ORM?SQLを直接書いたほうが早いんだよ! → 結局ORMに乗り換えた話

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

開発をしていると、データベースとのやり取りは避けて通れません。特にバックエンドのエンジニアなら、SQLを直接書くか、それともORM(Object-Relational Mapping)を使うかで悩むことがあるでしょう。

私もかつては「SQLを直接書いたほうが速いし、細かく制御できる!ORMなんて冗長なだけだ!」と考えていました。しかし、実際に大規模開発や運用フェーズを経験するうちに、最終的にはORMを使うようになりました。

本記事では、SQL直書き派だった私がなぜORMに乗り換えたのか、その経緯を詳しく解説します。

SQL直書きのメリットと魅力

パフォーマンスの最適化がしやすい

SQLを直接書けば、クエリの最適化を自由に行うことができます。ORMを使うと、内部で自動生成されたSQLが最適でないことがあり、パフォーマンスが落ちるケースがあります。

特に、インデックスを意識したクエリ設計や、JOINの最適化、バルクインサートの効率化など、細かい調整が必要な場合には、手書きSQLのほうが明らかに有利です。

データベースの深い知識が身につく

SQLを直接書くことで、データベースの仕組みを深く理解することができます。ORMを使うと、SQLの詳細を意識せずに開発できてしまうため、データベースの知識が浅くなりがちです。

私はSQL直書き派だった頃、データベースのインデックス設計や、トランザクション管理について徹底的に学ぶことができました。この知識は、ORMを使うようになった後も役立っています。

シンプルで分かりやすい

「SELECT * FROM users WHERE age > 30;」といったSQLは、直感的で分かりやすいです。ORMを使うと、

users = session.query(User).filter(User.age > 30).all()

のように記述しますが、SQLに慣れている人からすると「このクエリ、実際にどういうSQLが発行されるんだろう?」と気になることがあります。

それでもORMに乗り換えた理由

開発スピードの向上

プロジェクトが大規模化するにつれ、SQLを毎回直書きするのが面倒になってきました。特に、テーブル構造の変更が頻繁に発生するような開発では、SQLのメンテナンスが大変になります。

ORMを使えば、モデル定義を変更するだけで済むため、開発スピードが飛躍的に向上しました。特に、DjangoやSQLAlchemyなどのORMはマイグレーション機能を備えており、データベースのスキーマ変更が容易になります。

コードの可読性と保守性が向上

SQL直書きでは、プロジェクトが大きくなると**「このクエリ、どこで使われているんだ?」問題**が発生します。

ORMを使えば、データベース操作が統一されたインターフェースで行われるため、コードの可読性が向上します。また、モデルを変更すれば関連するクエリも自動的に適用されるため、保守性が大幅に向上しました。

セキュリティの向上(SQLインジェクション対策)

SQL直書きでは、SQLインジェクション対策を毎回意識する必要があります。適切なエスケープ処理を怠ると、脆弱性のあるコードになってしまいます。

一方、ORMを使えば、バインドパラメータを自動的に適用してくれるため、SQLインジェクションのリスクを低減できます。特に、チーム開発では全員がセキュリティを意識するのは難しいため、ORMの恩恵は大きいと感じました。

マルチデータベース対応が容易

SQLを直書きすると、データベースの種類(MySQL, PostgreSQL, SQLite, etc.)によってクエリを修正する必要が出てきます

しかし、ORMを使えば、異なるデータベース間での移植性が向上し、データベースの変更があっても最小限の修正で済みます。実際に、あるプロジェクトでPostgreSQLからMySQLに移行することになりましたが、ORMを使っていたため、ほぼノーコストで対応できました。

SQL直書きとORMの使い分け

最終的にORMを使うようになったものの、すべてのケースでORMが最適とは限りません。以下のような場合は、SQLを直書きするほうが適していると感じています。

大量データのバルク処理

ORMのバルクインサートやバルクアップデートは、SQLの手書きに比べて効率が悪くなることがあります。大量のデータを一括で処理する場合は、SQLを直書きしたほうがパフォーマンスが向上します。

複雑なJOINやサブクエリ

ORMのクエリビルダーでは、複雑なJOINやサブクエリの記述が難しいことがあります。特に、パフォーマンスを重視する場面では、SQLを直接書いたほうが最適なクエリを構築しやすいです。

データベースのチューニングが必要な場合

インデックスの調整や、特定のクエリの実行計画を最適化する場合、ORMを介するよりも直接SQLを記述したほうが細かいチューニングができます。

まとめ:ORMは強力なツールだが、SQLの知識も必要

かつて「SQLを直接書いたほうが速い!」と主張していた私も、最終的にはORMの便利さに魅了されました。

しかし、ORMを使うにしても、SQLの知識が不要になるわけではありません。ORMが裏で発行するSQLを理解し、必要に応じて手書きSQLに切り替える判断力が求められます。

結局のところ、「SQL直書き vs ORM」ではなく、適材適所で使い分けるのがベストです。開発スピードや保守性を重視するならORM、パフォーマンス最適化が必要ならSQL直書きを選ぶ。これが、私がたどり着いた結論です。

あなたも「SQL直書き派」だったとしても、一度ORMを試してみると、その便利さに驚くかもしれません。