times \text{上場までの年数}) $$
この値がプラスになり、かつそのリスクを許容できる場合のみ、GOサインを出しましょう。この数式には表現できていない「キャリアの機会損失」などの定性的なリスクについては、年収交渉の事前準備ガイドも併せて参照してください。



0次分析:SOの種類と税制適格の罠
ちなみに、SOには「税制適格」と「税制非適格(有償SOなど)」があります。これも手取り額に直結する重要な要素です。
- 税制適格SO: 行使時は非課税、売却時に譲渡所得(約20%)として課税。手取りが多い。ただし要件が厳しい。
- 税制非適格SO: 権利行使時に「給与所得」として課税(最大55%)。株を売って現金化していないのに税金だけ払う「キャッシュアウト」が発生するリスクがある。
オファー面談では、提示されたSOがどちらのタイプか、必ず確認しましょう。「信託型」など特殊なスキームの場合も要注意です。
また、SOの付与契約には「ベスティング(権利確定)期間」が設けられていることが一般的です。よくあるのは「4年かけて25%ずつ確定する」といった条項です。つまり、入社してすぐに辞めた場合、権利は1株も手に入りません。
さらに、「クリフ(崖)」と呼ばれる期間(通常1年)もあり、1年未満で退職した場合は権利がゼロになる契約が多いです。これらの契約条件もしっかりと読み込まないと、計算の前提が崩れてしまいます。海外でのキャリアも含めて検討したい場合は、常駐からフルリモートへの移行戦略も選択肢に入ります。



比較:リスクを取るか、現金を積むか
結論として、エンジニアが資産形成をするルートは大きく2つに分かれます。どちらを選ぶにせよ、まずは正社員とフリーランスの年収比較ガイドで自身の立ち位置を確認することをお勧めします。
1. 一発逆転ルート: スタートアップでSO長者を目指す(成功率低・リターン特大)
2. 堅実蓄財ルート: 高単価企業やフリーランスで現金を積み上げ、S&P500などで運用(成功率高・リターン着実)
どちらが正解ということはありませんが、自分の性格とフェーズに合致しているかが重要です。
もし「堅実蓄財」を選ぶなら、スタートアップよりも、利益率の高いメガベンチャーや外資系企業、あるいは高単価フリーランスを目指すべきです。
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まとめ
「年収ダウン+SO」のオファーは、多くの場合、企業にとって都合の良いコスト削減策です。
それを「投資機会」と捉えるには、事業の成長性を見極める眼力と、数年間のボラティリティに耐える胆力が必要です。
- 期待値を計算する: 提示額を鵜呑みにせず、確率で割り引く。
- ダウンサイドを見る: 上場しなかった場合、その数年間を後悔しないか自問する。
- 代替案を持つ: 現金で800万以上出してくれる企業と比較検討する。
あなたの技術には価値があります。安売りせず、最もリターンが見込める場所へ投資してください。













