
フリーランスエンジニアが案件を選ぶ側に回るための3ステップ戦略:エージェント活用と単価交渉の実践フレームワーク
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「エージェントから紹介される案件をそのまま受けるしかない」「単価交渉したいけど、断られたらどうしよう」——フリーランスエンジニアとして活動していると、こうした悩みを抱えることがあります。
この記事では、フリーランスエンジニアが「案件を選ぶ側」に回るための3ステップ戦略を紹介します。エージェントの使い分け、単価交渉の実践手法、そして長期的に市場価値を高める習慣化のポイントまで、実践的なアプローチを整理しました。
問題の枠組みと前提の整理
フリーランスエンジニアが案件選びで苦労する根本的な原因は、「情報の非対称性」と「交渉力の不足」にあります。この2つの課題を理解することが、案件を選ぶ側に回るための第一歩です。
情報の非対称性とは何か
多くのフリーランスは、エージェントから提示された案件情報だけで判断しがちです。しかし、エージェント側は複数の候補者を抱えており、必ずしもあなたにとって最適な案件を優先的に紹介しているわけではありません。エージェントにとっては、早く決まる案件を優先したいというインセンティブが働くため、あなたの希望条件よりも「決まりやすさ」が優先されることがあります。
また、同じスキルセットでもエージェントによって提示される単価が異なることがあります。これは、エージェントごとに抱えているクライアント企業や、マージン率が異なるためです。1社だけに依存していると、この差に気づくことすらできません。
交渉力の不足が生まれる背景
単価交渉においても「相場がわからない」「断られたらどうしよう」という不安から、提示された条件をそのまま受け入れてしまうケースが多いです。特にフリーランス1〜2年目は、案件が途切れることへの恐怖から、条件交渉を避けてしまいがちです。
この状況を変えるには、まず自分の市場価値を客観的に把握することが必要です。転職ドラフトを活用したエンジニア転職戦略:スカウト型サービスで年収アップを実現する方法で紹介したように、スカウト型サービスを使って自分の市場評価を確認する方法は、フリーランスにも応用できます。
案件を選ぶ側に回るためには、転職と副業のかけ算を参考に、自分のキャリアの方向性を明確にしておくことが重要です。どんな技術領域で、どんな働き方を目指すのかが定まっていないと、目の前の案件に振り回されてしまいます。

フレームワークの全体像
案件を選ぶ側に回るための3ステップは、以下の構造で成り立っています。それぞれのステップは独立しているわけではなく、相互に関連しながら効果を発揮します。
下のグラフは、フリーランスエンジニア向け案件の単価帯別分布を示したものです。60〜70万円の案件が最も多く、80万円以上の高単価案件は全体の12%程度にとどまります。しかし、この高単価ゾーンに入るエンジニアは、案件を「選ぶ側」に回っているケースが多いのです。
情報収集と市場価値の可視化
最初のステップは、複数のエージェントに登録し、提示される案件の単価帯・条件を比較することです。これにより、自分の市場価値を客観的に把握できます。1社だけに依存すると、その会社の都合で案件が偏るリスクがあります。
具体的には、3〜5社のエージェントに同時登録し、同じスキルセットでどの程度の単価が提示されるかを比較します。この作業を通じて、自分のスキルの市場価値が見えてきます。また、エージェントごとに得意な業界や案件タイプが異なるため、選択肢の幅も広がります。
交渉の土台づくり
2つ目のステップは、単価交渉の準備です。単価交渉は「お願い」ではなく「提案」です。自分のスキルセットと実績を整理し、なぜその単価が妥当なのかを説明できる状態をつくります。
交渉の土台となるのは、過去のプロジェクト実績、保有スキル、そして市場相場のデータです。特に、過去に担当したプロジェクトで達成した成果(コスト削減額、開発期間短縮、品質向上など)を数値で示せると、交渉力が格段に上がります。
長期的なポジショニング
3つ目のステップは、中長期的に「この人に頼みたい」と思われるポジションを築くことです。短期的な案件獲得だけでなく、技術ブログの発信、GitHubでのOSS活動、勉強会での登壇などを通じて、業界内での認知度を高めます。
SES脱出のためのキャリア戦略:自社開発企業への転職を成功させる準備と行動計画でも触れましたが、キャリアの主導権を握るには、自分から動く姿勢が欠かせません。待っているだけでは、案件を選ぶ側には回れないのです。
このフレームワークを実践するうえで、エッセンシャル思考のような書籍でキャリア設計の基本を押さえておくと、判断軸がブレにくくなります。何を優先し、何を捨てるかを明確にすることで、案件選びの軸が定まります。

具体シーン1:現場での適用例
実際に私がフリーランスとして活動していたとき、最初の1年は「紹介された案件をそのまま受ける」スタイルでした。単価は月額60万円程度で、特に不満はなかったものの、もっと高単価の案件があることを後から知りました。
複数エージェント登録で見えた単価差
転機になったのは、複数のエージェントに同時登録したことです。A社からは月額65万円、B社からは月額75万円の案件を紹介されました。同じスキルセットなのに、エージェントによって提示額が10万円以上違うことに驚きました。
この差が生まれる理由は、エージェントごとにマージン率が異なること、そして抱えているクライアント企業の予算感が違うことにあります。A社は中小企業向けの案件が多く、B社は大手企業のプロジェクトを多く扱っていました。
この経験から、1社に依存するリスクを実感しました。複数のエージェントを使い分けることで、相場観が養われ、交渉の材料も増えます。40代エンジニアの転職成功戦略:経験を武器に変えるキャリア設計で紹介した「経験の棚卸し」は、フリーランスの単価交渉でも有効です。
交渉の実践で学んだこと
また、仮説思考を読んで交渉の基本を学んだことで、「なぜこの単価なのか」を論理的に説明できるようになりました。感情ではなくデータで話すことで、相手も納得しやすくなります。
具体的には、以下のような準備をして交渉に臨みました。
過去3年間で担当したプロジェクトの成果を数値化し、開発期間を20%短縮した実績や、バグ発生率を30%削減した事例をまとめました。また、同じスキルセットを持つエンジニアの市場相場を調べ、自分の希望単価が妥当であることを示すデータを用意しました。
この準備があったおかげで、エージェントとの交渉で「なぜこの単価が必要なのか」を明確に説明でき、結果として月額5万円のアップを実現できました。

