お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
先日、あるデータエンジニアの方から相談を受けました。
「大手メーカー系列のデータ分析組織で5年働いてきたけど、このまま同じ環境にいていいのか不安になってきた」と。
JTC(Japanese Traditional Company、いわゆる大手日系企業)で働くエンジニアの多くが、30歳前後で同じような悩みを抱えます。
安定した環境で着実にスキルを積んできたはずなのに、ふと周りを見渡すと、スタートアップやSaaS企業で活躍する同世代のエンジニアが眩しく見える。
「自分の市場価値は本当に上がっているのだろうか」
「このまま10年後も同じ仕事をしているのだろうか」
私自身、PjMとしてJTC出身のエンジニアを何人も採用してきましたし、逆にJTCへ転職していくメンバーも見てきました。
その経験から言えるのは、JTCからの転職は「脱出」ではなく「選択」だということです。
本記事では、JTCからSaaS企業への転職を検討しているエンジニアに向けて、成長環境を選ぶための判断基準と具体的な準備方法を解説します。
JTCエンジニアが感じる「漠然とした不安」の正体
JTCで働くエンジニアが感じる不安は、多くの場合「成長実感の欠如」に起因しています。
これは環境の問題であると同時に、自分自身のキャリア設計の問題でもあります。
JTCの構造的な特徴
JTCのIT部門やデータ分析組織には、以下のような構造的特徴があります。
- 分業体制の徹底:企画・開発・運用が分離され、一人のエンジニアが担当する範囲が限定的
- ベンダー依存:実装の多くを外部ベンダーに委託し、社内エンジニアは要件定義や調整業務が中心
- 技術選定の保守性:実績のある技術を優先し、新しい技術への挑戦機会が限られる
- 評価軸の曖昧さ:技術力よりも調整力や社内政治力が評価されやすい
これらは必ずしも「悪い」わけではありません。
大規模組織を安定的に運営するためには合理的な仕組みです。
しかし、エンジニアとしての成長を求める人にとっては、物足りなさを感じる要因になります。
私がPjMとして関わったプロジェクトでも、JTC出身のエンジニアが「自分で手を動かしたい」「技術的な意思決定に関わりたい」と話すことが多くありました。
キャリア設計の基本を学びたい方には、転職と副業のかけ算がおすすめです。自分の市場価値を客観的に把握するフレームワークが紹介されています。
関連記事として、中堅エンジニアがキャリアの壁を感じる理由と突破法も参考になります。

SaaS企業への転職で得られるもの・失うもの
JTCからSaaS企業への転職を検討する際、メリットだけでなくトレードオフも理解しておく必要があります。
私のチームでJTC出身者を採用した経験から、リアルな変化をお伝えします。
ケーススタディ:JTCからSaaS企業へ転職したAさんの事例
状況(Before):Aさん(32歳)は、大手メーカー系列のIT子会社でデータ分析基盤の構築を担当していました。
年収は650万円、残業は月20時間程度。
5年間で担当したプロジェクトは3件、いずれもベンダー管理が中心で、自分でコードを書く機会は月に数時間程度でした。
行動(Action):Aさんは転職活動を開始し、従業員200名規模のBtoB SaaS企業のデータエンジニアポジションに応募。
面接では「自分で手を動かしたい」「プロダクトの成長に直接貢献したい」という意欲を伝えました。
技術面接ではSQLとPythonの実装力を問われ、業務外で学習していたdbtやAirflowの知識が評価されました。
結果(After):年収は620万円と若干下がりましたが、入社1年後には720万円まで上昇。
担当範囲はデータパイプラインの設計から実装、運用まで一気通貫となり、週に30時間以上コードを書く環境になりました。
「成長実感が全く違う」とAさんは話しています。
得られるもの
- 技術的な意思決定への関与:技術選定やアーキテクチャ設計に直接関われる
- 実装機会の増加:自分でコードを書き、プロダクトに反映される実感
- 成果と評価の連動:貢献が可視化されやすく、評価に反映されやすい
- 市場価値の向上:モダンな技術スタックでの経験が転職市場で評価される
失うもの・トレードオフ
- 安定性:スタートアップやベンチャーは事業リスクがある
- 福利厚生:大企業の手厚い福利厚生は期待しにくい
- ネームバリュー:「大手〇〇出身」という肩書きの価値
- 初期年収:即戦力でない場合、一時的に年収が下がることも
転職活動の進め方については、エンジニアが転職面接で技術力と人柄を両方アピールする実践テクニックで詳しく解説しています。
思考の整理にはフリーランスの教科書が役立ちます。転職という大きな意思決定を論理的に進めるためのフレームワークを学べます。

