本ページにはプロモーションが含まれています。

転職後4ヶ月でチームリードを任されたエンジニアの立ち上がり戦略:信頼獲得と成果を両立する90日プラン

キャリア,チームリード,ドキュメント,フリーランス,マネジメント,年収,転職

お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

結論から言うと、転職後にチームリードを任されたときは「最初の90日で信頼の土台を築く」ことが、その後のすべてを左右します。

「転職してまだ4ヶ月なのに、いきなりチームリードを任された」「技術力には自信があるけど、新しい環境でどう立ち回ればいいかわからない」——そんな不安を抱えている方は少なくありません。

私自身もPjMとして、転職直後にプロジェクトリードを任された経験があります。結果的にはうまくいきましたが、振り返ると最初の90日間の動き方がすべてを決めていたと感じています。この記事では、転職後にチームリードを任されたエンジニアが、信頼と成果を両立しながら立ち上がるための具体的な戦略を、私の実体験をもとにお伝えします。

なぜ「90日」が重要なのか:新任リーダーの時間軸を理解する

💡 リードポジションへのキャリアアップを実現する
実績豊富なアドバイザーが、マネジメント職への転職を支援します

転職後にリードを任されると、多くの人は「早く成果を出さなければ」と焦ります。しかし、焦って動くと既存メンバーとの関係がこじれ、かえって成果が出にくくなります。ここでは、なぜ「90日」という期間が重要なのかを解説します。

新任リーダーに対する周囲の「観察期間」

新しい環境では、周囲のメンバーはあなたを観察しています。「この人は信頼できるか」「この人についていって大丈夫か」を無意識に判断しているのです。この観察期間はおよそ60〜90日と言われており、この期間に「チームのコミュニケーションパターン」を把握することが重要です。

なぜ焦ると失敗するのか

私が転職直後にリードを任されたプロジェクトでは、最初の1ヶ月間は「聴く」ことに徹しました。技術的な提案は控えめにし、まずはチームの課題や不満を丁寧にヒアリングしました。この判断は正解でした。後から聞いた話では、前任者は着任早々に「自分のやり方」を押し付けて反発を買っていたそうです。

特に注意すべきは、技術的に優秀なエンジニアほど「技術で証明しよう」という誤ったアプローチを取りがちだということです。「このコードはこう書いた方がいい」「このツールを導入すべき」といった提案は、信頼関係ができていない段階では反発を招きます。まずは「この人は話を聞いてくれる」という印象を作ることが先決です。

新任エンジニアリングマネージャーのオンボーディング戦略でも触れていますが、最初の90日は「種をまく期間」と割り切ることが大切です。

オフィスで働くビジネスパーソン

最初の30日:関係構築期の動き方

最初の30日間は、成果を出すことよりも「信頼の土台を築く」ことに集中します。最初に取り組むべきは「チームを知ること」です。

ケーススタディ:前任者の負の遺産を引き継いだケース

状況(Before)

私が転職した会社では、前任のリードが急に退職し、チームに不信感が漂っていました。メンバー5名の平均在籍期間は2年以上、前任者の在籍期間はわずか8ヶ月で、それ以前にも短期間で辞めたリードが2名いました。「また外から来た人がすぐ辞めるんじゃないか」という空気があり、週次の1on1もなく、チームの状況を把握する仕組みがない状態でした。プロジェクトは遅延気味で、技術的負債の返済も手つかずのままでした。

行動(Action)

最初の2週間で全メンバーと30分ずつの1on1を実施しました。この1on1では、自分の話は最小限にし、「今のチームで困っていること」「前任者に言えなかったこと」を聴くことに徹しました。特に意識したのは「1on1の目的は情報収集」という考え方です。自分の考えを押し付けず、メンバーの声を記録し、パターンを見つけ出すことに集中しました。

結果(After)

1on1を通じて、チームが抱えていた3つの課題(ドキュメント不足、リリースプロセスの属人化、技術的負債の放置)が明確になりました。この情報をもとに、2ヶ月目以降の改善計画を立てることができ、メンバーからも「ちゃんと話を聞いてくれる人だ」という評価を得られました。3ヶ月後のアンケートでは、チームの心理的安全性スコアが着任前より15%向上していました。

年収が下がっても転職すべきかの判断フレームワークでも触れていますが、転職後の初動は長期的なキャリアに影響します。

デスクで仕事をするプロフェッショナル

31〜60日目:小さな成果を積み重ねる期間

関係構築ができたら、次は「小さな成果」を積み重ねる期間に入ります。ここで重要なのは「クイックウィン」を意識した行動です。大きな改善は小さな改善の積み重ねから始まります。

「クイックウィン」の選び方

クイックウィンとは、「短期間で成果が見え、チームの負担が軽くなる施策」のことです。私の場合は、1on1で出てきた「リリースプロセスの属人化」を解消するため、リリース手順書を作成しました。作業時間は2日程度でしたが、他のメンバーもリリースできるようになり、チーム全体の負荷が分散されました。

クイックウィンを選ぶ際のポイントは、「自分だけで完結できるもの」を選ぶことです。他のメンバーや他チームの協力が必要な施策は、この段階では避けましょう。まずは自分の力で結果を出し、その実績をもって次の改善につなげるのが効果的です。

