
SIerからWeb系企業へ転職するための技術スタック習得とポートフォリオ戦略
お疲れ様です!IT業界で働くアライグマです!
「SIerで数年経験を積んだけど、Web系企業に転職したい」
このような悩みを抱えているエンジニアは多いのではないでしょうか。SIerとWeb系企業では、使用する技術スタックや開発文化が大きく異なるため、転職を成功させるには戦略的なスキル習得とポートフォリオ構築が欠かせません。
私自身、PjMとしてSIer出身のエンジニアを何人も受け入れてきましたが、転職後に活躍できる人とそうでない人の差は、事前準備の質にあると感じています。
この記事では、SIerからWeb系企業への転職を成功させるための具体的なスキル習得ロードマップと、採用担当者に刺さるポートフォリオの作り方をお伝えします。
SIerとWeb系企業の技術文化の違いを理解する
転職活動を始める前に、まずSIerとWeb系企業の技術文化の違いを正確に理解しておくことが重要です。この違いを把握していないと、面接で的外れな回答をしてしまったり、入社後にギャップを感じたりすることになります。
開発プロセスの違い
SIerではウォーターフォール型の開発が主流で、要件定義から設計、実装、テストまでを順番に進めていきます。一方、Web系企業ではアジャイル開発が一般的で、短いスプリントで機能をリリースし、ユーザーフィードバックを受けて改善を繰り返します。
私のチームでもSIer出身のメンバーが入ってきたとき、最初は「仕様が固まっていないのに実装を始めるのか」と戸惑っていました。しかし、数週間でアジャイルの考え方に慣れ、むしろ「変化に対応できる開発スタイルの方が楽しい」と言うようになりました。
この経験から言えるのは、開発プロセスへの適応力は入社後でも十分に身につけられるということです。むしろ面接では「アジャイル開発に興味がある」「変化を楽しめる」という姿勢を見せることが重要です。
技術選定の自由度
SIerでは顧客の要望や既存システムとの互換性を重視するため、技術選定の自由度が限られることが多いです。対して、Web系企業では最新技術を積極的に採用する傾向があり、エンジニア自身が技術選定に関わる機会も多くなります。
この違いを理解したうえで、TypeScript型安全実践ガイド:Zodとzod-to-tsで実現する実行時バリデーションとスキーマ駆動開発のような最新の開発手法を学んでおくと、面接でのアピールポイントになります。達人プログラマー(第2版): 熟達に向けたあなたの旅 で紹介されている「変化を恐れない姿勢」は、Web系企業で働くうえで非常に重要な考え方です。

Web系転職に必要な技術スタックを整理する
SIerからWeb系企業への転職で最も重要なのは、モダンな技術スタックの習得です。ここでは、優先度の高い技術から順に解説します。
フロントエンド技術
Web系企業では、React、Vue.js、Next.jsなどのモダンフレームワークが標準的に使われています。SIerでjQueryやVanilla JSしか触ったことがない場合は、まずReactから学び始めることをおすすめします。
以下のような学習順序が効率的です。
- JavaScript ES6+の基礎:アロー関数、分割代入、スプレッド構文など
- TypeScript:型安全な開発の基礎を身につける
- React:コンポーネント設計、Hooks、状態管理
- Next.js:SSR/SSG、App Router、API Routes
私のプロジェクトでは、SIer出身のメンバーにまずTypeScriptから学んでもらいました。型システムに慣れている方が多いため、JavaやC#の経験がある人は比較的スムーズに習得できます。その後Reactに進むと、コンポーネント指向の考え方も理解しやすくなります。
バックエンド技術
SIerでJavaを使っていた方は、Node.js(Express/NestJS)やPython(FastAPI/Django)への移行がスムーズです。特にFastAPIは、FastAPI本番運用実践ガイド:非同期処理とパフォーマンス最適化で応答速度を3倍にする設計で紹介しているように、モダンなAPI開発に適しています。
インフラ・DevOps
Web系企業では、エンジニアがインフラにも関わることが多いです。以下の技術は最低限押さえておきましょう。
- Git/GitHub:ブランチ戦略、プルリクエスト、コードレビュー
- Docker:コンテナ化の基礎、docker-compose
- AWS/GCP基礎:EC2/Cloud Run、S3/Cloud Storage、RDS/Cloud SQL
- CI/CD:GitHub Actions、自動テスト、自動デプロイ
特にGit/GitHubの使い方は、SIerとWeb系で大きく異なることがあります。SIerではSVNを使っていたり、Gitを使っていてもブランチ戦略が異なったりするケースが多いです。GitHub Flowやトランクベース開発など、Web系企業で一般的なワークフローを事前に学んでおくと、入社後のキャッチアップがスムーズになります。
Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計 で解説されているアーキテクチャの考え方は、どの技術スタックを選んでも応用できる普遍的な知識です。

