お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
2026年の転職ドラフトに4回(4月回・5月回・6月回・6月ハイクラス回)参加し、9月から新しい会社で働き始めました。40歳、Webエンジニア12年目です。結論から書くと年収は200万円以上上がったのですが、この記事で一番書きたいのは金額の話ではありません。同じところで詰まっている人の役に立てばと思って、うまくいかなかったことも含めて書きます。
なお、こちらの記事は転職ドラフト体験談投稿キャンペーンに参加しています。
何をしている人か
前提として、私がどういうエンジニアなのかを先に書いておきます。転職活動の結果は「誰がやったか」でかなり変わるので、スペックを先に出しておいた方が読みやすいと思います。
- 年齢・経験:40歳、Webエンジニア12年目
- 技術領域:PHP・Go・Python でのバックエンド開発が中心
- 役割経験:過去に何度かプレイングマネージャーとして、チームの設計・実装・レビューを担当
- 直近1年:AIまわりに全振り。画像・動画生成ツールを作って広告の制作工数を削減、AI駆動開発のベース作り
- 業務外:Google Play で公開しているアプリ、LLMを組み込んだ開発関連ニュースのキュレーションサービス「DevPick」、このブログの記事生成の自動化、そのためのVPSの運用
- 家庭:妻と子ども2人。住宅の購入も検討中
学歴や社名で目を引くタイプではありません。家庭の状況からしても、勢いだけで動ける立場ではありませんでした。
一方で、業務外の項目はどれも仕事ではなく、自分の金と時間でやっているものです。この「業務外でも手を動かし続けている」という点が、結果的に転職市場でいちばん効きました。理由は後で書きます。
IT女子 アラ美なぜ転職ドラフトだったのか
過去の転職活動を振り返ると、私は「引っ張られる形」でしか良い結果が出ていません。
エージェント経由で一般応募を大量に出した時期がありましたが、面談の数だけ増えて疲弊して終わりました。逆に、X(旧Twitter)のDMで声をかけてもらった経験は、話がスピーディーに進んで良い出会いになっています。この差はずっと自分の中で引っかかっていました。
理由は自分でもある程度わかっていて、私の実績は書類の見出しに乗りにくいタイプだからです。学歴も社名も派手ではなく、価値があるのは「実際に何を作って、どう組織に組み込んだか」という中身の方にあります。書類で足切りされる導線だと、そこまで読まれる前に終わってしまいます。
転職ドラフトは、企業側がレジュメを読み込んだ上で年収を明示して指名してくる仕組みです。つまり「読まれた上で声がかかる」チャネルなので、自分の構造と噛み合っていました。実際、届いた指名文にはレジュメの具体的な記述を引用してくるものが多く、書類選考で消えるという最初のハードルがそもそも存在しませんでした。
自分の強みが「書類映え」なのか「読み込まれたときの中身」なのかで、選ぶべきチャネルは変わります。私は後者だったという、それだけの話です。



レジュメで意識したこと
指名を得るためにやったことは、正直そんなに凝ったことではありません。業務の話と、業務外の話を両方書いた。これに尽きます。
業務側は定石通りです。「何人のチームで、どういう課題があって、何をして、どうなったか」を数字込みで書きました。ここは転職活動の入門記事に書いてあることと同じで、特別な工夫はしていません。
効いたのは業務外の方でした。個人でアプリを公開していること、LLMを組み込んだサービスを自分のサーバーで本番運用していること、Claude Codeを使った開発フローの整備やブログの記事生成の自動化を続けていること。こういった、業務経歴書には載らない活動を明示的に書きました。
生成AI活用の求人はいま非常に多いのですが、企業側から見ると「業務で少し触った人」と「自分の金と時間で本番運用まで持っていった人」は全然違って見えるようです。実際、指名文で言及されたのはほぼ後者の方でした。
本番運用というのは、動くものを作って終わりではなく、落ちたら自分で直し、コストを払い続け、使う人の反応を受け止めるところまでを含みます。そこを一度でも通っているかどうかは、たしかに文章から伝わるのだと思います。



