【速攻レビュー】ターミナルが開発の中心に!話題の「Claude Code」をPjMが本音で評価

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

都内の事業会社でPjMとして、最新の開発ツールがチームの生産性にどのような影響を与えるか、常に目を光らせている私です。エンジニアとして長年、高機能なIDE(統合開発環境)の恩恵を受けてきましたが、その一方で、全ての作業の原点である、シンプルでパワフルな「ターミナル(黒い画面)」にも特別な愛着があります。

さて、AIコーディングツールの世界では、CursorやJunieといったGUIベースのエディタやIDE統合型ツールが主流となり、私たちの開発スタイルを大きく変えてきました。しかし最近、その潮流に一石を投じる、全く新しい思想を持つツールが、X(旧Twitter)などの開発者コミュニティで大きな話題となっています。それが、Anthropic社が開発した「Claude Code」です。

その最大の特徴は、「ターミナルが開発の中心になる」という、ある意味で原点回帰とも言えるアプローチです。このニュースを聞いたとき、私は「本当にターミナルだけで、現代の複雑な開発作業が効率化できるのだろうか?」と、期待と少しの懐疑心を抱きました。

そこで今回、PjM兼エンジニアである私が、この話題の「Claude Code」を実際にプロジェクトに導入し、その実力を試してみました。この記事は、その「速攻レビュー」であり、「本音での評価」です。果たして「Claude Code」は、開発の未来を変えるゲームチェンジャーとなり得るのでしょうか?

第一印象:「静かなる巨人」がターミナルに現れた

まずは、私が「Claude Code」を初めて触ったときの印象からお話しします。

インストールと最初の「対話」

インストールは、コマンドラインから数行のコマンドを実行するだけで驚くほどスムーズに完了しました。そして、私が担当しているLaravelプロジェクトのルートディレクトリで、最初の「対話」を試みました。

claude-code "このプロジェクトの概要を、主要な機能と技術スタックを含めて説明して"

このシンプルな指示に対し、Claude Codeは数秒でプロジェクト全体のファイルをスキャンし、「このプロジェクトは、PHP/LaravelとVue3で構築されたECサイトであり、主な機能は商品管理、カート機能、ユーザー認証です。データベースはMySQLを使用しています…」と、驚くほど正確な概要を返してきたのです。特定のファイルを開いていないにも関わらず、AIが自律的に全体像を把握したこの瞬間に、私はこのツールのただならぬポテンシャルを感じました。

GUIの華やかさとは対極にある「CUIの機能美」

そこに広がるのは、私たちが慣れ親しんだターミナルの世界だけ。新しいウィンドウが開くことも、派手なUIが表示されることもありません。全てのやり取りはテキストベースで行われ、その無駄のなさに、私は一種の「機能美」を感じました。これは、開発者の集中を何よりも尊重するという、明確な思想の表れです。

「Claude Code」の“本音”評価:PjMエンジニアが試した3つの機能

では、具体的な機能について、私が実際に試した結果を本音で評価していきます。

本音評価1:プロジェクト全体を理解する「文脈把握能力」は本物か?

【評価】★★★★★(期待以上!)

【試したこと】

既存のPHP/Laravelプロジェクトで、ある機能の改修を想定し、具体的なファイル名を指定せずにこう指示しました。

「ユーザーのパスワード再設定機能に関連する、全てのルート、コントローラー、ビューをリストアップして」

【結果と評価】

驚きました。Claude Codeは、routes/web.phpから該当するルート定義を見つけ出し、それに対応するForgotPasswordControllerのようなコントローラークラスを特定し、さらには関連するBladeテンプレートやメール通知用のクラスまで、見事にリストアップしてくれました。

これは単なるキーワード検索ではありません。Laravelというフレームワークの「お作法」を理解し、ファイル間の意味的な繋がりを把握した上での結果です。このプロジェクト全体を俯瞰する「文脈把握能力」は本物であり、特に大規模で複雑なプロジェクトの全体像を把握したり、新しいメンバーがキャッチアップしたりする際に、絶大な威力を発揮するでしょう。

本音評価2:「自律的タスク実行」はどこまで“任せられる”か?

