40代エンジニアが転職市場で評価される経験の棚卸しと自己PR戦略

2025年12月19日キャリア,プログラミング,働き方,年収,転職

お疲れ様です！IT業界で働くアライグマです！

40代エンジニアの転職成功率は、経験の「量」ではなく「伝え方」で決まります。

「20年以上の経験があるのに書類選考で落ちる」「面接で何をアピールすればいいかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか？

私自身、PjMとして採用面接に関わる中で、40代の候補者を何人も見てきました。技術力は申し分ないのに、自己PRで「これまでの経験を活かして貢献したい」と抽象的に語るだけで終わってしまう人が少なくありません。一方で、同じ40代でも「この人と一緒に働きたい」と思わせる候補者は、経験の棚卸しと伝え方が明確に違います。

この記事では、40代エンジニアが転職市場で正当に評価されるための経験の棚卸し方法と、面接で差がつく自己PR戦略を解説します。

40代エンジニアが転職市場で直面する現実

40代での転職は、20代・30代とは異なる評価軸で見られます。まずはその現実を正確に把握することが、戦略を立てる第一歩です。

企業が40代エンジニアに求めるもの

企業が40代のエンジニアを採用する際、単なる「手を動かせる人」ではなく、以下のような価値を期待しています。

• 即戦力としての専門性：特定領域での深い知見と実績
• 組織への影響力：若手育成、チームビルディング、技術的意思決定
• ビジネス視点：技術だけでなく、事業課題を理解した提案力
• 安定性と継続性：長期的に組織に貢献できる姿勢

逆に言えば、「何でもできます」「新しいことを学びたい」というアピールは、40代では弱みになりかねません。企業は「この人に何を任せられるか」を明確にイメージしたいのです。

書類選考で落ちる40代の共通点

私がPjMとして採用に関わった経験から、書類選考で落ちる40代エンジニアには共通点があります。

• 職務経歴書が「業務内容の羅列」になっている
• 成果が定量化されていない（「〇〇を担当」で終わっている）
• 直近5年の経験が薄い、または技術スタックが古い
• 転職理由が「現職への不満」に聞こえる

特に「20年の経験」を強調しすぎると、「変化への適応力が低いのでは」という懸念を持たれることがあります。役職定年・早期退職を見据えたエンジニアのキャリア防衛戦略でも触れましたが、経験年数よりも「直近で何をしてきたか」が重視される傾向があります。

エッセンシャル思考を読むと、本当に重要なことに集中する思考法が学べます。転職活動でも「すべてをアピールする」のではなく、「何を捨てるか」を決めることが重要です。

経験を「売れる形」に棚卸しするフレームワーク

40代エンジニアの経験は膨大です。それを「企業が買いたくなる形」に整理するためのフレームワークを紹介します。

STAR+Iフレームワークで経験を構造化する

経験を語る際の基本フレームワークとして、STAR法（Situation, Task, Action, Result）がありますが、40代エンジニアにはこれに「Impact（影響範囲）」を加えたSTAR+Iを推奨します。

• Situation（状況）：どんなプロジェクト・組織だったか（規模、技術スタック、課題）
• Task（役割）：自分が担った役割と責任範囲
• Action（行動）：具体的に何をしたか（技術選定、設計判断、チーム運営など）
• Result（結果）：定量的な成果（パフォーマンス改善率、コスト削減額、納期短縮など）
• Impact（影響）：その成果が組織・事業にどう影響したか

40代の強みは「Impact」の部分です。単に「システムを作った」ではなく、「そのシステムによって事業がどう変わったか」まで語れることが、若手との差別化ポイントになります。

【ケーススタディ】経験の棚卸しで転職成功した45歳エンジニア

私の知人Bさん（45歳・バックエンドエンジニア）の事例を紹介します。

状況（Before）：経験20年、転職経験1回の中堅エンジニア

Bさんは新卒で入社したSIerで15年、その後転職した事業会社で5年勤務。Java/Springを中心としたバックエンド開発のスペシャリストでした。年収は750万円。「もう一段キャリアアップしたい」と転職活動を開始しましたが、最初の3ヶ月は書類選考通過率が10%以下でした。

行動（Action）：STAR+Iで経験を再構造化

Bさんは職務経歴書を全面的に書き直しました。具体的には以下の変更を行いました。

• 「〇〇システムの開発を担当」→「月間100万PVのECサイトのバックエンド刷新をリードし、レスポンスタイムを平均2.3秒から0.8秒に改善」
• 「チームリーダーとして5名を管理」→「5名のチームで週次1on1とペアプログラミングを導入し、メンバーの離職率を前年比50%削減」
• 「新技術の導入を推進」→「Kubernetes移行プロジェクトを主導し、インフラコストを年間1,200万円削減。この成功事例が全社標準として採用された」

結果（After）：書類通過率が10%から60%に改善

経験の棚卸しを行った結果、書類選考通過率は60%に改善。最終的に年収850万円のテックリードポジションで内定を獲得しました。Bさんは「同じ経験なのに、伝え方を変えただけでこんなに反応が違うとは思わなかった」と振り返っています。

職務経歴書で差をつけるITエンジニアの転職準備も参考にしてください。仮説思考で紹介されている考え方を使うと、「企業が知りたいこと」から逆算して経歴を整理できます。

以下のグラフは、40代エンジニアの転職成功に影響する要因を重要度順に整理したものです。経験の棚卸しと自己PR力が最も重要であり、技術力だけでは差別化が難しいことがわかります。

