
Excelでのチケット管理はもう限界!現役PjMが教える、個人開発に最適な「かんばん方式」タスク管理術
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
あなたの個人開発プロジェクトのタスク、まさかExcelで管理していませんか?
かつての私もそうでした。A列にタスク名、B列に担当者(もちろん自分)、C列に期日、そしてD列にステータスを「未着手」「完了」と手で入力し、完了した行を緑色に塗りつぶしていく…。一見、手軽で誰にでもできるように思えます。しかし、プロジェクトが少しでも複雑になると、このExcel管理は、静かに、しかし確実に、あなたのプロジェクトを蝕んでいきます。
「あのタスクとこのタスク、どっちが優先だっけ…」「ファイルの最新版がどれか分からず、誰かの更新が消えちゃった…」「進捗状況を把握するために、フィルタやソートを繰り返すのが面倒…」
今日は、そんなExcel管理のストレスからあなたを解放し、開発のスピードと質を劇的に向上させるのタスク管理術を、その哲学から具体的なツールの使い方まで、徹底的に解説します。
なぜ、Excelでのタスク管理は「悪」なのか?
まず、なぜ私がここまでExcel管理を否定するのか、その理由を明確にしておきましょう。これは、Excelが悪いツールだと言いたいわけではありません。Excelは表計算ソフトとしては最高ですが、プロジェクトのタスク管理という目的には、構造的に向いていないのです。
- 1. 状態が「静的」であること: Excelのリストは、ただの「一覧表」です。タスクが「未着手」から「作業中」へ、そして「完了」へと流れていく、その「流れ(フロー)」を表現することができません。あなたは、常にリスト全体を眺め、頭の中でその流れを再構築しなければなりません。
- 2. 情報が「分断」されること: タスクに関連するメモや、参考URL、仕様に関する議論などを、Excelのセルの中に詰め込むのは現実的ではありません。結果として、タスク(What)と、それに関する情報(Why, How)が、別のファイルやチャットツールに散在し、情報の分断を引き起こします。
- 3. 更新が「手作業」であること: ステータスの更新、優先順位の並べ替え、担当者の変更…。その全てが手作業です。この「管理のための管理」に費やす時間は、本来コードを書くべき貴重な時間を、確実に奪っていきます。
- 4. 同時編集に弱いこと: もし、将来的に誰かと協力することになった場合、Excelファイルの同時編集は、コンフリクト(競合)やデータ損失の悪夢を招きます。
これらの問題は、プロジェクトの規模が大きくなるにつれて、指数関数的に深刻化していきます。
かんばん方式:タスクを「リスト」から「フロー」へ進化させる
このExcel管理の課題を、根本的に解決するのが「かんばん方式」の考え方です。
その本質は、ことにあります。
タスクを一枚一枚の「カード」に見立て、といったレーン(リスト)を、左から右へと移動させていくだけ。
このシンプルなワークフローが、なぜソフトウェア開発、特に個人開発と相性が良いのでしょうか?
- 進捗が一目瞭然: ボードを見るだけで、「今、何が進行中で、何が完了したのか」が直感的に分かります。これは、モチベーションを維持する上で絶大な効果を発揮します。
- ボトルネックの発見: もし「Doing」レーンにカードが溜まりすぎているなら、それはあなたが一度に多くのことをやろうとしすぎている、という危険信号です。作業のボトルネックを早期に発見できます。
- 集中力の向上: という考え方が重要です。これは、「Doing」レーンに置けるカードの枚数を、意図的に1枚か2枚に制限することです。これにより、マルチタスクを物理的に防ぎ、目の前の作業に深く集中することができます。
個人開発に最適!無料で始められるカンバンツール3選
この「かんばん方式」を実践するための、無料で始められる素晴らしいツールを3つ、それぞれの特徴と共に紹介します。
Trello:シンプルさの王様
とにかくシンプルで、直感的に使えるのがTrelloの最大の魅力です。余計な機能がほとんどなく、「カードを作って、リストを移動させる」というカンバンの基本を、誰でもすぐに体験できます。カードの中には、チェックリストや添付ファイル、コメントなども追加でき、個人開発のタスク管理であれば、無料プランで十分すぎるほどの機能を備えています。
Notion:ドキュメントとタスクの融合
Notionの強みは、その圧倒的なカスタマイズ性です。一つのページの中に、ドキュメント、データベース、そしてカンバンボードを自由に配置できます。例えば、プロジェクトの仕様書ページの中に、その仕様に関連するタスクのカンバンボードを埋め込む、といった芸当が可能です。情報の一元管理を徹底したい方に最適です。
GitHub Projects:開発と完全に連携
もしあなたのソースコードがGitHubにあるなら、GitHub Projectsは非常に強力な選択肢です。GitHubのIssue(課題)を、そのままカンバンボードのカードとして管理できます。プルリクエストとIssueを連携させれば、「このコード修正は、どのタスクに対応しているのか」が一目瞭然になります。さらに、プルリクエストがマージされたら、自動でカードを「Done」に移動させる、といった自動化(Automation)も可能です。開発ワークフローとの一体感を求めるなら、これ以上の選択肢はありません。
Excelからカンバンへ。具体的な「移行」のステップ
「でも、今Excelにあるタスクを移すのが面倒…」と感じるかもしれません。ご安心ください。移行は、以下の3ステップで、むしろ楽しく進めることができます。
- ステップ1:全てを「バックログ」に書き出すまず、Trelloなどのツールで「バックログ(Backlog)」という名前のリストを作ります。そして、既存のExcelのタスクや、あなたの頭の中にある「いつかやりたいこと」を、全てカードとしてこのバックログに書き出します。この時点では、優先順位は気にしなくてOKです。頭の中を空っぽにすることが目的です。
- ステップ2:「今週やること」だけを「ToDo」に移動させる次に、「ToDo」あるいは「今週のスプリント」というリストを作ります。そして、バックログの中から、「今週、絶対に終わらせる」と決めた、数個のタスクだけを、このリストに移動させます。これが、あなたの集中力を高めるための「制限」です。残りのタスクは、バックログで静かに待っていてもらいましょう。
- ステップ3:「Doing」と「Done」で、流れを生み出す朝、その日の作業を始める時に、「ToDo」からたった一つのタスクを「Doing」に移動させます。そして、作業が完了したら、それを「Done」リストに移動させる。この瞬間こそ、カンバン方式の最大の醍醐味です。完了したタスクが積み上がっていくのを見ることで、あなたの努力が視覚化され、次への大きなモチベーションになります。
まとめ
ツールがExcelからTrelloに変わる。それは、単なるツールの変更ではありません。それは、あなたのプロジェクト管理の思想が、「静的なリスト」から「動的なフロー」へと進化する、大きな一歩です。
重要なのは、
- タスクの流れを「見える化」すること。
- 一度にやることを「制限」し、集中すること。
- そして、完了した自分を「祝福する」こと。
この考え方を取り入れるだけで、あなたの個人開発プロジェクトが「エターナる」確率は、劇的に下がるはずです。Excelでの管理に限界を感じているあなたが、よりモダンで効率的なタスク管理手法を導入し、プロジェクトを成功に導くための一助となれば幸いです。