【評価】★★★★☆(ただし「良質な指示」が必須)

【試したこと】

次に、以前の記事でも試した「このバグ、直しといて」という、より自律性が求められるタスクに挑戦しました。今回は、具体的なバグ報告をプロンプトとして与えました。

「DiscountService.phpにある割引計算のバグを修正して。パーセント割引の後に固定額割引を適用するのが正しいロジックです。修正後、このケースを検証するユニットテストも追加してください。」

【結果と評価】

Claude Codeは、まず「1. 原因箇所の特定、2. ロジックの修正、3. テストコードの作成という計画で進めます」と、その思考プロセスを提示してきました。私が承認すると、計画通りにDiscountService.phpのロジックを修正し、DiscountServiceTest.phpに新しいテストメソッドを追加する差分コードを生成しました。

生成されたコードは品質が高く、そのまま採用できるレベルでした。ただし、最初の実験で試したような「バグ直しといて」という曖昧な指示では、AIはやはり「情報が不足しています」と返してきました。

結論として、明確で質の高い指示さえ与えれば、コーディングからテスト作成までの一連のタスクをかなり高いレベルで「任せられる」と言えます。しかし、AIはエスパーではないため、私たちの役割は「良質な依頼書(プロンプト)」を作成することにシフトしていくのでしょう。

本音評価3:IDE連携の「現在地」と「可能性」

【評価】★★★☆☆(今後に期待)

【試したこと】

現在ベータ版として提供されている、PhpStormとの連携機能も試してみました。

【結果と評価】

IDE内のターミナルからClaude Codeを直接呼び出したり、右クリックメニューから特定のコードブロックについて質問したりできるのは、確かに便利です。GUIの世界から完全に離れることなく、Claude Codeの力を借りることができます。

しかし、正直なところ、その真価と速度、そして没入感を最も感じられるのは、やはり純粋なターミナル上での利用でした。IDE連携は、CUIとGUIの世界を繋ぐ便利な「橋」ではありますが、現時点ではまだ「主戦場」はターミナルにある、というのが私の印象です。今後のさらなる統合深化に期待したいところです。

PjM視点での評価:このツールは「開発の中心」になり得るか?

では、PjMとして、このツールをどう評価し、どう活用すべきでしょうか。

個人の生産性を最大化する「究極のソロワークツール」

まず間違いなく言えるのは、Claude Codeは経験豊富なエンジニア個人の生産性を最大化する上で、現存する最強のツールの一つであるということです。特に、バックエンドの開発や、インフラ関連の作業、あるいは集中してアルゴリズムを実装するといった「ソロワーク」において、その速度とパワーは圧倒的です。

チーム開発における課題と、それを補う「使い方」

一方で、チーム開発全体で見た場合、そのターミナル中心のアプローチは、情報の共有という面で課題を持つ可能性もあります。Roo codeのようなビジュアルな協調ツールとは思想が異なります。

PjMとしては、Claude Codeをチームの標準ツールとすることには慎重になるかもしれません。しかし、個々のエンジニアが生産性を上げるための「個人の武器」として、その利用を積極的に推奨します。そして、重要なのは、Claude Codeを使って得られた成果(修正されたコード、新しい知見など)を、チームの共有ナレッジベース(WikiやObsidianなど)にきちんと記録・共有するプロセスを、チームのルールとして徹底することです。

「ターミナルが開発の中心」という未来への示唆

Claude Codeの登場は、開発の「中心」が、必ずしもリッチなGUIを持つIDEだけではない、ということを改めて示しました。ターミナルの持つ普遍性、速度、自動化のポテンシャルが、AIエージェントの力によって再評価される。そんな未来の到来を予感させます。

まとめ

さて、「【速攻レビュー】ターミナルが開発の中心に!話題の「Claude Code」をPjMが本音で評価」と題してお送りしてきましたが、私の結論はこうです。

Claude Codeは、万人向けのツールではないかもしれない。しかし、ターミナルを愛し、個人の深い集中と生産性を極めたいと願うエンジニアにとっては、まさに「待望の相棒」と呼べる存在だ。

その驚異的な文脈把握能力と、自律的なタスク実行能力は、私たちの開発スタイルを「指示する」「レビューする」という、より高次のレベルへと引き上げてくれます。

PjMとしては、この強力な個の力を、いかにチーム全体の力へと繋げていくか、そのための仕組み作りが新たな課題となります。

GUIか、CUIか。この長年の議論に、AIは「両方、ただし思想は違う」という新しい答えを提示してくれました。このエキサイティングなツールの登場を、一人のエンジニアとして、そしてPjMとして、心から歓迎したいと思います。