面接で差がつく自己PRの構成と伝え方

書類選考を通過したら、次は面接です。40代エンジニアが面接で差をつけるための自己PR戦略を解説します。

「過去→現在→未来」の3部構成で語る

40代の自己PRは、以下の3部構成で組み立てると説得力が増します。

• 過去（実績）：STAR+Iで整理した具体的な成果を1〜2つ
• 現在（強み）：その経験から得た、再現可能なスキル・知見
• 未来（貢献）：入社後、その強みをどう活かすか

よくある失敗は、「過去」の話だけで終わってしまうことです。面接官が知りたいのは「この人がうちに入ったら何をしてくれるか」です。必ず「未来」の話で締めくくりましょう。

40代ならではの強みを言語化する

40代エンジニアには、若手にはない強みがあります。それを明確に言語化できるかどうかが、面接の成否を分けます。

• 失敗経験からの学び：「〇〇で失敗した経験から、△△を学び、以降は□□を徹底している」
• 技術選定の判断軸：「新技術を採用する際は、〇〇と△△の観点で評価し、チームの習熟度も考慮して判断している」
• 組織への影響力：「技術的な意思決定だけでなく、〇〇の仕組みを作ることでチーム全体の生産性を上げてきた」

私自身、PjMとして面接に同席する際、40代の候補者には「最近、技術的に難しい判断を迫られた場面はありますか？」と質問することがあります。この質問への回答で、その人の経験の深さと言語化能力がわかります。

中堅エンジニアがキャリア停滞を抜け出す90日設計で紹介しているフレームワークも、自己PRの整理に活用できます。チーム・ジャーニーを読むと、チームでの成長体験をどう語るかのヒントが得られます。

40代からのキャリア戦略：市場価値を維持・向上させる

転職活動は「点」ではなく「線」で考える必要があります。40代からのキャリア戦略として、市場価値を維持・向上させるための具体的なアクションを紹介します。

社外での可視化を意識する

40代エンジニアが転職市場で評価されるためには、社内での実績だけでなく、社外での可視化が重要です。

• 技術ブログ・Qiita・Zenn：専門領域での知見を発信する
• GitHub：OSSへの貢献や個人プロジェクトを公開する
• 登壇・勉強会：社外のエンジニアコミュニティで発表する
• 資格取得：AWS認定やGCP認定など、スキルの客観的証明を得る

「忙しくてそんな時間はない」という声をよく聞きますが、週に2時間でも継続すれば、1年後には大きな差になります。私のチームでも、社外発信を続けているメンバーは転職市場での評価が明らかに高いです。

スカウト型サービスで市場価値を測る

転職を考えていなくても、スカウト型サービスに登録しておくことをおすすめします。どんな企業からどんなポジションでスカウトが来るかで、自分の市場価値を客観的に把握できます。

スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアの職務経歴書とプロフィール設計で詳しく解説していますが、プロフィールの書き方次第でスカウトの質は大きく変わります。セカンドブレインで紹介されている情報整理術を使うと、自分の経験やスキルを体系的に管理できます。

おすすめエージェント・サービス

40代エンジニアの転職では、エージェント選びも重要です。読者の状況に応じたサービスの選び方を整理します。

ハイクラス転職を目指すなら

年収800万円以上、テックリードやマネージャーポジションを目指す場合は、ハイクラス特化のエージェントが有効です。ITエンジニアのハイクラス転職なら【TechGo（テックゴー）】は、実務経験2年以上のITエンジニアを対象にしたハイクラス転職エージェントで、年収アップを狙える正社員ポジションやITコンサル・メガベンチャーなどの高収入求人を多数扱っています。模擬面接は回数制限なく実施してもらえるため、面接経験が浅い40代でも本番で落ち着いてアピールできます。

ITコンサル・上流工程へのキャリアチェンジなら

開発からコンサルや上流工程へのキャリアチェンジを考えている場合は、テックゲートエキスパート｜20代・30代のITコンサル転職がおすすめです。20代・30代向けとありますが、40代前半で上流経験がある方も対象になります。要件定義やPM・PMO、DX推進などコンサル寄りのポジションを中心に、キャリア戦略の棚卸しから面接対策まで伴走してくれます。

スカウト型で効率よく転職活動するなら

忙しい40代エンジニアには、スカウト型サービスも有効です。IT・Webのスカウト転職サービスなら【レバテックダイレクト】は、プロフィールとスキルを登録しておくと、開発言語・フレームワーク・開発工程などの情報をもとに企業側から書類選考免除のスカウトが届きます。フルリモート可否や働き方、技術スタックや開発組織の文化など、エンジニア目線のこだわり条件で求人を検索できるため、効率よく転職活動を進められます。

ITエンジニアが転職エージェントを使い分ける判断基準も参考にしてください。

まとめ

40代エンジニアの転職成功は、経験の「量」ではなく「伝え方」で決まります。

• 企業が40代に求めるのは、即戦力としての専門性と組織への影響力
• STAR+Iフレームワークで経験を「売れる形」に棚卸しする
• 面接では「過去→現在→未来」の3部構成で自己PRを組み立てる
• 社外での可視化とスカウト型サービスで市場価値を客観的に把握する
• ハイクラス特化のエージェントを活用して効率よく転職活動を進める

20年以上の経験は、正しく棚卸しして伝えれば、大きな武器になります。「経験があるのに評価されない」と感じている方は、まず職務経歴書の書き方から見直してみてください。

厳しめIT女子 アラ美による解説ショート動画はこちら