
「予定どおり進んでいます」と言いながら裏で火消し作業
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
開発プロジェクトにおいて、「順調です」「予定どおり進んでいます」と報告しつつ、実際は裏で火消し作業に追われている――そんな経験をしたエンジニアは少なくないでしょう。
仕様変更やバグ対応、予想外のトラブルなど、プロジェクトは常に想定外の出来事と隣り合わせです。それでも「問題ありません」と言わざるを得ない状況に陥るのはなぜなのでしょうか?
本記事では、プロジェクトの進捗報告と現場の実態のギャップが生まれる理由や、火消し作業の実態、そしてトラブルを未然に防ぐための対策について解説します。
なぜ「順調です」と言いながら火消し作業をするのか?
エンジニアが「予定どおり」と報告しつつ裏で必死に対応する背景には、いくつかの理由があります。
チームの士気を下げたくない
プロジェクトが遅延していると報告すると、マネージャーやクライアントの不安を煽ることになります。特に、大勢の関係者がいるプロジェクトでは、「少し遅れている」と伝えるだけで不要な混乱を招くことがあります。
そのため、本当はギリギリの状況でも「問題ありません」と報告し、裏で何とか間に合わせる努力をするのです。
まだ「リカバリー可能」と判断している
開発現場では、「この問題はなんとかなるだろう」と考え、わざわざリスクを報告しないこともよくあります。
例えば、
- 予想より開発が遅れているが、徹夜すれば間に合いそう
- クリティカルなバグがあるが、すぐ修正できそう
- 他のタスクを削ればスケジュール調整できる
こうした状況では、まだリカバリー可能だと判断し、敢えて問題を表に出さず、裏でひっそりと火消し作業に取り組むことがよくあります。
問題を表に出すと責任問題になる
進捗の遅れを報告すると、「なぜ遅れたのか」「誰の責任か」といった議論が始まります。
- 「スケジュールが甘かったのでは?」
- 「事前にリスクを報告すべきだったのでは?」
- 「テストが足りなかったのでは?」
こうした指摘を受けるのを避けるために、「まだ何とかなる」と考えて問題を隠したまま対応しようとすることもあります。
典型的な「火消し作業」の実態
では、実際にどのような火消し作業が行われているのでしょうか?
深夜や休日の緊急対応
「このバグ、明日のデモまでに直さないとまずい…」と気づいたエンジニアが、深夜や休日にこっそり対応するのはよくある話です。
- チーム全員が帰った後、一人でデバッグ
- 自宅でこっそり修正し、翌朝「昨日のうちに対応しました!」と報告
- 休日なのにオフィスやリモートで作業
こうした緊急対応が重なると、エンジニアの疲労が蓄積し、さらなる問題を引き起こす原因になります。
「一時しのぎ」の応急処置
本来は根本的な修正が必要な問題でも、納期の都合上、とりあえず動く状態にすることが優先されることがあります。
- バグを隠すための一時的なパッチ適用
- エラーハンドリングを強引に追加して見た目だけ修正
- 本来非推奨の手法を使って応急処置
このような対応は、短期的には問題を回避できますが、長期的には技術的負債として積み重なり、将来的に大きな問題を引き起こすことになります。
人海戦術でゴリ押し
開発が遅れている場合、とにかく人を増やしてタスクを片付けるという方法がとられることもあります。
- 他のプロジェクトのエンジニアを急遽投入
- 残業や休日出勤で対応
- タスクを細分化して手当たり次第に進める
しかし、突貫作業で進めたコードは品質が低下しやすく、バグや技術的負債が蓄積するリスクが高まります。
火消し作業を減らすための対策
では、このような状況を避けるためにはどうすればよいのでしょうか?
早めのリスク報告と適切なコミュニケーション
プロジェクトの遅れやリスクは、早めに報告することで対策の選択肢が増えます。
- 「このままだと遅れる可能性がある」と早期に共有
- マネージャーや関係者と調整し、優先度の見直しを行う
- 仕様変更やスコープの調整を提案する
適切なタイミングでリスクを伝えることで、炎上する前に対策を講じることが可能になります。
現実的なスケジュール管理
無理な納期設定を避けることも重要です。
- 余裕を持ったスケジュールを設定する
- 進捗の見える化を行い、問題が発生した際にすぐ対応できるようにする
- 不確定要素を考慮し、バッファ期間を設ける
現実的なスケジュールを組むことで、火消し作業が発生するリスクを減らせます。
技術的負債を溜めない開発プロセス
一時しのぎの修正を減らすために、コードの品質を維持しながら開発を進めることが大切です。
- コードレビューを徹底する
- テストをしっかり書き、バグを未然に防ぐ
- 設計段階で拡張性や保守性を考慮する
技術的負債が増えると、将来的な火消し作業が増えるため、長期的な視点でコードの品質を意識することが重要です。
まとめ
開発現場では、「順調です」と言いながら裏で必死に火消し作業をしていることがよくあります。しかし、こうした対応を続けると、エンジニアの負担が増え、技術的負債が蓄積してしまいます。
火消し作業を減らすためには、早めのリスク報告、現実的なスケジュール管理、技術的負債を溜めない開発が不可欠です。
「予定どおり」と言いながらの徹夜作業が当たり前にならないよう、健全な開発環境を整えることが、エンジニアの働きやすさとプロジェクトの成功につながるのです。