
GitLab 18のAIコード支援機能を活用した開発効率化:Duo Code Suggestionsの実践ガイド
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「GitHub Copilotは使っているけど、GitLabでも同じようなAIコード支援が使えないか」「GitLab CIと連携したAI機能があれば、レビュー工数を削減できるのに」――こうした悩みを持つエンジニアの方は多いのではないでしょうか。
GitLabは2025年5月にリリースしたversion 18.0で、AIネイティブな開発ワークフローを大幅に強化しました。特に「Duo Code Suggestions」は、コード補完だけでなく、チャットベースのコード生成やセキュリティスキャンとの連携まで備えた統合型のAIコード支援機能です。
私自身、PjMとしてチームのGitLab運用を見てきましたが、「CIパイプラインとAI機能が一体化している」という点がGitHub Copilotとの大きな差別化ポイントだと感じています。本記事では、GitLab 18のDuo Code Suggestionsを中心に、AIコード支援機能の設定方法と実践的な活用パターンを解説していきます。
GitLab 18のAI機能の全体像
まずは、GitLab 18で利用できるAI機能の全体像を整理しておきます。GitLabのAI機能は「GitLab Duo」というブランドで統一されており、コード補完・チャット・コードレビュー・セキュリティの4つの領域をカバーしています。
GitLab Duoの主要機能
GitLab Duoには、以下の主要機能が含まれています。
- Duo Code Suggestions:リアルタイムのコード補完と生成。IDE内で動作し、コンテキストを理解した提案を行う
- Duo Chat:自然言語でコードに関する質問ができるチャットインターフェース。コードの説明、リファクタリング提案、テスト生成などに対応
- Duo Code Review:マージリクエストに対するAIベースのコードレビュー。潜在的な問題点やベストプラクティスからの逸脱を指摘
- Duo Vulnerability Explanation:セキュリティスキャンで検出された脆弱性の説明と修正提案を自動生成
達人プログラマーでも語られているように、開発者の生産性を高めるには「ツールを使いこなす」ことが重要です。GitLab Duoは、これらの機能を統合的に提供することで、開発フロー全体の効率化を実現しています。
n8nとWorkatoで比較するAIエージェント構築:ノーコード自動化ツールの選び方と実装パターンでも触れていますが、AIツールの選定では「既存のワークフローとの統合性」が重要な判断基準になります。

Duo Code Suggestionsの設定と基本操作
ここでは、Duo Code Suggestionsを有効化し、実際にIDEで利用するまでの手順を説明します。GitLab 18では、Premium以上のプランでDuo Code Suggestionsが利用可能になっています。
前提条件
Duo Code Suggestionsを利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- GitLabのバージョン:18.0以上(Self-managed)またはGitLab.com
- プラン:Premium以上(Ultimate推奨)
- IDE:VS Code、JetBrains IDE、Neovim(公式拡張機能が必要)
- ネットワーク:GitLab AIサービスへのアクセスが可能であること
グループ・プロジェクトでの有効化
管理者またはグループオーナーは、以下の手順でDuo Code Suggestionsを有効化します。
# GitLab管理画面での設定パス
# Settings > General > Permissions and group features
# グループレベルで有効化
duo_features_enabled: true
experiment_features_enabled: true
# プロジェクトレベルでの上書きを許可
allow_project_level_override: true
VS Codeでの設定
VS Codeを使用している場合、GitLab Workflow拡張機能をインストールし、以下の設定を行います。
// settings.json
{
"gitlab.duoCodeSuggestions.enabled": true,
"gitlab.duoCodeSuggestions.enabledSupportedLanguages": [
"python",
"javascript",
"typescript",
"go",
"ruby",
"java"
],
"gitlab.duoChat.enabled": true
}
リファクタリング(第2版)でも強調されているように、コードの品質を保つには継続的な改善が必要です。Duo Code Suggestionsは、リファクタリングの提案も行ってくれるため、コード品質の維持に役立ちます。
Prompt Caching入門:Claude・GPT-4oのAPIコストを50%削減する実装パターンでも触れていますが、AIツールのコスト管理は重要な観点です。GitLab Duoは定額制のため、利用量を気にせず活用できる点がメリットです。
以下のグラフは、GitLab Duoの各機能の成熟度を比較したものです。コード補完やチャット機能は高い成熟度を誇り、CI/CD連携も実用レベルに達しています。

