お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
突然ですが、今年1年を振り返って、自分のキャリアがどれだけ前進したか即答できますか?年末年始は、1年を振り返りながら次のキャリアを戦略的に設計できる貴重な時間です。
「今年も忙しくて気づいたら年末だった…」
「来年こそキャリアアップしたいけど、何から手をつければいいかわからない」
こんな悩みを持つエンジニアは少なくありません。多くのエンジニアのキャリア相談を受ける中でも、年末年始に「棚卸し」と「目標設定」を行った人ほど、翌年に着実な成長を遂げている傾向が見られます。
本記事では、エンジニアが年末年始に実践できるキャリア棚卸しの5ステップと目標設定フレームワークを、具体的なワークシート形式で解説します。単なる「振り返り」で終わらせず、来年の行動計画に落とし込むところまでを一気にカバーしていきます。
なぜ年末年始の棚卸しがキャリアを左右するのか
エンジニアのキャリアは、日々の業務に追われているうちにあっという間に数年が過ぎてしまいます。キャリアに行き詰まりを感じる人の多くには「振り返りの習慣がない」という共通点があります。
「忙しさ」に埋もれる成長の証
エンジニアは日々の開発業務やトラブル対応に追われがちです。しかし、その忙しさの中で確実にスキルは積み上がっています。問題は、それを言語化して認識できていないこと。転職活動や昇給交渉の場面で「自分の強みがわからない」と悩む人は、この言語化ができていないケースがほとんどです。
年末年始が最適なタイミングである3つの理由
- まとまった時間が確保できる:日常から離れて客観的に1年を振り返れます。
- 区切りのタイミング:年度末や四半期末と違い、業務プレッシャーが少ない時期です。
- 年始の目標設定と連動:振り返りをそのまま来年の行動計画に接続できます。
年末年始のキャリア棚卸しは、エンジニアが自分の市場価値を正確に把握するためのセルフ診断フレームワークと組み合わせると、より精度の高い自己分析ができます。
IT女子 アラ美キャリア棚卸し5ステップフレームワーク
ここで、実際にキャリア面談などの場で使われている5ステップ棚卸しフレームワークを紹介します。このフレームワークは、抽象的な「振り返り」を具体的なアウトプットに変換するための型です。
ステップ1:プロジェクト年表を作成する
まず、今年関わったプロジェクトや業務を時系列で書き出します。
| 期間 | プロジェクト名 | 役割 | 技術スタック | 成果・学び |
|---|---|---|---|---|
| 1-3月 | 決済システム刷新 | 開発リード | TypeScript, PostgreSQL | チーム5名のコードレビュー担当 |
| 4-6月 | API基盤構築 | PL | Go, gRPC | レスポンスタイム30%改善 |
| 7-12月 | マイクロサービス移行 | アーキテクト | Kubernetes, Istio | 可用性99.9%達成 |
ステップ2:スキルマトリクスを更新する
プロジェクト年表をもとに、自分のスキルを「技術スキル」「マネジメントスキル」「ドメイン知識」の3軸で整理します。
- 技術スキル:言語、フレームワーク、インフラ、ツール
- マネジメントスキル:チームリード、プロジェクト管理、採用・育成
- ドメイン知識:業界知識、業務理解、規制・コンプライアンス
ステップ3:成功体験と失敗体験を抽出する
今年最も印象に残った「成功」と「失敗」をそれぞれ3つ選び、何が要因だったかを深掘りします。この分析が、来年の行動指針につながります。
ステップ4:市場価値を客観視する
自己評価だけでなく、転職市場での自分のポジションを確認します。求人サイトで同じスキルセットの募集要項を見たり、スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアの職務経歴書とプロフィール設計を参考にすることで、客観的な立ち位置がわかります。
ステップ5:ギャップを特定する
「今の自分」と「なりたい自分」のギャップを明確にします。このギャップが、来年の目標設定のインプットになります。



