
一人情シス、情シスなのに動画編集もやる羽目に
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
企業の情報システムを管理する「情シス」は、本来であれば社内のITインフラの整備や、業務システムの運用・保守を担当する役割です。しかし、実際には「パソコンに詳しいから」という理由で、本来の業務とは無関係な仕事まで押し付けられるケースが後を絶ちません。その中でも最近特に増えているのが「動画編集」の依頼です。
動画編集と情シスは一見すると関係のない仕事のように思えます。しかし、社内で動画を活用するシーンが増えてくると、「動画ファイルの形式がわからない」「編集ソフトの使い方がわからない」「YouTubeにアップロードしたい」といった相談が情シスに持ち込まれます。最初はちょっとしたアドバイスのつもりでも、「詳しいならやってほしい」と作業を押し付けられ、最終的には本業そっちのけで動画編集をする羽目になることもあります。
本記事では、なぜ情シスが動画編集まで担当しなければならないのか、その背景や問題点を掘り下げつつ、適切な対応策について考えていきます。
企業で増える動画活用と情シスへの負担増
近年、企業における動画の活用が急速に進んでいます。マーケティング目的でのプロモーション動画や、社内研修用の教育動画、製品マニュアルの動画化、さらにはリモートワーク普及によるWeb会議の録画管理など、動画を業務の一部として利用するケースが増えています。
本来、こうした業務のためには専門の動画編集チームや担当者を置くのが理想ですが、特に中小企業ではそのようなリソースを確保するのが難しいこともあります。結果として、「ITに詳しいから」「パソコンをよく使うから」という理由だけで、情シスが動画編集を引き受けることになるのです。
しかし、動画編集は単なるファイル操作ではなく、専門的なスキルが求められる作業です。映像のカットや結合、テロップ挿入、BGMの調整、エフェクトの適用など、細かい作業が多く、思った以上に時間がかかります。それにもかかわらず、「ちょっとした編集だから」「すぐ終わるでしょ?」と軽く扱われがちなのが大きな問題です。
なぜ情シスが動画編集を押し付けられるのか
ITに詳しいという誤解
情シスの担当者は、社内のITインフラや業務システムを管理する立場にあります。しかし、社内の他の部署からは「パソコン関連のことなら全部対応できるはず」と思われがちです。そのため、動画編集のように専門外の業務であっても、「詳しそうだからやってほしい」と依頼されることが少なくありません。
専門の担当者がいない
多くの企業では、マーケティング担当者や広報部門が存在していても、動画編集を専門的に担当するスタッフがいないことがほとんどです。特に中小企業では、動画制作を外注する予算も限られており、「社内でできる人に任せよう」という流れになります。その結果、「情シスが担当するのが自然」という誤った認識が広がってしまうのです。
業務範囲の曖昧さ
情シスの業務範囲は、企業によって大きく異なります。システム開発に特化している場合もあれば、ヘルプデスクのような役割を担っていることもあります。業務範囲が明確に定められていないと、「IT関連の仕事はすべて情シスの仕事」という認識が社内に広がってしまうのです。
動画編集を情シスが担当することの問題点
本来の業務に支障が出る
情シスの業務は、システムの運用・保守、セキュリティ管理、トラブルシューティングなど多岐にわたります。それに加えて動画編集を担当することになれば、限られたリソースがさらに圧迫され、本来の業務に影響が出てしまいます。
専門外の業務によるストレス
動画編集は、単にソフトを操作するだけではなく、映像の構成やデザインのセンスも求められます。情シスの担当者にとっては本業と関係のないクリエイティブな作業を強いられることで、大きなストレスを感じることになります。
動画活用が情シスの負担前提で進む
一度情シスが動画編集を担当すると、「情シスがやってくれるもの」と認識され、どんどん業務量が増えていく可能性があります。最初は簡単なカット編集だったものが、次第に「アニメーションをつけてほしい」「ナレーションを入れたい」「エフェクトを追加してほしい」といった高度な編集作業を求められることも珍しくありません。
情シスが動画編集を押し付けられないための対策
業務範囲を明確にする
情シスの業務としてどこまで対応するのかを明確にし、動画編集は本来の担当業務ではないことを社内に伝えることが重要です。ITに関連するからといって、すべての仕事を引き受ける必要はありません。
専任の動画担当者を設置する
動画編集を本格的に活用するなら、専任の担当者を設置するか、外注する体制を整えるべきです。情シスが負担を抱え続けるのではなく、適切なリソースを確保することが企業にとってもメリットになるはずです。
ノーコードツールを活用する
最近では、専門知識がなくても簡単に動画編集ができるツールが増えています。例えば「Canva」「CapCut」「Adobe Express」などのツールを活用すれば、マーケティングや広報の担当者でも簡単に動画を作成できます。情シスの負担を減らすために、こうしたツールの活用を推奨するのもひとつの方法です。
まとめ:情シスは何でも屋ではない
情シスは企業のIT環境を支える重要なポジションですが、「ITに詳しいから」という理由だけで何でも任せられるのは大きな問題です。特に動画編集のような専門分野の業務は、情シスではなく適切な担当者が対応するべきです。
本来の業務に集中できる環境を作るためには、業務範囲の明確化、専任担当者の配置、ノーコードツールの活用といった対策が不可欠です。「情シスだからできるだろう」という認識を改め、組織として適切な対応を進めていくことが求められます。