Open-AutoGLM入門:オープンソースAIエージェントで業務自動化を実現する実装ガイド

API,インフラ,エラー,セキュリティ,ドキュメント

お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

「AIエージェントを使って業務を自動化したいけど、商用APIのコストが気になる」「オープンソースのAIエージェントフレームワークを試してみたいけど、どこから始めればいいかわからない」――こうした悩みを持つエンジニアは多いのではないでしょうか。

私自身、PjMとしてチームの業務効率化を推進する中で、AIエージェントによる定型業務の自動化に取り組んできました。本記事では、GitHubで注目を集めているオープンソースAIエージェント「Open-AutoGLM」を使って、業務自動化を実現するための実装ガイドを整理していきます。

Open-AutoGLMとは何か

Open-AutoGLMは、中国のAI研究機関ZAI-Orgが公開したオープンソースのAIエージェントフレームワークです。ブラウザ操作やファイル操作、API呼び出しなどを自律的に実行できるAIエージェントを構築するための基盤として設計されています。

Open-AutoGLMの特徴

Open-AutoGLMには以下のような特徴があります。

  • オープンソース:商用APIに依存せず、自前のインフラで運用可能
  • マルチモーダル対応:テキストだけでなく、画面キャプチャを入力として受け取り、GUIを操作できる
  • 拡張性:カスタムツールやプラグインを追加して機能を拡張できる
  • ローカル実行:機密データを外部に送信せず、ローカル環境で完結できる

GitHubでは公開から短期間で1500スター以上を獲得しており、AIエージェント分野での注目度の高さがうかがえます。

AIエージェントの基本的な考え方については、Mem0でAIエージェントにメモリを持たせる:LangChainと連携した長期記憶の実装パターンも参考になります。

AIエージェントの設計思想を体系的に学ぶには、ChatGPT/LangChainによるチャットシステム構築実践入門が参考になります。

Eyeglasses reflecting computer code on a monitor, ideal for technology and programming themes.

Open-AutoGLMの動作原理と構成

Open-AutoGLMがどのように動作するのか、その仕組みを理解しておくことで、実装時のトラブルシューティングや拡張がしやすくなります。

アーキテクチャ概要

Open-AutoGLMは、以下のコンポーネントで構成されています。

  • Vision Encoder:画面キャプチャを解析し、UI要素を認識する
  • Language Model:ユーザーの指示を理解し、次のアクションを決定する
  • Action Executor:クリック、入力、スクロールなどの操作を実行する
  • Memory Module:過去のアクションと結果を記憶し、文脈を維持する

処理フロー

典型的な処理フローは以下のようになります。

  1. ユーザーが自然言語で指示を入力(例:「Slackで未読メッセージを確認して要約して」)
  2. Vision Encoderが現在の画面状態をキャプチャ・解析
  3. Language Modelが指示と画面状態から次のアクションを決定
  4. Action Executorがアクションを実行(クリック、入力など)
  5. 結果を確認し、タスク完了まで2〜4を繰り返す

AIエージェントの構成パターンについては、n8nとWorkatoで比較するAIエージェント構築:ノーコード自動化ツールの選び方と実装パターンも参考になります。

AIエージェントの設計を深く学ぶには、ソフトウェアアーキテクチャの基礎が参考になります。

下のグラフは、私がPjMとして関わったプロジェクトでAIエージェント自動化を導入した際の、タスク種別ごとの時間削減率をイメージ化したものです。

AIエージェント自動化による業務効率化の効果

Open-AutoGLMのセットアップ

ここからは、実際にOpen-AutoGLMをセットアップして動かすまでの手順を説明します。

前提条件

Open-AutoGLMを動かすには、以下の環境が必要です。

  • Python 3.10以上
  • CUDA対応GPU(推奨:VRAM 16GB以上)
  • Linux環境(Ubuntu 22.04推奨)

インストール手順

リポジトリをクローンして依存関係をインストールします。

git clone https://github.com/zai-org/Open-AutoGLM.git
cd Open-AutoGLM
pip install -r requirements.txt

モデルのダウンロード

Open-AutoGLMで使用するモデルをダウンロードします。

python scripts/download_model.py --model-name autoglm-base

モデルサイズは約10GB程度で、ダウンロードには数分〜数十分かかります。

ケーススタディ:セットアップ時のトラブル

状況(Before)
私のチームでOpen-AutoGLMを導入した際、最初のセットアップでCUDAバージョンの不一致によるエラーが発生しました。システムのCUDAは12.1でしたが、pip installで入ったPyTorchはCUDA 11.8向けにビルドされており、GPUが認識されない状態でした。エラーメッセージは「CUDA driver version is insufficient for CUDA runtime version」で、チームメンバー3名が同じ問題に直面しました。

行動(Action)
以下のコマンドでCUDAバージョンを確認し、PyTorchをCUDA 12.1対応バージョンで再インストールしました。

nvcc --version
pip install torch --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu121

結果(After)
CUDAバージョンを揃えたことで、モデルのロードが正常に完了し、約5分でセットアップが完了しました。その後、同じ手順をチームのセットアップドキュメントに追記したことで、新規メンバーのセットアップ時間が平均45分から15分に短縮されました。

環境構築のベストプラクティスについては、macOSネイティブLinuxコンテナ入門:Docker Desktopを使わない開発環境構築ガイドも参考になります。

Python環境構築の基礎を固めるには、Python自動化の書籍が参考になります。

Professional working on laptop in modern office environment.

