「試しにやってみたコード」が本番採用される奇跡
試しにやってみたコードが本番採用される奇跡
こんばんは！IT業界で働くアライグマです！
システム開発の現場では、動作検証やアイデアのテストのために「試しに書いたコード」が、本来の意図を超えてそのまま本番環境に採用されてしまうことがあります。
「とりあえず動かすために書いたコードが、なぜか本番運用されている」
「技術検証のつもりで作ったものが、結局ずっと使われ続けている」
こうした現象は、開発のスピード、納期のプレッシャー、仕様変更の頻発など、さまざまな要因によって起こります。一時的なつもりだったコードが、どうして本番環境に居座るのか？ この記事では、その背景や影響、そして防ぐための対策について詳しく掘り下げます。
「試しにやってみたコード」が本番に残る典型的なパターン
一時的なコードが本番に残ってしまうケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。
暫定対応のはずが、そのまま正式仕様になった
よくあるのは、「一時的な対応」のつもりで書いたコードが、そのまま正式仕様として扱われるケース」です。
例えば、バグ対応のために応急処置として if 文を追加し、「とりあえず問題を回避した」コードが、本来リファクタリングされるべきなのに、誰も手をつけないまま本番運用され続けることがあります。
本来なら「あとで修正する予定だった」コードが、誰もメンテナンスせずに放置され、気づけばシステムの一部になっていることは珍しくありません。
技術検証のつもりが、意外とうまく動いてしまった
新しい技術を試す目的で書いたコードが、思った以上にうまく機能し、「これでいいんじゃない？」という雰囲気のまま採用されることもあります。
例えば、新しいライブラリの導入を試したところ、思った以上にスムーズに動作し、正式な検証を経ないまま本番環境に導入されることがあります。こうした場合、設計の見直しやテストが十分に行われていないため、後々思わぬ不具合が発生するリスクがあります。
仕様が二転三転し、最初の試作品が「もうこれでいいか」となる
開発の途中で仕様変更が何度も入ると、「結局、最初に試しに作ったものが一番まともだった」という状況が発生します。
特に、開発スケジュールが逼迫している場合、仕様が確定する前にとりあえず作ったコードが、そのまま「最終形」として扱われることがあります。
こうしたケースでは、本来考慮すべき設計がされておらず、長期的な運用に耐えられない構造になっていることが多いため、将来的な技術的負債につながりやすいです。
「誰かがあとで直すだろう」が、誰も直さない
開発チームの中で、「このコードは一時的なものだから、後でちゃんと作り直す」という認識が共有されているにもかかわらず、結局誰も手をつけないまま本番運用されてしまうこともあります。
この背景には、リファクタリングの優先度が低く設定されるという問題があります。新機能の開発やバグ修正が優先されるため、「すでに動いているコード」は後回しにされ、気づけばそのまま運用され続けてしまうのです。
「試しにやってみたコード」が本番に残ることの影響
試しに書いたコードが本番に残ることは、短期的には問題なく見えても、長期的には技術的負債として開発チームにのしかかります。
保守性の低下
一時的なつもりで書かれたコードは、適切な設計やドキュメントがないことが多いため、後で保守しようとすると非常に手間がかかります。
例えば、コードの意図が不明確で、変数名や関数名が適当につけられていると、後任の開発者がコードを読むのに時間がかかるだけでなく、誤った修正を加えてしまうリスクもあります。
パフォーマンスの問題
試験的に書かれたコードは、最適化が考慮されていないことが多く、スケールしたときにパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があります。
例えば、一時的にデータを取得するための簡単なSQLクエリが、そのまま本番で使われ続けた結果、データ量が増えたときにパフォーマンスが著しく低下するといったケースです。
バグの温床になる
テストが十分に行われていない試作コードは、バグの温床になりがちです。特に、例外処理が十分に考慮されていないコードが本番環境で使われると、特定の条件下で予期せぬエラーが発生し、大規模な障害につながることもあります。
「試しにやってみたコード」が本番入りするのを防ぐには？
このような事態を防ぐためには、以下の対策が有効です。
明確なプロトタイピングのルールを作る
プロトタイピングや技術検証のコードは、本番環境にそのまま採用しないよう、チーム内で明確なルールを設定することが重要です。
例えば、試験的なコードは専用のブランチで管理し、コードレビューなしでは本番にマージしないといったルールを設けることで、不適切なコードが混入するリスクを減らせます。
「一時的なコード」には明示的なコメントをつける
一時的なコードであることを明確にするため、「このコードは暫定対応」といったコメントを記載し、リファクタリングが必要なことを可視化するのも有効です。
さらに、TODOリストを作成し、リファクタリングの期限を設定することで、コードの放置を防ぐことができます。
定期的なリファクタリングの時間を確保する
開発スケジュールの中に定期的なリファクタリングの時間を組み込むことで、一時的なコードが長期間残るのを防ぐことができます。
リリース後に技術的負債を清算するための「メンテナンス期間」を設け、試験的なコードを正式な設計に置き換えることが理想的です。
まとめ
試しに書いたコードがそのまま本番採用される現象は、開発現場ではよくある話ですが、そのまま放置すると保守性の低下、パフォーマンスの問題、バグの温床につながります。
本番環境に適さないコードが混入しないよう、ルールの明確化、コードレビューの徹底、定期的なリファクタリングを行い、技術的負債を未然に防ぐことが重要です。