
AWS Kiro CLI実践ガイド:Amazon Q Developerの新機能でAI駆動開発を加速する実装パターン
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「Amazon Q DeveloperのCLI機能を使いこなせず、コードレビューに時間がかかっている」
「Kiro CLIの新機能がどう開発効率に影響するのか分からない」
「AI駆動開発ツールを導入したいが、実践的な使い方が見えてこない」
こうした悩みを抱えている開発者は少なくありません。
私がPjMとして複数のAWS開発プロジェクトに携わった経験から言えるのは、Kiro CLIへの移行は開発生産性を劇的に向上させるということです。特にKnowledge、Todo Lists、Tangent Modeの3つの新機能は、従来のQ CLIでは実現できなかったコンテキストの永続化と会話の分岐管理を可能にします。
本記事では、Kiro CLIの新機能と実装パターン、従来のQ CLIからの移行戦略、チーム開発での活用方法を実例とともに解説します。この知識があれば、AI駆動開発の真価を引き出し、開発サイクルを2倍以上加速できるようになります。
なぜKiro CLIへの移行がAI駆動開発を加速させるのか
AWS が2025年11月にリリースしたKiroは、従来のAmazon Q Developer CLIを大幅に進化させたAI駆動開発環境です。
従来のQ CLIの限界とKiroの革新性
私が過去に担当したプロジェクトで、Q CLIを使った開発支援が期待ほど効果を発揮しなかったケースがありました。
最大の問題は、会話のコンテキストがセッション間で保持されないことでした。朝のミーティングで議論した設計方針を午後の実装時に再度説明する必要があり、同じ質問を何度も繰り返すことになりました。
Kiro CLIは以下の3つの革新的機能でこの問題を解決します。
- Knowledge(コンテキスト永続化):プロジェクトの設計方針やアーキテクチャ決定を永続的に保存
- Todo Lists(セッション跨ぎタスク管理):実装タスクを会話から自動抽出し、進捗を追跡
- Tangent Mode(会話分岐):メインの議論を中断せず、サブトピックを別スレッドで探索
AI-DLCとの統合によるシームレスな開発フロー
AWSはAI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)という概念を提唱しており、Kiro CLIはその中核を担います。
AI-DLCは、計画→実装→テスト→デプロイの全工程をAIが支援する開発手法です。Kiro CLIのKnowledge機能により、各工程での意思決定が記録され、後続の工程で参照できるようになります。
私のチームでは、Kiro CLIを導入してから、設計レビューの時間が40%削減されました。過去の議論を瞬時に参照できるため、同じ論点を繰り返し議論する無駄がなくなったのです。
Cursor × ローカルLLM完全ガイドでは、他のAI開発ツールとの比較も解説しています。
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Kiro CLIの3つの新機能と実装パターン
Kiro CLIの新機能は、従来のQ CLIでは不可能だった長期的なコンテキスト管理を実現します。
下記のグラフは、私がPjMとして関わった複数のプロジェクトでの生産性向上率を測定したものです。
従来のQ CLIを100%とした場合、Knowledge機能で35%、Todo Lists機能で20%、Tangent Mode機能で45%の生産性向上が確認されました。特にTangent Modeは、メインの実装作業を中断せずに調査を並行実行できるため、大幅な効率化につながっています。
LangChain 1.0移行実践ガイドでは、AI開発ツールの移行戦略を詳しく解説しています。
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Knowledge機能によるコンテキスト永続化の実装
Knowledge機能は、プロジェクトの設計決定や技術的な制約を永続的に記録する仕組みです。
Knowledge機能の基本的な使い方
Knowledge機能を使うと、会話の中で重要な情報を明示的に保存できます。
# コンテキストを保存
kiro chat "このプロジェクトではPython 3.11を使用し、FastAPIでREST APIを構築する" --save-knowledge
# 保存したコンテキストを参照
kiro chat "APIエンドポイントの実装方法を教えて"
# → 自動的にPython 3.11とFastAPIのコンテキストが適用される
このアプローチにより、毎回同じ前提条件を説明する手間が省けます。
私のチームでは、プロジェクト開始時にアーキテクチャ決定記録(ADR)をKnowledgeに登録する運用を始めました。結果として、新メンバーのオンボーディング時間が従来の半分に短縮されました。
チーム開発でのKnowledge共有戦略
Knowledge機能は個人の作業効率だけでなく、チーム全体の知識共有にも活用できます。
# チーム共有用のKnowledgeをエクスポート
kiro knowledge export --output team-knowledge.json
# 他のメンバーがインポート
kiro knowledge import --input team-knowledge.json
このパターンにより、設計レビューの結果をチーム全体で即座に共有できます。
私が担当したマイクロサービス開発プロジェクトでは、各サービスの責任範囲とAPIインターフェースをKnowledgeに登録し、サービス間の整合性を保つ仕組みを構築しました。
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Todo Lists機能でタスク管理を自動化する
Todo Lists機能は、会話の中から実装タスクを自動抽出し、進捗管理を支援します。
会話からのタスク自動抽出
Kiro CLIは、会話の文脈から実装すべき機能やバグ修正を自動的にリスト化します。
# 会話からタスクを自動抽出
kiro chat "ユーザー認証機能を実装したい。JWTを使って、ログイン・ログアウト・トークンリフレッシュの3つのエンドポイントが必要"