転職先を選ぶ判断基準:成長環境の見極め方
SaaS企業といっても、成長環境は企業によって大きく異なります。
私がPjMとして採用に関わってきた経験から、成長環境を見極めるためのチェックポイントを整理します。
技術的な成長環境のチェックポイント
- 技術スタックの新しさ:直近2〜3年で技術刷新を行っているか
- エンジニアの裁量:技術選定にエンジニアがどこまで関与できるか
- コードレビュー文化:レビューが形骸化していないか、学びの機会になっているか
- ドキュメント文化:ADR(Architecture Decision Records)などで意思決定が記録されているか
- 勉強会・登壇支援:社内外での発信が奨励されているか
組織・カルチャーのチェックポイント
- エンジニアの在籍年数:平均在籍年数が短すぎないか(2年未満は要注意)
- マネジメント層の経歴:CTOやEMがエンジニア出身か
- 評価制度の透明性:何をすれば評価されるかが明確か
- リモートワーク方針:柔軟な働き方が認められているか
面接時に「直近1年で導入した新技術は何ですか?」「技術的な意思決定はどのように行われますか?」と質問すると、実態が見えてきます。
転職エージェントを活用する際は、30代エンジニアが年収800万円を突破するためのキャリア設計と転職戦略も参考にしてください。
キャリアの意思決定を体系的に学びたい方には、エンジニアのためのマネジメントキャリアパスがおすすめです。長期的なキャリア設計の視点を得られます。

JTCからの転職を成功させる準備ステップ
JTCからSaaS企業への転職は、準備なしでは難しいケースが多いです。
特に「ベンダー管理中心」だった方は、技術力の証明が課題になります。
転職活動開始前にやるべきこと
- 業務外での技術学習:業務で使えない技術は、個人プロジェクトやOSS貢献で経験を積む
- ポートフォリオ作成:GitHubに公開できるコードを用意する(業務コードは不可なので、個人開発で)
- 技術ブログ執筆:学習内容をアウトプットし、思考プロセスを可視化する
- 資格取得:AWS認定やGCP認定など、客観的なスキル証明を用意する
転職活動中のポイント
- JTC経験のポジティブな言語化:「大規模システムの運用経験」「ステークホルダー調整力」など、強みとして伝える
- 転職理由の明確化:「逃げ」ではなく「成長のための選択」として説明する
- 年収交渉の戦略:初年度は下がっても、成長余地のある環境を優先する判断も
転職活動の具体的な進め方は、転職活動で複数内定を獲得するITエンジニアの並行応募戦略で詳しく解説しています。
転職準備を継続するためのヒントとして、フリーランスの法律も参考になります。フリーランスや転職に関わる法的な知識を得られます。

おすすめエージェント・サービス
JTCからSaaS企業への転職では、IT特化型の転職エージェントを活用することで、マッチング精度が上がります。
読者の状況に応じたサービスの選び方を整理します。
ハイクラス転職を目指す場合
年収700万円以上を目指す場合は、ハイクラス特化のエージェントが有効です。
JTCでの経験を「大規模プロジェクトのマネジメント経験」として評価してもらえるケースが多いです。
ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】は、ITエンジニアのハイクラス転職に特化しており、年収アップを実現した事例が豊富です。
JTCで培った調整力やプロジェクト推進力は、SaaS企業でも高く評価されるポイントです。
自分らしい働き方を重視する場合
年収だけでなく、リモートワークや裁量の大きさを重視する場合は、自分らしく働けるエンジニア転職を目指すなら【strategy career】がおすすめです。
「自分らしく働ける環境」を軸にした求人紹介が特徴で、JTCからの転職相談実績も多いです。
特に、フルリモートやフレックス制度を重視する方には、働き方の条件を細かく指定できるエージェントが向いています。
スカウト型で効率的に進めたい場合
転職活動に時間をかけられない場合は、IT・Webのスカウト転職サービスなら【レバテックダイレクト】のようなスカウト型サービスが便利です。
プロフィールを登録しておくと、企業から直接オファーが届きます。
JTCで働きながら転職活動を進める場合、スカウト型は時間効率が良いのでおすすめです。
複数のエージェントを併用することで、求人の幅が広がります。
ただし、同じ企業に複数のエージェント経由で応募しないよう注意してください。
エージェントごとに得意な企業規模や業界が異なるため、2〜3社を並行して活用するのが効果的です。
エージェント活用の詳細は、PE-BANKとMidworksを比較:高単価フリーランス案件を獲得するためのエージェント選びと活用法も参考になります。

まとめ
JTCからSaaS企業への転職は、「脱出」ではなく「成長環境の選択」です。
押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- JTCの構造的特徴を理解する:分業体制やベンダー依存は「悪」ではないが、成長実感を得にくい要因になる
- トレードオフを把握する:技術的成長と引き換えに、安定性や福利厚生を手放す覚悟が必要
- 成長環境を見極める:技術スタック、エンジニアの裁量、評価制度の透明性をチェックする
- 準備を怠らない:業務外での技術学習、ポートフォリオ作成、技術ブログ執筆で市場価値を高める
30歳前後で「このままでいいのか」と感じるのは、成長意欲がある証拠です。
その違和感を大切にしながら、自分にとっての「成長環境」を見つけてください。
まずは転職エージェントに登録して、自分の市場価値を客観的に把握することから始めてみてはいかがでしょうか。