目標設定フレームワーク:OKRをキャリアに応用する
棚卸しで得た情報をもとに、来年の目標を設定します。ここでおすすめなのが、Google等で採用されているOKR(Objectives and Key Results)をキャリア目標に応用する方法です。
キャリアOKRの設計方法
Objective(目標)は、1年後に達成したい状態を定性的に表現します。
例:「チームを技術でリードできるエンジニアになる」
Key Results(主要な結果)は、目標達成を測定可能な形で定義します。
例:
- KR1: 技術ブログを月2本公開し、合計24本を達成する
- KR2: 社内LT会で3回登壇する
- KR3: AWS Solutions Architect Professionalを取得する


上記のグラフは、あるチームでの開発メンバーのデータを集計したものです。棚卸しを完全に実施したメンバーは、年度後半の目標達成率が82%と非常に高く、棚卸しをまったく行わなかったメンバーは35%にとどまりました。この差は「目標の明確さ」と「自分の現在地の把握」に強く相関しています。
四半期ごとのマイルストーン設定
年間目標を四半期に分解することで、進捗を定期的にチェックできるようになります。
| 四半期 | フォーカス領域 | 主要アクション |
|---|---|---|
| Q1 | 基礎固め | 学習計画の策定、資格試験の申込 |
| Q2 | アウトプット開始 | ブログ執筆開始、LT登壇1回目 |
| Q3 | 中間振り返り | 進捗確認、計画の軌道修正 |
| Q4 | 仕上げ | 資格取得、年間の総括 |
年収が下がっても転職すべきか:給与以外の価値で判断するエンジニアのキャリア選択フレームワークで紹介したように、目標設定では年収だけでなく成長機会や働き方も考慮することが重要です。



ケーススタディ:棚卸しが転職成功につながった実例
ここでは、年末年始の棚卸しをきっかけにキャリアを大きく変えたあるエンジニアの改善事例を紹介します。
状況(Before)
Aさんは30代前半のバックエンドエンジニア。SIer出身で、大手企業の基幹システム保守を5年担当していました。技術的なチャレンジが少なく、モダンな技術スタックに触れる機会もない状態に悩んでいました。
- 使用技術: Java 8, Oracle DB, オンプレミス環境
- 年収: 480万円
- 不満: レガシーな環境、スキルの陳腐化への危機感
行動(Action)
年末年始に先述の5ステップ棚卸しを実施。その結果、以下のことが明確になりました。
強みとして認識できたこと:
- 大規模システムの影響調査・テスト設計のノウハウ
- 顧客折衝やベンダーコントロールの経験
- 障害対応時の冷静な判断力
ギャップとして認識できたこと:
- モダンな言語・フレームワークの実務経験不足
- クラウドインフラの知識不足
- アジャイル開発の経験がない
このギャップを埋めるため、Q1で個人プロジェクトとしてGoでAPI開発を実施。Q2でAWS認定ソリューションアーキテクトを取得。その上で転職活動を開始しました。
結果(After)
棚卸しで明確になった強みを職務経歴書に反映し、「レガシー環境から抜け出したい」ではなく「大規模システムの経験を活かしてモダンな環境でさらに成長したい」という前向きなストーリーで転職活動を展開。
結果:
- 転職先: 自社開発のSaaS企業(従業員200名規模)
- 技術スタック: Go, PostgreSQL, AWS, Kubernetes
- 年収: 620万円(+140万円)
- 働き方: フルリモート可、フレックスタイム制
棚卸しをしていなければ、自分の強みを言語化できず、転職活動で苦戦していたとAさんは振り返っています。
SESエンジニアが自社開発企業へ転職するための準備と戦略でも紹介していますが、キャリアチェンジでは自己分析の質が成否を分けます。
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まとめ
年末年始のキャリア棚卸しは、単なる「振り返り」ではなく、来年のキャリアを設計するための戦略的な時間投資です。
本記事のポイント:
- 年末年始は業務から離れて客観的に自分を見つめ直す最適なタイミング
- 5ステップ棚卸しフレームワークで体系的に1年を振り返る
- OKRをキャリア目標に応用し、測定可能な形で来年の目標を設定する
- 棚卸しで得た気づきは、転職活動や昇給交渉で大きな武器になる
この年末年始、ぜひ数時間をキャリア棚卸しに充ててみてください。来年の今頃、「あのとき棚卸しをしておいてよかった」と思えるはずです。













