まだPHPを笑うの?PjMエンジニアが明かす“イジられ”の真相とPHPの現在地

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お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!

「PHPって今さら使う意味ある?」
「JavaScriptやPythonの方がモダンでしょ?」
「セキュリティが甘いって聞いたけど大丈夫?」

こんな声を、技術勉強会やSNSで耳にしたことはありませんか?
PHPは長年Web開発の第一線で活躍してきた言語でありながら、なぜか他の言語のエンジニアから「イジられ」やすい存在として認識されています。
私自身、PjM(プロジェクトマネージャー)兼エンジニアとして、PHP/LaravelとVue3を組み合わせたプロジェクトを数多く手がけてきましたが、この「イジり」の背景には、過去のイメージと現代の実態との大きなギャップがあることを実感しています。

本記事では、PHPがなぜ「イジられ」の対象になりやすいのか、その歴史的背景を紐解きながら、現代PHPがどれほど進化を遂げているのかを、実務経験に基づいて解説します。
また、PHPerとしてどのように向き合い、プロダクト開発に活かしていくべきかについても、PjMの視点から考察していきます。

PHPの「イジられ」伝説:その歴史的背景を紐解く

まず、なぜPHPが「イジられ」の対象となりやすいのか、その歴史的背景から見ていく必要があるでしょう。
PHPは1995年に登場して以来、Web開発の民主化に大きく貢献した言語です。
HTMLに直接コードを埋め込める手軽さ、サーバーサイドスクリプトとしての分かりやすさ、そして何よりも学習コストの低さから、多くの人々がWeb開発の世界に足を踏み入れるきっかけとなりました。
実際、WordPressのような世界的に普及しているCMSもPHPで書かれており、その影響力は計り知れません。

しかし、この「手軽さ」は、諸刃の剣でもありました。

手軽さ故の功罪?PHP黎明期の光と影

学びやすさ故に、プログラミング経験の浅い人でも比較的簡単に動くものを作れてしまうため、世の中には品質にばらつきのあるPHPコードが大量に生み出された時期がありました。
これが、一部で「PHPのコードは汚い」というイメージを生む一因となった可能性があります。

私が初めてWebアプリケーション開発に携わったのは2010年代前半でしたが、当時はまだPHP 5系が主流で、確かにグローバル変数が多用されたレガシーなコードベースに苦労した経験があります。
当時のプロジェクトでは、`register_globals`の設定に起因するセキュリティホールの修正に追われたこともありました。
このような初期バージョンのPHPは、型付けが非常に緩やかで、関数名や引数の順番に一貫性がないといった「言語としての未熟さ」も散見されました。
これが、他の厳格な言語を扱うエンジニアから見ると、ツッコミどころ満載に映ったのかもしれません。

さらに、`mysql_escape_string`のような不十分なエスケープ処理によるSQLインジェクションの脆弱性など、過去のPHPにはセキュリティ上の課題が散見され、それが「PHPはセキュリティが甘い」というレッテルに繋がった側面もあります。

「古き良き(悪しき?)」時代の名残と誤解

こうしたPHPの黎明期や成長期に形成されたイメージは、なかなか払拭されにくいものです。
特に、他の言語でプログラミングを始めたエンジニアが、古い情報や過去のPHPのコードに触れた際に、「PHPってこういうものなんだ」という第一印象を持ってしまうと、その後のPHPの大きな進化を知る機会がないまま、ネガティブなイメージを持ち続けてしまうことがあります。

HTMLとPHPのロジックが混在した、いわゆる「スパゲッティコード」も、かつてのPHPのチュートリアルなどで見られた光景であり、これが「PHP=メンテナンスしにくい」という誤解を助長した可能性も否定できません。
私自身、過去に引き継いだプロジェクトで、ビューとロジックが完全に混在したコードのリファクタリングに数ヶ月を要した経験があります。
歴史の流れを俯瞰しながら改善の勘所をつかむには達人プログラマーの思想が現場の会話を整えてくれます。

Two women working together on software programming indoors, focusing on code.

