
動くけど理由がわからないコードへの不安感
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
プログラミングをしていると、「なぜか動くけど、理由がわからない」コードに遭遇することがあります。エラーメッセージも出ないし、想定通りの動作をしている。だけど、なぜこれで動くのかが理解できない…。この状態は非常に危険です。 コードが「たまたま動いているだけ」の可能性があり、少しの変更で壊れるリスクが高いからです。また、他の人がメンテナンスする際に混乱を招く原因にもなります。
本記事では、「動くけど理由がわからないコード」が生まれる原因と、それによるリスク、そしてその不安を解消するための具体的なアプローチを解説します。
動くけど理由がわからないコードへの不安感
理由がわからないコードが生まれる原因
「動くけど理由がわからない」コードは、さまざまな要因で生まれます。その代表的なものを見ていきましょう。
偶然のバグが意図しない形で動作している
バグが偶然うまく噛み合ってしまい、意図しない挙動のまま正しく動いているように見えることがあります。
例えば、ある変数が意図せずグローバルスコープに漏れていて、他のコードがその値を参照して動作しているケース。
function example() {
testVar = 42; // グローバル変数になってしまう
}
example();
console.log(testVar); // 42(でも本当は意図していない挙動)
この場合、testVar
がグローバルスコープに登録されてしまい、関数外でも参照できる状態になっています。たまたま動いているように見えても、本来意図した設計ではないため、環境が変わると動かなくなる可能性が高いです。
ライブラリやフレームワークの仕様を完全に理解していない
フレームワークやライブラリの内部処理を知らずに使っていると、「なぜ動くのか」が分からないまま開発を進めてしまうことがあります。
例えば、LaravelやVueの「マジックメソッド」や「暗黙的なデータバインディング」は、表面的には便利ですが、内部の挙動を理解せずに使うと、不具合の原因を特定しづらくなります。
// LaravelのEloquentモデル
$user = User::find(1);
echo $user->name; // なぜか動くが、実はnameは取得されていない?
このコードが動いている理由は、Eloquentが__get()
を使ってモデルのプロパティを取得しているためです。しかし、カラム名を間違えた場合でもエラーにならず、「なぜか動いているように見える」状態になりやすいのです。
コピペしたコードの理解が不十分
ネット上にあるコードをそのままコピペして使うことは、開発スピードを上げるのに有効ですが、コードの意味を理解しないまま使うと、「なぜ動くのか」が分からなくなる原因になります。
特に、Stack Overflow やブログ記事から取ってきたコードをそのまま適用した場合、
- 環境やバージョンの違いによって動作が異なる
- 副作用があるコードが混じっている
- 依存関係が不明なコードが含まれている
といった問題が発生しやすくなります。
「動けばOK」という開発スタイル
納期のプレッシャーやタスクの多さから、「とりあえず動いたからOK」としてしまうケースもあります。
短期的には問題がなくても、本質的な理解をしないまま開発を続けると、後々のデバッグや機能追加時に困ることになります。
「動くけど理由がわからないコード」のリスク
このようなコードがシステムに残ると、どのような問題が発生するのでしょうか?
バグ修正が困難になる
理由がわからないままのコードは、修正の影響範囲を正しく把握できないため、ちょっとした変更が予期せぬ不具合を引き起こす可能性があります。
「このコード、いじると何が起きるか分からないから触りたくない…」という状態に陥ると、チーム全体の開発スピードが落ちます。
仕様変更に対応しづらくなる
仕様変更が発生したとき、コードの意図を理解できていないと、どの部分を修正すべきか判断できなくなります。
例えば、「この関数の出力を少し変えたい」と思っても、なぜその値が出ているのか分からなければ、簡単な修正でも膨大な調査が必要になります。
技術的負債が増える
「動くけど理由がわからない」コードは、その場しのぎの開発を続けることで、技術的負債を生み出す要因になります。
後になってリファクタリングが必要になったときに、コード全体を作り直さなければならない事態にもなりかねません。
不安を解消するためのアプローチ
では、どうすれば「動くけど理由がわからないコード」をなくすことができるのでしょうか?
デバッガを活用する
「なぜ動くのか」を理解するために、デバッガを使ってコードの動きを可視化することが有効です。
- PHPなら
xdebug
- JavaScriptなら
console.log()
やブラウザのデバッガ - Pythonなら
pdb
を活用し、コードがどの順番で実行され、変数にどんな値が入っているのかを確認しましょう。
単体テストを書く
テストコードを作成することで、意図しない挙動を防ぐことができます。
テストを書いておけば、「なぜか動く」状態をなくし、仕様を明確にすることができます。
公式ドキュメントを読む
ライブラリやフレームワークの仕様を理解するためには、公式ドキュメントを読む習慣をつけることが重要です。
特に、よく使う関数やメソッドについては、どのような引数を受け取り、どのような処理をしているのかを理解しておくと、不明な動作を減らすことができます。
まとめ
「動くけど理由がわからないコード」は、バグの温床になり、長期的な開発コストを増加させる要因になります。
この不安を解消するためには、デバッグの徹底、テストの作成、公式ドキュメントの活用といった方法を取り入れ、コードの理解を深めることが重要です。