【祝・公開】「あの正規表現、どこだっけ?」をなくす、正規表現管理ツール『正規表現ストッカー』を本日リリースします!

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

「サービス開発ジャーニー」として、このブログで設計のプロセスを共有してきた、新しい個人開発プロジェクト。その最初のバージョンが、ついに完成し、本日、皆さんに使っていただける形で公開できる日がやってきました。

その名も、『正規表現ストッカー』です。

この記事では、このツールが「誰の、どんな課題を解決するために生まれたのか」、その核心的な機能、そして、PjMとして、なぜ私がこのような形でリリースすることを選んだのか、その背景にある戦略と思想について、詳しくお話ししたいと思います。

「あの正規表現、どこだっけ?」問題への、私なりの最終回答

このツール開発の原点は、私自身の、そしておそらく多くのエンジニアやブロガーが抱える、地味で、しかし根深い「痛み」でした。

「あれ、WordPressの投稿から、余計な空のpタグを消す正規表現、どこにメモしたっけな…」

「たしか、メールアドレスをチェックする複雑な正規表現、前のプロジェクトのソースコードにあったはず…」

「全角英数を半角に変換するパターン、毎回ググってるな…」

テキストの整形、フォームのバリデーション、ログの解析、コードのリファクタリングなど、私たちの仕事に正規表現は欠かせません。しかし、その強力さとは裏腹に、構文は複雑で、一度書いたきりのパターンを記憶しておくのは至難の業です。

その結果、私たちの貴重な「お決まりのパターン」は、様々な場所に散逸してしまっています。

  • PCのメモ帳やテキストファイルに、雑多に書き溜めている。
  • 過去の自分のソースコードやブログ記事から、その都度grepして探している。
  • 会社のWikiや、個人のScrapboxに断片的に保存している。
  • 結局、毎回Googleで同じような正規表現を検索し、Stack Overflowの回答をコピペしている。

この「探す時間」「思い出す時間」。一つ一つは些細な「数秒」や「数分」かもしれません。しかし、PjMの視点から見れば、この小さなロスタイムの積み重ねは、無視できないほどの大きな生産性の損失であり、何より、私たちの創造的な思考の流れを断ち切る、大きなストレスの原因になっているのです。

『正規表現ストッカー』は、この課題に対する、私の現時点での、最もシンプルで、最も直接的な答えです。

3つのコア機能で、あなたの「探す時間」をゼロにする

『正規表現ストッカー』の機能は、意図的に、極限までシンプルに設計されています。それは、ユーザーを迷わせず、ただ一つの目的――「正規表現を探す時間をゼロにする」――を達成するためです。

機能1:パターンの保存と管理

このツールの心臓部です。あなたが頻繁に使う正規表現の「検索パターン」と、それに対応する「置換文字列」、そしてg i mといった「フラグ」を、一つのセットとして保存できます。

そして、そのセットには「WordPressの空タグ削除」「電話番号のハイフン除去」といった、あなたが後から見てすぐに理解できる、自由な名前を付けることができます。これにより、あなたの正規表現は、意味不明な記号の羅列から、再利用可能な「知識」へと昇華します。

機能2:リアルタイム・チェッカー

保存したパターンを選択、あるいは新しいパターンをその場で入力し、テストしたい文字列をペーストすると、その結果がリアルタイムで表示されます。正規表現が意図通りに機能しているか、あるいはどこが間違っているのかを、試行錯誤しながら、瞬時に確認することができます。

機能3:登録不要の、ローカルストレージ保存

v0.1(MVP版)である現在のバージョンでは、ユーザー登録は一切不要です。あなたが保存した正規表現パターンは、サーバーではなく、あなた自身のブラウザの「ローカルストレージ」という安全な領域に保存されます。

これにより、あなたはサイトにアクセスした瞬間から、一切のストレスなく、このツールの全ての価値を体験できます。

【PjM視点】なぜ、このツールは「登録不要」から始めたのか

ここで、PjMとしての、私の戦略的な意図についてお話しさせてください。

なぜ、最初からユーザー登録機能をつけ、サーバーのデータベースにデータを保存する、より「本格的」な構成にしなかったのか。

それは、個人開発プロジェクトを成功させる上で、私が最も重要だと考えている「MVP(Minimum Viable Product:最小限の価値ある製品)」の思想に基づいています。

MVPの目的は、完璧な製品を作ることではありません。「自分たちが解決しようとしている課題は、本当にお金(あるいは時間)を払ってでも解決したいものなのか?」という、最も重要な仮説を、最小限のコストで、最速で検証することにあります。

今回の『正規表現ストッカー』における、最も重要な仮説は、「エンジニアやブロガーは、本当に正規表現を探すのに困っていて、それを管理するツールを求めているのか?」です。

この仮説を検証するために、ユーザー登録や、データベースの設計、APIの開発といった、時間のかかる作業は、現時点では「ノイズ」でしかありません。まずは、登録不要という、最もハードルの低い形でツールを提供し、「実際に、人々はこれを使ってくれるのか?」という、最も純粋な答えを知る必要があるのです。

そして、もし多くのユーザーがこのツールを愛用し、「便利だ!でも、会社のPCと家のPCで、同じパターンを同期したい…」という、次の「痛み」を感じてくれたなら。

その時こそが、私たちがユーザー登録機能と、クラウド同期を備えた「Pro版」の開発に着手する、最高のタイミングなのです。

今後のロードマップ

この「サービス開発ジャーニー」は、まだ始まったばかりです。

  • v1.0 (Pro版): ユーザー登録と月額課金機能を導入し、保存したパターンをクラウドで同期できるようにします。
  • v2.0 (ネイティブアプリ版): Capacitorを使い、iOS/Androidアプリ化し、AdMobによる新たな収益源を確立します。

このロードマップを、このブログを通じて、皆さんと共に歩んでいければと考えています。

まとめ

『正規表現ストッカー』は、私の個人的な、そして切実な課題から生まれた、とても小さなツールです。

しかし、このツールを世に送り出すまでのプロセスには、個人開発を成功させるための、多くの戦略と学びが詰まっています。

ぜひ一度、このツールに触れてみてください。そして、もし「こんな機能があったらもっと良い」「ここが使いにくい」といったフィードバックがあれば、ぜひX(旧Twitter)で教えていただけると、今後の開発の大きな励みになります。

あなたの「探す時間」が、少しでも減りますように。

そして、その空いた時間で、あなたがもっと創造的な活動に集中できることを、心から願っています。