
「データベース?そんなものなくてもアプリは作れる!」と豪語した結果
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
エンジニアの世界では、時折「データベースなんてなくてもアプリは作れる!」と豪語する人が現れます。特に、フロントエンド主体の開発者や、小規模なアプリケーションを作るときには、データベースを使わずに済ませようとするケースもあります。
確かに、単純なアプリケーションならば一時的なデータ保存やローカルストレージ、JSONファイルなどを活用して実装することは可能です。 しかし、本格的な開発に進むにつれて、その選択が致命的な問題を引き起こすことになります。
本記事では、「データベース不要論」を掲げたエンジニアがどのような困難に直面し、最終的にどのような結論に至るのかを解説します。
データベースなしでアプリを作る方法
JSONやローカルストレージを活用
「データベースを使わない」と言っても、何らかの形でデータを保存する必要があります。以下のような代替手段が考えられます。
- ローカルストレージ(ブラウザのWeb Storage APIを使用)
- JSONファイル(サーバーサイドで管理)
- フラットファイル(CSVやYAMLなどの形式)
- ハードコード(データをコード内に直接記述)
例えば、JavaScriptでローカルストレージを利用すると、以下のように簡単にデータを保存・取得できます。
localStorage.setItem("username", "taro");
console.log(localStorage.getItem("username")); // "taro"
これなら、簡単なアプリではデータベースなしでも動作します。
初期段階では問題なし
データベースを使わずに開発すると、セットアップが不要で手軽に始められるというメリットがあります。小規模なアプリでは、JSONやローカルストレージで十分に機能することもあります。
例えば、ToDoアプリやメモアプリなど、個人用のツールであればデータベースを使わなくても問題なく動作するでしょう。しかし、問題はその先にあります。
データベースなしで開発を進めた結果
データの増加で管理が破綻
最初は問題なく動作していたアプリでも、ユーザーが増え、データ量が増加するとデータ管理が困難になります。
例1:JSONファイルが膨大になり、処理速度が低下
アプリのデータをJSONファイルで管理していた場合、数百件のデータなら問題ありません。しかし、数万件、数十万件とデータが増えてくると、ファイルの読み込みや書き込みが遅くなり、パフォーマンスが大幅に低下します。
[
{ "id": 1, "name": "ユーザーA", "email": "usera@example.com" },
{ "id": 2, "name": "ユーザーB", "email": "userb@example.com" },
...
]
ファイルサイズが肥大化し、サーバーへのリクエストが増えると、処理時間が大幅にかかるようになります。
例2:データの整合性が保てなくなる
データベースを使わない場合、データの一貫性を保証するのが困難になります。
例えば、ユーザー情報と注文履歴を別々のJSONファイルで管理していた場合、ユーザーが削除されたときに注文履歴のデータが残ったままになる可能性があります。リレーショナルデータを適切に管理するのが難しくなり、データの不整合が発生します。
例3:複数ユーザーの同時アクセスで競合が発生
アプリが成長し、複数のユーザーが同時にデータを更新するようになると、データの競合が発生します。例えば、二人のユーザーが同時にJSONファイルを書き換えようとすると、データの消失や上書きのリスクが高まります。
ついにデータベース導入を決意
RDBMSの恩恵を実感
データ管理の限界に直面したエンジニアは、ついにデータベースの導入を決意します。一般的なリレーショナルデータベース(RDBMS)には、以下のようなメリットがあります。
- 大量データの管理が容易:インデックスを適切に設定すれば、数百万件のデータでも高速に検索可能。
- データの整合性を保証:外部キー制約などを利用すれば、関連データを適切に管理できる。
- 同時アクセスの競合を防ぐ:トランザクション管理により、一貫性のあるデータを保てる。
例えば、MySQLやPostgreSQLを導入すれば、データを適切に管理しつつパフォーマンスを向上させることが可能です。
CREATE TABLE users (
id SERIAL PRIMARY KEY,
name VARCHAR(100),
email VARCHAR(100) UNIQUE
);
SQLを使えば、データの取得や更新が簡単かつ安全に行えます。
NoSQLという選択肢も
RDBMSだけでなく、MongoDBやFirebaseなどのNoSQLデータベースも選択肢として考えられます。NoSQLはスキーマレスなデータ管理が可能で、特にリアルタイム性が求められるアプリには適しています。
{
"user_id": "12345",
"name": "ユーザーA",
"orders": [
{ "order_id": "001", "amount": 1000 },
{ "order_id": "002", "amount": 2000 }
]
}
NoSQLはスケールしやすく、クラウド環境との親和性も高いため、モダンなWebアプリやモバイルアプリで広く活用されています。
まとめ:結局、データベースは必要だった
「データベースなんていらない!」と意気込んで開発を始めたものの、最終的にはデータの管理が破綻し、データベースの導入を余儀なくされるケースがほとんどです。
- 小規模なアプリならばJSONやローカルストレージで対応可能だが、スケールすると管理が困難になる。
- データの整合性や同時アクセスを考えると、リレーショナルデータベース(RDBMS)やNoSQLの導入が不可欠。
- データベースを適切に設計することで、アプリのパフォーマンスや信頼性が向上する。
結論として、「データベースは不要」ではなく、「適切なデータベース設計が必要」なのです。 データ管理の重要性を理解し、最適な方法でデータベースを活用しましょう!