
【初心者向け図解】CursorとObsidianの連携はフォルダを開くだけ!設定と最初の使い方
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
私たち開発者のPC画面は、常に多くのウィンドウで埋め尽くされています。片方にはコードを打ち込むためのエディタ、もう片方には情報を調べるためのブラウザ、そして思考を書き留めるためのノートアプリ。この分散したツール間を絶えず行き来する「コンテキストスイッチ」は、私たちの集中力を静かに、しかし確実に削っていく、見えざるコストです。
もし、AIを搭載した最新のコードエディタが、あなたの個人的な知識ベースを直接読み込み、対話できるとしたら?もし、あなたが書き溜めた無数のメモと、今まさに書いているコードが、同じ空間に存在するとしたら?
そんな開発者の長年の夢を、驚くほどシンプルに実現する組み合わせがあります。それが、AIネイティブなコードエディタ「Cursor」と、知識を育てる“第二の脳”「Obsidian」の連携です。
この記事では、たくさんの図解を交えるようなイメージで、誰でも迷わず最初の一歩を踏み出せるように、設定手順から最初のワークフローまでを一つひとつ丁寧に解説します。AIコーディングと知識管理が融合した、新しい時代の開発スタイルを、ぜひ体験してみてください。
準備するもの:2つの主役の紹介
連携を始める前に、今回の主役となる2つの素晴らしいツールについて、簡単にご紹介します。
AIネイティブなコードエディタ「Cursor」
Cursorは、多くの開発者が慣れ親しんだVSCodeをベースに、強力なAIアシスタント機能をネイティブレベルで深く統合した、まさに「AIと共に思考する」ためのエディタです。コードの自動生成やリファクタリング、エラーの修正、あるいは設計に関する壁打ち相手として、AIが常にあなたの開発をサポートしてくれます。
あなたの第二の脳「Obsidian」
Obsidianは、Markdownで記述する高機能なノートアプリです。最大の特徴は、ノート間のリンクを自由自在に繋ぎ、知識をネットワークのように育てていけること。全てのデータは手元のPCにシンプルなMarkdownファイルとして保存されるため、動作は軽快で、セキュリティやデータの永続性にも優れています。
【図解】今回のゴール:連携後の理想の姿
私たちが目指すのは、これら2つのツールが、お互いの長所を活かしながら、一つの共有された知識ベース(ObsidianのVault)上で機能する状態です。
【あなたのPC】
│
└─📁 ObsidianのVault(あなたの知識のすべて)
│
├─ 📄 project-A-spec.md
├─ 📄 daily-note-2025-06-22.md
└─ 📄 api-memo.md
│
┌──────────┴──────────┐
│ │
💻 Obsidianアプリ 💻 Cursorエディタ
(知識を整理・リンク) (AIでコード化・編集)
[図1:同じフォルダを、知識管理の専門家(Obsidian)と、
AIコーディングの専門家(Cursor)が同時に見ているイメージ]
この状態を作ることで、思考と実装の間にあった壁が取り払われます。
【図解】連携の3ステップ:フォルダを開くだけの簡単設定
それでは、早速連携を設定していきましょう。特別なAPIキーやプラグインは不要で、驚くほど簡単です。
Step 1:Obsidianの「金庫(Vault)」の場所を知る
まず、あなたの知識が詰まったObsidianのノート一式が、PCのどこに保存されているかを確認します。Obsidianでは、このノートを保存しているフォルダ全体を「Vault(ヴォルト:金庫)」と呼びます。
- Obsidianアプリを開きます。
- 画面左下にある設定アイコン(歯車マーク)をクリックします。
- 設定画面の左側メニューから「保管庫」を選択します。
- 「保管庫フォルダー」という項目に、あなたのVaultの絶対パスが表示されています。このパスをコピーするか、場所を覚えておきましょう。
例:
Windowsの場合: C:\Users\YourName\Documents\MyObsidianVault
macOSの場合: /Users/your-name/Documents/MyObsidianVault
Step 2:Cursorでその「金庫(Vault)」を開く
次に、Cursorを起動します。そして、メニューバーから操作します。
- 「ファイル (File)」をクリックします。
- 「フォルダーを開く… (Open Folder…)」を選択します。
- ファイル選択ダイアログが表示されたら、先ほど確認したObsidianのVaultフォルダを選択し、「開く」ボタンを押します。
たったこれだけです。これで、CursorとObsidianの連携設定は完了しました。
