私の仕事はこう変わった!CursorとObsidianで作る、思考と実行が途切れない開発環境

こんばんは!IT業界で働くアライグマです!

都内の事業会社でPjMとして、また時には一人のエンジニアとして、日々キーボードを叩いている私です。長年この業界に身を置いていますが、これほどまでに「働き方が変わった」と実感した経験は、これまでありませんでした。

かつての私は、多くの開発者やPjMがそうであるように、情報の洪水と、絶え間ない「コンテキストスイッチ」という見えない敵に、日々エネルギーを奪われていました。

  • Slackで仕様変更の連絡が来て、ブラウザで関連ドキュメントを探し、IDEでコードを修正し、また別のチャットで質問に答える…。
  • 頭の中に素晴らしいアイデアが浮かんでも、それを整理し、具体的なコードに落とし込むまでの道のりが長く、途中で集中力が途切れてしまう…。
  • 会議で決まったはずのことが、議事録の山に埋もれてしまい、後から「あれ、どうだったっけ?」と探すことに時間を浪費する…。

この「思考」と「実行」の間にある、深く、そして厄介な溝。これこそが、私たちの生産性を蝕む最大の原因だと、私はずっと感じていました。

しかし、AIコーディングエディタ「Cursor」と、ナレッジベースアプリ「Obsidian」。この二つのツールを、ある思想に基づいて連携させることで、私の仕事のあり方は、文字通り一変したのです。

今日は、私が構築した「思考と実行が途切れない開発環境」が、いかにして私の仕事を、そしておそらくはあなたの仕事をも変える力を持っているのか、その具体的なワークフローと、それによってもたらされた変化について、詳しくお話ししたいと思います。

「途切れる」開発環境の正体:私たちを消耗させる“見えない壁”

まず、なぜ私たちの仕事は「途切れて」しまうのでしょうか。そこには、いくつかの「見えない壁」が存在します。

思考の壁:情報が散在し、繋がらない

プロジェクトに関する情報は、Slack、メール、Jira、Confluence、Figma、そして個人のメモ帳など、ありとあらゆる場所に散在しています。これらの点在する情報を、頭の中で結びつけ、一つの文脈として理解する作業は、非常に高い認知負荷を要求します。これが、思考を始める前の最初の壁です。

実行の壁:思考をコードに変換する際の摩擦

たとえ頭の中に明確なアイデアがあったとしても、それを具体的なコードに落とし込む過程には、多くの「摩擦」が存在します。定型的なコードの記述、ライブラリの使い方の調査、些細なバグの修正…。これらの作業は、創造的な思考の流れを物理的に中断させます。

思考と実行の断絶:PjM/エンジニアの最大の課題

そして、最大の課題は、この「思考」のプロセスと「実行」のプロセスが、完全に分断されていることです。Obsidianのようなツールでどれだけ素晴らしい計画を立てても、それをCursorのようなエディタで実装する際には、二つの世界を行き来するコンテキストスイッチが必ず発生していました。この「断絶」こそが、私たちが乗り越えるべき壁だったのです。

「途切れない」開発環境の構築:ObsidianとCursorの役割分担

私が構築した「途切れない開発環境」の核心は、この断絶された「思考」と「実行」を、ObsidianとCursorという二つのツールでシームレスに繋ぐことにあります。

第一の基盤:Obsidianを「思考の司令塔」に据える

私のワークフローでは、Obsidianは単なるノートアプリではありません。それは、全ての知的活動の起点となる「思考の司令塔」です。

  • 情報の集約: あらゆる情報をまずObsidianに集約し、一元管理します。
  • 思考の構造化: 集めた情報を元に、Markdownと双方向リンクを駆使して、プロジェクトの仕様、設計、課題、そして自分自身のアイデアを構造化していきます。
  • 次のアクションの明確化: ここで、「次に何をすべきか」という具体的なタスクや、AIに与えるべき指示の骨子までを結晶化させます。

第二の基盤:Cursorを「思考の実行部隊」として動かす

そしてCursorは、Obsidianからの指令を受けて、具体的なアウトプットを生成する、AIを搭載した「思考の実行部隊」として機能します。

  • コンテキストの理解: Obsidianで整理された、質の高い情報をコンテキストとしてAIに与えることで、その能力を最大限に引き出します。
  • 高速な実装: AIの力を借りて、コーディング、リファクタリング、ドキュメント作成といったタスクを高速に実行します。

