
SESフリーランス、案件が決まらない理由とその改善策
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
フリーランスのSESエンジニアとして活動する上で、「案件が継続的に決まること」は何よりも重要な生命線です。スキルを磨き、経験を積んできたはずなのに、なぜか次の案件がなかなか決まらない…。面談までは進むけれど、最終的な契約に至らない…。そんな状況に陥り、不安や焦りを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「自分のスキルが足りないのだろうか?」
「エージェントの動きが悪いのかな?」
「希望する条件が高すぎるのだろうか?」
案件が決まらない理由は一つとは限らず、様々な要因が複雑に絡み合っている可能性があります。
この記事では、フリーランスSESエンジニアが案件獲得に苦戦する際に考えられる主な「理由」を多角的に分析し、それぞれの状況を打開するための具体的な「改善策」について、詳しく解説していきます。もしあなたが今、案件探しに悩んでいるなら、この記事が現状を客観的に見つめ直し、次の一歩を踏み出すためのヒントとなることを願っています。
なぜ決まらない? 案件獲得を阻む「壁」
まずは、なぜ案件が決まらないのか、その背景にある可能性のある「壁」=原因を探っていきましょう。
壁①:スキル・経験と市場ニーズのミスマッチ
- スキルの陳腐化・偏り: あなたが持っている技術スキルが、現在のIT市場で求められているトレンド(例えば、特定のクラウドプラットフォームの経験、モダンなフロントエンドフレームワークの知識、コンテナ技術、AI/ML関連スキルなど)と合致していない可能性があります。あるいは、特定のレガシー技術やニッチな分野に特化しすぎていて、該当する案件の絶対数が少ないのかもしれません。
- 経験年数の不足: 案件によっては、「〇〇の実務経験3年以上」といった具体的な経験年数が求められることがあります。フリーランスになりたての場合など、経験年数が条件に満たないケースも考えられます。
- アピール不足: スキルや経験は十分にあるにも関わらず、それがスキルシートや面談で効果的に伝わっていない可能性もあります。
壁②:伝わらない! スキルシートの問題
スキルシート(職務経歴書)は、あなたというエンジニアをエージェントやクライアント企業に紹介するための、いわば「顔」です。この出来栄えが、書類選考の通過率を大きく左右します。
- 具体性の欠如: 「〇〇システムの開発に従事」「△△機能の実装を担当」といった抽象的な記述が多く、具体的にどのような技術を使い、どのような役割を果たし、どのような成果を上げたのかが読み取れない。
- 情報不足・更新漏れ: 使用した技術の具体的なバージョンが書かれていない、担当した開発フェーズ(要件定義、設計、実装、テストなど)が不明確。そして何より、最新のプロジェクト経験や習得したスキルが反映されておらず、古い情報のままになっている。
- 自己PRの弱さ: 自身の強みや得意分野、仕事への取り組み姿勢、キャリアに対する考え方などが書かれていない、あるいは記述が弱く、他のエンジニアとの差別化が図れていない。
壁③:連携不足? エージェントとの関係性
フリーランスSESエンジニアの多くは、エージェント(SES企業)を介して案件を探します。このエージェントとの関係性がうまくいっていないと、案件獲得は難しくなります。
- エージェントの数: 登録しているエージェントが多すぎると、連絡や情報管理が煩雑になり、一つ一つの関係性が希薄になりがちです。逆に少なすぎると、紹介される案件の選択肢が狭まってしまいます。
- コミュニケーション不足: 担当の営業に対して、自分のスキルセット、実務経験、希望する条件(業務内容、技術、単価、勤務地、稼働時間など)、そして現在の状況(案件探し中か、いつから稼働可能かなど)が正確に伝わっていない。あるいは、連絡を怠っている。
- 希望条件の伝え方: 希望する条件を伝える際に、一方的な要求になったり、市場の相場観から大きく外れていたり、全く柔軟性がないと思われたりすると、紹介される案件が限られてしまいます。
- 信頼関係の欠如: エージェントからの連絡に対するレスポンスが遅い、面談の日程調整などに協力的でない、あるいは過去にドタキャンなどの問題を起こした場合、エージェントからの信頼を失い、案件紹介の優先度が下がってしまう可能性があります。
壁④:面談で「落ちる」理由
書類選考を通過し、面談まで進んでも、そこで不採用となってしまうケースです。
- スキル・経験のアピール不足: 面談官の質問に対して、自身のスキルや経験を、具体的なエピソードを交えて分かりやすく説明できていない。技術的な質問に的確に答えられない。
