
エンジニアが情シス・社内SEに転職する前に確認すべき適性と準備チェックリスト
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
先日、私のチームにいたメンバーが「情シスに転職したけど、思っていたのと違った」と相談に来ました。開発エンジニアとして活躍していた彼は、ワークライフバランスを求めて社内SEに転職したものの、半年で再び転職活動を始めることになったのです。
「情シスは楽そう」「残業が少なそう」——こうしたイメージだけで転職を決めると、ミスマッチに苦しむことになります。実際、情シスの仕事は開発エンジニアとは求められるスキルが大きく異なり、技術力よりも調整力や幅広い対応力が重視されます。この記事では、エンジニアが情シス・社内SEに転職する前に確認すべき適性と準備を、私自身の経験と周囲の事例をもとに解説します。
情シス・社内SE転職の前提を整理する
まず、情シス・社内SEへの転職を検討する際に整理しておくべき前提を確認しましょう。多くのエンジニアが持つ「情シス=楽」というイメージは、必ずしも正確ではありません。むしろ、別の大変さがあります。
情シス・社内SEの業務範囲
情シス・社内SEの業務は、企業規模や業種によって大きく異なります。一般的には以下のような業務が含まれます。
- 社内システムの運用・保守:基幹システム、グループウェア、ネットワークの管理
- ヘルプデスク対応:社員からのIT関連問い合わせ対応
- IT資産管理:PC、ソフトウェアライセンス、セキュリティ対策
- ベンダーマネジメント:外部ベンダーとの調整、契約管理
- DX推進:業務効率化、新システム導入の企画・推進
社内SE転職でワークライフバランスを実現する方法でも触れましたが、情シスの仕事は「技術を極める」よりも「社内調整と幅広い対応」が求められます。チームトポロジーでも強調されているように、組織内での役割を理解することがキャリア選択の第一歩です。

情シス・社内SE適性チェックフレームワーク
情シス・社内SEへの転職を検討する際に使える適性チェックフレームワークを紹介します。
適性チェックの4つの軸
情シス・社内SEに向いているかどうかを判断するために、以下の4つの軸で自己評価してみてください。
- 技術志向:最新技術を追いかけたい欲求が強いか。情シスでは「枯れた技術」を安定運用することが多い
- 調整力:社内の様々な部署と折衝し、落としどころを見つける能力
- 安定志向:変化よりも安定を好むか。情シスは「守り」の仕事が中心
- 幅広対応:専門特化よりも、広く浅く対応することを楽しめるか
なぜ中間エンジニアは市場で評価されにくいのかでも触れましたが、キャリア選択では「自分が何を重視するか」を明確にすることが重要です。Measure What Matters(OKR)でも強調されているように、目標設定の明確化がキャリア成功の鍵になります。

ケーススタディ:情シス転職で失敗したAさんの事例
ここでは、実際に情シス転職で失敗したケースを紹介します。このケーススタディを通じて、情シス転職で陥りやすい落とし穴を具体的に理解してください。
状況(Before)
Aさん(32歳・男性)は、SIerで5年間Javaエンジニアとして働いていました。残業が月60時間を超えることも多く、ワークライフバランスを求めて社内SEへの転職を決意しました。
- 年収:550万円(SIer時代)
- 残業:月平均60時間
- スキル:Java、Spring Boot、Oracle
- 転職理由:残業削減、安定した働き方
- 転職活動期間:約2ヶ月
Aさんは「情シスなら残業が少なく、技術も活かせる」と考えていました。しかし、この認識が後に大きなミスマッチを生むことになります。
行動(Action)
Aさんは転職エージェントを通じて、従業員500名規模のメーカーの情シス部門に転職しました。年収は520万円に下がりましたが、「残業が少ない」という条件を優先しました。
面接では「DX推進にも力を入れている」という説明を受けましたが、具体的な質問をしなかったため、実態を把握できていませんでした。入社後に以下の現実に直面しました。
- ヘルプデスク対応が業務の7割を占め、「PCが動かない」「Excelの使い方を教えて」といった問い合わせに追われた
- 技術的な挑戦がほとんどなく、スキルが陳腐化する不安を感じた
- 社内政治に巻き込まれ、予算獲得や部門間調整に疲弊した
- 「DX推進」は名ばかりで、実際には既存システムの保守がメインだった
結果(After)
Aさんは入社6ヶ月で再び転職活動を開始し、最終的にはSaaS企業のカスタマーサクセスエンジニアに転職しました。情シス経験は「顧客の社内IT環境を理解できる」という強みになりましたが、最初から適性を見極めていれば遠回りを避けられたと振り返っています。
Aさんの事例から学べる教訓は、面接で「ヘルプデスク対応の割合」「DX推進の具体的な取り組み」を必ず確認すべきだということです。曖昧な回答しか得られない場合は、入社後のミスマッチリスクが高いと考えてください。
エンジニア転職で失敗しやすいパターンと回避策でも触れましたが、転職前の情報収集と自己分析が成功の鍵です。アジャイルサムライでも強調されているように、小さく試して学ぶ姿勢がキャリアでも重要です。

