お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
あるチームメンバーから相談を受けました。「SESで3年間客先常駐してきたけど、このまま経験を積んでも自社開発企業に転職できる気がしない。何から始めればいいですか?」——この悩み、非常に多くのSESエンジニアが抱えています。
本記事では、SESから自社開発企業への転職を成功させるための具体的なロードマップを、スキル習得・ポートフォリオ作成・面接対策の3つの軸で解説します。
SESエンジニアが自社開発企業に転職しにくい本当の理由
SESから自社開発企業への転職が難しいと感じる理由は、スキル不足だけではありません。多くの場合、「経験の見せ方」と「ポートフォリオの有無」が大きなハードルになっています。
SES経験が評価されにくい3つの構造的問題
- 技術選定に関与できない:客先の既存環境に合わせるため、モダンな技術スタックを選ぶ機会が少ない
- プロダクトへのコミットが見えにくい:「何を作ったか」より「どこの現場にいたか」が職務経歴書の中心になりがち
- GitHubやポートフォリオがない:業務コードは公開できず、個人開発の習慣がないとアピール材料が不足する
- スキルの汎用性が伝わりにくい:特定の現場でしか使わないツールやフレームワークの経験が多く、他社で活かせるスキルとして認識されにくい
これらの問題は、SESという働き方の構造に起因するものであり、エンジニア個人の能力不足ではありません。しかし、採用側から見ると「自社開発で活躍できるかどうか」が判断しにくいため、書類選考で落とされやすいのが現実です。
エンジニアがスキルシートで損しないための書き方と見せ方の実践ガイドでは、SES経験を効果的にアピールする方法を詳しく解説しています。
IT女子 アラ美自社開発企業が求めるスキルセットを理解する
SESから自社開発への転職を成功させるには、まず採用側が何を重視しているかを理解する必要があります。


採用担当者がチェックする5つのポイント
- モダンフレームワーク経験(重要度85%):React/Vue/Next.js、Rails/Django/FastAPIなど。SES現場で使っていなくても、個人開発で触れていればOK
- Git/GitHub活用(重要度80%):コミット履歴、ブランチ戦略、PRレビューの経験。GitHubアカウントは必須
- 自走力・提案力(重要度75%):指示待ちではなく、課題を見つけて解決策を提案できるか
- ポートフォリオ(重要度70%):公開できる成果物があるかどうか。README、デモ、技術選定理由まで含めて評価される
- チーム開発経験(重要度65%):コードレビュー、ペアプロ、スクラム開発などの経験
エンジニアが自分の市場価値を正確に把握するためのセルフ診断フレームワークを使って、現在地を確認してみてください。



転職成功に向けた6ヶ月ロードマップ
ここからは、SESエンジニアが自社開発企業への転職を実現するための具体的なステップを、6ヶ月間のロードマップとして整理します。
Month 1-2:技術スタックの棚卸しとギャップ分析
まずは現状のスキルと市場ニーズのギャップを明確にします。この段階を飛ばすと、後で「学んだ技術が求められていなかった」という事態になりかねません。
- 現在のスキルセットを洗い出し、応募したい企業の求人票と比較する
- 不足しているスキル(React、TypeScript、Docker等)をリストアップし、学習計画を立てる
- Udemyなどで体系的に学習し、手を動かしながらインプットする
- 求人票は最低30件は調査し、「必須スキル」「歓迎スキル」の傾向を把握する
- モダン技術に触れる機会が少ないSES現場でも、個人時間でキャッチアップできる
Month 3-4:ポートフォリオ作成
ポートフォリオは「完成させること」が最も重要です。未完成の大作より、小規模でも動くアプリの方が100倍評価されます。
- 学んだ技術を使って、1つの完成したアプリケーションを作る
- READMEには「なぜこの技術を選んだか」「工夫した点」「今後の改善予定」を書く
- GitHubにソースコードを公開し、デモ環境(Vercel、Railway等)も用意する
- コミット履歴は毎日つける必要はないが、週末ごとに進捗を残す習慣をつける
- 可能であれば認証機能・データベース連携・外部API連携のいずれかを含める
Month 5-6:応募・面接対策
準備が整ったら、いよいよ応募フェーズです。複数のエージェントを活用することで、書類選考の通過率を大幅に引き上げられます。
- 転職エージェントに登録し、職務経歴書のレビューを受ける
- ポートフォリオを軸に「何を作ったか」「どう考えたか」を説明する練習をする
- 技術面接対策として、アルゴリズム問題やシステム設計の基礎を復習する
- エージェントは最低3社に登録し、それぞれからフィードバックをもらう
- 最初の数社は「練習」と割り切り、面接経験を積んでから本命に挑むのも有効
エンジニアが「次の会社選び」で失敗しないための企業リサーチ・面接質問チェックリストも併せて確認してください。