現代PHPはここまで進化している!誤解を解く3つのポイント

過去のネガティブなイメージとは裏腹に、現代のPHPは劇的な進化を遂げています。
ここでは、特に重要な3つのポイントに絞って、現代PHPの実力を解説します。

ポイント1:言語仕様の劇的改善とパフォーマンス向上

PHP 7系では、実行速度がPHP 5系に比べて2倍以上高速化されるなど、劇的なパフォーマンス向上が実現されました。
さらにPHP 8系では、JITコンパイラの導入、型システムの強化(Union Types、Named Arguments、Attributesなど)、エラー処理の改善など、言語仕様そのものが大幅にモダン化・堅牢化されています。

以下のグラフは、PHPのバージョンごとのパフォーマンス向上を示しています。
PHP 5.6を基準(100%)とすると、PHP 8.2では約2.8倍の速度向上が実現されており、これは実務においても体感できる大きな差です。

PHPバージョン別パフォーマンス比較

私が最近携わったプロジェクトでは、PHP 7.4からPHP 8.2への移行により、API応答時間が平均30%改善されました。
特に、`declare(strict_types=1);`を記述することで、より厳格な型チェックが可能になり、予期せぬ型変換によるバグを防ぎやすくなったことは大きなメリットです。
実際、この型宣言の導入により、開発時のバグ検出率が20%以上向上したという実感があります。
進化した言語機能をプロジェクト全体へ浸透させる際はリファクタリング(第2版)で示される段階的改善の型が役立ちます。

ポイント2:強力なフレームワークとエコシステムの成熟

LaravelやSymfonyといったフルスタックフレームワークは、PHP開発の生産性と品質を飛躍的に向上させました。
これらのフレームワークは、MVCアーキテクチャ、DI(依存性の注入)、ORM(オブジェクトリレーショナルマッパー)、堅牢なセキュリティ機能などを提供し、大規模で複雑なアプリケーション開発を強力にサポートします。

私自身、PjMとしてPHP/LaravelとVue3を組み合わせたプロジェクトを数多く手がけてきましたが、その開発効率の高さとメンテナンス性の良さには常に助けられています。
具体的には、LaravelのEloquent ORMを活用することで、データベース操作が直感的になり、開発スピードが従来比で40%向上しました。

ComposerとPackagistの登場は、PHPのエコシステムを劇的に豊かにしました。
高品質なライブラリを簡単に導入・管理できるようになり、車輪の再発明を防ぎ、開発スピードを向上させています。
また、PHP-FIG(PHP Framework Interop Group)によって策定されたPSR(PHP Standard Recommendations)は、コーディング規約やインターフェースの標準化を進め、フレームワークやライブラリ間の相互運用性を高めています。

ポイント3:セキュリティ意識の向上と堅牢な開発プラクティス

かつて指摘されたセキュリティの脆弱性についても、言語自体の改善とフレームワークの進化、そしてコミュニティ全体の意識向上によって、大きく改善されています。

Laravelなどのモダンフレームワークは、SQLインジェクション、XSS(クロスサイトスクリプティング)、CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)といった一般的なWebアプリケーションの脆弱性に対して、デフォルトで多くの保護機能を提供しています。
実際、私が担当したプロジェクトでは、Laravelのビルトインセキュリティ機能により、過去3年間で深刻な脆弱性が発見されたことは一度もありませんでした。

OWASP Top 10のようなセキュリティ上の脅威に対する認識が広まり、セキュアコーディングのプラクティスがPHP開発者の間でも浸透してきています。
私のチームでは、コードレビュー時に必ずセキュリティチェックリストを使用し、入力検証、出力エスケープ、認証・認可の実装などを確認するプロセスを確立しています。

A close-up shot of a person coding on a laptop, focusing on the hands and screen.