採用担当者に刺さるポートフォリオの作り方
技術を学んだだけでは転職は成功しません。実際に動くプロダクトを作り、ポートフォリオとして公開することが重要です。
ポートフォリオに含めるべき要素
私がPjMとして採用面接に関わってきた経験から、以下の要素が揃っているポートフォリオは高く評価されます。
- 課題設定の明確さ:なぜこのプロダクトを作ったのか
- 技術選定の理由:なぜこの技術スタックを選んだのか
- 設計の工夫:どのようなアーキテクチャで構築したのか
- 運用への配慮:テスト、CI/CD、監視をどう設計したか
おすすめのポートフォリオテーマ
SIer出身者が作りやすく、かつWeb系企業にアピールできるテーマとして、以下のようなものがあります。
- タスク管理アプリ:CRUD操作、認証、リアルタイム更新
- 技術ブログ:SSG、Markdown処理、SEO対策
- APIサーバー:RESTful設計、認証、ドキュメント自動生成
重要なのは、完成度よりも設計意図を説明できることです。私が面接で見ているのは、「なぜこの技術を選んだのか」「どのような課題があり、どう解決したのか」を論理的に説明できるかどうかです。コードの量よりも、READMEやドキュメントの充実度を重視する採用担当者も多いです。
Reactダッシュボード実装実践ガイド:Recharts/Nivo/ApexChartsで作るリアルタイム分析システムの設計と運用のような実践的なプロジェクトを参考に、自分なりのアレンジを加えてみてください。リファクタリング(第2版) の考え方を取り入れて、コードの品質を高めることも忘れずに。
以下のグラフは、SIerからWeb系転職で求められるスキルの重要度を示したものです。

転職活動を成功させるための実践ステップ
技術習得とポートフォリオ構築ができたら、いよいよ転職活動です。ここでは、SIer出身者が陥りがちな失敗を避けるためのポイントを解説します。
職務経歴書の書き方
SIerでの経験をWeb系企業向けにアピールするには、技術的な貢献を具体的に記載することが重要です。「要件定義を担当」ではなく、「ユーザーヒアリングを通じて要件を整理し、開発チームと協力してAPI設計を行った」のように、具体的な行動と成果を書きましょう。
面接対策
Web系企業の面接では、技術的な深掘り質問が多くなります。以下のような質問に答えられるよう準備しておきましょう。
- なぜその技術を選んだのか:トレードオフを理解しているか
- どのような設計判断をしたか:アーキテクチャの考え方
- 困難をどう乗り越えたか:問題解決能力
また、Web系企業ではカルチャーフィットも重視されます。「なぜこの会社を選んだのか」「どのような価値観を持っているのか」といった質問にも、自分の言葉で答えられるよう準備しておきましょう。SIerでの経験を否定するのではなく、「SIerで学んだことを活かしつつ、新しい環境でさらに成長したい」という前向きな姿勢を見せることが大切です。
ITエンジニア転職の職務経歴書で差をつける:技術力を可視化する実績整理とアピール戦略も参考にしてください。達人プログラマー で紹介されている「学び続ける姿勢」をアピールすることも効果的です。

おすすめエージェント・サービス
SIerからWeb系企業への転職を成功させるには、IT業界に特化した転職エージェントを活用することをおすすめします。一般的な転職サイトでは、Web系企業の求人が見つかりにくかったり、技術的なマッチングが難しかったりするためです。
エージェント選びのポイント
転職エージェントを選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- IT業界への専門性:技術的な相談ができるか
- Web系企業との取引実績:希望する企業の求人があるか
- キャリア相談の質:スキルアップのアドバイスがもらえるか
状況別おすすめサービス
Web系企業への転職を目指すなら、ITエンジニアのための転職エージェント【TechClipsエージェント】 は高年収のWeb系求人に強く、技術力を正当に評価してもらえます。また、フリーランスとして独立することも視野に入れているなら、フリーランスエンジニアに安心保障と豊富な案件紹介を【Midworks】 や 設立から四半世紀!フリーランスエンジニアの独立をサポート【PE−BANK】 を通じて案件を探すことで、正社員転職前に実務経験を積むこともできます。
フリーランスエンジニアが常駐からリモート案件に移行するためのキャリア戦略で紹介しているように、働き方の選択肢を広げておくことも重要です。

まとめ
SIerからWeb系企業への転職は、適切な準備をすれば十分に実現可能です。
この記事のポイントを整理します。
- 技術文化の違いを理解する:ウォーターフォールからアジャイルへの意識転換
- モダン技術スタックを習得する:React、TypeScript、Docker、AWS/GCPを優先的に学ぶ
- 実践的なポートフォリオを作る:課題設定、技術選定理由、設計の工夫を明確に
- IT特化エージェントを活用する:技術的なマッチングができるサービスを選ぶ
まずは小さなプロジェクトから始めて、少しずつ技術スタックを広げていきましょう。SIerで培った業務理解力やコミュニケーション能力は、Web系企業でも必ず活きてきます。







