お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
先日、地方在住のエンジニアからこんな相談を受けました。
「地元に住み続けたいけど、リモート求人は都市部の人に取られてしまう」「首都圏の企業にフルリモートで入れたとしても、地方格差で年収が低くされそうで不安」──こうした悩みは、地方で働くエンジニアの多くが抱えている課題です。
採用現場で地方出身のメンバーをフルリモートで採用した経験があります。実際に面接を担当する中で、「地方在住のハンデを感じさせないどころか、むしろ強みに変えている人」と「地方だから仕方ない、と諦めモードの人」で、評価が大きく分かれることを痛感しました。
本記事では、地方在住エンジニアがフルリモート転職で年収アップを実現するための求人選定・面接準備・交渉術を、採用側の視点も交えながら解説します。
地方在住エンジニアがフルリモート転職で直面する3つの壁
フルリモート求人は増えているものの、地方在住エンジニアが応募する際には都市部の候補者とは異なる壁に直面することがあります。
まずは、よくある3つの壁を整理しておきましょう。
壁1:「フルリモート可」の実態がわかりにくい
求人票に「フルリモート可」と書かれていても、実際には月に数回の出社が暗黙の了解だったり、「オンボーディング期間は週3出社」といった条件が後から出てくるケースがあります。
地方在住者にとって「たまの出社」はコストが大きく、交通費・宿泊費が自己負担になる場合もあります。
あるスタートアップでも、フルリモート採用を始めた当初は「月1回は顔を合わせたい」という意見がありました。結局、地方メンバーの移動負担を考慮して完全リモートに切り替えましたが、企業によって温度感はさまざまです。
壁2:地方格差による年収ダウン提示
「地方在住なら生活コストが低いから、年収も低くていいですよね」という論理で、都市部より10〜20%低い年収を提示されるケースがあります。
これは企業側の都合であり、仕事内容が同じなら年収に差をつける合理的な理由はないはずです。しかし、候補者側が交渉しなければ、そのまま通ってしまうことも少なくありません。
壁3:オンライン面接でのアピール方法がわからない
対面面接と異なり、オンライン面接では非言語コミュニケーション(表情・身振り)が伝わりにくいという課題があります。
特に地方在住で対面の転職面接経験が少ない場合、オンライン面接の「見せ方」に慣れていないことがハードルになることがあります。
これらの壁を乗り越えるためには、事前の準備と戦略が必要です。関連記事として、エンジニアが「次の会社選び」で失敗しないための企業リサーチ・面接質問チェックリストも参考にしてください。
IT女子 アラ美フルリモート求人の見極め方と優良企業の特徴
フルリモート求人を選ぶ際、「本当にフルリモートで働けるか」を見極めることが最初のハードルです。
求人票の表面だけでなく、企業の実態を調べる方法を紹介します。
求人票で確認すべきキーワード
フルリモート求人を選ぶ際は、以下のキーワードの有無をチェックしましょう。
- 完全フルリモート:出社義務が一切ないことを明示
- リモート手当・在宅勤務手当:リモート前提の制度が整っている証拠
- 居住地不問:勤務地に縛られない採用方針
- フルフレックス:リモートとの相性が良い柔軟な働き方
逆に、「基本リモート」「リモート推奨」といった表現は、出社が発生する可能性が高いため注意が必要です。
企業リサーチで確認すべきポイント
求人票だけでなく、以下の情報源から実態を調べましょう。
- 技術ブログ・採用ブログ:リモートワークの運用方針が書かれていることが多い
- OpenWork・転職会議:「リモート」「出社」に関する口コミをチェック
- エンジニアのTwitter(X):社員が「フルリモートで働いています」と発信していれば信頼度が高い
フルリモートに適した企業の特徴
フルリモートで長く働ける企業には、いくつかの共通点があります。
- ドキュメント文化が根付いている:口頭伝達に依存しない仕組みがある
- 非同期コミュニケーションを重視:Slackやチケット管理で情報が整理されている
- 全社的にリモート比率が高い:一部の人だけリモートだと孤立しやすい
フルリモート企業の探し方については、ITエンジニアが転職エージェントを使い分けて希望条件を実現する選択戦略も参考になります。



