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受託開発から事業会社への転職で失敗しないための適性チェックと準備ロードマップ

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お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

結論から言うと、受託開発と事業会社では「成果の定義」と「時間軸」が根本的に異なります。受託では「納品完了」がゴールですが、事業会社では「プロダクトの成長」が終わりのないゴールになります。この違いを理解せずに転職すると、「思っていたのと違う」というミスマッチが起きやすいのです。

「受託開発の案件を渡り歩くのに疲れた」「自分のプロダクトを育てたい」「ユーザーの反応を直接見たい」——こうした思いから事業会社への転職を考えるエンジニアは多いですが、実際に転職してみると「想像と違った」と後悔するケースも少なくありません。

本記事では、受託開発から事業会社への転職で失敗しないための適性チェックと、転職成功までの準備ロードマップを解説します。

問題の枠組みと前提の整理

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受託開発と事業会社では、エンジニアに求められるスキルや働き方が大きく異なります。この違いを正しく理解しないまま転職すると、入社後に「こんなはずじゃなかった」と感じる原因になります。

まず、受託開発の環境を整理します。受託では「クライアントの要件を満たすこと」が最優先であり、納品・検収というゴールが明確に存在します。プロジェクト単位でチームが編成され、案件ごとに技術スタックが変わることも珍しくありません。短期間で複数の技術を経験できる一方、一つのプロダクトに長期間関わる機会は限られます。

一方、事業会社では「自社プロダクトの成長」が目標であり、明確なゴールがありません。機能をリリースした後も、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返すのが日常です。技術スタックは固定されていることが多く、「どの技術を使うか」よりも「この技術をどこまで深掘りできるか」が問われます。

私がプロダクトマネージャーとして採用面接を担当する中で、受託出身のエンジニアが事業会社で苦労するパターンを多く見てきました。共通しているのは、「納品後に責任から解放される」という感覚が抜けないことです。事業会社では、リリース後もバグ対応、パフォーマンス改善、ユーザーからのフィードバック対応が続きます。私自身、受託出身のメンバーが入社した際、「リリース後に数値を見ながら改善を続ける」という文化に馴染むまで、1on1で何度もすり合わせを行った経験があります。SESエンジニアが自社開発企業へ転職するための準備と戦略でも触れていますが、この違いを事前に理解しておくことが、転職成功の鍵です。

もう一つの大きな違いは「オーナーシップの範囲」です。受託では要件定義から納品までが担当範囲ですが、事業会社では『チーム・トポロジー』が示すように、チームが担当する領域のオーナーシップを持ち、長期的な技術的負債の返済や設計判断の責任を負います。この違いを「成長機会」と捉えるか「負担」と感じるかが、適性を判断する重要なポイントです。

Two business professionals with ID badges use escalator in a contemporary office setting.

フレームワークの全体像

受託開発から事業会社への転職適性を判断するために、私は「5つの適性チェックポイント」を使っています。この5項目のうち4つ以上に「はい」と答えられるなら、事業会社への適性が高いと考えてよいでしょう。

適性チェック1:終わりのないゴールを楽しめるか

事業会社では「リリースして終わり」ではなく、「リリースしてからが本番」です。ユーザー数が増えるとパフォーマンス問題が顕在化し、新機能を追加するたびに既存機能との整合性を考える必要があります。この継続的な改善サイクルを「面倒」と感じるか、「やりがい」と感じるかが適性を左右します。

適性チェック2:技術選定より技術深掘りに興味があるか

受託では案件ごとに新しい技術スタックを経験できますが、事業会社では「この技術でどこまで行けるか」を追求する場面が多くなります。SIerからWeb系自社開発への転職で年収を上げる実践ガイドでも触れていますが、幅広い経験より深い専門性を重視する傾向が強いため、「一つの技術を極めたい」という志向がある方が向いています。

適性チェック3:ビジネス視点を持てるか

事業会社では「なぜこの機能を作るのか」「この機能がビジネスにどう貢献するか」を理解した上で開発を進めることが求められます。『リーン・スタートアップ』が示すように、仮説検証を繰り返しながらプロダクトを成長させるマインドセットが必要です。

適性チェック4:不確実性を許容できるか

受託では要件が(比較的)明確ですが、事業会社では「やってみないと分からない」場面が多発します。MVPをリリースしてユーザーの反応を見て方向転換することも日常茶飯事です。この不確実性を「ストレス」と感じるか、「チャンス」と捉えるかが適性の分かれ目です。

適性チェック5:長期的な関係構築に魅力を感じるか

受託ではプロジェクト単位でチームが解散しますが、事業会社では同じメンバーと長期間働くことになります。チーム内での信頼関係構築や、プロダクトへの愛着を持てるかどうかが、長く働き続けるためのポイントです。

受託開発 vs 事業会社の特徴比較(事業会社寄り度)

転職成功者のケーススタディ

ここでは、実際に受託開発から事業会社へ転職したエンジニアCさん(32歳、受託開発7年目)のケースを紹介します。

状況(Before)

Cさんは中堅SIerで7年間、金融系システムの受託開発に従事していました。技術スタックはJava/Spring中心で、年に2〜3件のプロジェクトを渡り歩く働き方でした。年収は550万円。「案件が終わるたびにリセットされる感覚」「作ったシステムがどう使われているか分からない」という不満を抱えていました。

行動(Action)

Cさんはまず、3ヶ月間でTypeScript/Next.jsを独学で習得し、個人開発でWebアプリをリリースしました。新しい技術スタックを導入し、本番環境に実装したことで、自分のプロダクトを育てる感覚を体験できました。具体的な学習スケジュールは以下の通りです。

