コードレビュー中に生まれる「プチ宗教戦争」
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
「ここはインデントをスペース4つにすべきだ!」「いや、タブでしょ!」「行末文字はLFで統一してくれ!」
コードレビューをしていると、こんなやり取りが聞こえてくることはありませんか?
そう、プチ宗教戦争の始まりです。
コードレビューは、コードの品質を向上させるために必要不可欠なプロセスです。しかし、人間が書くコードである以上、どうしても意見の衝突は避けられません。
特に、コーディング規約やスタイルガイドといった、明確なルールがない部分に関しては、個人の好みや経験によって意見が大きく分かれることがあります。
なぜ「プチ宗教戦争」は起こるのか?
「プチ宗教戦争」が起こる原因は様々ですが、主な要因としては以下のようなものが挙げられます。
- コーディング規約やスタイルガイドの未整備: チームで共有する明確なルールがない場合、個人の好みが優先され、意見が衝突しやすくなります。
- 経験や知識レベルの差: チームメンバーの経験や知識レベルが異なる場合、コードの書き方や考え方が異なり、意見が衝突することがあります。
- プログラミング言語やフレームワークの特性: プログラミング言語やフレームワークには、それぞれ独自の慣習やベストプラクティスがあり、それに従うべきか否かで意見が分かれることがあります。
- 個人の好みやこだわり: 人はそれぞれ、自分が良いと思う書き方や考え方を持っています。そのため、自分のやり方を否定されると、感情的に反発してしまうことがあります。
- 過去の経験: 過去に特定のコーディングスタイルで痛い目を見たことがある場合、それがトラウマとなり、他のスタイルを受け入れられなくなることがあります。
- 時間的制約: 時間がない状況下では、じっくりと議論する余裕がなく、感情的に反発してしまうことがあります。
- コミュニケーション不足: チームメンバー間のコミュニケーションが不足していると、お互いの意図や背景を理解できず、誤解が生じやすくなります。
- 心理的安全性の欠如: チーム内で心理的安全性が確保されていない場合、自分の意見を率直に言うことができず、不満が蓄積されることがあります。
- 権威勾配: チーム内に権威勾配がある場合、立場の弱いメンバーは自分の意見を言いづらく、上位のメンバーの意見が通りやすくなります。
- 文化的な背景: チームメンバーの文化的な背景が異なる場合、コードの書き方や考え方に対する価値観が異なり、意見が衝突することがあります。
コードレビューでよくある「プチ宗教戦争」の例
- インデント: スペース vs タブ
- スペース派: 「タブは環境によって表示が変わるから、スペースの方が確実」
- タブ派: 「スペースは文字数が増えるし、編集が面倒」
- 行末文字: CRLF vs LF
- LF派: 「UNIX系OSではLFが標準。WindowsでもGitで変換できる」
- CRLF派: 「Windows環境ではCRLFが標準。Gitの設定を忘れるとトラブル」
- 命名規則: キャメルケース vs スネークケース
- キャメルケース派: 「Javaではキャメルケースが一般的。可読性が高い」
- スネークケース派: 「C++ではスネークケースが一般的。視認性が高い」
- コメント: どのように書くか、書くべきかどうか
- コメント派: 「コードの意図を理解するために、コメントは必要」
- 非コメント派: 「コードは読めばわかるはず。コメントはメンテナンスを煩雑にする」
- エラー処理: 例外 vs 戻り値
- 例外派: 「例外はエラー処理を集中化できる。コードが読みやすい」
- 戻り値派: 「例外は予期せぬ挙動を引き起こす可能性がある。戻り値で明示的にエラーを処理すべき」
- 関数の長さ: どこまでを1つの関数にまとめるか
- 短くまとめる派: 「関数は短く分割した方が、再利用性が高い」
- 長くまとめる派: 「関数が細かすぎると、処理の流れが分かりにくい」
- 変数のスコープ: どこまで変数を参照可能にするか
- 狭いスコープ派: 「変数のスコープは狭い方が、予期せぬ変更を防げる」
- 広いスコープ派: 「変数のスコープは必要な範囲で広く取った方が、コードが書きやすい」
- nullの扱い: nullを許容するか否か
- null許容派: 「nullは便利な概念。nullチェックをしっかりすれば問題ない」
- null非許容派: 「nullはバグの温床。nullを許容しない設計にすべき」
- Optionalの活用: Optionalを使うべきか否か
- Optional派: 「Optionalはnullを明示的に扱える。コードが安全になる」
- 非Optional派: 「Optionalはコードが複雑になる。nullチェックで十分」
「プチ宗教戦争」を解決するには?
「プチ宗教戦争」は、チーム開発において避けて通れない問題です。しかし、以下の対策を講じることで、建設的な議論を行い、より良いコードを生み出すことができます。
- コーディング規約やスタイルガイドを明確に定める: チームで議論し、合意形成を図りながら、明確なルールを定めましょう。ルールは文書化し、チーム全体で共有することが重要です。
- 自動フォーマッターやリンターを導入する: 自動フォーマッターやリンターを導入することで、機械的にチェックできる部分については、議論の余地を減らすことができます。
- コードレビューの目的を理解する: コードレビューは、コードの品質向上を目的としています。個人の感情的な意見ではなく、客観的な根拠に基づいて議論しましょう。
- お互いの意見を尊重する: 相手の意見を頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手の意図を理解しようと努めましょう。
- 妥協点を見つける: 必ずしも自分の意見が全て通るとは限りません。お互いに譲歩し、妥協点を見つけることも重要です。
- コミュニケーションを密にする: チームメンバー間のコミュニケーションを密にすることで、お互いの意図や背景を理解しやすくなります。
- 議論のための時間を設ける: 時間がない状況下では、感情的に反発しやすくなります。議論のための時間を設け、落ち着いて話し合えるようにしましょう。
- 第三者の意見を聞く: どうしても意見がまとまらない場合は、チーム外の第三者に意見を聞いてみるのも良いでしょう。
- 感情的な議論は避ける: 感情的な議論は、建設的な解決策を生み出しません。冷静に、論理的に議論しましょう。
- ルールは常に改善する: コーディング規約やスタイルガイドは、一度定めたら終わりではありません。チームの成長に合わせて、常に改善していくことが重要です。
- 心理的安全性を確保する: チーム内で心理的安全性を確保し、誰もが安心して意見を言える環境を作りましょう。
- 権威勾配をなくす: チーム内の権威勾配をなくし、全てのメンバーが平等に意見を言えるようにしましょう。
- 多様性を尊重する: チームメンバーの多様性を尊重し、それぞれの文化的な背景や価値観を理解するように努めましょう。
- ファシリテーターを置く: 議論が膠着した場合は、ファシリテーターを置いて、議論を円滑に進めるようにしましょう。
- 投票で決める: どうしても意見がまとまらない場合は、最終的に投票で決めるのも一つの手段です。
まとめ
コードレビューは、チームで成長するための良い機会です。
「プチ宗教戦争」を恐れるのではなく、建設的な議論を通じて、より良いコード、そしてより良いチームを作り上げていきましょう。