ケーススタディ:チームでのDuo導入効果
ここでは、実際にDuo Code Suggestionsを導入したチームの事例を紹介します。
状況(Before)
私が関わったプロジェクトでは、5人のバックエンドエンジニアがPythonでAPIサーバーを開発していました。コードレビューに1マージリクエストあたり平均45分かかっており、レビュアーの負担が課題でした。また、新規参画メンバーがコードベースを理解するのに2週間以上かかっていました。
行動(Action)
GitLab 18へのアップグレードに合わせて、以下の施策を実施しました。
- Duo Code Suggestionsの全員有効化:VS Code拡張機能を全員にインストールし、コード補完を標準化
- Duo Chatの活用ルール策定:「コードの意図がわからないときはまずDuo Chatに聞く」というルールを設定
- Duo Code Reviewの導入:マージリクエスト作成時に自動でAIレビューを実行し、人間のレビュー前に基本的な問題を検出
結果(After)
導入から3ヶ月後、以下の効果が確認できました。
- コードレビュー時間:45分 → 25分(44%削減)
- 新規メンバーのオンボーディング期間:2週間 → 1週間(50%短縮)
- コード品質:静的解析の警告数が30%減少(AIが事前に指摘するため)
特に効果が大きかったのは、Duo Chatによるコードベース理解の加速でした。新規メンバーが「この関数は何をしているのか」「このパターンはなぜ使われているのか」をDuo Chatに質問することで、先輩エンジニアへの質問回数が大幅に減りました。
チームトポロジーでも語られているように、チームの認知負荷を下げることは生産性向上の鍵です。AIツールを「チームメンバーの一人」として位置づけることで、知識の偏りを解消できます。
ruri-v3とFaissで構築するRAG実装入門:日本語特化の埋め込みモデルでベクトル検索を始めるでも触れていますが、AIを活用した情報検索は開発効率化の重要な要素です。

発展的な活用パターン
基本的な設定ができたら、より発展的な活用パターンを試してみましょう。ここでは、CI/CDパイプラインとの連携や、セキュリティ機能との統合について解説します。
CI/CDパイプラインでのAI活用
GitLab 18では、CI/CDパイプライン内でDuo機能を活用できます。例えば、マージリクエスト作成時に自動でAIコードレビューを実行する設定は以下のようになります。
# .gitlab-ci.yml
stages:
- ai-review
- test
- deploy
duo-code-review:
stage: ai-review
rules:
- if: $CI_PIPELINE_SOURCE == "merge_request_event"
script:
- echo "AI Code Review is automatically triggered"
# Duo Code Reviewは自動的にMRに対して実行される
# 結果はMRのコメントとして表示される
セキュリティスキャンとの連携
GitLab UltimateプランではSAST(静的アプリケーションセキュリティテスト)とDuoが連携し、検出された脆弱性に対して自動で修正提案を生成します。
# .gitlab-ci.yml(セキュリティスキャン設定)
include:
- template: Security/SAST.gitlab-ci.yml
variables:
SAST_EXCLUDED_ANALYZERS: ""
# Duo Vulnerability Explanationが自動的に有効化される
私のチームでは、この機能によってセキュリティ修正の対応時間が平均2日から半日に短縮されました。脆弱性が検出されたときに「何が問題で、どう直せばいいか」がすぐにわかるため、調査時間が大幅に削減されます。
安全なウェブアプリケーションの作り方(徳丸本)でも強調されているように、セキュリティは開発プロセスに組み込むべきものです。GitLab Duoは、この「シフトレフト」を自然に実現してくれます。
CVE-2025-55182対策ガイド:RSC脆弱性の検出と修正を実践するセキュリティ対応手順でも触れていますが、脆弱性対応は迅速さが求められます。AIによる修正提案は、この対応速度を大幅に向上させます。

まとめ
GitLab 18のDuo Code Suggestionsを中心としたAIコード支援機能について解説しました。
- GitLab Duoは統合型のAI開発支援:コード補完、チャット、コードレビュー、セキュリティの4領域をカバーし、CI/CDパイプラインと自然に連携する
- 導入効果は数値で測定可能:コードレビュー時間の短縮、オンボーディング期間の短縮、コード品質の向上など、具体的な効果が期待できる
- セキュリティとの連携が強み:脆弱性検出から修正提案まで一気通貫で対応できるため、セキュリティ対応の工数を大幅に削減できる
GitHub Copilotと比較すると、GitLab Duoは「DevSecOpsプラットフォームとの統合」という点で差別化されています。すでにGitLabを使っているチームであれば、追加のツール導入なしにAIコード支援を始められるのは大きなメリットです。
まずはDuo Code Suggestionsの有効化から始めて、チームの開発効率化を体感してみてください。






