【エンジニアの生存戦略】最高のパフォーマンスは「最高の休息」から生まれる。私が39度の熱から学んだこと

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

先週の金曜日、私は39度近い高熱で倒れ、週末の丸三日間、文字通り何も手につきませんでした。

「自分のサービスを少しでも多く形にしたい」という一心で、平日の夜も、週末も、常にインプットとアウトプットを繰り返し、生産性を高めることばかり考えていました。最高のパフォーマンスを出すために、誰よりも努力しているつもりでした。

しかし、その結果が、緊急外来での点滴でした。積み上げてきたはずの全ての活動が、たった一度の体調不良の前では、なすすべもなく止まってしまったのです。

今日は、そんな私自身の痛恨の失敗談を基に、多くのエンジニアが見過ごしがちな、しかし最も重要なスキル――「休む技術」について、お話ししたいと思います。

エンジニアは、なぜ「休めない」のか?

私たちエンジニアは、なぜこれほどまでに自分を追い込み、休むことを忘れてしまうのでしょうか。私自身の経験から、そこにはいくつかの構造的な「思考の罠」があるように感じます。

  • 技術への焦り: 次々と生まれる新しいフレームワーク、ライブラリ、アーキテクチャ…。この業界の圧倒的な進化のスピードが、「常に学び続けなければ、自分は取り残されてしまう」という、強烈な焦りを生み出します。
  • 終わりなきタスク: 「やればやるだけ、サービスは良くなる」という達成感は、プログラミングの大きな魅力です。しかし、それは同時に「休むべき明確な終わり」がないことを意味し、私たちは無限に続くタスクの前に、休息を忘れがちです。
  • 「休むこと=サボり」という罪悪感: SNSを開けば、自分より若くて優秀なエンジニアが、とてつもないスピードで成果を出している。そんな情報に触れるたび、「自分は休んでいる場合じゃない」という、根拠のない罪悪感に苛まれてしまうのです。

私が実践する「戦略的休息術」

今回の経験を通じて、私は「休息」を単なる「何もしない時間」ではなく、最高のパフォーマンスを維持するための「戦略的活動」として捉え直すことにしました。PjMとしてプロジェクトのリソースを管理するように、自分自身の心身という最も重要なリソースを、計画的に管理するのです。

デイリー・リチャージ(日々の休息)

有名な「ポモドーロ・テクニック」を応用します。しかし、重要なのは「25分集中して、5分休む」というルールそのものではなく、「休憩時間も、作業時間と同じくらい厳密に管理する」という思想です。5分の休憩中は、Slackの通知も、技術記事も見てはいけません。完全に脳を空にし、次の集中に備えるのです。

ウィークリー・リセット(週末の休息)

週末のどちらか半日、あるいは数時間でも構いません。意図的に、全てのスクリーンから物理的に離れる「デジタル・デトックス」の時間を設けます。インプットを完全に遮断し、公園を散歩したり、家族と話したりすることで、凝り固まった脳をリセットする。この時間が、週明けの創造性を大きく左右します。

マンスリー・メンテナンス(月単位の休息)

有給休暇の捉え方を変えましょう。「病気になったから取る」という事後対応ではなく、「最高のパフォーマンスを維持するために、計画的に取る」のです。プロジェクトが落ち着いている時期に、意図的に1日の休暇を取得し、心と体をメンテナンスする。これは、プロフェッショナルとしての重要な責務です。

【PjM視点】なぜ、あなたの「休息」はプロジェクト全体の利益になるのか

一見、個人の問題に見える「休息」ですが、PjMの視点から見ると、これはプロジェクト全体の成功に直結する、極めて重要なリスク管理の一環です。

個人の無理や消耗は、「技術的負債」ならぬ「健康的負債」と呼ぶべきものです。睡眠不足のエンジニアが書いたコードは、バグを生みやすくなります。疲弊したPjMの判断は、プロジェクトの方向性を誤らせます。この「負債」は、後になって必ず、スケジュールの遅延や手戻りといった、より大きなコストとしてプロジェクト全体に降りかかってくるのです。

優秀なPjMは、メンバーのタスクの進捗だけでなく、その顔色や、Slackでの言葉遣いから「健全な余白」が残っているかを観察しています。なぜなら、その「余白」こそが、予期せぬトラブルに対応したり、新しいアイデアを生み出したりする、プロジェクトの真の推進力になることを知っているからです。

まとめ

今回、私は高熱で倒れたことで、自分がいかに「休む技術」を軽視していたかを痛感しました。ひたすらアクセルを踏み続けることだけが、夢への道ではない。時には勇気を持って休み、自分の心身をメンテナンスすることこそが、長期的に見て、最も早く、そして確実にゴールにたどり着く方法なのです。

最高のコード、最高のサービス、そして最高のキャリアは、最高のコンディションの自分からしか生まれません。

だからこそ、私たちはもっと戦略的に、そして堂々と休むべきです。

この記事を読んでくれたあなたが、今夜は少しだけ早くPCを閉じて、自分を労る時間を持ってくれることを、心から願っています。