
「動けばいい」はいつまで続くのか?エンジニアの葛藤
こんばんは!IT業界で働くアライグマです!
「とりあえず動けばOK」「仕様変更に対応する時間がないから、このままリリースしよう」。
こうした考えが頭をよぎったことがあるエンジニアは多いのではないでしょうか?
実際の開発現場では、スケジュールの都合や要件の変化、リソース不足など、さまざまな理由で「完璧なコード」ではなく、「とりあえず動くコード」が求められることがよくあります。しかし、その「動けばいい」が積み重なった結果、コードは次第に肥大化し、バグが発生しやすくなり、やがて技術的負債へと変わってしまいます。
では、エンジニアとして「動けばいい」の考え方とどう向き合うべきなのでしょうか?本記事では、「動けばいい」という思想が生まれる背景や、そのメリット・デメリット、そしてエンジニアとしてどうバランスを取るべきかについて考えていきます。
「動けばいい」という考えが生まれる背景
納期のプレッシャー
開発プロジェクトには必ず納期があります。クライアントや上司からのプレッシャーの中で、すべてのコードを最適化し、きれいに整理する時間を確保するのは難しいものです。
「納期を守るためには多少の妥協も必要」と考え、「とりあえず動くもの」を優先せざるを得ない場面が生じます。特に、スタートアップやアジャイル開発の現場では、迅速なリリースが求められるため、この傾向が強くなります。
仕様変更が頻繁に発生する
開発中にクライアントやプロダクトマネージャーから仕様変更が入ることは珍しくありません。そのたびにコードをリファクタリングしていては、開発スピードが大幅に低下してしまいます。
「どうせ後で仕様が変わるなら、最適な設計をするよりも、まずは動くものを作ったほうが効率的だ」という考え方が生まれるのは自然な流れです。
リソース不足
エンジニアの人数が限られているプロジェクトでは、1つのタスクに時間をかける余裕がありません。「クリーンなコードを書くよりも、まずは動かすことが最優先」となりがちです。
特に、小規模な企業や個人開発では、理想的なコード品質よりも、機能を早くリリースすることが重要視されることが多いでしょう。
「完璧」を求めると終わらない
コードの最適化やリファクタリングを徹底しようとすると、どこまでやれば完成なのかがわからなくなります。技術的負債を恐れるあまり、開発が進まなくなってしまうケースもあります。
「動くならひとまずOK」とすることで、開発スピードを維持することができるという側面もあるのです。
「動けばいい」のメリット
スピード優先の開発が可能
「動けばOK」とすることで、開発スピードを大幅に向上させることができます。特に、MVP(Minimum Viable Product)を作る段階では、スピードが最優先となるため、まずは「動くもの」を作ることが求められます。
仕様変更に柔軟に対応できる
仕様が確定していない段階で完璧なコードを書こうとすると、無駄な作業が発生する可能性があります。とりあえず動くコードを書いておけば、仕様変更に対して柔軟に対応できるというメリットがあります。
短期間で成果を出しやすい
開発チームや上司に対して「成果」を示しやすくなります。動くものを早くリリースすることで、フィードバックを得る機会も増え、改善につなげやすくなります。
「動けばいい」のデメリット
技術的負債が蓄積する
「とりあえず動くコード」が積み重なると、コードがスパゲッティ状態になり、保守性が低下します。特に、拡張性や再利用性を考慮しないまま開発を進めると、後々の修正が非常に困難になります。
バグが発生しやすくなる
十分なテストやコードの最適化が行われないままリリースすると、バグが発生しやすくなります。「動くこと」を最優先にするあまり、細かなバグが見落とされるリスクが高まります。
チーム開発における負担増
コードの可読性が低いと、後から参入したエンジニアが理解するのに時間がかかります。また、適切なドキュメントが用意されていないと、チーム全体の生産性が下がってしまう可能性があります。
「動けばいい」とのバランスを取る方法
最低限のコード品質を確保する
スピードを重視しつつも、最低限のコード品質は維持することが重要です。例えば、以下のようなルールを設けることで、技術的負債を抑えながら開発を進めることができます。
- コードレビューを必ず行う
- シンプルなリファクタリングは都度実施
- バグが発生しやすい部分にはテストを追加
リファクタリングのタイミングを決める
すべてのコードを最初から完璧にするのは難しいため、「この機能が安定したらリファクタリングする」といった基準を設けるのも有効です。定期的にコードを見直すことで、技術的負債を最小限に抑えることができます。
優先順位を明確にする
「今はスピードが優先」「この部分は品質を確保すべき」など、プロジェクトのフェーズに応じて適切な判断をすることが大切です。すべてを最適化するのではなく、優先順位をつけて対応しましょう。
まとめ
「動けばいい」という考え方は、開発のスピードを重視する上で必要な側面もありますが、そのまま続けてしまうと技術的負債につながり、後々の開発効率を下げる原因になります。
エンジニアとしての葛藤は尽きませんが、バランスを取りながら開発を進めることで、より良いコードを生み出すことができるでしょう。