
障害対応の初動テンプレート:PjMが現場を動かす実務ガイド
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
プロダクション障害は「初動の質」でその後の復旧時間も再発率も大きく変わります。本記事では、PjM視点での意思決定フレームと、現場を動かす実務テンプレートを紹介します。
前提と目的:安全停止と影響最小化
障害時の最優先は「顧客影響の最小化」と「被害の拡大防止」です。原因究明より先に、影響範囲を限定し被害を止める意思決定を行います。
- 目的:MTTD/MTTRの短縮と、顧客影響の最小化
- 対象:プロダクション環境でのサービス障害全般
- PjMの役割:判断基準の提示、ステークホルダー調整、連絡と記録の標準化
意思決定の基準:ユーザー影響が続くか/データ毀損の恐れがあるかで「安全停止」を優先。
初動フロー:T+0〜30分の行動順序
以下は即時に回せる初動チェックリストです(Slackチャンネルのテンプレ化推奨)。
- 検知:監視/通報を確認し、インシデント宣言(Severityを暫定で設定)。
- 安全化:影響を止める(機能停止、トラフィック遮断、ロールバック)。
- 指揮系統:IC(Incident Commander)を指名。PjMはコミュニケーション担当に。
- 状況共有:ステークホルダーへ初報(何が/誰に/どれほど/次報予定)。
- 暫定対応:復旧の仮説を立て、最小リスクから試行。
- 記録:時系列ログ(時刻・判断・実施)を残す。
参考書籍: 体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方
意思決定の基準:顧客影響>原因解明。安全化→暫定復旧→恒久対応の順序を厳守。
ロールと責務:小規模チームの分担
役割を明確にすると、判断と作業が並行できます。
- IC(指揮):優先順位と承認、切り戻し判断、完了宣言。
- Ops(対処):復旧作業、監視ボード操作、ロールバック実施。
- Comm(連絡):初報・定時報・完了報の作成と送信。社内外の粒度調整。
- Rec(記録):時系列ログ、エビデンス収集、後日レビュー準備。
学びを体系化するなら: ソフトウェアアーキテクチャの基礎 ―エンジニアリングに基づく体系的アプローチ
意思決定の基準:1人2役まで。ICは作業しない(判断に専念)。
連絡テンプレ:初報/定時報/完了報
コピペで使える最低限のテンプレです。
【初報】 ・発生時刻: ・影響範囲: ・現象: ・暫定Severity: ・対応状況:安全化対応中/暫定復旧中 ・次報予定:XX:YY 【定時報】 ・前回からの変化: ・現在のSeverity: ・追加の影響:有/無(内容) ・次報予定:XX:YY 【完了報】 ・復旧時刻: ・原因: ・対応:暫定/恒久 ・再発防止:有(チケットNo)
情報設計の参考: SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」
意思決定の基準:次報予定時刻を必ず明示。内容が未確定でも沈黙しない。
監視と計測:復旧のKPIを揃える
復旧判断は感覚ではなく指標で行います。
- 主要KPI:MTTD、MTTR、エラーレート、成功率、遅延P95
- 復旧判定:直近N分の指標が正常範囲内(過去30日ベースライン)
- ポストモーテム:事実ベースで責任追及ではなく学習にフォーカス
自動化の足がかりに: 作業が一瞬で片付く Python自動化仕事術
意思決定の基準:KPIが基準内に戻るまで「復旧宣言」を出さない。
変更管理とロールバック:安全側に倒す
小さく戻せる構成と運用をデフォルトに。
- リリース:段階的リリース+即時切戻しの手段を用意
- 設定:機能フラグで切り替え可能にし、コンフィグ変更を先行
- データ:バックアップ検証、リカバリ手順の演習
実務で効く基礎: リファクタリング 既存のコードを安全に改善する(第2版)
意思決定の基準:不確実性が高い場合は「切り戻しコストが低い案」を優先。
再発防止:恒久対応と学習の仕組み
事後対応は「仕組み」に落とし込みます。
- 恒久対応:チケット化し、期限と責任者を明確化
- 演習:定期的なGameDayで手順の磨耗を防ぐ
- 教育:ナレッジの共有、オンボーディング更新
個人装備のセキュリティも: YubiKey 5C NFC
意思決定の基準:再発防止は「行動の変更」まで定義して完了とする。
内部リンク:関連する読み物
意思決定の基準:読者の次アクション(参照先)を必ず用意。
まとめ
障害対応は「安全停止→暫定復旧→恒久対応」の順序が命です。PjMは判断基準とコミュニケーションを整備し、現場のボトルネックを取り除くことに集中します。今日、社内に初動テンプレを1枚流すところから始めてみてください。