
「再現しないのでクローズします」エンジニアの禁断ワード
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
エンジニアとして開発をしていると、バグ報告や不具合対応に追われることは日常茶飯事です。しかし、時には報告された問題が手元の環境では 再現しない ことがあります。このような場合、つい言ってしまいがちなのが「再現しないのでクローズします」というフレーズです。
一見合理的な対応に思えますが、この言葉はチームメンバーや関係者に 悪影響を与える可能性 があります。本記事では、このフレーズがなぜ禁断ワードなのか、そして適切な対応方法について解説します。
「再現しないのでクローズします」が問題になる理由
問題の本質が未解決のままになる
バグが報告されても、開発環境や検証環境で 再現しないからといって本当に存在しないとは限りません。本番環境特有の設定やデータの影響、ユーザーの操作手順など、さまざまな要因が絡み合って問題が発生することがあります。
再現しないからといって そのまま放置すると、本番環境での障害が継続する可能性 があります。特に、インフラやネットワークの影響を受けるバグは、特定の条件下でのみ発生することがあるため、慎重に対応すべきです。
ユーザーや関係者の信頼を失う
「再現しないのでクローズします」と言われた側のユーザーや関係者は、 自分の報告が軽視されたと感じることがあります。
特に、エンジニア以外のメンバー(カスタマーサポートや営業チームなど)が問題を報告した場合、単純に「再現しない」と片付けられると 「開発チームは本当に問題を調査しているのか?」という不信感を抱かれる可能性 があります。
また、実際にユーザーが困っている問題である場合、クローズしてしまうことで 企業やプロダクトの評価が下がるリスク もあります。
後から大きな問題に発展する可能性がある
一度は「再現しない」としてクローズしたバグが、時間が経ってから 深刻な問題として再浮上することは珍しくありません。
たとえば、バグの報告が少数だったために見逃していたものの、 実際には広範囲のユーザーに影響を及ぼしていた というケースもあります。また、条件次第で発生するバグは、ある特定のタイミングで システム全体の障害につながる危険性 もあります。
再現しないバグへの適切な対応方法
可能な限り詳細な情報を収集する
まずは、バグ報告をした人に対して より詳細な情報をヒアリング しましょう。以下のような情報を確認することで、再現条件を特定できる可能性が高まります。
- 発生した環境(OS、ブラウザ、デバイス、ネットワーク環境など)
- 操作手順(どのような操作をしたか)
- エラーメッセージやログ(画面キャプチャやコンソールログなど)
- 発生頻度(常に発生するのか、たまに発生するのか)
これらの情報を基に、より具体的な調査を進めます。
ログやモニタリングを活用する
手元の環境で 再現しなくても、サーバー側のログやモニタリングツールを使って調査 することで、何らかの手がかりが得られる可能性があります。
たとえば、エラーログやアクセスログを確認することで、
- 特定のリクエストパターンでエラーが発生していないか
- 予期しないレスポンスが返っていないか
といった 間接的な手がかり を得ることができます。
また、A/Bテストやデプロイ履歴を遡って確認し、 いつから問題が発生しているのか を特定することも有効です。
「保留」や「調査継続」として扱う
再現しないからといって すぐにクローズするのではなく、「調査中」や「保留」としてチケットを維持 することも選択肢の一つです。
「再現条件が不明だが、影響がある可能性が高いため継続調査する」というスタンスを取ることで、
- 他のエンジニアが気づいた点を追加できる
- ユーザーや関係者が新たな情報を報告しやすくなる
といったメリットがあります。
発生条件を仮説立てして検証する
「再現しない」という状態は、「再現条件が特定できていない」だけであり、 原因がないわけではありません。
再現しないバグについては、
- 直前にどのようなデータが処理されたか?
- ユーザーごとに異なる設定や権限が関係していないか?
- 特定のAPIのレスポンスが変化していないか?
といった 仮説を立てて検証することが重要 です。
特に、 環境差分やキャッシュ が影響するケースも多いため、異なる環境でのテストを試みるのも有効です。
まとめ
「再現しないのでクローズします」というフレーズは、 開発者にとって便利な言葉ではありますが、プロジェクトやチームにとっては危険な対応 になり得ます。
- 問題の本質が未解決のままになる
- ユーザーや関係者の信頼を失う
- 後から大きな問題に発展する可能性がある
こうしたリスクを回避するために、
- 詳細な情報を収集する
- ログやモニタリングを活用する
- 「保留」や「調査継続」として扱う
- 仮説を立てて検証する
といった 適切な対応を取ることが重要 です。
バグ対応の際には、「再現しない=存在しない」ではなく、「再現条件が特定できていないだけ」と考え、慎重に対応していきましょう。