- コミュニケーション能力の課題: 質問の意図を理解せずに話し始めたり、逆に黙り込んでしまったり、話が冗長だったり、ネガティブな発言が多かったり…。円滑なコミュニケーションが取れないと判断される。
- 意欲・熱意の不足: 逆質問をしなかったり、内容が浅かったりすると、「この案件に本当に入りたいのかな?」と意欲を疑われてしまう。覇気のない態度もマイナス評価に繋がります。
- カルチャーミスマッチ: スキルは問題なくても、企業の文化やチームの雰囲気、働き方などとの相性が合わないと判断される場合もあります。
- 準備不足: 面談前に、企業の事業内容や募集されている案件の詳細について、十分に下調べをしていないことが透けて見えてしまう。
壁⑤:高すぎる? 希望条件と市場のギャップ
案件が決まらない背景には、提示している希望条件と、市場の状況や自身のスキルレベルとの間にギャップがある可能性も考えられます。
- 単価設定: 自身の市場価値を客観的に把握せず、相場よりもかなり高い単価を希望している。
- 働き方へのこだわり: 「フルリモート必須」「残業絶対不可」「週3日稼働希望」など、働き方に関する条件が厳しすぎると、合致する案件の母数が極端に少なくなる。
- 技術・業務内容への固執: 特定の技術スタックや、上流工程のみといった業務内容にこだわりすぎている。未経験分野への挑戦を希望する場合、その熱意や学習意欲、ポテンシャルを十分にアピールできていない。
壁⑥:外的要因:市場動向とタイミング
個人の努力だけではどうにもならない、外部的な要因も影響します。
- 景気の影響: 景気が後退すると、企業はIT投資を抑制し、フリーランスエンジニアの活用を控える傾向が出ることがあります。
- 技術トレンドの変化: 自身が得意とする技術の需要が、市場全体で低下している。
- 時期的な要因: 年末年始(12月~1月)や、企業の年度末・年度初め(3月~4月)は、一般的にプロジェクトの動きが鈍くなり、新しい案件が出にくい時期と言われます。
状況打開! 案件獲得のための具体的な改善策
案件が決まらない「壁」にぶつかった時、ただ待っているだけでは状況は変わりません。原因を分析し、具体的な改善策を実行していくことが重要です。
改善策①:市場価値を高めるスキル戦略
- 需要の高いスキルを学ぶ: クラウド(AWS, Azure, GCP)、コンテナ(Docker, Kubernetes)、特定のプログラミング言語(Python, Goなど)やフレームワーク(React, Vue, Next.js, NestJSなど)、AI/ML関連技術など、現在の市場で需要が高い、あるいは将来性が期待されるスキルを意識的に学習しましょう。オンライン学習プラットフォーム(Udemy, Courseraなど)や資格取得も有効です。
- 強みを明確化・深化: これまでの経験を振り返り、自分が最も得意とする分野、自信を持ってアピールできる領域を明確にし、さらにその専門性を深める努力をしましょう。
- ポートフォリオの充実: GitHubなどで自身のコードや開発した成果物を公開することは、スキルを具体的に証明する上で非常に効果的です。
- ソフトスキルも磨く: 技術力だけでなく、コミュニケーション能力、問題解決能力、ドキュメンテーション能力といったソフトスキルも、エンジニアとしての価値を高める上で重要です。
改善策②:「売れる」スキルシートへの改善
スキルシートは、あなたを売り込むための最重要ツールです。以下の点を意識して改善しましょう。
- 「STAR法」などを参考に具体的に: 各プロジェクトについて、「どのような状況(Situation)で」「どのような課題(Task)があり」「あなたが何を行い(Action)」「どのような結果(Result)に繋がったか」を、具体的なエピソードと、可能であれば数値(定量表現)を用いて記述します。(例:「〇〇機能のレスポンス速度低下という課題に対し、SQLチューニングとインデックス最適化を実施(Action)。結果、平均応答時間を50%改善(Result)」)
- 常に最新の状態に: 新しいプロジェクトが終了したり、新しいスキルを習得したりしたら、速やかにスキルシートを更新します。
- 自己PRを強化: 自分の技術的な強み、得意な開発領域、仕事への取り組み姿勢、問題解決へのアプローチ、今後のキャリアで目指したい方向性などを、具体的かつ熱意を込めて記述します。エージェントの担当者に添削を依頼し、客観的な意見をもらうのも良いでしょう。
改善策③:エージェントとの賢い付き合い方
エージェントはあなたの「営業代行」であり、「キャリアパートナー」です。良好な関係を築きましょう。
- 信頼できるパートナー選び: レスポンスが早く、親身になって相談に乗ってくれ、業界や技術にも詳しい、信頼できるエージェントを数社選び、そこに注力します。