Open-AutoGLMの基本的な使い方

セットアップが完了したら、実際にOpen-AutoGLMを動かしてみましょう。

基本的な実行方法

以下のコマンドでOpen-AutoGLMを起動します。

python main.py --task "Googleで今日の天気を検索して結果を教えて"

Open-AutoGLMは指示を受け取ると、自動的にブラウザを起動し、Googleにアクセスして検索を実行し、結果を返します。

カスタムタスクの定義

より複雑なタスクを定義する場合は、設定ファイルを使用します。

task:
  name: "daily_report"
  description: "毎日のレポート作成を自動化"
  steps:
    - action: "open_browser"
      url: "https://analytics.example.com"
    - action: "login"
      credentials: "${ANALYTICS_CREDENTIALS}"
    - action: "export_report"
      format: "csv"
    - action: "send_email"
      to: "team@example.com"
      subject: "本日のレポート"

実行結果の確認

実行結果はログファイルに出力されます。エラーが発生した場合は、ログを確認してデバッグします。

tail -f logs/autoglm.log

AIエージェントのデバッグ手法については、Prompt Caching入門:Claude・GPT-4oのAPIコストを50%削減する実装パターンも参考になります。

AIエージェントの実装パターンを学ぶには、LangChainとLangGraphによるRAG・AIエージェント[実践]入門が参考になります。

Modern technology workspace with multiple monitors displaying code.

業務自動化への応用パターン

Open-AutoGLMを実際の業務自動化に応用するパターンをいくつか紹介します。

パターン1:定型レポートの自動生成

毎日・毎週の定型レポート作成を自動化できます。複数のダッシュボードからデータを収集し、スプレッドシートにまとめ、Slackに投稿するといった一連の作業を自動化できます。私のチームでは、毎朝30分かかっていたKPIレポート作成が、Open-AutoGLM導入後は5分で完了するようになりました。

パターン2:データ収集・スクレイピング

Webサイトからの情報収集を自動化できます。競合サービスの価格調査、求人情報の収集、ニュースのモニタリングなど、定期的なデータ収集タスクに向いています。週次で行っていた競合10社の価格調査が、手動で2時間かかっていたところ、自動化により15分で完了するようになった事例もあります。

パターン3:テスト自動化の補助

E2Eテストの補助として、手動で行っていた画面操作の一部を自動化できます。ただし、本格的なテスト自動化にはPlaywrightなどの専用ツールとの併用を推奨します。

導入時の注意点

Open-AutoGLMを業務に導入する際は、以下の点に注意してください。

  • セキュリティ:認証情報の管理には十分注意し、環境変数やシークレット管理ツールを使用する
  • 監視:自動化タスクの実行状況を監視し、異常があれば通知する仕組みを用意する
  • フォールバック:AIエージェントが失敗した場合の手動対応フローを用意しておく

業務自動化の設計については、AWS LambdaとDurable Functionsで構築するサーバーレスワークフロー:長時間処理の設計パターンも参考になります。

業務自動化の設計思想を学ぶには、アジャイルサムライが参考になります。

Engineers collaborating on a project in a modern workspace.

まとめ

ここまで、Open-AutoGLMを使ったAIエージェント業務自動化の実装ガイドを整理してきました。

・Open-AutoGLMはオープンソースのAIエージェントフレームワークで、ブラウザ操作やファイル操作を自律的に実行できる
・Vision EncoderとLanguage Modelを組み合わせて、画面状態を理解しながらタスクを遂行する
・セットアップにはCUDA対応GPUが必要で、CUDAバージョンの整合性に注意が必要
・定型レポート作成、データ収集、テスト自動化補助など、さまざまな業務自動化に応用できる

Open-AutoGLMは商用APIに依存しないため、コストを抑えながらAIエージェントを試したいチームにとって有力な選択肢です。まずは簡単なタスクから試してみて、徐々に業務への適用範囲を広げていくことをおすすめします。

AIエージェントの分野は急速に進化しているため、公式リポジトリのアップデートを定期的にチェックしながら、最新の機能を取り入れていきましょう。

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