お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
先日、フリーランス案件を探している知人のスキルシートを見る機会がありました。技術スタックは申し分ないのに、書類選考で落ち続けているという相談です。シートを見た瞬間、原因がわかりました。「何ができるか」は書いてあるのに、「何に貢献できるか」が伝わっていなかったのです。
「スキルシートなんて、使える技術を羅列すればいいんでしょ?」
「職務経歴書とスキルシートの違いがよくわからない」
「書類通過率が低いけど、何を直せばいいかわからない」
本記事では、スキルシートで「損しない」ための書き方と見せ方を、多くのエンジニアのアサイン面談を通して見えてきた傾向と、実際に書類通過率を改善した事例を交えて解説します。
スキルシートで「損する」エンジニアの共通パターン
多くのアサイン面談を行う中で、「技術力はあるのに書類で落ちる」エンジニアには共通パターンがあることがわかってきました。
パターン1:技術スタックの羅列だけで終わっている
最も多いのが、使える技術を並べただけのスキルシート。
- 「Java, Python, JavaScript, React, Vue.js, AWS, Docker, Kubernetes…」
- 経験年数は書いてあるが、何を作ったかが不明
- 技術の習熟度がわからない(触ったことがあるレベルなのか、設計できるレベルなのか)
採用担当者は「この人を入れたら何ができるのか」を知りたいのに、技術名だけでは判断できません。
パターン2:業務内容が抽象的すぎる
- 「Webアプリケーションの開発に従事」
- 「サーバーサイドの設計・実装を担当」
- 「チームリーダーとしてメンバーを管理」
これでは、どの規模のプロジェクトで、どんな役割を果たしたのかが伝わりません。
パターン3:成果が数字で示されていない
- 「パフォーマンス改善に貢献」→ 何%改善したのか?
- 「大規模システムの開発」→ 何人月?何PV?
- 「品質向上に寄与」→ バグ件数がどう変化した?
数字がないと、成果の大きさが伝わりません。
キャリアの棚卸しについては、エンジニアが年末年始に実践すべきキャリア棚卸しと目標設定フレームワークも参考になります。
IT女子 アラ美「伝わる」スキルシートの構成と書き方
スキルシートで「損しない」ためには、採用担当者の視点を意識した構成が重要です。
基本構成:4つの必須セクション
- サマリー(概要):3〜5行で「この人は何者か」を伝える
- スキルセット:技術スタックを習熟度付きで整理
- プロジェクト経歴:直近3〜5件を詳細に記載
- 保有資格・自己啓発:客観的な指標を補足
サマリーの書き方:最初の3行で勝負を決める
採用担当者がスキルシートを見る時間は、最初の1分が勝負です。サマリーで「読み進めたい」と思わせることが重要。
改善前のサマリー例
「Webエンジニアとして5年の経験があります。バックエンド開発を中心にフロントエンドも対応可能です。」
この書き方の問題は、具体性がないため、他の候補者と差別化できない点です。採用担当者は1日に何十人ものスキルシートを見るため、「この人は特別だ」と思わせる要素が必要です。
改善後のサマリー例
「BtoB SaaS開発5年。Python/FastAPIを軸に、月間100万リクエストを処理するAPIサーバーの設計・運用を担当。直近ではレスポンス時間を70%短縮するパフォーマンス改善をリードしました。」
この書き方のポイントは以下の3つです。
- 開発領域の明示:「BtoB SaaS」で得意領域を伝える
- 具体的な数字:「月間100万リクエスト」で規模感を伝える
- 成果の可視化:「70%短縮」で貢献度を示す
技術スタックの見せ方:習熟度を明示する
単なる技術名の羅列ではなく、習熟度を示すことで「何を任せられるか」が明確になります。
| 技術 | 習熟度 | 経験内容 |
|---|---|---|
| Python | ◎ 設計可能 | FastAPI/Django、月間100万リクエスト処理するAPI設計 |
| TypeScript | ○ 実装可能 | React/Next.js、管理画面のフロントエンド実装 |
| AWS | ◎ 設計可能 | EC2/ECS/Lambda/RDS/S3、本番環境構築・運用 |
| Kubernetes | △ 学習中 | ローカル環境でのminikube検証 |
市場価値の把握については、エンジニアが自分の市場価値を正確に把握するためのセルフ診断フレームワークも参考になります。