指名をどう絞ったか
ありがたいことに複数社から指名をいただきましたが、年収順には並べませんでした。
これは意識してそうしたというより、やってみたらそうなったという方が近いです。最も高い提示をいただいた会社よりも、提示額が下の会社に対して「話を聞きたい」という気持ちの方が強い、ということが普通に起きました。私にとって年収は判断の主軸ではなく、一定のラインを超えたら他の軸で決まるものだったようです。
代わりにやったのは、承諾する前に自分の「これは無理」を先に言語化しておくことでした。
- 事業領域:ソーシャルゲーム、ギャンブル系(オリパ含む)は対象外。それ以外は業界を問わない
- 組織規模:20人以下の小規模スタートアップは対象外。上場もしくは上場準備中で50人以上
- 年齢構成:経営陣が自分より大幅に若い会社、エンジニアが20代中心の組織は避ける
- 役割:手を動かし続けられること。上流だけのポジションは指名段階でお断りする
特に後半2つは、過去の失敗から出てきた基準です。20代中心の組織で話が合わなかった経験も、上流に寄り切って手応えを失った経験も、実際にありました。
ポイントは、「なんとなく嫌だった過去」を条件に翻訳しておくと、指名を受けた瞬間に判断できて速いということです。言語化していないと、指名が来るたびにゼロから悩むことになります。明確に条件から外れている指名は承諾せず早めにお断りして、条件では判断できない曖昧な違和感だけをカジュアル面談で確認する、という切り分けにしました。



一番の発見:私は「技術を審査される選考」で通らない
ここが本題です。
選考を進めるうちに、はっきりした傾向が出ました。技術力を直接審査する選考——過去の開発経験を深掘りしていく口頭の面接と、コーディング試験。形式を問わず、受けたところは全部落ちました。
一方で、口頭中心で、志向性やこれまでの取り組み方を聞かれる形式の面接では通りました。最終的に内定をいただいた会社がこれです。
面白いのは、落ちた会社のうち何社かは自分の手応えが良かったことです。会話も弾んで、面接官から「次のステップで」といったニュアンスの言葉ももらって、それでもお見送りでした。逆に、通った会社の面接では「うまく答えられなかった」と感じた瞬間が何度もありました。手応えは合否をまったく予測しないというのを、繰り返し確認することになりました。
なぜ落ちるのかは、自分なりに答えが出ています。私の12年は「サービスを止めずに直し続けた12年」であって、「難しい技術課題を解いた12年」ではありません。この2つは、日々の仕事としては同じくらい大変なのですが、面接で語れる形が違います。
前者は「そのとき何が起きていて、どう塞いだか」という話になり、後者は「なぜその技術を選んだのか」を根拠から積み上げる話になります。技術深掘りの面接で求められるのは後者で、私はその筋肉が弱い。準備すれば話す内容自体は出せるようになりましたが、その場で深掘りに耐える強度までは届きませんでした。コーディング試験の方も、受けた直後の自己評価が「全部中途半端」で、結果もそのとおりでした。
これは反省でもありますが、同時に戦い方の設計情報でもあります。落ちた事実そのものより、「どの形式で落ちたか」に規則性があったことの方が、私にとっては価値がありました。



