
エンジニアがつい作りたくなる「自動化ツール」の罠
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
エンジニアなら誰しも、一度は「この作業、毎回手動でやるのは面倒だから自動化しよう」と考えたことがあるでしょう。特に、定期的に発生する単純作業を効率化できれば、時間も労力も節約できます。
しかし、自動化ツールを作ることには思わぬ落とし穴があります。本記事では、エンジニアが陥りがちな「自動化ツールの罠」について解説し、適切な自動化のあり方について考えていきます。
エンジニアがつい作りたくなる「自動化ツール」の罠
自動化に時間をかけすぎる問題
作業時間 vs. 開発時間
自動化の目的は「手間を減らすこと」ですが、実際にはツールの開発・保守にかかる時間が、手作業を続けるよりも多くなってしまうことがあります。
例えば、毎日30分かかる作業を自動化しようとして、10時間かけてツールを作ったとします。この場合、元を取るには20日以上かかります。しかし、ツールのメンテナンスが必要になったり、仕様変更に対応するために追加の開発が発生したりすると、かえって工数が増えることも珍しくありません。
対策
- ROI(投資対効果)を考える:どれくらいの時間が節約できるのか、どれくらいのコストがかかるのかを事前に試算する。
- 簡易ツールでまず試す:最初はシンプルなスクリプトで試し、効果が見込めるなら本格的な開発に移る。
メンテナンスコストが意外に高い
自動化ツールを作った当初は「これで楽になる!」と喜ぶものですが、時間が経つと問題が発生します。
環境の変化に弱い
- APIの仕様変更で動かなくなる
- OSのアップデートで動作しなくなる
- 外部サービスの制限が変更される
これらの問題に対応するために、ツールの保守が必要になります。結果として、手作業よりも多くの手間が発生するケースもあります。
対策
- シンプルな構成を意識する:複雑なロジックを避け、できるだけ単純なスクリプトやツールにする。
- ドキュメントを残す:未来の自分(または他の人)が保守しやすいように、設計の意図や使い方を記録しておく。
- 定期的に動作確認を行う:動かなくなってから修正するより、定期的に動作確認して問題がないかチェックする。
自動化にこだわりすぎて本来の業務が進まない
エンジニアは「仕組みを作ること」に魅力を感じがちですが、業務の本質は「成果を出すこと」です。自動化にこだわりすぎて、本来の仕事が進まなくなるのは本末転倒です。
例えば、
- ちょっとしたデータ整理をするために高度なツールを作ろうとして時間を浪費する
- 既存のツールやサービスを使えば済むのに、ゼロから自作しようとする
対策
- 既存のツールを活用する:GoogleスプレッドシートのマクロやZapier、RPAツールなどを活用し、最小限の手間で自動化を実現する。
- 80%の効率化を目指す:「完全な自動化」を目指すのではなく、効果的な部分だけ自動化して手作業と組み合わせる。
- 業務の優先順位を考える:自動化よりも、直接的な成果につながる業務を優先する。
他の人が使えない・引き継げないツールになる
個人の作業を自動化するツールを作る際、つい「自分だけが使えればいい」と思いがちです。しかし、
- 他の人が使えない(マニュアルなし、UIなし)
- ブラックボックス化してしまい、エラー時に誰も対応できない
といった問題が発生すると、せっかくの自動化がチーム全体の負担になってしまいます。
対策
- 汎用性を考える:特定の環境に依存しすぎず、誰でも使える設計を意識する。
- ドキュメントを用意する:READMEや簡単な操作マニュアルを作成する。
- チームで共有する:一人で使うのではなく、チーム全体で活用できる形にする。
まとめ
エンジニアにとって、自動化ツールを作ることは楽しく、やりがいのある作業です。しかし、以下のような「罠」に注意しないと、かえって非効率になることがあります。
- 自動化に時間をかけすぎる → ROIを意識し、シンプルな方法から試す。
- メンテナンスコストが高い → 環境の変化に対応しやすい設計を心がける。
- 自動化にこだわりすぎて本業が進まない → 業務の優先順位を考え、既存ツールも活用する。
- 他の人が使えないツールになる → 汎用性を意識し、チームで共有できる形にする。
適切な自動化を行い、業務を効率化しつつ、本来の目的を見失わないようにしましょう。