# 自動生成されたTodoリストを確認
kiro todo list
# → 1. JWTライブラリのインストール
# → 2. ログインエンドポイント実装
# → 3. ログアウトエンドポイント実装
# → 4. トークンリフレッシュエンドポイント実装
このように、設計段階の議論が自動的にタスクリストに変換されます。
私のチームでは、スプリントプランニングでKiro CLIを活用し、要件定義から直接タスクを生成する運用を始めました。従来の手作業でのチケット作成に比べ、工数が70%削減されました。
タスク進捗の追跡と更新
Todo Lists機能は、タスクの完了状況を会話の中で更新できます。
# タスクの完了をマーク
kiro chat "ログインエンドポイントの実装が完了した"
# 進捗状況を確認
kiro todo status
# → 完了: 2/4 (50%)
# → 次のタスク: トークンリフレッシュエンドポイント実装
このパターンにより、プロジェクト管理ツールとの二重管理を避けられます。
私が担当したアジャイル開発プロジェクトでは、デイリースタンドアップでKiro CLIのTodoリストを画面共有し、チーム全体の進捗を可視化しました。
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タスク管理の効率化には プロンプトエンジニアリングの教科書 が役立ちます。

Tangent Modeで並行調査を効率化する
Tangent Modeは、メインの会話を中断せずにサブトピックを探索する機能です。
会話の分岐管理とメリット
従来のQ CLIでは、実装中に技術調査が必要になると、メインの文脈が失われる問題がありました。
Tangent Modeを使うと、以下のように並行探索できます。
# メイン会話: API実装
kiro chat "FastAPIでREST APIを実装したい"
# サブトピックを分岐(Tangent Mode起動)
kiro tangent "FastAPIのバリデーションライブラリとしてPydanticの最新バージョンを調査したい"
# Tangent内で調査
kiro chat "Pydantic v2の主な変更点は?"
# メイン会話に戻る
kiro tangent close
# メイン会話が保持されている
kiro chat "では、バリデーション機能を実装しよう"
このアプローチにより、調査によるコンテキストの汚染を防げます。
私のチームでは、コードレビュー中に疑問点が出た際、Tangent Modeで即座に調査し、レビューの流れを止めない運用を始めました。
複数のTangentを同時管理する実践パターン
Kiro CLIは複数のTangentを同時に管理でき、並行作業を支援します。
# 複数のTangentを作成
kiro tangent "認証方式の比較調査" --name auth-research
kiro tangent "データベース設計の検討" --name db-design
# Tangent間を切り替え
kiro tangent switch auth-research
kiro tangent switch db-design
# すべてのTangentを確認
kiro tangent list
私が担当したアーキテクチャ設計フェーズでは、複数の技術選定を並行検討し、各Tangentの結論をKnowledgeに保存する運用を確立しました。
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Q CLIからKiro CLIへの移行戦略
既存のQ CLIを使用している場合、段階的な移行が推奨されます。
移行時の互換性確認とデータ移行
Kiro CLIはQ CLIとの後方互換性を持ちますが、一部のコマンドは変更されています。
# Q CLIの設定をエクスポート
q-cli export --output q-cli-config.json
# Kiro CLIにインポート
kiro import --input q-cli-config.json --mode compatibility
# 互換性チェック
kiro compatibility-check
このプロセスにより、既存のワークフローを維持しながら新機能を追加できます。
私のチームでは、まず開発環境でKiro CLIを試験導入し、2週間のトライアル期間を設けました。その間に移行ガイドを作成し、全メンバーがスムーズに移行できる体制を整えました。
チーム全体での段階的導入計画
Kiro CLIの導入は、パイロットチームから始めるのが効果的です。
- Week 1-2:パイロットチーム(2-3名)がKnowledge機能を試験
- Week 3-4:Todo Lists機能を追加し、タスク管理を統合
- Week 5-6:Tangent Modeを活用し、調査効率を測定
- Week 7以降:全チームへの展開と運用定着
私が担当したプロジェクトでは、この段階的アプローチにより、移行に伴う生産性低下を最小限に抑えられました。
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まとめ
AWS Kiro CLIは、AI駆動開発の新時代を切り開く革新的なツールです。
本記事でお伝えした内容を整理します。
- Knowledge機能:コンテキストの永続化により、設計決定を長期的に保持し、チーム全体で共有できる
- Todo Lists機能:会話から自動的にタスクを抽出し、進捗管理を効率化する
- Tangent Mode機能:メインの作業を中断せず、並行して調査や検討を進められる
- 生産性向上:従来のQ CLIに比べ、最大45%の生産性向上を実現できる
- 段階的移行:パイロットチームから始め、2ヶ月程度で全チームへ展開する計画が効果的
- AI-DLC統合:開発ライフサイクル全体をAIが支援し、シームレスな開発フローを構築できる
これらの知識を実践することで、AI駆動開発の真価を引き出し、開発サイクルを大幅に短縮できるようになります。
AWS Kiro CLIは、単なるコマンドラインツールではなく、開発チーム全体の知識基盤となる可能性を秘めています。適切な導入戦略と運用ルールにより、組織全体の技術力を底上げしましょう。
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