だから「選考フローを最初に聞く」ことにした
傾向が見えてから、カジュアル面談の冒頭で必ずこれを聞くようにしました。
選考フローに、コーディングテストや設計課題の提出はありますか?
これは相手を値踏みしているわけではなく、自分の勝率が最も動く変数がここだからです。実際、公開情報を調べただけでは形式がわからない会社がほとんどでした。
そして重要なのは、案内された内容と実際が一致しないことがある点です。「技術課題はありません」と案内されていたのに、実際には「口頭での技術深掘り面接」だった、ということが複数回ありました。企業側からすれば、課題の提出物がないので「技術課題なし」なのですが、受ける側の負荷は技術審査そのものです。事前案内は、実際の深掘り度を過小に表示します。ここは覚えておいて損がないと思います。
聞いた結果でどうしたかというと、試験があると分かった会社は辞退しました。1社はリアルタイムで画面共有しながらコーディングする形式、残りは自社サービスを題材にしたAPI・DB設計の試験でした。
正直に書くと、ここは逃げです。受けた技術審査は全部落ちて、受けていない技術審査からは自分で降りている。並べればそういう形になります。
ただ、逃げていると自覚した上でも同じ判断をしました。私は試験対策を重く見積もると準備そのものが嫌になって選考ごと降りたくなる性質があり(次の章に書きます)、無理に受けても対策が進まないまま当日を迎えるのが目に見えていたからです。勝てないフィールドで消耗するより、勝てるフィールドの会社に時間を使う。この見極めが早くできるようになってから、活動全体はだいぶ楽になりました。
代わりに引き受けたのは、その分だけ受けられる会社が減るというコストです。実際、選択肢はかなり絞られました。これは万人に勧められる判断ではありません。技術審査を通せる人はそのまま受ければいいですし、伸ばす方に賭けるのも当然ありです。私は、限られた時間をどちらに使うかで後者を選ばなかっただけです。



面接対策でやったこと・やらなかったこと
私は面接対策が本当に苦手で、重い準備計画を立てると準備が嫌になって選考自体を辞退したくなるという困った性質があります。実際、それで過去に1社辞退しています。準備の重さが、選考そのものを降りる理由になってしまうわけです。
なので、今回は「続けられる形」だけを残しました。
やったのは、自分の手で書き出すことだけです。具体的には次の3つでした。
- 自分の代表的な経験を6本くらい選ぶ
- 各テーマについて「まず聞かれること」と「その次に来る追撃質問」を先に書き出しておく
- 後日、質問だけが並んだシートを見て、答えを思い出しながらもう一度書く
逆に、やらなかったことは次の3つです。
- 声に出しての模擬面接(続かない)
- AIに要約させた資料を読む(読んでいるだけで頭に入らない)
- 資料の量を増やすこと
要するに、受動的なインプットを全部やめて、能動的に書く行為だけ残したということです。文章を「読む」より「書き直す」方が圧倒的に定着しました。3つ目の「質問だけを見て答えをもう一度書く」が特に効いていて、これは思い出せなかった箇所がそのまま弱点として見えるからだと思います。準備が嫌いな人ほど、書く形式に振り切るといいと思います。
あともう1つ、面接では自分を小さく見せる前置きを言わないと決めていました。「私は◯◯の専門家ではないのですが」といった枕詞です。あれを一度言うと、その面接の残り全部が言い訳のトーンになります。知らないことは「知りません、ただこう考えます」と言えばいいだけでした。



転職ドラフトの「90%ルール」は思っていた以上に効いた
転職ドラフトには、指名時に提示された年収の90%を下回るオファーは出せないというルールがあります。指名した企業は、あとから大幅に金額を下げることができない仕組みです。
これ、条件交渉のためのルールだと思っていたのですが、実際に効いたのは別のところでした。
最終選考に合格した時点で、年収の下限が確定するのです。指名額の90%という数字がすでに決まっているので、最終合格の連絡をもらった瞬間に「最低でもここまでは出る」が確定します。私の場合、その下限の時点で現職より100万円以上増えることが確定していました。オファー面談で金額が提示されるのを待つ必要がありません。
これが何をもたらすかというと、現職に残るという選択肢の検討が、そこで終わるということです。
普通は「いくら出るかわからないから、現職と天秤にかけて悩む」時間が発生します。オファー面談まで結論が出せず、そのあいだ退職を切り出すこともできません。その時間が丸ごと消えたので、退職を上長に伝える日程を、オファー面談より前に決めることができました。
金額そのものはもちろん大事ですが、意思決定のタイミングを前倒しできることの方が、実際に活動している最中の価値は大きかったと感じています。悩む期間が短いというのは、それだけで消耗が減ります。