ケーススタディ:地方在住エンジニアがフルリモート転職で年収100万円アップした事例
ここでは、実際に地方在住のままフルリモート転職で年収アップを実現したエンジニアの事例を紹介します。
状況(Before)
Aさん(35歳・バックエンドエンジニア・経験10年)は、地方の中堅SIerで勤務していました。年収は520万円。技術力は高いものの、地方の給与水準に縛られて年収が頭打ちになっていました。
- 居住地:北陸地方(持ち家あり、引っ越しは避けたい)
- 経験:Java/Spring、AWS、Kubernetes
- 年収:520万円
- 課題:地元企業の給与水準が低い、フルリモート経験なし
行動(Action)
Aさんは以下のステップで転職活動を進めました。
エージェント選定
まず、フルリモート求人に強いエージェントを3社登録しました。具体的には、レバテックキャリア、strategy career、社内SE転職ナビに登録。各エージェントから「完全フルリモート」「居住地不問」の条件で求人を紹介してもらいました。
スキルシートのブラッシュアップ
地方在住のハンデを補うため、技術力の証明を強化しました。GitHubに個人プロジェクト(Kubernetes上で動くマイクロサービスのサンプル)を公開し、職務経歴書にURLを記載。また、AWSソリューションアーキテクトプロフェッショナル資格を取得して、スキルの客観的証明を追加しました。
面接準備
オンライン面接に備えて、以下の準備を徹底しました。
- 背景・照明の整備:バーチャル背景は使わず、整理された本棚を背景にセット。リングライトで顔を明るく映す工夫
- 逆質問の準備:「リモートでのオンボーディング体制」「地方在住メンバーの在籍数」を質問リストに追加
- 年収交渉の準備:「居住地に関係なく同一労働同一賃金の方針か」を確認。希望年収は現職より150万円アップの670万円で提示
年収交渉の実践
2社から内定をもらいましたが、1社目は「地方在住なので600万円で」と提示されました。Aさんは「業務内容は東京オフィス勤務者と同一であり、成果で評価していただけるなら同一水準を希望します」と交渉。最終的に620万円で合意しました。
2社目は最初から「居住地による年収差はつけない」方針で、630万円のオファー。結果的にこちらを選択しました。
結果(After)
転職後、Aさんの年収は520万円から630万円に110万円アップしました。
- 年収:520万円 → 630万円(+110万円)
- 働き方:完全フルリモート(出社ゼロ)
- 通勤時間:往復2時間 → 0時間(年間500時間の削減)
Aさんは「地方だからと諦めなくて良かった。準備をしっかりすれば、都市部の候補者と対等に戦える」と振り返っています。


転職後の立ち上がり戦略については、転職後4ヶ月でチームリードを任されたエンジニアの立ち上がり戦略も参考にしてください。



フルリモート転職を成功させるオンライン面接の準備
フルリモート求人の面接は、ほぼ100%オンラインで行われます。
対面面接とは異なるコツを押さえておきましょう。
技術環境の準備
オンライン面接の第一印象は、技術環境によって左右されます。
- 通信環境:有線LAN接続を推奨。Wi-Fiの場合は回線速度を事前に確認
- 音声品質:外付けマイク(ヘッドセットまたはコンデンサーマイク)を使用。内蔵マイクは音質が悪くなりがち
- 映像品質:外付けWebカメラ(1080p推奨)とリングライトで顔を明るく映す
背景・服装の整え方
バーチャル背景はできれば避け、実物の整理された背景を用意しましょう。本棚や観葉植物が映る背景は、信頼感を与えやすいです。
服装は、カジュアルOKの企業でも面接時は襟付きシャツがベター。リモート企業でも「初対面」の印象は重要です。
コミュニケーションの工夫
オンライン面接では、対面よりも意識的に表情やリアクションを大きくする必要があります。
- 相槌:うなずきを大きめにし、「なるほど」「承知しました」と声に出して反応
- 視線:画面ではなくカメラを見て話すと、相手には目が合っているように見える
- 間:相手が話し終わってから1秒待って話し始めると、被りを防げる
面接対策については、生成AIでエントリーシートが均質化する時代の転職活動:面接で差がつく準備チェックリストも参考になります。
さらなる年収アップやキャリアアップを目指すなら、ハイクラス向けの求人に特化した以下のサービスがおすすめです。
| 比較項目 | TechGo | レバテックダイレクト | ビズリーチ |
|---|---|---|---|
| 年収レンジ | 800万〜1,500万円ハイクラス特化 | 600万〜1,000万円IT専門スカウト | 700万〜2,000万円全業界・管理職含む |
| 技術スタック | モダン環境中心 | Web系に強い | 企業によりバラバラ |
| リモート率 | フルリモート前提多数 | 条件検索可能 | 原則出社も多い |
| おすすめ度 | 技術で稼ぐならここ | A受身で探すなら | Bマネジメント層向け |
| 公式サイト | 無料登録する | - | - |



まとめ
地方在住エンジニアがフルリモート転職で年収アップを実現するためには、求人の見極め・面接準備・年収交渉の3つを戦略的に進めることが重要です。
本記事のポイントを振り返りましょう。
- フルリモート求人の3つの壁:フルリモートの実態確認、地方格差による年収提示、オンライン面接のアピール
- 求人選定のコツ:「完全フルリモート」「居住地不問」のキーワード、企業のドキュメント文化を確認
- 年収交渉:「居住地による差はつけない」方針の企業を優先し、同一労働同一賃金を主張
- オンライン面接:技術環境・背景・服装を整え、カメラを見て相槌を大きくする
地方に住んでいることは、フルリモート転職においてハンデではありません。むしろ「通勤時間ゼロで生産性が高い」「生活コストを抑えて自己投資に回せる」といった強みに変えられるのがフルリモートの魅力です。
まずは今日から、フルリモート求人に強いエージェントに登録して、自分の市場価値を確認することから始めてみてください。












