「AIコーディング戦国時代」の勝者は誰?Cursor, Junie, Claude CodeをPjMエンジニアが徹底比較

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

都内の事業会社でPjMとして、AI技術をいかに開発プロセスに組み込み、チームの生産性と創造性を最大化できるか、日々模索している私です。エンジニアとしてのバックグラウンド(PHP、Laravel、Vue3など)を持つ身として、コードを書く現場が今、AIによって劇的に変わろうとしているのを肌で感じています。

ソフトウェア開発の世界は、まさに「AIコーデンング戦国時代」に突入しました。かつてはGitHub Copilotが切り拓いたこの領域に、今や個性豊かな「武将」たちが次々と名乗りを上げ、開発者の心を掴むべく、その能力を競い合っています。

その中でも、特に大きな勢力を形成し、三つ巴の戦いを繰り広げているのが、「Cursor」「Junie」「Claude Code」の三者です。それぞれが異なる思想と強力な武器を持ち、開発の未来をその手に収めんと覇を競っています。

「一体どのツールが最強なのか?」「自分の開発スタイルやプロジェクトに最適なのはどれ?」――多くのエンジニアやPjMが、そんな疑問を抱いているのではないでしょうか。

今日は、このAIコーディング戦国時代を生き抜くために、PjM兼エンジニアである私が、これら三つのツールを実際に評価する中で見えてきた特徴、長所、短所を徹底的に比較し、「本当の勝者は誰なのか」という問いに、私なりの答えを提示してみたいと思います。これは、単なる機能紹介ではなく、あなたの開発スタイルやキャリアをも左右するかもしれない、重要な戦略考察です。

天下統一を目指す三雄:Cursor, Junie, Claude Codeの紹介

まずは、この戦国時代を彩る三人の「武将」たちの素顔と、その出自を見ていきましょう。

VS Codeの血を引く革新者「Cursor」

Cursorは、多くの開発者が慣れ親しんだVisual Studio Code (VS Code) をベースに、強力なAI機能をディープに統合したエディタです。VS Codeの広大なエコシステム(豊富な拡張機能や設定)をそのまま継承できるという、強力な血統を持っています。その最大の武器は、プロジェクト全体を理解し、自然言語で対話しながらコードを生成・編集・デバッグできる、非常に柔軟でパワフルなAIチャット機能です。

スタイル: 豊富な兵(拡張機能)を巧みに操り、あらゆる戦況に対応するオールラウンダー。

IDEの覇者Jetbrainsが放つ知将「Junie」

Junieは、PhpStormやIntelliJ IDEAなど、高機能IDEで知られるJetbrains社が、自社のIDEにネイティブ統合したAIコーディングエージェントです。Jetbrains IDEが持つ強力な静的コード解析能力とAIが融合することで、コードの深い文脈を理解した上での、極めて精度の高いサポートを実現します。特に、チームで共有できる規約ファイル「ガイドライン」を用いて、AIの振る舞いをプロジェクトに合わせて統制できるのが特徴です。

スタイル: 城(IDE)の守りを固め、規律の取れた軍(AI)を率いる、戦略に長けた知将。

ターミナルを拠点とする孤高の剣士「Claude Code」

Claude Codeは、AIの安全性と倫理で評価の高いAnthropic社が開発した、ターミナル(CLI)中心で動作するエージェント型ツールです。IDEから離れ、サーバー上やコンテナ内といった、どんな環境でもAIの力を呼び出せる身軽さが特徴です。プロジェクト全体を自律的に探索し、ユーザーの指示を忠実に実行する能力、そして何よりClaude 4 Opusといった最高峰のAIモデルを搭載している点が強みです。

スタイル: 特定の城に拠らず、黒い画面(ターミナル)を駆け巡り、一撃の切れ味で問題を解決する孤高の剣士。

【徹底比較】PjMエンジニアが5つの軸で斬る!

