
SESエンジニアが自社開発企業へ転職するための準備と戦略
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「SESで客先常駐を続けているけど、自社開発企業で腰を据えて働きたい」——そんな悩みを抱えていませんか?
私自身、PjMとして採用面接に関わる中で、SES出身の候補者を何人も見てきました。技術力は十分なのに、「SESでの経験をどうアピールすればいいかわからない」「自社開発企業が何を求めているのか見えない」という声をよく聞きます。
実際、SESから自社開発への転職は、単なる「会社を変える」以上の準備が必要です。求められるスキルセット、働き方、評価軸が大きく異なるからです。
- SESと自社開発企業の違いと、転職で求められる視点の切り替え
- SES経験を自社開発企業向けにアピールする方法
- 転職活動の具体的な準備ステップと面接対策
- SES出身者が活用すべき転職エージェント・サービス
この記事では、SESエンジニアが自社開発企業へ転職するための具体的な準備と戦略を解説します。
SESと自社開発企業の違いを理解する
転職活動を始める前に、SESと自社開発企業の違いを正確に理解しておくことが重要です。この違いを把握していないと、面接で的外れなアピールをしてしまったり、入社後にギャップを感じたりすることになります。
働き方と評価軸の違い
SESと自社開発企業では、働き方と評価軸が根本的に異なります。
- SES:客先の要望に応える「労働力提供」が基本。評価は「稼働率」「単価」「クレームの有無」が中心
- 自社開発:自社プロダクトの成長に貢献する「事業参画」が基本。評価は「成果」「チームへの貢献」「技術的な提案力」が中心
SESでは「言われたことを確実にこなす」ことが評価されますが、自社開発では「自ら課題を見つけて解決する」姿勢が求められます。私がPjMとして採用面接に関わった経験では、SES出身の候補者が「指示待ち」の印象を与えてしまい、不採用になるケースを何度も見てきました。SES脱出のキャリア戦略でも触れましたが、この視点の切り替えが転職成功の鍵です。
技術スタックと開発プロセスの違い
SESでは客先の技術スタックに合わせることが多いですが、自社開発企業では自社で技術選定を行います。そのため、「なぜその技術を選んだのか」「どんなトレードオフを考慮したのか」という判断力が問われます。
また、開発プロセスも異なります。SESでは客先のルールに従いますが、自社開発ではアジャイル開発やCI/CDなど、モダンな開発プロセスを採用している企業が多いです。チームトポロジーで紹介されているチーム設計の考え方を理解しておくと、面接での会話がスムーズになります。

【ケーススタディ】SESから自社開発企業へ転職成功した32歳エンジニア
私の知人Cさん(32歳・バックエンドエンジニア)の事例を紹介します。
状況(Before):SES歴5年、年収450万円
Cさんは新卒でSES企業に入社し、5年間で4つの現場を経験しました。Java/Springを中心としたバックエンド開発が得意で、技術力には自信がありました。しかし、「毎回ゼロから人間関係を構築するのが疲れる」「自分が作ったシステムがどう使われているか見えない」という不満を抱えていました。
転職活動を開始しましたが、最初の2ヶ月は書類選考通過率が15%以下。面接に進んでも「SESでの経験は分かりましたが、うちでどう活躍できますか?」という質問に答えられず、不採用が続きました。
行動(Action):アピール方法を根本から見直し
Cさんは転職エージェントのアドバイスを受け、以下の点を改善しました。
- 経験の言語化:「〇〇システムの開発を担当」→「月間10万ユーザーが利用する在庫管理システムのAPI設計・実装を担当。レスポンスタイムを平均1.5秒から0.3秒に改善」
- 主体性のアピール:「客先の要望に対応」→「パフォーマンス課題を自ら発見し、改善提案を行った結果、クエリ最適化で処理時間を80%削減」
- チーム貢献の可視化:「チームメンバーとして参画」→「新人2名のメンターを担当し、コードレビューを通じて品質向上に貢献。レビュー指摘率が3ヶ月で40%減少」
結果(After):年収550万円で自社開発企業に内定
アピール方法を見直した結果、書類選考通過率は50%に改善。最終的に、BtoB SaaSを開発する企業から年収550万円で内定を獲得しました。Cさんは「SESでの経験は無駄じゃなかった。伝え方を変えただけで、こんなに評価が変わるとは思わなかった」と振り返っています。
職務経歴書で差をつけるITエンジニアの転職準備も参考にしてください。仮説思考で紹介されている考え方を使うと、「企業が知りたいこと」から逆算して経歴を整理できます。
以下のグラフは、SESから自社開発企業への転職成功に影響する要因を重要度順に整理したものです。経験の言語化と主体性のアピールが最も重要であり、技術力だけでは差別化が難しいことがわかります。