Step 3:連携の証拠を確認する
正しく連携ができたか、Cursorの画面で確認してみましょう。画面左側の「エクスプローラー」パネルに、あなたのObsidianのVault名と、その中にあるMarkdownファイルやフォルダがツリー形式で表示されているはずです。
【Cursorの画面】
┌───────────────────────────────────┐
│ EXPLORER │
│ ▼ MYOBSIDIANVAULT │
│ ├─ 📄 project-A-spec.md │
│ ├─ 📄 daily-note-2025-06-22.md │
│ └─ 📄 api-memo.md │
│ │
└───────────────────────────────────┘
[図2:CursorのサイドバーにObsidianのファイル群が表示された様子]
これで、CursorからObsidianのノートを直接編集したり、新しいノートを作成したりできるようになりました。
最初のワークフロー:AIと知識を対話させる
連携した環境で、具体的にどんなことができるのでしょうか。最初の体験として、非常にシンプルで強力なワークフローを試してみましょう。
Obsidianで「やりたいこと」を書く
まず、Obsidianを開き、新しいノートを作成します。ファイル名は例えば ai-task-20250622.md としましょう。
そして、そのノートに、プログラミングで実現したいことを、箇条書きなどの簡単な形式で書いてみます。
ai-task-20250622.md
に書く内容の例:
# AIへの依頼タスク
- PHPで、今日の曜日を日本語(「月曜日」「火曜日」など)で返す関数 `getTodayJapanese()` を作りたい。
CursorでAIに「仕事」を依頼する
次に、Cursorのウィンドウに切り替えます。先ほど作成した ai-task-20250622.md
が、エクスプローラーに表示されているはずなので、これを開きます。
そして、ノートに書いた「PHPで、今日の曜日を…」の部分をマウスで選択し、AIチャット機能(Ctrl+K
または Cmd+K
)を呼び出します。そして、AIにこう指示します。
「この内容でコードを生成してください」
すると、AIはあなたが書いた自然言語の指示を理解し、その下にPHPのコードを生成してくれます。
function getTodayJapanese() {
$week = [
'日曜日', // 0
'月曜日', // 1
'火曜日', // 2
'水曜日', // 3
'木曜日', // 4
'金曜日', // 5
'土曜日', // 6
];
$dayOfWeekIndex = date('w');
return $week[$dayOfWeekIndex];
}
結果を確認し、知識を更新する
生成されたコードをコピーして実際のプロジェクトで使うこともできますし、このままこのノートを「いつでも参照できるコードスニペット集」として保存しておくこともできます。
さらに、このノートに追記してみましょう。「AIが生成したコードは期待通りに動いた。date('w’) で曜日を数値として取得するのがポイントだった。」
これで、「やりたいこと(仕様)」、「完成したコード(実装)」、そして「得られた知見(ナレッジ)」が、すべて一つのファイルに記録されました。 これが、連携が生み出す価値の第一歩です。
PjM/開発者として感じる、この連携の本当の価値
私自身、開発者としてコードを書き、PjMとしてプロジェクトを管理する中で、この連携の本当の価値は「プロジェクトに関わる全ての情報のハブになる」点にあると感じています。
これまで、プロジェクトの仕様書、議事録、個人の技術メモ、そしてソースコードは、それぞれ別の場所に散在していました。この連携環境は、それらすべてをObsidianのVaultという一つの場所に集約し、文脈で繋ぐことを可能にします。
PjMとして書いた議事録のタスク項目から、実装担当者が担当するコードファイルへ直接リンクを飛ばす。開発者が技術調査で得た知見をメモしたノートが、そのままプロジェクトの公式ドキュメントの一部となる。この情報の透明性と流動性の高さは、チーム全体の生産性を飛躍的に向上させます。
まとめ:「知識」と「実装」の壁がなくなる日
CursorとObsidianの連携は、単なるツールの組み合わせを超えた、開発における「思考」と「実装」のサイクルを高速化・円滑化するための、新しいワークフローそのものです。
これまで私たちの頭の中や、別々のアプリケーションの中に存在していた「知識」と「実装」の間の見えない壁は、この連携によって完全に取り払われます。
設定は驚くほど簡単です。さあ、あなたも今日から「第二の脳」と「最強のAIアシスタント」をその手に、思考がそのまま形になる、新しい開発体験を始めてみませんか。