では、これら三者の実力を、PjM兼エンジニアとしての私が、5つの重要な比較軸で「斬って」いきましょう。

比較軸1:開発体験(UI/UX)と操作性

  • Cursor: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    • VS Codeユーザーなら学習コストはほぼゼロ。直感的で分かりやすいGUIと、柔軟なカスタマイズ性が魅力。AIとの対話もスムーズです。
  • Junie: ⭐️⭐️⭐️⭐️
    • PhpStormなどのJetbrains製IDEに完全に溶け込んでおり、既存ユーザーにとっては非常に自然な操作感。IDEの機能を損なうことなく、AIの恩恵を受けられます。
  • Claude Code: ⭐️⭐️⭐️
    • CLI中心のため、キーボード操作に習熟したパワーユーザーにとっては最高の効率を発揮しますが、GUIに慣れたユーザーには最初は戸惑いがあるかもしれません。IDE連携も進んでいますが、その真価はターミナルで発揮されます。

比較軸2:AIの「知性」と対話能力

  • Cursor: ⭐️⭐️⭐️⭐️
    • 汎用的な対話能力が高く、ブレインストーミングやアイデアの壁打ちに非常に強い。Web上のドキュメントを参照する能力も便利です。
  • Junie: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    • IDEの静的解析情報と連携するため、プロジェクト固有のクラス構造や依存関係に対する理解度が非常に高いです。「ガイドライン」機能でプロジェクトのルールを教え込めば、まさにそのプロジェクト専門のAIとなります。
  • Claude Code: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    • バックエンドにClaude 4 Opusという最高峰の頭脳を搭載しており、複雑な推論や、抽象度の高い指示に対する理解力は圧巻です。コード全体のロジックを読み解く能力に長けています。

比較軸3:タスクの自律性とワークフロー自動化

  • Cursor: ⭐️⭐️⭐️
    • 基本的には、人間がステップごとに指示を与え、AIがそれを実行する「協調型」。自律的にタスクを進めるというよりは、強力なアシスタントです。
  • Junie: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    • 「コーディングモード」では、タスクをAI自身が複数ステップに分解し、計画的に実行していきます。まさに「仕事を任せられる」エージェントとしての能力が高いです。
  • Claude Code: ⭐️⭐️⭐️⭐️
    • こちらも非常に自律性が高く、一つの指示から関連ファイルを横断して修正を加えるといった、エージェント的な動きを得意とします。ターミナルでの利用が前提のため、スクリプトとの連携による自動化のポテンシャルも高いです。

比較軸4:チーム開発とガバナンス

  • Cursor: ⭐️⭐️⭐️⭐️
    • チームでの共有コンテキスト設定など、コラボレーション機能も搭載しており、チーム利用にも十分対応できます。
  • Junie: ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    • バージョン管理可能な「ガイドライン」ファイルによって、チーム全体のコーディング規約や設計思想をAIに徹底させることができる点は、他の追随を許しません。企業のガバナンスや品質管理の観点からは、最強の選択肢と言えるでしょう。
  • Claude Code: ⭐️⭐️⭐️
    • ツール自体に強力なチーム管理機能があるわけではありませんが、設定ファイルなどをGitで共有することで、チームでの利用も可能です。個々のエンジニアの自律性を重んじる文化に向いています。

比較軸5:得意な領域とユースケース

  • Cursor: Webフロントエンド開発(豊富なVS Code拡張機能が活きる)、プロトタイピング、AIとの壁打ちや調査が多いプロジェクト。
  • Junie: 大規模なバックエンド開発、エンタープライズシステム、厳格なコーディング規約があるプロジェクト、JavaやKotlinなどJetbrains IDEが得意とする言語での開発。
  • Claude Code: サーバーサイドでの開発・運用、インフラ関連のコード(IaC)作成、リモート環境での作業、CLIベースのツール開発。

PjMの視点:どの「武将」をどの「戦」に送り込むか?