- 希望条件の明確化と柔軟性: 自分のスキルレベル、経験、市場価値を踏まえた上で、希望する条件(業務内容、技術、単価、勤務形態など)を正直かつ明確に伝えます。同時に、「ここは譲れない」という点と、「ここは妥協できる」という点を自分の中で整理し、エージェントにも伝えておくことで、提案される案件の幅が広がります。
- こまめな報連相: 案件探しの状況、他のエージェントからの紹介状況、自身の稼働可能時期などを、こまめにエージェントに報告・連絡・相談します。
- 協力的な姿勢: 面談日程の調整依頼などには迅速に対応し、協力的な姿勢を示しましょう。担当者も「この人のために頑張ろう」と思ってくれます。
- フィードバックの活用: エージェントから、スキルシートの改善点や面談での評価などについてフィードバックがあれば、真摯に受け止め、次の活動に活かしましょう。
改善策④:面談突破率を上げる
面談は、自分を売り込む絶好の機会です。準備を万全にして臨みましょう。
- 徹底的な事前準備: 応募する企業の事業内容、企業文化、そして案件の詳細について、Webサイトやエージェントからの情報を元にしっかりと調査・理解しておきます。
- 想定問答とエピソード準備: よく聞かれる質問(自己紹介、強み・弱み、志望動機、これまでの経験、技術的な質問など)に対する回答を準備しておきます。特にスキルや経験については、スキルシートの内容と絡めながら、具体的なエピソードを交えて話せるようにしておきましょう。
- 質の高い逆質問: 面談の最後には、必ず複数(3つ以上目安)の逆質問を用意しておきます。事前に調べた上で、業務内容、チーム体制、技術スタック、今後の展望などについて、具体的で意欲の感じられる質問をすることで、案件への関心の高さを示すことができます。
- コミュニケーションの基本: オンラインでも対面でも、明るい表情、聞き取りやすい声、ハキハキとした受け答えを心がけます。相手の目を見て話し、質問の意図をしっかり汲み取ってから答えるようにしましょう。
- 熱意を伝える: なぜこの案件に興味を持ったのか、どのように貢献したいと考えているのか、自身の言葉で熱意を込めて伝えましょう。
改善策⑤:希望条件の現実的な見直し
自分の希望と市場の状況が合っていないと感じる場合は、見直しも必要です。
- 市場価値の再認識: エージェントに相談したり、案件サイトを調査したりして、現在の自分のスキル・経験に見合った単価レンジや、希望する働き方(フルリモートなど)の案件数を客観的に把握します。
- 優先順位付けと妥協点の明確化: 全ての希望を100%満たす案件は稀です。自分の中で「絶対に譲れない条件」と「妥協しても良い条件」に優先順位をつけ、エージェントにも伝えておきましょう。
- 柔軟な姿勢: 時には、少し希望単価を下げてでも興味のある技術案件に挑戦する、あるいは最初は出社が必要でも、信頼を得てからリモートに移行するといった、柔軟な考え方も必要になる場合があります。
改善策⑥:市場動向へのアンテナと柔軟性
常にIT業界の技術トレンドや市場の需要動向にアンテナを張っておくことも重要です。もし、自分の得意分野の需要が低下していると感じたら、新しい技術を学習し、スキルチェンジを図るといった柔軟な対応も検討しましょう。
「待ち」から「攻め」へ:案件獲得のマインドセット
フリーランスとして案件を獲得し続けるためには、「良い案件があれば紹介してください」と待っているだけでは不十分です。
自ら情報を収集し、スキルを磨き続け、自分の価値を積極的にアピールし、エージェントとも能動的に連携していく——そんな「攻め」のマインドセットが重要になります。
そして、うまくいかない時期があったとしても、感情的にならずに、冷静に原因を分析し、改善策を試し続ける粘り強さを持つこと。自分自身を客観的に見つめ、市場価値を正しく認識することも大切です。
まとめ
フリーランスSESエンジニアにとって、案件がなかなか決まらない時期は、精神的にも経済的にも非常につらいものです。しかし、その原因は必ずどこかに潜んでいるはずです。
スキルと市場ニーズの不一致、魅力の伝わらないスキルシート、エージェントとのコミュニケーション不足、面談でのアピール不足、希望条件と現実のギャップ、あるいは単に市場のタイミング…。様々な角度から自身の状況を客観的に見つめ直し、この記事で紹介したような具体的な改善策を一つ一つ試していくことが、状況を打開するための鍵となります。
大切なのは、受け身にならず、主体的に行動を起こすこと。そして、常に自身の価値を高める努力を怠らないことです。諦めずに改善を続ければ、必ずあなたのスキルと経験を必要としてくれる案件は見つかるはずです。
この記事が、案件獲得に悩むあなたの、次の一歩を踏み出すための具体的なヒントとなれば幸いです。あなたの成功を応援しています!