繋ぎ目(インターフェース)の設計:どうやって情報を循環させるか

この「司令塔」と「実行部隊」を繋ぐインターフェースは、驚くほどシンプルです。

  • ObsidianからCursorへ: Obsidianで作成したMarkdown形式の仕様書やプロンプトの骨子を、CursorのAIチャットにコピー&ペーストするか、@ファイル機能で直接参照させます。
  • CursorからObsidianへ: CursorでのAIとの対話で得られた重要な知見や、生成されたコードスニペットを、再びObsidianの関連ノートに記録し、知識として蓄積します。

この情報の「循環」こそが、「途切れない」開発環境の生命線なのです。

私の仕事は「こう変わった」:具体的なビフォーアフター

このワークフローを導入したことで、私の仕事は具体的にどう変わったのか。いくつかのビフォーアフター事例をご紹介します。

Before:手戻りの多かった仕様変更 → After:背景まで伝わるスムーズな実装

  • Before: Slackで「ここの仕様、〇〇に変更でお願いします」と連絡。しかし、その変更の背景や意図が十分に伝わらず、エンジニアは手探りで実装。結果、意図と違うものが出来上がり、手戻りが発生…。
  • After:
    1. まずPjMである私が、仕様変更の背景、目的、具体的な変更内容をObsidianの仕様書ノートに追記・更新します。
    2. エンジニアは、そのObsidianノートをCursorのAIにコンテキストとして与え、「この仕様変更を反映するための、最適な実装プランを提案して」と相談します。
    3. AIは仕様の意図まで汲み取った上で、修正すべきファイルやコードの具体案を提示。エンジニアはそれを元に、迷いなく実装を進めることができます。手戻りはほぼなくなりました。

Before:時間のかかった技術調査 → After:高速な学習と即時実践

  • Before: 新しいPHPのライブラリについて、複数の英語ブログ記事やGitHubのREADMEを読み解くのに半日を費やす。しかし、いざ使おうとすると、細かい部分で詰まってしまい、さらに時間がかかる…。
  • After:
    1. 関連するURLをCursorのAIに渡し、「このライブラリの主要な機能と、基本的な使い方を日本語で要約して」と指示。
    2. 生成された要約をObsidianに貼り付け、自分なりに整理・理解します。
    3. そのObsidianノートをコンテキストに、「このライブラリを使って、〇〇という機能を実現するLaravelのサンプルコードを書いて」とCursorに依頼。
    4. 数時間で、調査から実践的なコードの入手までが完了します。

Before:憂鬱だったドキュメント作成 → After:開発と一体化した知的生産活動

  • Before: コーディングが全て終わった後、思い出しながら仕様書や設計書を「清書」する。面倒で、後回しになりがちな、憂鬱な作業でした。
  • After: Obsidianで仕様や設計を考えるプロセスそのものが、ドキュメント作成の第一歩となります。そして、Cursorでの実装中に発生した変更点や、AIとの対話で得た知見を、都度Obsidianに追記していく。このワークフローでは、開発とドキュメント作成が完全に一体化し、プロジェクトの完了と同時に、常に最新の「生きたドキュメント」が完成しているのです。

「途切れない」がもたらす、生産性の先にあるもの

このワークフローがもたらすのは、単なる時間短縮だけではありません。

認知負荷の軽減と、精神的な平穏

「あの情報はどこだっけ?」と探す時間や、「何をすべきだっけ?」と迷う時間がなくなることで、私たちの脳は、常にクリアな状態で本質的な課題に向き合えるようになります。この認知負荷の軽減がもたらす精神的な平穏は、計り知れない価値があります。

「深い仕事(ディープワーク)」への没入

思考と実行が途切れないことで、私たちは自然と「フロー状態」に入りやすくなります。この深い集中状態こそが、質の高いアウトプットを生み出す源泉です。

仕事の質の向上と、プロとしての満足感

PjMとしてもエンジニアとしても、このワークフローは私の仕事の質を明らかに向上させてくれました。計画はより緻密になり、実装はより速く、正確になり、そして全てのプロセスが知識として蓄積されていく。この感覚は、プロフェッショナルとしての大きな満足感と成長実感に繋がっています。

まとめ

私の仕事は、CursorとObsidianを連携させ、「思考の司令塔」と「実行のAI部隊」からなる、途切れることのない知的生産システムを構築したことで、劇的に変わりました。

それは、情報の洪水に溺れ、コンテキストスイッチに消耗していた日々との決別です。

この方法は、特別な才能を必要としません。必要なのは、情報を一元化する規律と、AIを賢く活用する意識だけです。この記事でご紹介したワークフローが、あなたの「思考と実行」の間に架かる、新しい橋となることを願っています。

PjMとして、エンジニアとして、そしてより良く働きたいと願う全てのビジネスパーソンへ。あなたも、自分だけの「途切れない開発環境」を構築し、仕事の新しい楽しさと、圧倒的な生産性を手に入れてみませんか?