PjMとして、私の仕事はプロジェクトという「戦」を勝利に導くことです。そのためには、それぞれの「武将」(AIツール)の特性を見極め、最適な戦場に送り込む戦略眼が求められます。

チームの生産性を最大化するためのツール選定戦略

結論から言えば、「唯一の勝者」は存在せず、「戦況に応じた最適な選択」があるというのが私の考えです。

  • チームの技術スタックと既存環境: チームがVS Codeに慣れ親しんでいるならCursor、Jetbrains製品が標準ならJunieがスムーズでしょう。
  • プロジェクトの特性: 迅速なプロトタイピングが求められるならCursor。品質と一貫性が最重要な大規模プロジェクトならJunie。サーバーサイドの作業が中心ならClaude Code、といった使い分けが考えられます。
  • セキュリティ要件: 機密性の高いコードを扱う場合、ローカルAIを選択できるツールや、セキュリティ機能が明示されているエンタープライズプランが必須となります。

私のプロジェクト(PHP/Laravel/Vue3)ならこう使う

私がPjMとして関わる、PHP/Laravelでのバックエンド、Vue3でのフロントエンドという構成の典型的なWeb開発プロジェクトであれば、以下のような布陣を考えます。

  • バックエンド(Laravel)開発: チームのメインIDEであるPhpStormに統合された「Junie」を正攻法として採用します。「ガイドライン」機能でLaravelの設計パターンやチームの規約をAIに徹底させ、コード品質の安定化を図ります。
  • フロントエンド(Vue3)開発: 豊富な拡張機能が魅力的な「Cursor」を遊撃部隊として活用します。新しいUIコンポーネントライブラリの試用や、デザインのプロトタイピングなどで、その柔軟性とスピード感を活かします。
  • インフラ・運用タスク: 本番サーバーでの調査や、ちょっとしたバッチ処理スクリプトの作成などには、「Claude Code」を隠密部隊としてターミナルから呼び出し、迅速にタスクを完了させます。

「勝者」はツールではなく、使いこなす我々自身

結局のところ、どんなに優れたツール(武将)も、それを使いこなす指揮官(私たちPjMやエンジニア)がいなければ真価を発揮できません。それぞれのツールの強みと弱みを理解し、戦略的に使い分けることこそが、「戦」に勝利するための鍵なのです。

「AIコーディング戦国時代」の未来と私たちの心構え

この三つ巴の戦いは、今後もますます激化していくでしょう。

ツールの進化と専門分化はさらに加速する

それぞれのツールは互いに影響を受けながら、さらに進化し、専門分化していくはずです。あるツールはチームでの協調作業支援に特化し、あるツールは特定の言語やフレームワークの解析能力を極めていくかもしれません。私たち開発者は、この進化の潮流を常にキャッチアップし続ける必要があります。

エンジニアに求められるスキルの変化:AIとの共存・共創

AIがコードを書く時代、エンジニアに求められるスキルは、単なるコーディング能力から、AIを使いこなし、より高度な問題解決やシステム設計を行う能力へとシフトしていきます。AIという「最強の兵」を率いる「将」としての能力が問われるのです。

PjMの役割:AIという名の「最強の兵」をどう率いるか

PjMにとっては、AIという強力なリソースをいかにプロジェクトの成功に結びつけるか、その戦略とマネジメント能力がこれまで以上に重要になります。ツールの選定、導入、そしてチーム内での活用促進まで、PjMが果たすべき役割は大きいと言えるでしょう。

まとめ:乱世を制するのは、多様な武器を使いこなす者

「AIコーディング戦国時代」において、「唯一絶対の勝者」は存在しないのかもしれません。Cursorの柔軟性、Junieの規律、Claude Codeの切れ味――それぞれが異なる魅力と強みを持つ、まさに三国志の英雄たちのような存在です。

本当の「勝者」とは、特定のツールそのものではなく、これらの多様な武器の特性を深く理解し、目の前の課題やプロジェクトの状況に応じて、最も効果的な一手を選択できる、私たちエンジニアやPjM自身なのではないでしょうか。

このエキサイティングな乱世を楽しみ、様々なAIツールを試し、自らのスキルを磨きながら、より良いソフトウェアを、より速く、より楽しく生み出していく。それこそが、このAIコーディング戦国時代を生きる私たちにとって、最高の戦略だと私は信じています。

皆さんのプロジェクトという「戦」では、どの「武将」と共に戦いますか?