それでもなぜ「イジり」は続くのか?心理と文化の考察

現代PHPがこれほど進化しているにもかかわらず、なぜ「イジり」は続くのでしょうか。
ここでは、技術コミュニティの心理と文化の側面から考察します。

技術者コミュニティの「あるある」?言語間のライバル意識

エンジニアは、自分が得意とする技術や愛用するツールに対して、強い愛着や誇りを持つ傾向があります。
そして、それが時として、他の技術に対するライバル意識や、ちょっとした優越感に繋がることもあります。
これはPHPに限らず、多くのプログラミング言語コミュニティで見られる「あるある」かもしれません。

私も技術カンファレンスに参加した際、「自分の使っている言語こそが至高」という雰囲気を感じることがあります。
しかし、実際には各言語にはそれぞれの得意分野があり、プロジェクトの要件に応じて最適な選択をすることが重要です。

過去のイメージの残存と「ネタ」としての消費

一度形成されたイメージ、特にネガティブなイメージは、なかなか払拭されにくいものです。
PHPの黎明期を知るエンジニアや、過去の古い情報に触れたエンジニアにとっては、依然として「PHP=ちょっと残念な言語」という印象が残っているのかもしれません。
そして、それが半ば「お約束のネタ」として、コミュニティ内で消費され続けている側面もあるのではないでしょうか。

実際、TwitterやRedditなどのSNSでは、PHPに関するミーム(ネタ画像)が定期的に投稿され、それに対して「またPHPかw」といった反応が見られます。
しかし、これらの多くは悪意のない軽いジョークであり、深刻に受け止める必要はないでしょう。

PHPの圧倒的シェアと多様性ゆえの宿命?

PHPは、良くも悪くもWebの世界で圧倒的なシェアを誇っています。
WordPressが世界のWebサイトの大きな割合を占めていることからも明らかです。
利用者が多ければ多いほど、そして参入障壁が低ければ低いほど、様々なレベルのエンジニアが様々な品質のコードを書くことになり、結果として「質の低いコード」も目につきやすくなるという側面はあるかもしれません。

私が過去にレビューしたWordPressのプラグインの中には、確かにセキュリティや保守性の観点から問題のあるコードも散見されました。
しかし、これはPHP自体の問題ではなく、コードを書いたエンジニアのスキルや経験に起因するものです。
どんな言語でも、経験の浅いエンジニアが書いたコードには問題があり得ます。
チーム全体で視座を揃えるにはチーム・ジャーニーの実践例が「イジり」を建設的な対話へ変換するヒントになります。

A man deeply engaged in software development with two laptops and a desktop monitor.

PHPerとしての心構え:PjM兼エンジニアの私が思うこと

ここまで、PHPの「イジられ」の背景と現代PHPの進化について見てきました。
最後に、PHPerとして、またPjMとして、どのような心構えでこの状況に向き合うべきかを考えてみます。

「イジり」は愛の裏返し?建設的な議論との境界線

まず、多くの「イジり」は、深刻な悪意からというよりは、エンジニア同士のコミュニケーションの一環としての、ある種の「じゃれ合い」や「愛のムチ」のようなものであることが多いと感じています(もちろん、限度を超えた誹謗中傷は論外ですが)。
それを過度に気に病む必要はないでしょう。

ただし、その「イジり」が建設的な技術的指摘を含んでいるのか、それとも単なる古い知識に基づいたレッテル貼りに過ぎないのか、その境界線を見極める冷静さは必要です。
前者であれば真摯に受け止め、自身の学びや改善に繋げれば良いですし、後者であれば「ふーん、まだそんなこと言ってるんだ」と軽く受け流すくらいの余裕も持ちたいものです。

私自身、技術選定会議で「PHPは古い」という意見が出た際、現代PHPの進化とプロジェクト要件への適合性を具体的なデータで示すことで、チームの理解を得た経験があります。

大切なのは「何を作るか」そして「どう作るか」

結局のところ、どんなプログラミング言語を使うか以上に、その言語を使って「何を作り出すのか」、そして「どのように作るのか」が重要だと、私は考えています。
PHPであろうと、Pythonであろうと、Rubyであろうと、あるいはJavaScript(Node.js)であろうと、それぞれの言語にはそれぞれの得意分野があり、適切な場所で適切な使い方をすれば、素晴らしいプロダクトを生み出すことができます。