ケーススタディ:SES3年目からWebベンチャーに転職した事例
あるエンジニアCさん(当時28歳・SES歴3年)が、自社開発のWebベンチャーに転職した事例を紹介します。
状況(Before)
- 大手SIerの子会社でSESエンジニアとして3年間勤務。主にJava + Oracle環境での保守開発を担当
- 客先常駐で技術選定に関与する機会がなく、モダンな開発経験がほぼゼロ
- 年収420万円。昇給ペースは年1万円程度で、このままでは年収500万円に届かない見込み
- GitHubアカウントは持っていたが、草(コントリビューション)はほぼなし
行動(Action)
- 技術選定とロードマップ策定:Cさんは求人票を50件以上分析し、「React + TypeScript + Next.js」が最も需要が高いと判断。Udemyの講座を2本(計30時間)修了し、基礎を固めた
- ポートフォリオとして飲食店予約アプリを開発:週末2〜3時間ずつ、3ヶ月かけてフルスタックアプリを実装した。Next.js + Supabase + Stripeを採用し、認証・予約・決済機能まで実装。GitHubに公開し、READMEには技術選定理由と工夫点を500字以上で記載した
- 転職エージェント3社に登録し職務経歴書を添削:TechGo、レバテック、Greenに登録。各エージェントからフィードバックを受け、SES経験を「課題発見→改善提案→実装」の形式で書き直した
- 15社に応募し、5社で面接、2社から内定:ポートフォリオがあったことで書類通過率は40%(6社通過)。技術面接ではポートフォリオの実装内容を深掘りされたが、自分で作ったコードなので自信を持って回答できた
結果(After)
- 社員数50名のWebベンチャーに転職成功。技術スタックはReact + TypeScript + Go + AWS
- 年収は420万円→550万円に130万円アップ(約31%増)
- 入社後3ヶ月でフィーチャーチームのリードを任され、技術選定にも関与できるようになった
- リモートワーク週3日が可能になり、働き方の自由度も大幅に向上
受託開発から事業会社への転職で失敗しないための適性チェックと準備ロードマップも参考になります。
さらなる年収アップやキャリアアップを目指すなら、ハイクラス向けの求人に特化した以下のサービスがおすすめです。
| 比較項目 | TechGo | レバテックダイレクト | ビズリーチ |
|---|---|---|---|
| 年収レンジ | 800万〜1,500万円ハイクラス特化 | 600万〜1,000万円IT専門スカウト | 700万〜2,000万円全業界・管理職含む |
| 技術スタック | モダン環境中心 | Web系に強い | 企業によりバラバラ |
| リモート率 | フルリモート前提多数 | 条件検索可能 | 原則出社も多い |
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まとめ
SESから自社開発企業への転職は、正しい準備をすれば十分に実現可能です。
- SES経験が評価されにくいのは「スキル不足」ではなく「見せ方」と「ポートフォリオ」の問題
- 採用側が重視するのは、モダン技術・Git活用・自走力・ポートフォリオ・チーム開発経験
- 6ヶ月のロードマップで、技術習得→ポートフォリオ作成→応募の流れを実践する
- ポートフォリオがあるだけで書類通過率は大きく変わる。まずは1つ作り切ることが重要
SESで培った「現場適応力」や「顧客折衝経験」は、自社開発企業でも十分に活きるスキルです。自信を持って、次のキャリアに踏み出しましょう。