情シス転職を成功させるための準備ステップ
情シス・社内SEへの転職を成功させるために、以下のステップで準備を進めましょう。
ステップ1:業界・企業規模による違いを理解する
情シスの仕事内容は、業界や企業規模によって大きく異なります。自分がどのような環境で働きたいかを明確にしてから転職活動を始めることが重要です。
- 大企業(1000名以上):専門分化が進み、ネットワーク担当、アプリ担当など役割が明確。ただし裁量は小さく、意思決定に時間がかかる傾向がある
- 中堅企業(300〜1000名):幅広い業務を担当。DX推進など企画的な仕事も任されやすく、経営層との距離も近い
- 中小企業(300名未満):一人情シスになりがち。何でも屋として対応力が求められるが、裁量は大きい
私の知人で情シス転職に成功したBさんは、「中堅企業を選んだことで、ヘルプデスクだけでなくDX推進プロジェクトにも関われた」と話していました。企業規模によって仕事の幅が大きく変わるため、事前のリサーチが欠かせません。
ステップ2:面接で確認すべき質問リスト
情シス転職の面接では、以下の質問を必ず確認してください。これらの質問に対する回答で、入社後のミスマッチを大幅に減らせます。
- 情シス部門の人数と役割分担はどうなっていますか?
- ヘルプデスク対応の割合はどのくらいですか?
- 直近1年で導入したシステムや取り組んだプロジェクトはありますか?
- IT予算の決定権限はどこにありますか?
- 残業時間の実態と繁忙期はいつですか?
- 情シス部門のキャリアパスはどのようになっていますか?
特に「ヘルプデスク対応の割合」は重要です。ヘルプデスクが業務の7割以上を占める場合、技術的なスキルを活かす機会は限られます。逆に、DX推進やシステム企画に力を入れている企業では、エンジニア経験を活かしやすい傾向があります。
ステップ3:転職前に試せる情シス業務体験
いきなり正社員として転職するのではなく、業務委託やスポット案件で情シス業務を体験してみるという選択肢もあります。実際に業務を経験することで、自分に向いているかどうかを判断しやすくなります。
スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアの職務経歴書とプロフィール設計でも触れましたが、転職活動では「聞くべき質問」を事前に準備することが重要です。チーム・ジャーニーでも強調されているように、チームの実態を理解することがミスマッチ防止につながります。

おすすめエージェント・サービス
ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準でも触れましたが、情シス・社内SEへの転職を検討している方に向けて、おすすめのエージェント・サービスを紹介します。
社内SE特化型エージェント
社内SEへの転職を専門に扱うエージェントを活用することで、ミスマッチを防ぎやすくなります。社内SEを目指す方必見!IT・Webエンジニアの転職なら【社内SE転職ナビ】は社内SE求人に特化しており、企業の情シス部門の実態を詳しく把握しています。求人票だけでは分からない「ヘルプデスク比率」や「DX推進の本気度」といった情報を事前に確認できます。
ハイクラス転職を目指す場合
情シス部門のマネージャーやCIO候補として転職を目指す場合は、ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo(テックゴー)】のようなハイクラス向けエージェントが有効です。年収600万円以上の求人が中心で、経営層との距離が近いポジションを紹介してもらえます。
複数エージェントの使い分け
情シス転職では、特化型エージェントと総合型エージェントを併用することをおすすめします。ITフリーランスエンジニアの案件探しなら【techadapt】のようなフリーランス向けサービスも、正社員転職前に「業務委託で情シス業務を経験してみる」という選択肢を提供してくれます。複数エージェントを活用することで情報の偏りを防げます。

まとめ
情シス・社内SEへの転職は、「楽そう」というイメージだけで決めると失敗しやすいキャリアチェンジです。開発エンジニアとは求められるスキルセットが大きく異なるため、事前の適性確認と情報収集が欠かせません。
この記事で伝えたかったポイントを整理すると、以下の3点です。
- 情シスの仕事は「技術を極める」よりも「社内調整と幅広い対応」が中心
- 適性チェック(技術志向・調整力・安定志向・幅広対応)で自己評価することが重要
- 面接で「ヘルプデスク比率」「DX推進の実態」「IT予算の決定権限」を必ず確認する
情シス転職を検討している方は、まず社内SE特化型エージェントに相談し、複数企業の情シス部門の実態を比較してみてください。自分に合った環境を見つけることで、ワークライフバランスと仕事のやりがいを両立できるはずです。転職は人生の大きな決断ですが、適切な準備をすれば、情シスでも充実したキャリアを築くことができます。