行動に落とし込む・習慣化のステップ
フレームワークを知っているだけでは意味がありません。実際に行動に移すためのステップを整理します。継続的な習慣として定着させることで、案件を選ぶ側に回る力が自然と身についていきます。
週1回の案件情報チェック
登録しているエージェントのマイページを確認し、新着案件の単価帯・条件をメモします。これを続けることで、相場の変動や需要のあるスキルが見えてきます。
チェックする際のポイントは、単価だけでなく、求められるスキルセットの変化にも注目することです。たとえば、最近はAI関連のスキルを求める案件が増えているといった傾向が見えてくると、次に身につけるべきスキルの方向性も定まります。
月1回のスキルシート更新
直近で身につけたスキルや実績をスキルシートに反映します。古い情報のままだと、エージェントも適切な案件を紹介しにくくなります。
スキルシートの更新では、単にスキル名を追加するだけでなく、そのスキルを使って達成した成果も記載することが重要です。「Pythonを使用」ではなく「Pythonを使用してデータ処理の自動化を実装し、月間40時間の工数削減を実現」のように、具体的な成果を添えることで、エージェントがクライアントに推薦しやすくなります。
四半期に1回のキャリア振り返り
現在の案件が自分のキャリア目標に沿っているかを確認します。惰性で同じ案件を続けていないか、次のステップに向けた準備ができているかをチェックします。
フルリモートエンジニアへの転職戦略:常駐から在宅勤務へ移行するためのスキルと準備で紹介した働き方の選択肢も、定期的に見直すと良いでしょう。キャリアの方向性は固定ではなく、市場環境や自分の価値観の変化に応じて柔軟に調整していくものです。
習慣化のコツは、ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣で紹介されている「小さく始める」アプローチです。最初から完璧を目指さず、まずは週1回の情報チェックから始めてみてください。小さな習慣が積み重なることで、大きな変化につながります。

おすすめエージェント・サービス
フリーランスエンジニアが案件を選ぶ側に回るためには、複数のエージェントを使い分けることが重要です。それぞれのサービスには特徴があり、自分の状況に合ったものを選ぶ必要があります。ここでは、目的別におすすめのサービスを紹介します。
福利厚生を重視するなら
正社員並みの安心感を求めるフリーランスには、フリーランスエンジニアに安心保障と豊富な案件紹介を【Midworks】がおすすめです。交通費・書籍代の補助、経理クラウドの利用料負担など、バックオフィス面のサポートが充実しています。特にフリーランス1〜2年目で、まだ事務処理に慣れていない方に向いています。
フリーランスになると、確定申告や経費管理など、開発以外の業務が増えます。こうした事務作業に時間を取られると、本来の開発業務に集中できなくなります。福利厚生が充実したエージェントを選ぶことで、こうした負担を軽減できます。
営業・事務を任せたいなら
開発に集中したいエンジニアには、設立から四半世紀!フリーランスエンジニアの独立をサポート【PE−BANK】が適しています。1989年設立の老舗で、営業代行・事務代行・確定申告サポートまで一体で提供しています。個人では難しい大手企業との直接契約も、PE-BANK経由なら実現しやすくなります。
特に、営業活動が苦手なエンジニアにとっては、営業代行サービスは大きなメリットです。自分で案件を探す時間を開発やスキルアップに充てることで、長期的な市場価値の向上につながります。
案件を比較検討したいなら
複数のエージェントからの案件を一括で比較したい場合は、国内最大級のフリーランスエンジニア向け案件検索サイト【フリーランスボード】が便利です。30万件以上の案件を横断検索でき、単価相場データやエージェントの口コミも確認できます。情報収集の起点として活用すると、交渉の材料が増えます。
案件検索サイトを使うメリットは、市場全体の動向を把握できることです。どのスキルが需要が高いのか、単価相場はどの程度なのかを把握することで、自分の市場価値を客観的に評価できます。
転職ドラフトを活用したエンジニア転職戦略で紹介したスカウト型サービスと併用することで、正社員転職とフリーランス継続の両方の選択肢を持てます。キャリアの選択肢を広げておくことで、より有利な条件で働ける可能性が高まります。

まとめ
フリーランスエンジニアが案件を選ぶ側に回るためには、情報収集・交渉の土台づくり・長期的なポジショニングの3ステップが重要です。
短期的には、複数のエージェントに登録して相場観を養い、単価交渉の材料を増やすことで、提示条件を鵜呑みにしない姿勢が身につきます。エージェントごとに提示される単価が異なることを理解し、比較検討する習慣をつけることが第一歩です。
長期的には、技術発信やOSS活動を通じて「この人に頼みたい」と思われるポジションを築くことで、案件が向こうからやってくる状態を目指せます。待っているだけでは案件を選ぶ側には回れませんが、自分から情報を発信し、スキルを可視化することで、選ばれる存在になれます。
まずは週1回の案件情報チェックから始めて、自分の市場価値を客観的に把握することから始めてみてください。小さな習慣の積み重ねが、キャリアの主導権を握る力につながります。







