
一人情シス、情シスなのに社内IT機器のログ分析もやる羽目に
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
企業のIT部門を担う情報システム(情シス)は、社内のシステム運用やヘルプデスク業務を担当する重要な役割です。しかし、「一人情シス」という状況に置かれている企業も少なくありません。
一人情シスとは、社内のIT管理をすべて一人で担当する情シスのことです。システムの運用・保守、ネットワーク管理、セキュリティ対策、PCや周辺機器の設定、社内ユーザーサポートなど、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。
そして、最近ではIT機器のログ分析まで求められることも増えてきました。本来であればセキュリティチームや専門のアナリストが行うべき業務ですが、一人情シスの場合、そうも言っていられません。本記事では、一人情シスが直面するログ分析の課題と、効率的に対応するための方法を解説します。
一人情シスにログ分析が求められる理由
サイバーセキュリティ強化の必要性
近年、サイバー攻撃の増加により、多くの企業がセキュリティ対策を強化しています。特に、ランサムウェア攻撃や内部不正のリスクが高まっているため、ログを監視し、不審な動きを検知することが求められています。
しかし、専任のセキュリティ担当者がいない企業では、情シスがその役割を担わされるケースが増えています。一人情シスにとっては、これまで以上に負担が増える要因の一つです。
監査・コンプライアンス対応
情報セキュリティの監査やコンプライアンス対応のために、アクセスログや操作履歴を定期的に分析する必要があります。特に、金融業界や医療業界、個人情報を扱う企業では、ログの管理が厳しく求められます。
例えば、以下のようなケースがあります。
- 「誰が、いつ、どのシステムにアクセスしたのか?」を把握する
- 「不正アクセスや不審な動作はないか?」を確認する
しかし、一人情シスがこれらの作業を手作業で行うのは非常に負担が大きいのが現実です。
ログ分析の主な種類とツール
どんなログを分析するのか?
ログにはさまざまな種類がありますが、一人情シスが対応しなければならない代表的なものは以下の通りです。
- ネットワーク機器のログ(ルーター、ファイアウォール、スイッチ)
- サーバーのアクセスログ(Windows、Linux)
- クラウドサービスのログ(Microsoft 365、Google Workspace など)
- エンドポイントのログ(PCの操作履歴、USBデバイスの使用履歴 など)
どのログも重要な情報を含んでいますが、膨大なデータ量があるため、手作業で分析するのはほぼ不可能です。
ログ分析を助けるツール
一人情シスの負担を減らすためには、適切なツールを活用することが不可欠です。代表的なログ管理ツールをいくつか紹介します。
SIEM(Security Information and Event Management)
SIEMは、ログを収集・分析し、セキュリティインシデントを検知するためのツールです。代表的なものには以下があります。
- Splunk(高機能だが高価)
- Graylog(オープンソースで導入しやすい)
- Microsoft Sentinel(クラウド環境向け)
SIEMを導入することで、手作業でのログ分析を大幅に削減できます。
Syslogサーバー
ネットワーク機器やサーバーのログを一元管理するには、Syslogサーバーの導入が有効です。代表的なツールは以下の通りです。
- Rsyslog(Linux向け)
- Kiwi Syslog Server(Windows向け)
Syslogサーバーを使えば、複数の機器からのログを自動的に収集し、分析しやすくできます。
クラウド型ログ管理ツール
クラウド環境でのログ管理には、クラウド向けのログ管理ツールを活用すると便利です。
- AWS CloudTrail(AWS環境のログを管理)
- Google Cloud Logging(Google Cloudのログを一元管理)
- Microsoft 365 Audit Logs(Microsoft 365の監査ログ)
クラウドサービスのログは、それぞれ専用の管理ツールを活用することで、セキュリティリスクを早期に発見しやすくなります。
一人情シスが効率的にログ分析する方法
ログ分析の自動化を進める
ログを手作業で確認するのは非効率なため、スクリプトやツールを活用して自動化を進めることが重要です。
例えば、PowerShellやPythonを使えば、ログを自動取得し、特定のキーワード(例:「エラー」「失敗」)を含むものを抽出するスクリプトを作成できます。
Get-EventLog -LogName Security -Newest 100 | Where-Object { $_.EntryType -eq "FailureAudit" }
このように、一部の作業をスクリプトで自動化することで、負担を軽減できます。
重要なログを優先してチェック
すべてのログを精査するのは現実的ではありません。そのため、本当に重要なログだけをチェックするルールを決めることが大切です。
例えば、以下のようなログを重点的に確認するとよいでしょう。
- 管理者アカウントのログイン履歴
- 深夜や休日の不審なアクセス
- 複数回ログイン失敗した履歴
これにより、限られた時間の中で効率的にログ分析を進めることができます。
まとめ
一人情シスにとって、IT機器のログ分析まで対応するのは大きな負担です。しかし、適切なツールを導入し、自動化を進めることで、少しでも負担を減らすことができます。
- ログ分析の負担が増えているのは、セキュリティ対策や監査対応が求められているため
- 手作業での分析は非効率なので、SIEMやSyslogサーバーを活用する
- スクリプトを使ってログ分析を自動化し、重要なログを優先的にチェックする
一人情シスの業務は多岐にわたりますが、ツールと効率的な運用で、無理なく対応できる体制を整えることが重要です。日々の業務を少しでも楽にするために、今すぐログ管理の改善に取り組んでみましょう!