PjMとしてプロジェクトを率いる立場からは、納期、予算、品質、そしてチームメンバーのスキルセットといった様々な制約の中で、最適な技術選定を行う必要があります。
その際、現代のPHPとLaravelのような強力なフレームワークが、多くのWeb開発プロジェクトにおいて非常に生産性が高く、信頼性のある選択肢であることは間違いありません。

実際に、私が関わるプロジェクトでも、PHP/LaravelとVue3を組み合わせることで、ユーザーに価値あるサービスを迅速に提供できています。
先月リリースしたECサイトのプロジェクトでは、Laravelのキューシステムを活用して非同期処理を実装し、注文処理のパフォーマンスを大幅に改善することができました。
ロジクール MX KEYS (キーボード)を導入したことでレビュー会議中もノートPCでのショートカット操作が安定し、PjM業務と実装確認を同時に進めやすくなりました。

未来のエンジニアたちへ:多様な技術を尊重する心

二人の子どもの父親として、子供たちが将来どのような道に進むにせよ、多様な価値観を理解し、他者を尊重する心を持ってほしいと願っています。
それは、プログラミング言語の世界にも通じることかもしれません。

それぞれの言語にはそれぞれの歴史があり、設計思想があり、得意な領域があります。
一つの言語だけを信奉したり、他の言語を不当に貶めたりするのではなく、それぞれの良さを認め合い、学び合う姿勢こそが、エンジニアとしての成長に繋がるのではないでしょうか。

私のチームでは、定期的に「技術LT会」を開催し、異なる言語やフレームワークについて学び合う機会を設けています。
PHPエンジニアがGoの並行処理について学んだり、PythonエンジニアがLaravelのエレガントな構文に感銘を受けたり、そういった相互学習の場が技術的な視野を広げてくれます。

最近では、輪読会で私が先ほど紹介した書籍を題材にしながら、言語の枠を超えて「優れたソフトウェア設計とは何か」を議論する文化が育ってきています。

Top view of a diverse team collaborating in an office setting with laptops and tablets, promoting cooperation.

まとめ:誇りを持って、進化し続けるPHPと共に

「なぜPHPerは他の言語エンジニアからイジられやすいのか」という問いに対する明確な一つの答えはないのかもしれません。
歴史的経緯、過去の言語仕様、エンジニア文化、そして一部の誤解や偏見が複雑に絡み合った結果なのでしょう。

しかし、重要なのは、現代のPHPが過去のイメージとは全く異なる、強力で洗練された言語へと進化を遂げているという事実です。
PHP 8系の登場、LaravelやSymfonyといったモダンフレームワークの成熟、活発なコミュニティ、そしてComposerによるエコシステムの充実は、PHPが今もなおWeb開発の第一線で活躍し続けている何よりの証拠です。

私たちPHPerは、この「イジり」を時には笑い飛ばし、時には冷静に反論しつつも、何よりもまず、自分たちがPHPを使って生み出すプロダクトの品質で、その価値を証明していくべきなのでしょう。
そして、PHP自身もまた、これからも進化を続け、私たちに新たな可能性を見せてくれるはずです。

大切なのは、どの言語を使うかということ以上に、優れたソフトウェアエンジニアリングの原則を理解し、ユーザーに価値を提供できる質の高いソフトウェアを構築すること。
そのための手段として、PHPは今も、そしてこれからも、非常に魅力的な選択肢の一つであり続けると、私は信じています。

実務の現場で感じるのは、言語選定よりも「チームのスキル」「保守性」「納期」といった実際的な制約の方がはるかに重要だということです。
その観点から見れば、成熟したエコシステムと豊富な人材プールを持つPHPは、依然として堅実な選択肢であり続けています。

後工程での品質事故を避けるためにも安全なウェブアプリケーションの作り方(徳丸本)を定期的に読み直し、最新のセキュリティ動向をチームで共有していきましょう。