SES経験を自社開発企業向けにアピールする方法
SESでの経験は、正しく言語化すれば自社開発企業でも十分に評価されます。ポイントは「受け身」から「主体的」への言い換えです。
技術経験のアピール方法
SESでは複数の現場を経験することが多いため、幅広い技術スタックに触れている点は強みになります。ただし、「いろいろやりました」では弱いです。
- 深さを示す:「Javaを使いました」→「Java 11でSpring Boot 2.xを使い、マイクロサービス間のAPI設計を担当。OpenAPI仕様書の作成からモック生成まで一貫して対応」
- 選択理由を示す:「客先の指定でMySQLを使用」→「パフォーマンス要件を満たすため、インデックス設計を提案。EXPLAINを活用したクエリチューニングで応答時間を改善」
ソフトスキルのアピール方法
SESでは、短期間で新しい環境に適応する力が鍛えられます。これは自社開発企業でも評価されるスキルです。
- 適応力:「4つの現場を経験」→「異なる開発文化・技術スタックの現場に短期間で適応し、平均2週間で戦力化。ドキュメント整備やナレッジ共有を通じてオンボーディングコストを削減」
- コミュニケーション力:「客先との調整を担当」→「ステークホルダーとの要件調整を担当し、技術的な制約を非エンジニアにも分かりやすく説明。認識齟齬による手戻りを削減」
40代エンジニアが転職市場で評価される経験の棚卸しと自己PR戦略で紹介しているSTAR+Iフレームワークも、SES経験の整理に活用できます。エッセンシャル思考を読むと、本当に重要なことに集中する思考法が学べます。

転職活動の具体的な準備ステップ
SESから自社開発企業への転職を成功させるための、具体的な準備ステップを紹介します。
ステップ1:スキルの棚卸しと可視化(1〜2週間)
まず、これまでの経験を棚卸しします。以下の観点で整理してください。
- 技術スキル:言語、フレームワーク、DB、インフラ、ツール
- 業務経験:設計、実装、テスト、運用、レビュー
- 成果:パフォーマンス改善、品質向上、コスト削減など、数値で示せるもの
- チーム貢献:メンタリング、ドキュメント整備、プロセス改善
ステップ2:ポートフォリオの準備(2〜4週間)
SESでは業務で作ったコードを公開できないことが多いため、個人開発でポートフォリオを作成することをおすすめします。
- GitHub:個人プロジェクトを公開し、コードの品質をアピール
- 技術ブログ:業務で得た知見を一般化して発信
- OSS貢献:小さなPRでも、コミュニティへの貢献姿勢を示せる
ステップ3:企業研究と応募(2〜4週間)
自社開発企業といっても、BtoB SaaS、BtoC Web、受託開発など、さまざまな形態があります。自分の志向に合った企業を選ぶことが重要です。
ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準も参考にしてください。セカンドブレインで紹介されている情報整理術を使うと、企業研究の情報を体系的に管理できます。

おすすめエージェント・サービス
SESから自社開発企業への転職では、エージェント選びも重要です。読者の状況に応じたサービスの選び方を整理します。
自社開発企業への転職を目指すなら
自社開発企業への転職を目指す場合は、IT特化型のエージェントが有効です。ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】は、実務経験2年以上のITエンジニアを対象にしたハイクラス転職エージェントで、自社開発企業やメガベンチャーなどの求人を多数扱っています。模擬面接は回数制限なく実施してもらえるため、SES出身者が苦手とする「自社開発企業向けのアピール」を練習できます。
ITコンサル・上流工程へのキャリアチェンジなら
SESでの経験を活かしてITコンサルや上流工程へのキャリアチェンジを考えている場合は、テックゲートエキスパート|20代・30代のITコンサル転職がおすすめです。要件定義やPM・PMO、DX推進などコンサル寄りのポジションを中心に、キャリア戦略の棚卸しから面接対策まで伴走してくれます。
スカウト型で効率よく転職活動するなら
現職が忙しいSESエンジニアには、スカウト型サービスも有効です。IT・Webのスカウト転職サービスなら【レバテックダイレクト】は、プロフィールとスキルを登録しておくと、開発言語・フレームワーク・開発工程などの情報をもとに企業側から書類選考免除のスカウトが届きます。自社開発企業からのスカウトを待ちながら、効率よく転職活動を進められます。
スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアの職務経歴書とプロフィール設計も参考にしてください。

まとめ
SESから自社開発企業への転職は、経験の「伝え方」を変えることで成功率が大きく変わります。
- SESと自社開発企業では、働き方と評価軸が根本的に異なる
- SES経験は「受け身」から「主体的」に言い換えることで評価される
- 技術スキルだけでなく、適応力やコミュニケーション力もアピールポイントになる
- ポートフォリオや技術ブログで、業務外でも学習・発信している姿勢を示す
- IT特化型のエージェントを活用して、自社開発企業向けの面接対策を行う
SESでの経験は、正しく整理して伝えれば、自社開発企業でも十分に評価されます。「SESだから不利」と諦めず、まずは経験の棚卸しから始めてみてください。