クイックウィンの具体例

私が実際に取り組んだクイックウィンは以下の3つです。

  • リリース手順書の作成(2日):属人化の解消、リリース可能なメンバーが1名→4名に増加
  • Slackチャンネルの整理(半日):情報の散逸を防止、重要な通知の見落としが週3件→0件に
  • 朝会の時間短縮(すぐ):30分→15分に変更、「無駄な会議」という不満を解消

技術ブログ運営でエンジニアの市場価値を高める戦略でも触れていますが、成果を可視化することは自分の市場価値を高めることにもつながります。以下のグラフは、転職後90日間の信頼獲得プロセスを示しています。最初の30日は関係構築に注力し、その後60日間で段階的に成果を積み上げていくことで、チームからの信頼が高まっていきます。

転職後90日の信頼獲得プロセス

61〜90日目:チームを巻き込んで変化を起こす

💡 フリーランスという選択肢も検討してみませんか?
高単価案件を獲得できる実績豊富なエージェントが、あなたのキャリアをサポート

60日を過ぎると、チームからの信頼がある程度得られている状態になります。ここからは、より大きな改善に着手できます。ただし、「自分の力で推進する」のではなく、「チームを巻き込んで推進する」ことが重要です。

チームの意思決定に参加させる

新任リーダーがやりがちな失敗は、「自分で決めて自分で動く」ことです。しかし、チームを巻き込まない改善は、たとえ正しくても反発を招きます。

私は技術的負債の解消に着手する際、まずチーム全員でバックログを洗い出すワークショップを開催しました。「アーキテクチャ決定記録(ADR)」の考え方を導入し、「なぜこの負債を優先するのか」をチームで合意形成しました。このプロセスを経ることで、メンバー自身が「自分たちで決めた」という当事者意識を持つようになり、実装フェーズでの協力も得やすくなりました。

具体的には、まず技術的負債を「緊急度」と「影響範囲」の2軸でマトリクスに整理しました。次に、各メンバーに「このうち最優先で解消したい課題はどれか」を投票してもらい、上位3つを候補としました。最後に、チーム全員でディスカッションし、「なぜこれを選ぶのか」「どのように進めるか」を決定しました。この結果、メンバー同士が相互にレビューし合う文化が生まれ、私一人が推進するよりも速く、かつ品質の高い改善が進みました。

権限委譲のタイミング

61〜90日目のもう一つの重要なテーマは「権限委譲」です。すべてを自分で判断するのではなく、メンバーに意思決定を任せる領域を少しずつ広げていきます。最初は小さな範囲(コードレビューのルール決めなど)から始め、成功体験を積ませることが重要です。

権限委譲のポイントは「失敗しても致命的でない領域」から始めることです。例えば、「週次の振り返りミーティングの進行」「開発ツールの選定」「ドキュメントフォーマットの決定」など、チームの生産性に影響するが、ビジネス上のリスクが低い領域を選びます。これにより、メンバーは「任された」という実感を持ちながら、万が一失敗しても大きな問題にならない形で経験を積めます。

私のチームでは、あるジュニアメンバーにCI/CDパイプラインの改善を任せました。最初は不安げでしたが、週1回の短いレビュー会を設けてフォローしながら進めた結果、ビルド時間を40%短縮する成果を出しました。この経験が彼の自信につながり、その後も積極的に改善提案をするようになりました。

次のリーダーを育てる視点

この時期に意識すべきは、「自分がいなくても回るチーム」を作ることです。特定のメンバーに小さな領域のリードを任せ、そのメンバーが成長していく様子を見守ります。これにより、自分はより大きな課題(プロダクト戦略への関与、他チームとの連携など)に集中できるようになります。

次のリーダー候補を見極めるポイントは、「技術力」だけでなく「チームへの影響力」を見ることです。コードレビューでのコメントが建設的か、困っているメンバーに自然と声をかけているか、ミーティングで他のメンバーの意見を引き出しているか——こうした日常の行動からリーダーシップの素養が見えてきます。

結果として、2ヶ月目から3ヶ月目にかけてチームの自律性が高まり、私がいなくても改善が進む状態を作ることができました。

35歳の壁を越えるキャリア戦略でも触れていますが、マネジメントスキルは技術力と並ぶキャリアの武器になります。

ラップトップで作業するプロフェッショナル

まとめ

転職後にチームリードを任されたときは、最初の90日間の動き方がその後のすべてを左右します。

この記事で伝えたかったポイントは以下の通りです。

  • 最初の30日は「聴く」ことに徹し、関係構築に集中する
  • 31〜60日目は「クイックウィン」で小さな成果を積み重ねる
  • 61〜90日目はチームを巻き込んで大きな改善に着手する
  • 焦って動くと失敗する。90日は「種まき期間」と割り切る

転職は新しいキャリアを築くチャンスです。最初の立ち上がりを丁寧に行うことで、その後の活躍につながります。焦らず、段階を踏んでチームとの関係を築いていきましょう。まずは明日から、チームメンバーとの1on1を始めてみてください。90日後には、きっとチームの信頼を得て、次のステップに進む準備ができているはずです。

厳しめIT女子 アラ美による解説ショート動画はこちら