  • 1ヶ月目:Udemy「TypeScript実践入門」(12時間)とNext.js公式チュートリアルを完了。毎日帰宅後1時間、土日は各3時間を学習に充てた
  • 2ヶ月目:タスク管理アプリをMVPとして実装し、デプロイ。Next.js App Router、Tailwind CSS、Supabaseを採用し、Vercelにデプロイしたことで本番公開を実現
  • 3ヶ月目:X(旧Twitter)で10名のフィードバックを収集。ユーザーの声を反映してリカーリングタスク機能を追加し、その結果としてアクティブユーザーが5名から12名に増加

この個人開発の経験は、「自分のプロダクトを育てる感覚」を事前に体験するためのものでした。

転職活動では、「なぜ事業会社に行きたいのか」を具体的なエピソード(個人開発でユーザーからフィードバックをもらった体験)で説明できるように準備しました。スカウト型転職サービスで声がかかるエンジニアの職務経歴書とプロフィール設計を参考に、職務経歴書も「プロジェクトの成果」ではなく「自分の判断・行動・成果」を軸に書き直しました。

職務経歴書の具体的な変更点として、「プロジェクト規模:10人月」といった記述を、「API設計を担当し、レスポンス時間を平均200msから80msに短縮。Redisキャッシュの導入により、DBクエリ数を40%程度削減し、ピーク時のレイテンシを安定化させた」のように、自分の貢献と数値を明示する形に書き換えました。

エージェントは特化型を中心に2社利用し、『仮説思考』の考え方を活かして「週1回のペースでフィードバックを受け、書類を改善する」というサイクルを回しました。エージェントからのフィードバックを受けて、「受託の経験を『商流理解』『ステークホルダー調整』という強みとして言語化する」というアドバイスを受け、面接での伝え方をブラッシュアップしました。面接では「受託で培った要件定義力」を武器にしつつ、「プロダクトの成長フェーズにコミットしたい」という意欲を前面に出しました。

結果(After)

転職活動開始から2ヶ月で、BtoB SaaSスタートアップからオファーを獲得。年収は580万円にアップし、フルリモート・フレックス勤務となりました。入社後は「リリース後のユーザーフィードバックを直接見られる」ことにやりがいを感じ、1年後にはテックリードに昇進しています。

ハマりポイント

Cさんが苦労したのは「自分の判断で技術選定をする」場面でした。受託では「クライアントの要件に沿って技術を選ぶ」ことが多かったため、「なぜこの技術を選ぶのか」を自分の言葉で説明する練習が必要でした。この点は入社後も意識的に鍛え、OKRレビューで技術選定の根拠を言語化する習慣を身につけました。

Diverse group of professionals collaborating in an office setting, focusing on teamwork and innovation.

準備ロードマップ

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ここでは、受託開発から事業会社への転職を成功させるための具体的なステップを時系列で整理します。

ステップ1:自己分析と適性チェック(1〜2週目)

まず、前述の5つの適性チェックを実施します。4つ以上「はい」と答えられない場合は、「なぜ事業会社に行きたいのか」を深掘りしましょう。「受託が嫌」という消極的な理由だけでは、事業会社でも同じ不満を抱える可能性があります。

ステップ2:技術スタックの棚卸しと補強(3〜8週目)

事業会社の求人を見て、求められる技術スタックと自分のスキルのギャップを把握します。ギャップがある場合は、個人開発やオンライン学習で補強します。技術ブログ運営でエンジニアの市場価値を高める戦略でも触れていますが、学習内容をブログやGitHubで公開することで、転職活動時の「学習意欲」のアピール材料になります。『Atomic Habits』が示すように、毎日30分の学習を習慣化することで、2ヶ月後には大きな差が生まれます。

ステップ3:職務経歴書の再設計(9〜10週目)

受託出身者にありがちな「プロジェクトの説明」中心の職務経歴書を、「自分の判断・行動・成果」中心に書き直します。具体的には、「プロジェクト規模:10人月」ではなく、「パフォーマンス問題を特定し、キャッシュ戦略を提案。レスポンス時間を50%改善」のように、自分の貢献を定量的に示します。

ステップ4:エージェント選定と面接対策(11〜16週目)

メインエージェントはIT特化型を選び、サブとしてスカウト型を併用します。面接では「受託で培ったスキル」(要件定義力、コミュニケーション力、複数プロジェクトの経験)を武器にしつつ、「事業会社でやりたいこと」を具体的に語れるように準備します。「なぜ事業会社なのか」という質問には、個人開発や技術ブログの経験を交えて答えると説得力が増します。

Smiling senior businesswoman leading a diverse team meeting in an office.

まとめ

受託開発から事業会社への転職で最も重要なのは、「終わりのないゴールを楽しめるか」という適性を自分自身で見極めることです。受託では「納品完了」がゴールですが、事業会社では「プロダクトの成長」が終わりのないゴールになります。この違いを「成長機会」と捉えられるかどうかが、転職成功のカギを握ります。

短期的には、適性チェックと技術スタックの棚卸しを通じて、自分の強みと弱みを把握できます。職務経歴書を「自分の判断・行動・成果」中心に書き直すことで、書類通過率が向上し、面接でも一貫したストーリーを語れるようになります。

長期的には、事業会社での経験が「プロダクト思考」や「オーナーシップ」といった、市場価値の高いスキルセットを育てます。一つのプロダクトに長期間関わることで、設計判断の良し悪しを自分で検証し、技術的負債の返済まで責任を持てるエンジニアへと成長できます。

まずは5つの適性チェックを試してみて、自分が事業会社に向いているかどうかを確認することから始めてみてください。

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