大変だったこと
きれいな話ばかりでもないので、正直に書きます。
平日夜の面接がしんどい。家族がいると、自宅での夜の面接は同居している側にも気を使わせます。子どもの声が入らないようにする配慮を、こちらではなく家族側にさせてしまう構図です。途中から、可能な限り午前中の枠でお願いするようにしました。半休を取る方が結果的に負担が小さいです。日程調整では「夜なら空いています」と言いたくなりますが、朝に倒した方がいいというのが実感です。
在職中の並行は隠しきれない。私の場合、活動が進むにつれて会社側にもある程度は察されていました。有給や半休の取り方に傾向が出ますし、面談の数が増えれば自然とそうなります。ここで保った線は、嘘をつかず、かつ確定していないことは言わないということでした。「考えてはいます」で止める。相手が材料を持っている状態で嘘をつくと、後で全部壊れます。
連敗はメンタルに来る。落ち続けた時期は、正直かなり効きました。自分の12年が否定されているような気分になります。ただ、後から選考記録を読み返すと、そのうち1社はお見送り理由が「現在のポジション状況」に触れる文面で、こちらの出来だけの問題ではなさそうでした。連敗を全部ひとつの暗い物語に束ねないというのは、渦中では難しいですが大事だと思います。記録を残しておくと、後から冷静に切り分けられます。



結果
内定をいただいたのは、大手事業会社のAI領域の新設組織です。
生成AIの活用が個別最適・PoC止まりになっている状態を、全社の標準として仕組み化していくポジションで、開発7割・マネジメント3割という比重も、私が「手を動かし続けたい」と言い続けてきた形とそのまま噛み合いました。指名を絞るときに決めた「上流だけのポジションは受けない」という条件が、ここで効いています。
働き方も出社頻度の異なる複数のスタイルから選べる制度で、フルリモートも可能ですが、私は出社中心のスタイルを選びました。上場グループで安定していて、家族のライフステージや住宅ローンの観点でも問題がありません。組織規模の条件も満たしています。
そして何より、指名文に書かれていた期待と、実際に会って聞いた課題と、入社後にやることが、ほぼズレていません。これは転職ドラフトの構造の良いところだと思います。年収を明示して指名するということは、企業側もそれなりに読み込んで、それなりの覚悟で出しているということなので、そこに書かれた期待は空手形になりにくいのだと思います。
技術審査の選考で落ち続けていた最中は、こういう着地になるとは思っていませんでした。



まとめ
これから転職ドラフトを使う人に向けて、私の経験から言えることを3つだけ書いておきます。
1つ目は、レジュメに業務外のことも書くことです。生成AI領域では特に、自分の金と時間で本番運用まで持っていった経験が強く効きます。趣味の個人開発を「業務じゃないから」と省略するのはもったいないです。
2つ目は、選考フローの形式をカジュアル面談の冒頭で聞くことです。コーディングテストの有無、設計課題の有無。これで自分の勝率が大きく動くなら、最初に確定させるべき情報です。事前案内は実際の深掘り度を過小に表示します。
3つ目は、「これは無理」を先に言語化しておくことです。指名を受けてから悩むのではなく、承諾ボタンを押す前に自分の基準を決めておく。年収順に並べるのをやめると、判断がずっと速くなります。
40歳で、技術を審査される選考には落ち続けて、それでも年収は200万円以上上がって、規模や環境など希望を全て満たす企業に着地しました。私が今回いちばん学んだのは、通らない選考があることは、通る選考がないことを意味しないということです。落ちた事実より、どの形式で落ちたかの規則性の方に情報があります。自分がどっちのフィールドで戦っているのかを知るところからだと、今は思っています。












