
仕様変更に強いシステムを作りたいけど無理だった現実
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
システム開発において、仕様変更は避けられない宿命です。最初の要件定義でどれだけ慎重に設計しても、実際に開発が進むと「やっぱりこうしてほしい」「この機能も追加してほしい」というリクエストが次々と飛んできます。
特に、事業の成長に合わせて柔軟に対応できるシステムを作るためには、「仕様変更に強い設計」が重要だと言われます。しかし、実際にそれを目指して設計を進めても、気づけば複雑なコードに振り回され、想定とは違う方向へ進んでしまうことが多いのではないでしょうか?
今回は、「仕様変更に強いシステムを作りたかったけど、結局無理だった」実体験を振り返りながら、なぜ理想通りにいかないのかを考えてみます。
仕様変更は避けられない運命
理想と現実のギャップ
汎用的に設計したはずが、逆に変更しづらくなる
仕様変更に対応しやすいシステムを作るために、最初から汎用的な設計を意識することはよくあります。例えば、「将来、異なるデータ形式にも対応できるようにしておこう」と考えて、柔軟なデータモデルを設計することがあります。
このように、汎用的なモデルを用意しておけば、データ構造の変更にも柔軟に対応できるはず…と思っていたのですが、実際にはこれがメンテナンスの悪夢を生む結果となりました。
- 各データ型ごとのバリデーションが曖昧になり、バグが増える
- デバッグ時に「どのデータがどこで変更されたのか」が追いにくくなる
- 最初の仕様には合っていたが、新しい要件に適用するには修正が必要になった
結果として、汎用性を持たせたはずが、逆に仕様変更に対する対応コストが増大し、「最初から個別のデータモデルを作っていたほうが楽だったのでは?」という結論に至りました。
柔軟な設定ファイルを導入したが、カオス化する
「将来の仕様変更に備えて、設定ファイルを増やせばコードを修正せずに対応できる」という考え方もよくあります。例えば、機能ごとの設定をJSONやYAMLにまとめ、コードの修正なしに設定変更だけで対応できる設計を目指しました。
{
"featureA": {
"enabled": true,
"max_items": 100
},
"featureB": {
"enabled": false,
"mode": "advanced"
}
}
しかし、このアプローチも次第に問題が発生しました。
- 設定ファイルの肥大化:最初は数項目だったのに、後から要件が追加されるたびに設定が増え、どこに何があるのか分かりづらくなった
- 設定の整合性が崩れる:「この機能とこの機能を同時に有効化するとエラーが出る」など、組み合わせのチェックが必要になった
- 開発者の負担増:「設定を変えれば動くはず」と思っていたのに、結局コードの修正が必要になることが増えた
結果として、「設定ファイルを増やせば柔軟になる」という考えは甘かったと痛感しました。シンプルな設計が、実は最も変更に強いという結論に至ったのです。
なぜ仕様変更に強いシステムは難しいのか?
未来の要件を完全に予測することはできない
最初の設計時に「この先こういう仕様変更があり得るから、対応しやすいように作っておこう」と考えるのは当然ですが、未来の要件を完全に予測することは不可能です。
どれだけ柔軟な設計をしても、結局、予測していなかった方向の仕様変更が発生し、想定外の修正が必要になることが多いです。
シンプルなものが最も変更に強い
汎用的な設計を意識するあまり、かえって複雑になり、変更が困難になることがよくあります。実際のところ、シンプルな設計のほうが、仕様変更に強いことが多いです。
- 仕様変更が発生したとき、影響範囲が限定的で済む
- コードの可読性が高く、どこを修正すればいいか分かりやすい
- 余計な抽象化をせず、現実的な範囲での柔軟性を確保できる
仕様変更に強いシステムは「設計」ではなく「運用」で実現する
本当に仕様変更に強いシステムとは、「設計」ではなく「運用」で実現するもの」という考えに至りました。
- ユニットテストをしっかり書き、変更がしやすい環境を作る
- CI/CDを整備し、変更の影響を素早く確認できる仕組みを作る
- 小さな変更を繰り返し、徐々に最適化していく開発プロセスを採用する
つまり、「最初から仕様変更に強い設計を目指す」のではなく、変更が発生したときに素早く対応できる体制を整えることが重要なのです。
まとめ
仕様変更に強いシステムを作ることは理想ですが、現実的には完全に対応することは難しいのが実情です。
- 汎用的な設計は、かえって変更を困難にすることがある
- 設定ファイルでの柔軟な対応は、管理が難しくなることが多い
- 未来の仕様変更を完璧に予測するのは不可能
- 本当に変更に強いシステムとは、設計ではなく運用で実現するもの
結局のところ、シンプルな設計を心がけ、変更に対応しやすい開発環境を整えることが最も効果的なのかもしれません。