プロジェクト経歴の「ストーリー化」テクニック
スキルシートで最も重要なのが、プロジェクト経歴の書き方です。ここで「貢献度」を伝えられるかが、書類通過率を大きく左右します。
STAR形式でストーリーを構成する
各プロジェクトを以下の形式で整理します。
- S(Situation):どんな状況・課題があったか
- T(Task):自分の役割・任されたタスク
- A(Action):具体的に何をしたか
- R(Result):どんな成果が出たか(数字で)
具体例:Bad → Good の変換
改善前のプロジェクト経歴
「ECサイトのバックエンド開発を担当。APIの設計・実装を行い、パフォーマンス改善にも従事。」
この書き方の問題は、「どの程度の規模のプロジェクトで、どんな成果を出したのか」が全く伝わらない点です。採用担当者は、この人が自社のプロジェクトで活躍できるかを判断したいのに、明確な判断材料がありません。
改善後のプロジェクト経歴
【状況】月間500万PVのECサイトで、決済APIのレスポンス時間が平均2秒を超え、カート放棄率が上昇していた。
【役割】バックエンドエンジニア(チーム5名中、API担当2名のうちメイン担当)
【行動】N+1クエリの解消、Redis導入によるセッション管理の高速化、非同期処理へのリファクタリングを実施。
【成果】レスポンス時間を2秒→0.3秒に短縮(85%改善)。カート放棄率が15%低下し、月間売上が約800万円増加。
この形式で書くことで、「どんな状況で、何をして、どんな成果を出したか」が一目で伝わります。特に金額や改善率などの数字は、採用担当者の記憶に残りやすいです。
面接対策については、エンジニアが「次の会社選び」で失敗しないための企業リサーチ・面接質問チェックリストも参考になります。



ケーススタディ:書類通過率25%→72%への改善事例


あるエンジニアAさん(32歳、バックエンド5年経験)の改善事例を紹介します。
状況(Before)
- 転職活動2ヶ月目、15社に応募して書類通過は4社(通過率25%)
- スキルシートは技術スタックの羅列が中心
- プロジェクト経歴は「〜を担当」「〜に従事」という抽象的な記述
- サマリーがなく、いきなり技術一覧から始まる構成
行動(Action)
- Step1:サマリーを追加し、「BtoB SaaS開発5年、API設計・パフォーマンス改善が強み」と明記
- Step2:技術スタックに習熟度(◎○△)を追加し、得意領域を可視化
- Step3:直近3件のプロジェクトをSTAR形式で書き直し、すべてに数字を入れる
- Step4:「月間100万リクエスト」「レスポンス70%短縮」など、インパクトのある数字を冒頭に配置
- Step5:応募先企業の技術スタックに合わせて、関連する経験を強調するカスタマイズ版を作成
結果(After)
- 改善後1ヶ月で10社に応募、書類通過は7社(通過率72%)
- 面接でも「スキルシートがわかりやすかった」と好評
- 最終的に年収80万円アップのオファーを獲得
- 面接では「サマリーを見た時点で会いたいと思った」というフィードバックも
この事例からわかるように、スキルシートの書き方を変えるだけで、書類通過率は劇的に改善できます。技術力はそのままでも、伝え方を変えるだけで結果が変わるのです。
転職エージェントの活用については、ITエンジニアが転職エージェントを使い分けて希望条件を実現する選択戦略も参考になります。
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まとめ
本記事では、エンジニアがスキルシートで「損しない」ための書き方と見せ方を解説しました。
- 損するパターンを避ける:技術羅列だけ、抽象的な記述、数字なしの成果
- 伝わる構成を作る:サマリー、習熟度付きスキルセット、STAR形式のプロジェクト経歴
- ストーリーで差をつける:状況→役割→行動→成果の流れで「貢献度」を伝える
- 数字で説得力を増す:規模・改善率・成果を具体的な数値で示す
スキルシートは、あなたの技術力を「正しく伝える」ためのドキュメントです。技術力があっても、伝え方で損をしていては意味がありません。「何ができるか」ではなく「何に貢献できるか」を意識して、書類通過率を上げていきましょう。













